結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35524(T2002−35524/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4195215号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成9年2月20日に登録出願され、第25類「被服(「和服」を除く),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く)」を指定商品として、平成10年10月9日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3371000号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年2月24日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類」を指定商品として、平成10年12月25日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
本件商標は、「左向きで立ち、首を左水平方向よりやや上に向けて、尾を右水平方向に延ばしている黒塗りの犬」の図形と、この図形の下に極く小さく、細い文字で記された「DOG・DEPT」の文字から構成されるものである。
引用商標は、「左向きで立ち、首を左水平方向よりやや上に向けて、尾を下方に垂らしている黒塗りの犬」の図形から構成されるものである。
両商標を比較した場合、本件商標は、前記のように「犬の図形」と「欧文字」とから構成されているのに対して、引用商標は「犬の図形」のみにより構成されている。つまり、両商標は、「欧文字」の有無において相違している。
しかし、本件商標において、「犬の図形」は黒塗りで、大きく明瞭に描かれていること、他方、「欧文字」は「犬の図形」の下に極く小さく、細い文字で表示されていることに照らすならば、本件商標に接した者は、もっぱら「犬の図形」に注意が引かれるということができるものである。
すなわち、本件商標の要部は「犬の図形」であると解される。
そこで、本件商標と引用商標の「犬の図形」を比較すると、両者は、何れも左向きで立った姿勢を保ち、黒塗りで描かれているという特徴が共通であり、このような基本的な特徴が、これに接した一般需要者に強く印象づけられるものであるから、両者は外観において類似するものである。
勿論、本件商標と引用商標の「犬の図形」は、これを微細に観察するならば、尾の角度等の細部において若干の相違を有している。
しかし、両商標は、例えば指定商品の「被服」において、ワンポイントとして縫いつけられたり、刺繍されたりするなど、比較的小さく表示されるものでもあり、そのような事情からすれば、上記細部の相違は殆ど目立たないものであるということができる。しかも、両商標は、犬ないし動物に格段の関心を持たない者を含む広範な一般消費者を需要者とする「被服」を指定商品に含むものであり、それらの需要者において、尾の角度の相違等の細部の相違を明確に区別できる場合は存在しない。
本件商標と引用商標の「犬の図形」に接する需要者は、それらより「左向きで立った姿勢を保ち、黒塗りで描かれている犬」を直感的に理解するものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、種々言及するまでもなく、その指定商品を共通にするものである。
請求人は、上記理由により、本件商標は、引用商標の類似の範疇に属する商標であると確信する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであり、その登録は商標法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第50号証を提出した。
(a)本件商標の犬は、胴体に対して頭部がかなり小さいのに対し、引用商標の犬は、胴体に対して頭部が大きい。
(b)本件商標の犬の脚は細く、特に後脚が細く表現されているのに対し、引用商標の犬は、前後脚ともにどっしりと太く表現されている。
(c)本件商標の犬の尾は、先細に先鋭化してほぼ水平に延びているのに対し、引用商標の犬の尾は、付け根から先端まで太く不揃いで、下方に垂れている。
(d)本件商標における犬の図形は、その頭部の形、毛並、尾等の姿態の印象から、我が国における一般人が直ちに且つ明確に、飼い犬として人気のあるレトリーバー種と認識し得る(ゴールデンレトリーバー等の具体的名前を正確に認識するという意味ではなく、その種の犬であるとの認識を持つという意味)ものであるのに対し、引用商標の犬の図形は、マウンテン・ドッグ種特有の頭の大きさ、首の太さ、太身の胴体、太い脚等の姿態を有するものであって、我が国における一般人が、直ちに且つ明確に大型犬のマウンテン・ドッグ種と認識し得る(同上)ものである。
これらの相違点は、いずれも一見して明確に把握し得るものであって、決して微差ではなく、これらの相違点からして、本件商標の犬からは、スマート感、俊敏感が感取されるレトリーバー種との印象を以て把握されるのに対し、引用商標からは、全く異種の重量感、鈍足感が感取される超大型犬のマウンテン・ドッグ種との印象を以て把握されると考えられる。
このように、ほぼ対照的な体型に表現され、全く別の犬種との印象を以て把握される本件商標と引用商標は、いくら迅速を尊ぶ取引社会といえど、誤認混同されるおそれはないと断じ得る。
よって、本件商標と引用商標とが外観上類似するとする請求人の主張が採るを得ないものであることは明らかである。
更に、請求人は、「両商標は、犬ないし動物に格段の関心を持たない者を含む広範な一般消費者を需要者とする「被服」を指定商品に含むものであり、それらの需要者において、尾の角度の相違等の細部の相違を明確に区別できる場合は存在しない。」とするが、例えば、ワンポイントマークの犬の図形において、尾が水平に延びているか下に垂れているかを認識するために、犬に関心を持っている必要は全くない。犬に関心のある人であれば、本件商標はゴールデンレトリーバーらしき犬のシルエット図形であり、引用商標はマウンテン・ドッグらしき犬のシルエット図形であるとの認識を持つと思われるが、両商標は、犬種が特定できて初めて識別できるというものではなく、一見して受けるイメージの相違によって識別できるのであって、その識別に、犬に関する知識の有無、並びに、知識の多寡は関係がない。ただ、犬に関心のある人の方が、関心のない人よりも、より明確に識別できる可能性があるというに過ぎない。
よって、この請求人の主張も理由がないと言わざるを得ない。
(ア)本件商標の犬の図形は、被請求人が「DOG・DEPT」の文字と共に、平成4年のテストマーケッテイングから使用を開始し、商品アイテムは現在では「カジュアルウエア全般、ベビー・子供服等」に及び、年間取引量も、平成5年には約5000万円、平成12年ないし平成14年は、それぞれ約900000万円と順調に伸びてきている。
この事実を反映し、被請求人の本件商標に関する商品カタログのボリュームも、平成8年版(乙第2号証)が8頁、平成14年上半期版(乙第13号証)及び同年下半期版(乙第14号証)がそれぞれ105頁、そして平成15年上半期版は105頁と増大してきている。
勿論、その間宣伝広告も、日刊新聞、業界新聞、ファッション雑誌等を中心に継続的に行ってきており(乙第15号証ないし乙第29号証)、雑誌の記事としても取り上げられ(乙第30号証)、話題になっていた。
広告宣伝費についても、平成6年には2100万円、平成14年には9800万円と、毎年非常に多額の経費をかけてきている。
(イ)被請求人は、本件商標の犬のシルエット図形を含む商標について、平成6年5月31日出願の登録第3332917号(乙第31号証)を初めとし、多数の区分に多数の登録を有しており(乙第32号証ないし乙第44号証)、その登録は日本国内に止まらず、諸外国にも及んでいる(乙第45号証ないし乙第50号証)。
(ウ)このように、本件商標における犬のシルエット図形は、引用商標の出願前から出願され、且つ、使用されて需要者間に広く知られるに至っているのに対し、引用商標は、登録以来全く使用された形跡がない。
このように、登録から長年経過しているのに使用された形跡のない引用商標の存在を以て、本件商標の登録の無効を主張することは、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」を目的とする商標法の許容するところではない。
以上の理由により、本件商標と引用商標とは外観上非類似と考えるのが至当であり、他に両商標を類似と考えるべき要素もないので、本件商標と引用商標とは、全体的に非類似である。したがって、本件商標を以て、商標法第4条第1項第11号の規定に該当する登録を受けることができない商標であると言うことはできない。
本件商標は、別掲(1)のとおり図形と文字との組み合わせよりなるものであって、黒塗りの犬の図形とその下に横書きの「DOG・DEPT」の文字を配置したものである。
他方、引用商標は、別掲(2)のとおり、黒塗りの犬の図形よりなるものである。
しかして、本件商標の図形部分と引用商標とは、いずれも左向きで立った姿勢を保ち、黒塗りで描かれている犬の図形である点で共通するが、本件商標の犬は、胴体に対して頭がかなり小さく、胴体も脚も細く全体的にスマートな犬という印象を与えるのが特徴であるのに対し、引用商標の犬は、胴体に対して頭が大きく、首も胴体も足も太いどっしりとした犬という印象を与えるのが特徴的であり、少なくとも、本件商標の図形部分と引用商標は外観上類似することが明らかであるとまではいうことができないから、本件商標と引用商標は、時と処を異にして接した場合でも外観上相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標の図形部分と引用商標は、いずれも直ちに特定の称呼、観念を生ずるものとは認められないから、本件商標の図形部分と引用商標とは、称呼及び観念上比較すべくもない。
そして、本件商標と引用商標は、他に類似するところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念において類似するものとすることはできない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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