Trademark Appeal Case
著名商標の類否と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90258(T2003−90258/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4643753号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字により「AORA GEMSTONE ORACLE」と書してなり、平成14年6月21日に登録出願、第16類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年2月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第8号について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、世界最大の企業向けソフトウエア会社であって、その開発に係るリレーショナル・データベースは、フォーチュン誌100社の内、93%が使用しており、ソフトウエア業界のみならず一般企業の間においても、「ORACLE」といえば申立人を意味するほど、周知・著名になっている。
したがって、本件商標は、周知・著名な商号の略称を含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、以下のア)ないしウ)の登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標A」という。)と「オラクル」の称呼を共通にする類似の商標であって、同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア)登録第3311065号
商標の構成:「オラクル」
指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成6年7月7日
設定登録日:平成9年5月23日
イ)登録第3311080号
商標の構成:「ORACLE」
指定商品:第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成6年7月19日
設定登録日:平成9年5月23日
ウ)登録第3358969号
商標の構成:「オラクル」
指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成6年7月7日
設定登録日:平成9年11月14日
(3)商標法第4条第1項第15号について
「ORACLE」の文字を書してなり、第11類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、同磁気ディスク、同磁気テープ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年7月17日に登録出願、平成1年10月31日に設定登録され、現に有効に存続する登録第2183525号商標(以下「引用商標B」という。)は、申立人の著名な略称でもあり、「コンピュータ・ソフトウエア」特に「企業向けリレーショナル・データベース」の商標として、周知・著名なものである。
他方、本件商標の指定商品には、「コンピュータ及びコンピュータプログラム用マニュアル書」を内在する「印刷物」が含まれている。かかる「印刷物」に本件商標が使用された場合、それが申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
申立人は、世界最大の企業向けソフトウエア会社であって、「ORACLE」といえば申立人を意味するほど、周知・著名になっている旨主張し、証拠として甲第1ないし第10号証(枝番を含む。)を提出している。
しかしながら、提出された証拠によれば、申立人が企業向けソフトウエアを提供している会社であって、「ORACLE」の商標を使用していることが認められるとしても、この証拠によっては「ORACLE」が申立人の略称として我が国の需要者間に広く認識されていることを認めるに十分でなく、その他の証拠の提出はない。
また、「ORACLE」の文字自体は、「(古代ギリシャの)信託、託宣」等を意味する英語として知られているものであって、特に独創的というものでもない。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者がその構成中の「ORACLE」の文字から直ちに申立人を想起、連想するようなことはなく、「ORACLE」が申立人の商号の略称として我が国において著名になっているとはいえない。
してみれば、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含むものではないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記のとおり、同書、同大の文字でまとまりよく一体的に表されており、これから生ずると認められる「アオラジェムストーンオラクル」の称呼もそれほど冗長でなく、一気一連に称呼し得るものであって、「ORACLE」の文字部分のみを抽出して観察しなければならない格別の理由も見出し難いものであるから、「アオラジェムストーンオラクル」の称呼のみを生ずるものというべきである。
他方、引用商標は、いずれもその構成文字に相応して「オラクル」の称呼を生ずるものである。
しかして、本件商標から生ずる「アオラジェムストーンオラクル」の称呼と引用商標から生ずる「オラクル」の称呼とは、「アオラジェムストーン」の音の有無という顕著な差異により明瞭に区別し得るものである。
また、本件商標は、全体として特定の既成観念を有する語ないしは熟語として一般に知られているものではないから、観念上引用商標と比較すべくなく、外観においても引用商標とは判然と区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲号証を徴するに、上記(1)のとおり、「ORACLE」の文字が申立人の著名な略称とは認められないばかりでなく、これと同じ綴り字からなる引用商標Bが「企業向けリレーショナル・データベース」の商標として、我が国において需要者間に広く認識されていることを認めることはできないから、本件商標をその指定商品、特に「印刷物」に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標Bを想起、連想するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同するおそれはないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、その登録を維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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