Trademark Appeal Case
著名グループ名商標の適否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90236(T2003−90236/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4650580号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年10月3日に登録出願され、第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」を指定役務として、平成15年3月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下、4名を一括して「申立人ら」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)「和田弘とマヒナスターズ」の著名な略称である「マヒナスターズ」を商標登録出願し、登録するには、本件商標権者である和田弘が、当時の正規のメンバーである申立人らの承諾を得ることが必要であるにもかかわらず、本件商標の登録出願について申立人らの承諾を得ていないものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)本件商標権者である和田弘にとっては、商標「マヒナスターズ」は、「他人の周知・著名商標に同一ないし類似する商標」であるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)本件商標登録出願及びその登録が信義に反する違法性があること及びその後の商標権者の行為からみれば、本件商標の登録が、正に「不正の目的をもって使用するもの」に該当するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
本件商標は、別掲に示すとおり、図形と2段書きした「マヒナスターズ」の文字の結合よりなるところ、その構成に係る「マヒナスターズ」の文字は、ムード歌謡を中心とした音楽のグループ名として広く一般に知られている「和田弘とマヒナスターズ」を認識させるといえるものである。
ところで、本件異議理由補充書と同時に別紙添付として提出された「和田弘とマヒナスターズの歴史」によれば、以下のとおり(要旨)記載されていることが認められる。
(ア)昭和29年に「和田弘とマヒナスターズ」が結成される。
当時のメンバーは、和田弘(商標権者)、三島敏夫、松平直樹(申立人らの一人)、日高利明の4名であった。
(イ)昭和30年に佐々木敢一(申立人らの一人)が参加する。
(ウ)昭和33年に山田競生、三原さと志(申立人らの一人)が参加する。(エ)昭和34年に、NHK放送の大晦日の紅白歌合戦に初出場。以来、昭和42年まで連続9回、紅白歌合戦に出場する。昭和42年に山田競生が退団する。
(オ)昭和45年に松平直樹が退団する。
(カ)昭和58年に三原さと志が退団する。
(キ)昭和61年に三原さと志が復帰する。
(ク)平成元年に松平直樹、山田競生が復帰すると共に全盛期のオリジナルメンバー6名(和田、日高、佐々木、三原、松平、山田)が揃い再出発する。同年、NHK紅白歌合戦に10回目の出場となる。
(ケ)平成6年に山田競生が退団し、代わりに白片修(申立人らの一人)が参加する。
(コ)平成13年9月頃にテレビ東京の楽屋内で、松平、三原、佐々木、白片の4名は分離独立して別々の仕事をするとの申入れをし、和田、日高もこれを了承する。
(サ)平成13年12月31日に最後の「和田弘とマヒナスターズ」の演奏会を勤め、円満に分裂して、和田、日高の2名と松平、三原、佐々木、白片の4名が独自に活動することになった。
(シ)平成14年1月に松平、三原、佐々木、白片は、白片興(白片修の兄)及び向坂卓人を加え、「ザ・マヒナスターズ」として発足した。松平、三原がボーカル、佐々木が裏声とウクレレ、白片兄弟及び向坂が楽器を担当して「マヒナスターズ」の伝統を継いだグループとして音楽活動を開始した。
同年に和田は日高と組み、他の新人数名を加え、「和田弘とマヒナスターズ」と称して活動を再開した。その後日高は退団した。
以上のことからすると、商標権者である和田弘氏は昭和29年より少なくとも平成13年12月31日の最後の演奏会に至るまで、一貫して「和田弘とマヒナスターズ」のリーダー(全員を指揮する人)として活動してきたことが認められる。
これに対し、申立人らの内、松平、三原、佐々木の各氏(なお、申立人らの一人である白方修氏は、全盛期にはメンバーではなく、平成6年に参加した。)は全盛期にメンバーとして活動をしていたことが認められるものの、松平、三原の両氏は一度退団し、その後復帰したが、再度、平成13年9月に、佐々木、白方の両氏と共に、分離独立して別々の仕事をすることを申し入れ、和田、日高の両氏がこれを了承した旨記載されているものであり、申立人らは、自らの意志で「和田弘とマヒナスターズ」を辞め、メンバーであることを放棄したものといわなければならない。
そして、申立人らは、「マヒナスターズ」の伝統を受け継いだグループとして音楽活動を開始したものであって、分離独立とともに「マヒナスターズ」の名称を受け継いだものとは認められず、「マヒナスターズ」といった場合、和田弘氏を除いた申立人らのグループの名称を指すものとはいい難く、あくまでも和田弘氏をリーダーとしたグループ名「和田弘とマヒナスターズ」を指称するものとみるのが相当である。
さらに、前掲の「和田弘とマヒナスターズの歴史」によれば、平成14年に、本件商標権者である和田弘氏は、新人数名を加えて「和田弘とマヒナスターズ」の名称で音楽活動を再開していることが認められる。そして、原審において、新人メンバーと認められる4名より同意書が提出されているものである。
加えるに、我が国で長年にわたり活動している音楽グループ又はコーラスグループが複数存在するが、その中でもメンバーの入れ替え又は変更がなされた後も、同じグループ名で、現在も活動している実情があることは一般に知られているところである。
そうすると、本件商標権者である和田弘氏にとって、「マヒナスターズ」は他人の名称とはいい難いものであるから、本件商標は、「マヒナスターズ」の文字を含むものであるが、他人の名称の著名な略称を含む商標に該当するものとは認められない。
また、申立人らが主張する「他人の周知・著名商標に同一ないし類似する商標」ということはできない。
さらに、本件商標は、上記認定のとおりであって、提出に係る証拠を検討するも、申立人らがその業務に係る役務について使用する標章の出所表示機能を希釈化させたり又はその名声を毀損させる等不正の目的をもって出願されたものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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