Trademark Appeal Case
「ン」の有無と称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90557(T2002−90557/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1.本件商標
本件登録第4568861号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年12月8日に登録出願、「コンシャス」の片仮名文字と「CONSCIOUS」の欧文字とを二段に併記してなり、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同14年5月17日に設定登録されたものである。
2.登録異議の申立ての理由
本件商標は、平成4年2月28日に登録出願、「CONSCIENCE」の欧文字と「コンシァンス」の片仮名文字とを二段に併記してなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録されている登録第2633888号商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であり、かつ、その指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3.本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして通知した取消理由は、つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標は、平成12年12月8日に登録出願、「コンシャス」の片仮名文字と「CONSCIOUS」の欧文字とを二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類、化粧品」を指定商品として、同14年5月17日に設定登録されたものである。
これに対して、登録異議申立人が引用する引用商標は、平成4年2月28日に登録出願、「CONSCIENCE」の欧文字と「コンシァンス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録されたものである。
そこで、本件商標と引用商標の類否について検討するに、それぞれの構成文字に相応して、前者は「コンシャス」、後者は「コンシァンス」の称呼を生ずるものと認められる。
しかして、この両称呼を比較するに、両者は前2音「コン」と語尾音「ス」を共通にし、わずかに中間音における「シャ」と「シァン」の音にその差を有するところ、「シャ」と「シァ」の音は、外国語の音表記上の違いにすぎず、実質上ほぼ同一の音として発音、聴取されるものであるから、両者の音構成上の差異は、比較的聴者の耳に残り難い中間において、弱音「ン」の音の有無という微差にすぎず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、彼此聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「コンシャス」と「コンシァンス」の称呼において相紛れるおそれがある類似の商標といわざるを得ない。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
4.商標権者の意見
(1)本件商標は、「意識」等の意味を有する英語「CONSCIOUS」と、その発音「コンシャス」とを二段に表示してなるものである。
他方、引用商標は、「良心」等の意味を有する英語「CONSCIENCE」と、その発音「コンシァンス」とを二段に表示してなるものである。
そして、「CONSCIOUS」と「CONSCIENCE」の英語は、共に我が国においてよく知られた英単語の一つである。
また、本件商標は4音、引用商標は5音という音構成からなるものであり、両商標を全体として称呼するときには、前者は「コン」「シャス」と二拍で称呼されるのに対して、後者は「コン」「シァン」「ス」と三拍で称呼される。
さらに、引用商標においては、「ン」の音が語尾ではなく語の中間に位置すること、第2音と第4音とに定期的に「ン」の音が入るために韻を踏むように称呼されること、「ン」の音が「シァ」という促音の後に位置するため比較的強く発音されること等からみて、両商標は語感語調が全く異なるものになり、両商標の称呼が共に4音と5音と比較的短いこととも相俟って、両商標の称呼は十分に聴別可能である。
(2)このように、二つの商標が共に短い音構成で、かつ、両者の称呼の相違が「ン」の有無しかないが、「ン」の文字が称呼全体に与える影響が大きく、かつ、一方の商標が、常に固有の観念を有する語として正確に称呼される語からなる場合には、両商標は称呼上非類似となることは、昭和56年審判第13685号の審決(「コンブラ」と「コブラ」)(参考資料3)においても支持されている。
また、二つの商標の称呼の差が、弱音の「ン」の有無しかない二つの商標であっても、その「ン」の文字の有無により語感語調が異なる場合には、両商標の称呼は非類似であることは、参考資料4ないし13に示すように、多くの審決例で支持されている。
5.当審の判断
本件商標と引用商標の構成及び指定商品は前記したとおりである。
そして、本件商標と引用商標は、共に欧文字と片仮名文字とを二段に表示した構成よりなるところ、両者共に片仮名文字部分は欧文字部分の称呼を特定したものと無理なく判断し得るものであるから、前者よりは「コンシャス」、後者よりは「コンシァンス」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「コンシャス」の称呼と、引用商標より生ずる「コンシァンス」の称呼とを比較するに、両者は前2音「コン」と語尾音「ス」を共通にし、わずかに中間音における「シャ」と「シァン」の音にその差を有するところ、「シャ」と「シァ」の音は、外国語の音表記上の違いにすぎず、実質上ほぼ同一の音として発音、聴取されるものであるから、両者の音構成上の差異は、比較的聴者の耳に残り難い中間において、弱音「ン」の音の有無という微差にすぎず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、彼此聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「コンシャス」と「コンシァンス」の称呼において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されるものである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものとした上記3の取消理由は妥当なものである。
なお、商標権者は、本件商標と引用商標を構成する「CONSCIOUS」と「CONSCIENCE」の英単語は、前者は「意識」、後者は「良心」の意味を有する語として、我が国においてもよく知られた英単語であると主張しているが、当該英単語は、我が国において日常的に使用されるようなものではなく、それほど広く知られた英単語とはいえないとみるのが相当である。
また、商標権者は、両商標を全体として称呼するときには、前者は「コン」「シャス」と二拍で称呼されるのに対して、後者は「コン」「シァン」「ス」と三拍で称呼され、また、後者の称呼中の「ン」の音は、「シァ」という促音の後に位置するため、比較的強く発音されると主張している。
しかしながら、「シァン」の音は、一気一連に発音され聴取されるとみるべきであり、構成中の「ン」の音は、前音の「シァ」に吸収され明瞭には聴取され難い音であるとみるのが相当である。そして、「シァン」の音が一気一連に発音され聴取されることからすれば、「コンシァンス」の音は、「コン」と「シァンス」の二拍で称呼されると判断するのが相当であるから、この点に関する商標権者の主張は認め難い。
さらに、商標権者は、その主張を裏付けるために過去の審決例(参考資料3ないし13)を提出しているが、これらは、本件商標とは事案を異にするものであるから、この点に関する商標権者の主張は認め難い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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