sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名商標の非類似商品への類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35510(T2002−35510/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4444767号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4444767号商標(以下「本件商標」という。)は、「Tiger Beer」の文字(標準文字)よりなり、平成11年12月10日登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」を指定商品として、平成13年1月12日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4266413号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成8年6月25日登録出願、第32類「ラガービール」を指定商品として、平成11年4月23日に設定登録されたものである。

同じく登録第4287663号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成10年4月23日登録出願、第32類「ビール」を指定商品として、平成11年6月25日に設定登録されたものである。

同じく登録第4298370号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、平成10年7月1日登録出願、第32類「ビール」を指定商品として、平成11年7月23日に設定登録されたものである。

同じく登録第4388967号商標(以下「引用商標4」という。)は、「www.tigerbeer.com」の文字よりなり、平成10年7月16日登録出願、第32類「ビール」を指定商品として、平成12年6月2日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

(1)本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

本件審判請求人であるアジア パシフィック ブルーアリーズ リミテッド(Asia Pacific Breweries Limited)は、本件商標を構成する英文字「Tiger Beer」を「ビール」について長年使用し、日本を始めとする多数の国に登録を所有している。

請求人は、日本において「Tiger Beer」又は「Tiger」を含む、引用商標1ないし引用商標3の「ビール」用ラベルの商標について3件の登録商標を所有している。また、「tigerbeer」を要部とするドメインネームからなる引用商標4の登録商標を所有している。

外国において、請求人は、「Tiger Beer」の新・旧ボディラベルについて、オーストリア、オーストラリアを始めとして、60カ国以上に登録を取得している。甲第3号証は、請求人が作成した世界において登録を取得している国のリストである。

「Tiger Beer」の世界的著名性は、請求人の「2000年度年次報告書」に掲載される事業活動からも明らかである。甲第4号証は、この抜粋写し(抄訳付き)であるが、会社略歴には、1931年の「マラヤン ブルーアリーズ(Malayan Breweries)」から現在の請求人に至る歴史の概略が記されている。

「Tiger Beer」は、最初のビール醸造所が1932年に作られた直後に販売が開始され、現在に至るまで70年近い歴史を持ち、東南アジアを中心に、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパの広い範囲をマーケットとしている。

請求人の醸造所は、「年次報告書」(37頁)に規定されているように、シンガポール、マレーシア、パプアニューギニア、ニュージーランド、カンボジア、タイ、ベトナム、中国の8カ国、10カ所に及んでいる。

また、テレビコマーシャルやサッカーゲームのスポンサー等を通じて、宣伝広告活動も盛んに行われている。

甲第5号証は、シンガポールで発行されている雑誌「Asian Brand News」の2000年9月号に掲載された「Top 50 Asian Brands」であるが、「Tiger Beer」は「Top l0 Brands Scores」で、第5位を獲得している。

日本においても、「Tiger Beer」は、10年以上前から「世界の名酒事典」に掲載されており、87−88年版には、請求人の前身である「マラヤン社」のビールとして紹介されている(甲第6号証の1及び2)。また、1991年研究社発行の「英和商品名辞典」にも同様に「マラヤン社」の商標として「Tiger」が紹介されている(甲第6号証の3)。

その他、インターネット上では、Yahooの検索で「Tiger Beer」を入力すると、340件のサイトがヒットする(甲第7号証)。

以上のとおり、商標「Tiger Beer」は、本件商標の出願された平成12年の遥か以前より世界的に著名となっており、これと同一の英文字からなる本件商標は、明らかに他人の商標を不正の目的で使用するものであり、商標法第4条第1項第19号に該当する。

しかも、本件指定商品は「ビール」ではないにもかかわらず「Tiger Beer」なる商標を出願・登録したということは、該商標を使用した指定商品が「Tiger Beer」と関連があると需要者が誤認することを期待し、その名声にあやかろうという意図があったと思われる。

(2)本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

引用商標1ないし3の「Tiger Beer」は上述のとおり、請求人の業務にかかる「ビール」に使用される商標として世界的に著名である。

かかる著名商標と同様の構成からなる本件商標がその指定商品に使用された場合、これをみる需要者・取引者は、引用商標を直ちに想起し、上記商品を請求人又はこれと密接な営業上の関係を有する者の業務に係る商品であると誤認する。

この事実は、本件登録に対する異議2001−90211の平成13年12月26日付異議決定においても認められている(甲第8号証)。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第15号に違反してなされたものであって、これを無効とすべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断

請求人より提出された証拠によれば、請求人である「アジア・パシフィック・ブルーアリーズ・リミテッド」は、1931年に設立、翌年の1932年にはビールの販売を開始した「マラヤン ブルーアリーズ(Malayan Breweries)」を前身とするシンガポール在の会社であって、本国であるシンガポールを始め、マレーシア、タイ、ベトナム、カンボジア、中国、ニュージーランド、パプアニューギニアの8か国に14のビール醸造所を有し(甲第4号証、200年度年次報告書抜粋)、請求人が「ビール」について70年に亘り使用してきた「Tiger beer」商標は、雑誌「Asian Brand News 2000年9月号」の特集記事「Top 50 Asian Brands」において第5位にランクされていることが認められる(甲第5号証)。また、我が国においても請求人の「Tiger Beer」商標は、例えば、講談社発行の「世界の名酒事典’87−’88年版」(甲第6号証の1)に前身のマラヤン社が「シンガポール唯一のビール会社。......」として紹介され、引用商標1のラベルを付した瓶ビール及び缶ビールの写真が掲載されている。そして、同じく講談社発行の「世界の名酒事典’92年版」(甲第6号証の2)には請求人(社)名で、各種商品が写真付きで掲載されていることが認められる。

以上の事実からすると、請求人が「ビール」について使用する「Tiger Beer」の文字からなる商標(以下「請求人使用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には、既に、我が国において取引者、需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたものと判断するのが相当である。

しかして、本件商標は、「ビール」について著名な請求人使用商標と全く同一の文字構成である「Tiger Beer」の欧文字よりなるものであるから、たとえ、その指定商品が請求人の使用する「ビール」と関連がないとしても、近年の企業の多角経営化及び系列会社の設立等の傾向を併せ考えると、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、「Tiger Beer」の文字からなる本件商標より、請求人使用商標を直ちに連想、想起し、該商品を請求人又は「Tiger Beer」(ビール)を製造・販売する会社と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、請求人のその余の無効事由について論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。