sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2003−60040(T2003−60040/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「家具」に使用するイ号標章は、登録第2590749号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2590749号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成3年4月16日登録出願、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品、屋外装置品、記念カップ類、葬祭用具」を指定商品として、同5年10月29日に設定登録されたものであり、平成15年7月15日に存続期間の更新登録がなされている。

第2 イ号標章

被請求人が商品「家具」に使用するイ号標章は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、被請求人が商品「家具」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第126号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者であるが、被請求人が商品「家具」にイ号標章を使用していることについて、平成15年1月10日、被請求人に対し本件商標の商標権に抵触する可能性がある旨の通知を発したところ、同月25日に該商標権に抵触するものとは考えられない旨の同月24日付回答を受領した。

2 イ号標章の説明

被請求人は、平成13年3月頃より、「アビタサローネ有明店」の開店に伴い、商品「家具」についてイ号標章の使用を開始し、その後も使用継続して現在に至っている。

イ号標章は、大きく表した「Abita」部と、かなり小さく表した「salone」部の二段併記で、文字の配色、アンダーライン及び明緑色円の組み合わせ等のデザイン処理がなされている。

而して、イ号標章の「A」と「bita」は、イニシャルキャップ配列のバランスが保たれているが、「salone」部は極端に縮小されているためイニシャルキャップ配列の「Abita」部から完全に遊離している。この縮小率のことも含めて、「salone」部は目立たない構成になっている。

このようにして、被請求人は、意識的に「Abita」部を際立たせ「salone」部の印象を弱めている。そして、付記的に配置された「salone」部は、「Abita」部(事業主体標章と思われる。)の1部門をイメージ付けるために加えられた装飾語として、即ち、(Abitaの)家具部門(salone=売場)として理解されるため、出所表示の標識として捕らえられるときには、脳裏を軽くかすめる程度にしか認識されない。

この結果イ号標章は「Abita」部が要部として受けとめられるため、「アビタ」の称呼だけによっても特定されることになる。イ号標章の印象は、甲第32号証において顕著に表れている。

3 イ号標章の使用事実

請求人は、商品「家具」についてのイ号標章の使用事実として、甲第33〜38、40、42〜71、73、75、77、79号証を提出する。

これらに目を止める多くの需要者は、イ号標章をみて何の抵抗感もなく「アビタ」単体の称呼に到達することになり、イ号標章を「Abita」として認識し「アビタ」と称呼することになり、また、イ号標章の構成態様を正確に把握している需要者がいたとしても、「Abita」部が標章の要部であることの認識を強固にしていくのである。

而して、被請求人は、イ号標章に関連して現実の使用とはかけ離れたところでデザインを構築し、一連不可分にしたことによって、本件商標との類似認定を免れ第4514791号商標として登録を受けた(甲第3、4号証)

そして、甲第126号証の回答書では、この登録をイ号標章使用の法的根拠に捉えている。

しかし、実際は、前記したとおり「Abita」部と「salone」部を上下に分離するだけでなく、「salone」部を極端に矮小化することによって、「Abita」部を誇張したイ号標章を使用しているのである。

4 本件商標の使用

請求人は、本件商標を、昭和60年以降、大型スーパーマーケットのチェーン店舗名称及びチェーン店舗を中核に据えた大型商業施設の名称として盛大に使用している。「APiTA」店舗数は、甲第83号証によって明らかなように71である。「APiTA」店舗は、「アビタサローネ有明店」所在の東京都には無い、しかし、東京近郊の千葉県、埼玉県、茨城県及び山梨県には11店舗が営業している。そして、「アビタサローネ有明店」はこれらの近郊県の「APiTA」店舗の需要者も対象にして事業展開している。

請求人は、前記71の「APiTA」店舗の殆ど総てで「家具」を販売していて、「家具」に属する一部商品にチラシ広告を数え切れない程数多く行う等、商品「家具」に本件商標を使用してきた。

5 イ号標章が本件商標の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、「APiTA」の文字を横書きしてなるものであるから、「アピタ」の称呼が生ずる。そして、「APiTA」の綴りに該当する欧文字が見当たらないことからすれば、観念を生じない造語である。

而して、イ号標章中の「Abita」部の文字部分は、「salone」部に比して極めて大きく表されているので、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、標章の構成部分から特徴のある部分を適宜抽出し、その部分より生ずる称呼をもって取引に当たることが通例になっていることも考慮すると、イ号標章に接する需要者は、構成の中で、看者の注意を強くひき、その印象に残る「Abita」の文字部分を捉えるものと思われ、イ号標章からは「アビタ」の称呼が生ずる。

そこで、本件商標の称呼「アピタ」とイ号標章の称呼「アビタ」とを対比すると、両者は、3音中第1音、第3音において「ア」、「タ」を共通にし、第2音で「ピ」と「ビ」の相違を有するにすぎない。而して、当該相違音は、ともに母音(i)を共通にする両唇破裂音であり、異なるところは無声音と有声音の微差にすぎない近似音であるから、両称呼は、調音方法を同じくするので称呼類似であるといわざるを得ない。

したがって、本件商標とイ号標章とは、外観が相違し観念の対比ができないものであっても、称呼が類似し、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、類似のものというべきである。

そして、本件にかかる指定商品中第20類中「家具」と、イ号標章の使用商品「家具」とは同一又は類似の商品である。

6 まとめ

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章でありその使用商品と指定商品も類似する商品であるから、被請求人が商品「家具」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の範囲に属する。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、商品「家具」に使用する標章「Abita salone」は本件商標の商標権の範囲に属さない。との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。

1 イ号標章の使用状況

被請求人は、請求人が指摘するイ号標章の使用は、登録第4514791号商標(以下単に「登録商標」という。)についての禁止権の範囲内の使用であり、本件商標の商標権に抵触するものでない。

被請求人は、これまで30年以上にわたり照明器具専業メーカーとして世界中の高品質な照明器具を日本に直輸入してきた実績から、昨年2002年にインテリア全般(家具、カーテン、システムキッチン等)を専門的にトータルで取り扱う店舗として立ち上げたのが「アビタサローネ」である。

2 イ号標章についての要部の認識及び使用態様

請求人は、イ号標章のデザイン構成から意識的に「Abita」部を際立たせ「Abita」部を要部として使用しており、使用条件によっては「salone」部が不鮮明で判読困難となり、「アビタ」単体の称呼を生じるものであると種々述べている。

しかしながら、被請求人は、登録商標及びイ号標章は「アビタ」と「サローネ」との組み合わせからなる造語であり、「アビタ」部も「サローネ」部もどちらも付記的部分でない識別力を有するものといえ、結果的に二つの要部を有する結合商標と認識している。

イ号標章は、請求人が添付する数々の証拠資料からも明らかなように、あくまでもトレードマークとしてデザインを構成したものであり、マーク(図形商標)として使用しているものである。

3 本件商標とイ号標章の称呼、外観、観念の相違

イ号標章は「アビタサローネ」のトレードマークとして図形化して使用しているので、「アビタサローネ」の称呼を自然に生じるという範囲を保持し家具に使用しているものであるから、本件商標とは相紛れることなく非類似の関係にあり、称呼において本件商標と一部類似する点があったとしても、結合商標としての称呼、外観、観念が著しく異なるものである。

本件商標「APITA」は同じ大きさの文字で、フォントも独自(「Abitasalone」は明朝体)のものを使用し、また実際の運用上の形態は、「APITA」のロゴの左側は黄色と灰色の三角形が二つ付与されて使用されている。

これに対し、イ号標章は、「Abita」の「A」の文字が大きく表示され、後は小文字。「salone」は「Abita」と比すると小さく表示されているが「salone」は十分に読める程度の大きさである。右下部には○が付され、全体としてイタリアンカラー(赤白緑)が配色されている。

以上より、両者はその構成を異にし、一見して外観において区別し得る著しい差を有するものであり、外観上互いに明瞭に区別し得る。

また、本件商標とイ号標章は、特定の意味合いを有しない一種の造語とみられる。

したがって、本件商標とイ号標章は称呼、外観、観念のいずれにおいても著しく異なり、取引の実情を考慮すると出所を誤認混同するおそれは認められない。

4 需要者の相違

請求人が所有する本件商標は、名古屋を中心とする中部地方において、大型商業施設の標章として広く知られているようではあるが、ここで示された標章「アピタ」は家具、インテリアについて専門的に使用されるものというよりは、食料品や衣料、電化製品などを取り揃えた大型スーパーマーケットと飲食店も含む専門店街を併設した大型商業施設として需要者に認識されているものというべきである。

これに対し、被請求人が使用する標章「アビタサローネ」はインテリア全般を専門的に取り扱う店舗を「アビタサローネ」と称してオープンさせたものであり、請求人のような大型商業施設ないしスーパーマーケットが扱う一般大衆を中心とした顧客とは需要者層、購買動機、購買意識なども当然に異なっており、被請求人がこのような販売形態を継続する限りは、需要者間での混同することはあり得ない。

5 まとめ

請求人が主張する、「アビタサローネ」の省略表記は、長い商標を短く表記して使用するという商取引上の慣行にしたがって使用するにすぎず、イ号標章は「アビタサローネ」のトレードマークとして図形化し使用しているもので、「アビタサローネ」の称呼を自然に生じるものである。

したがって、イ号標章は、本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相違するものであって、相紛れるおそれがなく、非類似の関係にあり、称呼において本件商標と一部類似する点があったとしても、両者とも特徴のある構成よりなるものであるから、特に外観の全体観察において著しい差異があるものというべきもので、看者に与える印象はかなり相違し、両者を時と処を異にして離隔的に観察するも、相紛れるおそれのないものというべきである。

第5 当審の判断

本件商標は、別掲(1)のとおりやや図案化されているが、「APiTA」の欧文字を書したものであるところ、その構成文字に相応して「アピタ」の称呼を生ずる造語よりなるものと認められる。

これに対し、イ号標章は、別掲(2)のとおり「A」の文字を大きく表し、その右に該「A」の文字の三分の一ほどの大きさをもって「bita」の文字を表し、この文字の下に更に小さく「salone」の文字を表して、構成内に円を有する色彩を伴う全体構成よりなるものであるところ、その文字全体は特定の観念を有するとはいえないものであって、しかも、前記した構成からなるもので、「salone」の文字に比較して「Abita」の文字が顕著に大きく表されており、イ号標章は、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は、この「Abita」の文字部分に着目して、これより生ずる「アビタ」の称呼をもって取引に当たることも決して少なくないものとみるのが相当である。

そうすると、イ号標章は、その構成文字部分に相応して、「アビタサローネ」の一連の称呼を生ずるほか、「Abita」の文字部分に相応して、「アビタ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

そこで、本件商標より生ずる「アピタ」と、イ号標章より生ずる「アビタ」の称呼を比較するに、両称呼は第2音において「ピ」と「ビ」の差異を有するが、これも、母音を共通にする半濁音と濁音との相違にすぎないから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標とイ号標章とは、外観及び観念について考慮するとしても、称呼において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品は、イ号標章が使用する商品と同一又は類似する商品と認められ、称呼上互いに紛れるおそれのあるものである。

したがって、イ号標章は、本件商標に類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品中に含まれる商品「家具」についての使用と認め得るものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。