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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠不備

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30602(T2002−30602/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4189372号商標(以下「本件商標」という。)は、「DETECTOR」の欧文字と「ディテクター」の片仮名文字とを二段に表示してなり、第35類「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」を指定役務として、平成8年11月6日に登録出願、同10年9月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによってもその指定役務について一度も使用された事実がない。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者であり被請求人の関連会社であるノヴァクション株式会社によって、本件商標の指定役務について使用されている、と答弁書において主張している。しかしながら、当該答弁書によっては、本件商標の取消しを免れるような使用証明をしてい

ない。

(2)本件審判請求の登録日は、平成14年6月19日(平成14年6月14日は誤り)であるので、被請求人は、平成14年6月19日前3年以内(平成11年6月20日から平成14年6月19日までの間)に商標権者又は使用権者によって本件商標が本件指定役務について使用されていることを証明しなければならない。また、本件商標は、平成14年5月8日に個人「林 広茂」から現商標権者である「ノヴァクション」に移転されている事実が認められる(甲第2号証)。

そうすると、平成11年6月20日から平成14年5月7日までは、旧商標権者である「林 広茂」又はその使用権者によって使用されていることを証明しなければならず、また、平成14年5月8日から平成14年6月19日までの間は現商標権者である「ノヴァクション」かその使用権者によって使用されていることを証明しなければならない。

(3)しかしながら、被請求人は「世界的なネットワークを持つマーケティング・コンサルティング会社である・・・上記サービスは、ノヴァクション株式会社によって提供されている。」と主張していることからもわかるように、本件商標は現商標権者である「ノヴァクション」の通常使用権者「ノヴァクション株式会社」によって使用されていることを被請求人は主張、証明している。

そして、当該通常使用権者の使用時期が「平成14年5月8日から平成14年6月19日」までの間になされたものであるかどうかを検討してみると、乙第2号証は、平成14年6月19日以降の証拠であり、乙第3号証は、ノヴァクション株式会社が日本国内の顧客に対して提供したサービスの一例のリストの写しであり、乙第4号証はそれらの顧客との契約書の写しであるが、当該契約書はいずれも本件商標の移転前の平成14年5月8日前のものである。また、乙第5号証は、ノヴァクション株式会社による報告書の表紙の写しであると被請求人は主張するが、該写しに付されている日付はいずれも本件商標の移転前である平成14年5月7日以前のものである。さらに、乙第6号証は、日経ウイークリーに出した広告の写しであるが、当該広告は1995年4月24日付けのものであることが認められ、本件審判請求の登録前3年以上前のものであることは明らかである。

してみれば、乙第2ないし第6号証は本件商標の取消しを免れるための証拠とはなり得ないものである。

(4)また、被請求人は、本件商標を「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」について使用している、と主張している。

乙第2号証の1によれば、「ディテクター」の名称が「アイデアのスクリーニング及びラフな売上予測」について使用されているとも推認可能であるが、乙第2号証の2によると「ディテクター・モデル」は、コンセプトの段階でラフな売上予測を行うデータベース・モデル、と説明されている。

したがって、乙第2号証の2からは、「ディテクター」は商品である「データベース」の名称であるとも推認可能である。さらに、乙第6号証からも「DETECTOR」は、コンセプトの段階でラフな売上予測を行うデータベースの名称であるとも推認可能なものと認められる。してみれば、本件審判請求の登録前3年以内の証拠である乙第4及び第5号証のみでは、どのような役務又は商品について使用されているか不明である。

したがって、乙各号証のみによっては、「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」の名称として本件商標が使用されているかどうかが明確でないので、「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」が、本件役務に係る「経営の診断、市場調査」に含まれるかどうかを検討するまでもなく、本件商標の取消を免れることはできないものである。

(5)以上のとおり、乙各号証に表示されている商標が本件商標と社会通念上同一のものであるかどうかを検討するまでもなく、本件商標の取消は免れない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第6号証を提出した。

1 本件商標と社会通念上同一の商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、ノヴァクション株式会社によって、本件審判請求に係る役務について使用されている。

2 被請求人は、世界的なネットワークを持つマーケティング・コンサルティング会社である。被請求人及びそのグループ企業は、各種の製品・サービス分野につき、市場調査を行い、独自のマーケティング・シミュレーション・モデルに基づいて製品・サービスの売上予測を行い、当該製品の売上又は利益を最適化するマーケティングプラン・戦略・戦術を提供する、経営コンサルティングサービスを行っている。被請求人は、かかるコンサルティングの手法として採用するシミュレーション・モデル及びそれに基づくコンサルティングサービスについて、「Detector」「Perceptor」等の商標を使用している。

3 我が国においても、上記サービスは、ノヴァクション株式会社によって提供されている(乙第2号証)。そして、以下に述べる通り、「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」の手法の名称として本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているほか、当該手法に基づき行われる「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」の商標としても、かかる商標が使用されている。

(1)乙第2号証は、ノヴァクション株式会社が日本国内の顧客向けに作成し、インターネット上で一般に公開しているホームページから抜粋した写しである。乙第2号証の1及び2に記載されている通り、ノヴァクション株式会社は、商品及びサービスの市場分析及び売上予測の手法の一つの名称として、「ディテクター」「DETECTOR」の商標を使用している。なお、本件商標は「DETECTOR」と「ディテクター」を二段書きにしてなるものであるが、ノヴァクション株式会社は、同一のサイト内における英語ページと日本語ページにおいて「DETECTOR」と「ディテクター」を同時に使用しており、かかる使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。

(2)乙第3号証は、ノヴァクション株式会社が日本国内の顧客に対して提供したサービスの一例のリストの写しである。ファックスヘッドに同社の英語名である「NOVACTION K.K」の文字が入っている。リストのもっとも左の「Year」の欄に受注年が西暦の下二桁で記されており、本件審判請求の登録前3年以内にあたる1999年以降に受注したサービスが4件(上段から5段目までのもの)記されている。いずれも、「Title」の欄には、乙第4号証の契約書の「JOB TITLE」に該当するものが記載されており、当該欄に「Detector」の商標が記入されている。

これは、乙第4号証の契約書に基づき提供されたサービス(後述する)について、「Detector」の商標が使用されていることを示している。 「Detector」は、本件商標中の欧文字部分と同一の単語を、英語で通常用いられているように、語頭字を大文字、他の文字を小文字で表記したものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。

(3)乙第4号証は、ノヴァクション株式会社が日本国内の顧客に対し、市場分析及び売上予測サービスを提供するにあたり締結した契約書の写しである。契約書の日付から明らかであるように、いずれも本件審判請求の登録前3年以内以降に締結された契約である。いずれの契約書においても「JOB TITLE」及び「METHOD(手法)」の欄に「Detector」「DETECTOR」又は「ディテクター」の商標が記載されており、当該契約に基づいて提供されたサービスが同社の「Detector」「DETECTOR」「ディテクター」という手法によるものであることを示している。上述の通り、「Detector」は本件商標と社会通念上同一の商標であり、「DETECTOR」「ディテクター」はそれぞれ本件商標の欧文字部分及びカタカナ文字部分であるから、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。

(4)乙第5号証は、ノヴァクション株式会社が、日本国内の顧客に対し、乙第4号証で示した契約書に基づくサービスにおいて作成・提供した報告書の表紙の写しである。いずれも、記載された日付から明らかであるように、本件審判請求前3年以内に作成・提供されたものである。いずれの報告書の表紙においても「DETECTOR」「Detector」「ディテクター」の商標が使用されており、乙第4号証で示した「DETECTOR」「Detector」「ディテクター」の商標が、市場分析及び売上予測の手法のみならず、かかる手法に基づいて行われた市場分析及び売上予測のサービスそのものについても使用されていることを示している。これらの商標は上述の通り本件商標と社会通念上同一の商標である。

(5)乙第6号証は、ノヴァクション株式会社が「日経ウイークリー(The Nikkei Weekly)」に出した広告の写しである。当該広告においては、「DETECTOR」の商標の下に、商品及びサービスの市場分析及び売上予測等の手法の説明が記載されており、かかる証拠からも、当該手法のみならず、その手法に基づく市場分析及び売上予測サービスについても「DETECTOR」の商標が使用されていることが明らかである。

4 以上より、本件商標と社会通念上同一の商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」について使用されていることは明らかである。そして、「商品及びサービスの市場分析及び売上予測」は本件審判請求に係る「経営の診断,市場調査」に含まれるサービスであることは明白である。

第4 当審の判断

1 被請求人は、本件商標を本件取消の請求に係る役務について本件審判請求の登録日前3年以内に使用している旨答弁し、証拠を提出しているので、被請求人の提出に係る各乙号証について検討する。

(1)本件商標の通常使用権者「ノヴァクション株式会社」と前商標権者である「林 広茂」及び現商標権者「ノヴァクション」の関係をみるに、「林 広茂」は「ノヴァクション株式会社」の相談役(乙第2号証)、「ノヴァクション」と「ノヴァクション株式会社」とは親会社と子会社の関係にあることよりすれば、「ノヴァクション株式会社」は権利の移転に関係なく継続して本件商標の通常使用権者であったと推認し得るところである。

そうでないとすれば、ノヴァクション株式会社は本件商標を前商標権者である「林 広茂」の許諾を得ずに勝手に使用していたことになる。

しかしながら、会社とその相談役という両者の密接な関係よりみて、そのようなことは考えられないところであり、また、このことに関して両者の間に紛争があったという事実も認められないところからすれば、両者の間には通常使用権契約が存在していたとみるのが相当である。

そして、通常使用権契約は登録されないことも多いが、その使用について当事者間に合意があれば特に問題はないといえるものである。

してみれば、本件商標の使用において、本件商標の譲渡による商標権の移転登録日である平成14年5月8日の日付は関係ないものといえるから、この日付を境に本件商標の使用者は変わるべきであるとする請求人の主張は理由がないものというべきである。

(2)乙第2号証の1は、ノヴァクション株式会社の会社概要であるところ、該会社概要には、「アイデアのスクリーニング及びラフな売上予測:ディテクター」の記載が認められる。そして、「・・・売上予測」は、市場調査の一つであり、さらに、「ディテクター」の文字自体が独立して自他役務の識別力を有するというべきである。

(3)乙第2号証の2は、「ディテクター・モデル」(コンセプト段階でのラフな売上予測を行うデータベース・モデル)、「対象とする製品の市場構造・・・分析します。さらに・・・売上予測・・・成功に導く参入戦略等に対する意思決定を支援します。」との記載があり、該記載は、ノヴァクション株式会社の業務内容の一つと認められる。そして、「・・・売上予測」は、市場調査の一つであり、さらに、その役務に対して「ディテクター」の文字を使用しているのが認められる。

(4)乙第4号証は、通常使用権者であるノヴァクション株式会社とニベア花王(株)マーケティング部及び株式会社エフティ資生堂との契約書の複写であるところ、ニベア花王(株)マーケティング部との契約書には、制汗デオドラント製品に関する女性240名を対象とした市場調査の役務であることが認められ、その役務に対して「Detector」の名称の手法が採用されていることが認められる。

また、ノヴァクション株式会社と株式会社エフティ資生堂との契約書によれば、シャンプーユーザーに対する市場調査の役務であることが認められ、その役務に対して「Detector」の名称の手法が採用されていることが認められる。

そして、両契約書の「Detector」及び「ディテクター」の文字部分は、その契約内容の役務を実行するための手法の名称であるから、自他役務の識別力を有するというべきである。

(5)乙第5号証は、ノヴァクション株式会社と株式会社エフティ資生堂との市場調査の契約(乙第4号証)に対するプレゼンテーションであるところ、該プレゼンテーションには「Detector」、「ディテクター」、「市場構造分析で診断する各参入市場の魅力度」、「2001年11月16日」及び「ノヴァクンョン株式会社」の名称が記載されている。そして、該記載中「市場構造分析で診断する各参入市場の魅力度」の文字部分からみると、市場調査の役務であると認められ、「Detector」及び「ディテクター」の文字は、構成上からみて、明らかに自他役務の識別力を有するものである。また、「2001年11月16日」は、本件審判請求の登録(平成14年6月19日付)前3年以内に該当するものである。、

(6)乙第5号証の1によれば、ノヴァクション株式会社が、市場調査(市場構造分析で診断する各参入市場の魅力度)の役務に対して、「Detector」及び「ディテクター」のサービスマークを使用しているのが認められる。また、本件審判請求の登録(平成14年6月19日付)前3年以内に該当するものである。

(7)ところで、本件商標は「DETECTOR」と「ディテクター」の文字よりなるところ、該文字に相応して「ディテクター」の自然称呼を生ずるものであるから、上記乙各号証に掲載されている「DETECTOR」「Detector」及び「ディテクター」の各商標は、本件商標と社会通念上同一視し得る商標であると判断するのが相当である。

2 以上の事実及び被請求人の答弁の全趣旨によれば、本件商標は本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定役務に含まれる「市場調査」ついて、本件商標の通常使用権者である「ノヴァクション株式会社」によって使用されていたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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