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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2003−60059(T2003−60059/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「照明用器具」に使用する(イ)号標章は、登録第4088460号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4088460号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成3年4月16日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、同9年12月5日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章

被請求人が商品「照明用器具」に使用するイ号標章は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、被請求人が商品「照明用器具」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者であるが、被請求人は、別件の審判事件の答弁書において、甲第34号証におけるイ号標章の使用は、商取引慣習に従ってなされているなどと主張しており、本件商標の商標権の効力について判定を求めるものである。

2 イ号標章の説明

被請求人は、イ号標章を平成13年4月頃より配布した甲第34号証のカタログ「ABITA/EXCEL」に使用をしている。

イ号標章は、「ABITA」と「EXCEL」の文字を二段併記に書してなるが、「EXCEL」の文字ポイントは「ABITA」に比べてかなり小さく、文字高約1/3,文字幅の約1/2の中央揃えであり、イ号標章の「ABITA」部は、「EXCEL」部を極端に矮小化することによって際立たせ、外観構成から受ける上下(左右)文字の印象に濃淡が映ずるように配分されている。言い換えれば、「ABITA」部が主に「EXCEL」部が従に位付けされた結果、両文字には視覚上の軽重の差が顕著になっているから、要部は大きく書されている「ABITA」にある。

3 イ号標章の使用事実

被請求人は、「ABiTA(ABITA)」を主格に捉える等「ABiTA(ABITA)」を中心にした表現を多用している(甲第34、44、45、46の1、47の1、48の1、49の1、50の1号証)。

被請求人は「ABiTA」を商品「照明用器具」の識別標識として頻繁に使用しているから、これに接する需要者は、小さく書されたイ号標章の「EXCEL」部を事業標「ABITA」の装飾付記部分であると認識する。

4 本件商標の使用

請求人は、本件商標を、昭和60年以降、大型スーパーマーケットのチェーン店舗名称及びチェーン店舗を中核に据えた大型商業施設の名称として盛大に使用している。「APiTA」店舗数は、71店舗に及ぶ(甲第51号証)。

請求人は、前記71の「APiTA」店舗の殆ど総てで「電球類及び照明用器具」を販売していて、「電球類及び照明用器具」に属する一部商品のチラシ広告を行う等商品「電球類及び照明用器具」に本件商標を使用してきた。

そして、本件商標の登録日は平成9年12月5日であるが、それ以前の商品「電球類及び照明用器具」についての商標使用根拠は、本件商標の旧連合商標の登録第1807914号商標「アピタ/apita」であった。

5 イ号標章が本件商標の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、「APiTA」の文字を横書きしてなるものであるから、「アピタ」の称呼が生ずる。そして、「APiTA」の綴りに該当する欧文字が見当たらないことからすれば、観念を生じない造語である。

而して、イ号標章中の「ABITA」と「EXCEL」は一応纏まりをもって配置されているといえるかも知れない。しかし、「ABITA」の文字は「EXCEL」に比して極めて大きく表されているので、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、標章の構成部分から特徴のある部分を適宜抽出し、その部分より生ずる称呼をもって取引に当たることが通例になっていることも考慮すると、イ号標章に接する需要者は、構成の中で、看者の注意を強くひき、その印象に残る「ABITA」の文字部分を捉えるものと思われ、イ号標章からは「アビタ」の称呼が生ずる。

そこで、本件商標の称呼「アピタ」とイ号標章の称呼「アビタ」とを対比すると、両者は、3音中第1音、第3音において「ア」、「タ」を共通にし、第2音で「ピ」と「ビ」の相違を有するにすぎない。而して、当該相違音は、ともに母音(i)を共通にする両唇破裂音であり、異なるところは無声音と有声音の微差にすぎない近似音であるから、両称呼は、調音方法を同じくするので称呼類似であるといわざるを得ない。

したがって、本件商標とイ号標章とは、外観が相違し観念の対比ができないものであっても、称呼が類似し、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、類似のものというべきである。

そして、本件にかかる指定商品中第11類中「電球類及び照明器具」と、イ号標章の使用商品「照明用器具」とは同一又は類似の商品である。

6 まとめ

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章でありその使用商品と指定商品も類似する商品であるから、被請求人が商品「照明用器具」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の範囲に属する。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、商品「照明用器具」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の範囲に属さない。との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。

1 イ号標章の使用状況

被請求人は、請求人が指摘するイ号標章の使用は、登録第4316984号商標及び登録第4045885号商標(以下単に「登録商標」という。)についての禁止権の範囲内の使用であり、本件商標の商標権に抵触するものでない。

被請求人は、これまで30年以上にわたり照明器具専業メーカーとしてオリジナルデザインのものはもちろんのこと、世界中の高品質な照明器具を日本に直輸入し取り扱ってきた企業である。数々の照明器具を取り扱う中でも、とりわけ高品質で高級なデザイン性の高いものを取り揃え、一般家庭を対象というよりは、高級ホテルやレストランなどの店舗向けの商品を扱うブランド名として使用してきたのが、標章「ABITAEXCEL(アビタエクセル)」である。

2 イ号標章についての要部の認識及び使用態様

請求人は、イ号標章は、「ABITA」と「EXCEL」の文字を二段併記に書してなるところ、「EXCEL」の文字のポイントは「ABITA」に比べてかなり小さく「EXCEL」部を極端に矮小化することによって、標章の要部は、大きく書されている「ABITA」部にあるとし、使用条件によっては「EXCEL」部が不鮮明で判読困難となり、「アビタ」単体の称呼を生じるものであると種々述べている。

しかしながら、被請求人は、登録商標及びイ号標章は「アビタエクセル」という称呼が生じる標章であり「アビタ」部も「エクセル」部もどちらも付記的部分でない識別力を有するものといえ、結果的に二つの要部を有する結合商標と認識している。

イ号標章は、あくまでも「ABITAEXCEL(アビタエクセル)」として使用しているのであって、請求人が添付する数々の証拠資料を勘案してみても、一般常識から判断すれば「ABiTA(アビタ)」部のみを強調しようという特別の意図、意志は感じられないはずである。

3 本件商標とイ号標章の称呼、外観、観念の相違

イ号標章は「アビタエクセル」の称呼を自然に生ずるという範囲を保持し、照明用器具に使用しているものであるから、本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相違するものであって、相紛れることなく非類似の関係にあり、称呼において本件商標と一部類似する点があったとしても、外観、観念が著しく異なるものである。

本件商標「APITA」は同じ大きさの文字で、フォントも独自のものを使用し、また実際の運用上の形態は、「APITA」のロゴの左側は黄色と灰色の三角形が二つ付与されて使用されている。

これに対し、イ号標章は、上段に「ABITA」、下段に「EXCEL」の二段横書きに配され、下段の「EXCEL」部は上段「ABITA」部と比すると2分の1〜3分の1程度のフォントで表示されるが、十分読める程度の大きさである。カタログでの一態様であるため、バックは濃淡のある藍色で白抜きの文字。

以上より、両者はその構成を全く異にするもので、一見して外観において区別し得る著しい差を有するものであり、外観上互いに明瞭に区別し得る。

また、本件商標とイ号標章は、特定の意味合いを有しない一種の造語とみられる。

したがって、本件商標とイ号標章は外観、観念のいずれにおいても著しく異なり、取引の実情を考慮すると、出所を誤認混同するものとは到底考えられない。

4 販売形態について

請求人が所有する本件商標は、名古屋を中心とする中部地方において、大型商業施設の標章として広く知られているようではあるが、ここで示された標章「アピタ」は照明用器具について専門的に使用されるものというよりは、食料品や衣料、電化製品などを取り揃えた大型スーパーマーケットと飲食店も含む専門店街を併設した大型商業施設として需要者に認識されているものというべきである。

これに対し、被請求人が使用する標章「ABITA EXCEL」は照明器具の専門メーカーである被請求人が、取り扱うさまざまな照明器具の中でも、とりわけデザイン性が高く、値段も高額なもので構成するブランド名である。

よって、大型商業施設の名称である「APITA(アピタ)」と高級照明器具のブランド名である「ABiTAEXCEL(アビタエクセル)」とを需要者が混同するという根拠にはなり得ない。

5 まとめ

請求人が主張する、「ABiTAEXCEL(アビタエクセル)」の省略表記は、長い商標を短く表記して使用するという商取引上の慣行にしたがって使用するにすぎず、イ号標章は「アビタエクセル」の称呼を自然に生じるものである。

したがって、イ号標章は、本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相違するものであって、相紛れるおそれがなく、非類似の関係にあり、称呼において本件商標と一部類似する点があったとしても、両者とも特徴のある構成よりなるものであるから、特に外観の全体観察において著しい差異があるものというべきもので、看者に与える印象はかなり相違し、両者を時と処を異にして離隔的に観察するも、相紛れるおそれのないものというべきである。

第5 当審の判断

本件商標は、別掲(1)のとおりやや図案化されているが、「APiTA」の欧文字を書したものであるところ、その構成文字に相応して「アピタ」の称呼を生ずる造語よりなるものと認められる。

これに対し、イ号標章は、「ABiTA」の文字と「EXCEL」の文字を上下二段に書してなるところ、その文字全体は特定の観念を有するとはいえないものであって、しかも、上段の「ABiTA」の文字は下段の「EXCEL」の文字に比較して大きく表されているものであり、また上下の文字を一体のものとして把握しなければならないような意味上のつながりがあるものとも判断し得ないから、イ号標章は、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は上段の「ABiTA」の文字部分に着目して、これより生ずる「アビタ」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。

そうすると、イ号標章は、その構成文字に相応して、「アビタエクセル」の一連の称呼を生ずるほか、「ABiTA」の文字部分に相応して、「アビタ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

そこで、本件商標より生ずる「アピタ」と、イ号標章より生ずる「アビタ」の称呼を比較するに、両称呼は第2音において「ピ」と「ビ」の差異を有するが、これも、母音を共通にする半濁音と濁音の相違にすぎないから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標とイ号標章とは、外観及び観念について考慮するとしても、称呼において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品は、イ号標章が使用する商品と同一又は類似する商品と認められ、称呼上互いに紛れるおそれのあるものである。

したがって、イ号標章は、本件商標に類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品中に含まれる商品「照明用器具」についての使用と認め得るものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

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