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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35433(T2002−35433/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4093358号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4093358号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成5年3月17日に登録出願、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として、同9年12月19日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由、商標法第4条第1項第15号の該当性についてを概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第156号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)請求人が引用する登録第655209号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和36年10月23日に登録出願、第26類「印刷物、ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品として、同39年10月9日に設定登録されたものである。同じく、登録第967284号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、昭和43年12月20日に登録出願、第26類「雑誌、その他本類に属する商品」を指定商品として、同47年6月7日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、第6類「金属製彫刻」、第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」、第19類「石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻」及び第20類「額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」とする書換登録が平成14年11月27日になされている。同じく、登録第4547685号商標(以下「引用商標C」という。)は、「ボーグ」の文字を標準文字により書してなり、平成11年1月8日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同14年3月1日に設定登録されたものである(以下これらをまとめていう場合は単に「引用商標」という。)。

(2)引用商標Aは、請求人の所有に係るファッション雑誌のタイトルとして、日本を含め世界的に著名となっている商標である(甲第2号証の1及び2参照)。

又、引用商標Bは、引用商標Aのカタカナ表記の「ヴォーグ」であって、我が国においては第二次大戦以前より現在に至るまで、前記世界的著名商標(引用商標A)のカタカナ表記として使用されている(甲第3号証の1及び2参照)。

更に、引用商標Cは、我が国文部省の「国語審議会」による指導に基づき、引用商標Aのカタカナ表記として、我が国の新聞社をはじめ、辞典、雑誌等の出版業界で「ボーグ」として使用され、本件商標の出願日以前から周知著名性を獲得し、現在に至っているものである(甲第4号証の1及び2)。

この、引用商標A及びBからは「ヴォーグ」の称呼の他に「ボーグ」の称呼も生じる。

引用商標Aの称呼に関し、『日本語の感覚からすれば「ボーグ」と「ヴォーグ」の称呼の区別はつけにくいところである』点は、東京高裁によるVOGUE関連判決における認定でも明らかである。現に、我が国における「VOGUE」誌の説明においても「ボーグ」と表記している例も多く見られている。

しかも、「登録商標の著名度が高い場合には、その著名度の高い部分に世人の注意が集中し当該著名登録商標の称呼、観念が生じる」ことも裁判所においても明確に認定されているところである。

(3)これに対し、本件商標は二段構成からなり、上段に小さく「バーチャル」を、下段に大きく「VRボーグ」を配したものからなり、「バーチャル」の称呼の他に、「ブイアールボーグ」又は「ブイアール」と「ボーグ」とを分離した称呼も生ずる。

加えて、上段の「バーチャル」は、英語の「virtual」(虚像の、仮想の、等の意味)を観念させるものであるから、本件商標は「仮想のボーグ」という意味のない「造語」となるものである。したがって、「バーチャル(VR)ボーグ」と「ボーグ」とは、引用商標A、B及びCの著名性から判断すれば、その要部が「ボーグ」の点にあることは明白である。このため、標章として両者は「ボーグ」と「ボーグ」の点で外観、称呼、観念において同一である。

しかも、本件商標の指定商品は、「おもちゃ、人形」を含むものであって、本件商標の出願日以前から、いずれもファッション関連商品になっているものである。

したがって、本件商標は、その出願時及び査定時において、引用商標A、B、Cの外観、称呼、観念と「ボーグ」の点で共通であり、かつ、指定商品「おもちゃ、人形」がファッション関連の商品となっているものである以上、本件商標は明らかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。

(1)請求人は、本件審判請求書において、「本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。」旨主張するが、請求人が本件商標の無効審判を請求するにつき、訴えの利益を有する者であるとの主張も立証もなく理由も見出せない。したがって、請求人は、本件商標登録無効審判の利害関係人と認められない。

(2)無効審判の請求は利害関係人でなければすることができないことは、昭和45年2月25日の東京高裁判決(乙第1号証)において、「無効の審判の請求は利害関係人でなければすることができないとした審決の前提に、原告主張の誤りはなく、原告が右審判の請求をするについて格別の利害関係を有しないことは本訴弁論の全趣旨により明らかであるから、原告の審判請求を不適法として却下した審決には違法はなく、その取消を求める原告の請求は失当である」としたことからも明らかである。

(3)本審判請求人が、本件商標の無効審判を請求する利益を有しないこと、また無効審判には「利益なければ訴権なし」という争訟の原則による制約が存在することは前記したとおりであるから、本審判請求は前記判例に照らし不適法なものとして却下されるべきである。

第4 当審の判断

1 利害関係について

被請求人は、「請求人が本件商標の無効審判を請求するにつき、訴えの利益を有する者であるとの主張も立証もなく理由も見出せない。したがって、請求人は、本件商標登録無効審判の利害関係人と認められない。」旨主張するので、この点について検討する。

ある商標の登録の存在によって直接不利益を被る関係にある者は、それだけで利害関係人として当該商標の登録を無効にする審判を請求をすることにつき、利害関係を有する者に該当すると解される。

本件においては、請求人は、本件商標の登録が存在することにより、自己の取扱に係る商品と本件商標を使用した商品との間に、商品の出所について混同を生ずるおそれがあると主張しているのであるから、本件商標の登録を無効にし、これを排除せんとすることは、商標権の本質に照らして当然の権利というべきものである。

したがって、請求人は、本件商標の存在によって、直接不利益を受ける者であるから、本件審判の請求をするにつき、利害関係を有するというべきである。

2 引用商標の著名性について

昭和42年10月6日発行の「朝日新聞」(甲第13号証の1,2)には、「京都の金閣寺で取材する『ボーグ』の一行」と写真とともに紹介する記事が掲載され、「世界的なハイファッション誌、フランスの『ボーグ』がこの12月号に【パリモードを魅惑の日本で・・・】と記載されている。昭和42年10月21号の「週刊新潮」(甲第53号証)には「『ボーグ』に撮られた日本の風景」のタイトルの下、「『ボーグ』とは、いうまでもなく、ファッションの中心、パリで発行されて、世界の流行を左右するといわれる服飾雑誌の権威。」と記載されている。昭和45年8月25日初版発行、平凡社「アポロ百科事典」(甲第54号証)には、「ボーグ Vogue」の項に、「フランスの服飾雑誌。フランス版(1892創刊,年10回パリ発行)のほか、アメリカ版(1915創刊,年20回ボストン発行)、イギリス版(1916創刊,年12回ロンドン発行)があり、それぞれの国の特色を生かして出版されている。」と記載されている。昭和55年1月1日発行の「現代用語の基礎知識」(甲第61号証)には、「ボーグ(vogue)」の項に、「流行。服飾雑誌の名」と記載されている。そして、我が国には、昭和24年10月3日発行の「朝日新聞」(甲第70号証の1,2)に、「『ヴォーグ』入荷 世界的スタイル雑誌『ヴォーグ』が10年ぶりに1日入荷した」と記載されている。また、「VOGUE」誌は平成13年の「NIPPON」版(甲第65号証)によれば、アメリカ版をはじめ、イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・スペイン・ポルトガル・オーストラリア・日本・韓国・台湾・ブラジル・南アフリカ・ロシア・ギリシャの各国版が発行されている。

服飾関係の事典類の記載に関しては、昭和43年5月20日「服飾事典」婦人画報社発行 田中千代編(甲第84号証)には、「『ヴォーグ【Vogue:フランス、アメリカ、イギリス】』の項に、「一般的に最も名の知られた流行雑誌」と記載され、昭和54年7月5日増補第10刷発行 田中千代 「服飾事典」同文書院発行(甲第85号証)の「『ヴォーグ【Vogue】』の項に、『ヴォーグ』は、世界でもっとも名高いファッション・ブックの名前でもある。」「一般に最もなの知れた流行雑誌」と記載されている。昭和54年3月5日文化出版局発行の「服飾辞典」(甲第86号証)には、「ヴォーグ【Vogue】の項に『ヴォーグ』といえばファッション誌の代名詞になっている。」と記載され、他に「Vogue Homme」、「Vogue Bambini」の紹介と各誌の表紙写真も掲載されている。

以上の事実に請求の理由を総合すれば、「VOGUE」誌は、1892年アメリカで創刊され、1909年からは、ザ・コンド・ナスト・パブリケーションズ・インコーポレーテッド社により、ファッション雑誌として発行されるようになり(同社が請求人に吸収合併された1988年以降も同社名義で継続して発行されている)、アメリカ、フランス、イギリス等で出版され、世界各国で発売されており、古典的かつ世界的な権威を持ったファッション雑誌として、世界的に広く知られていることを認めることができる。

そしてまた、日本国内においても、「VOGUE」「ヴォーグ」「ボーグ」は、本件商標の出願時である平成6年3月当時はもちろん、その登録時である平成9年12月においても、請求人の発行しているファッション雑誌の題号として、服飾関係の書籍類の取引者、需要者ばかりでなく、ファッションに関連する商品の取引者、需要者間においても広く知られていたものであることを認めることができる。

3 混同を生ずるおそれについて

本件商標は、別掲のとおり、「バーチャル」の文字を上段に表わし、その文字の下に「VR」の文字及びこれに「ボーグ」の文字を表したものである(「バーチャル」の文字は「VRボーグ」の文字に比し小さく書されている)。

しかして、本件商標中、下段に大きく表されている「VRボーグ」の文字は、「VR」の文字が欧文字で表され「ボーグ」が片仮名で表された構成からみて「VR」と「ボーグ」の文字を結合してなるものと容易に理解されるものである。そして、本件商標全体からは、直ちに特定の意味合いを認識し得るものとは認められないのに対して、「ボ一グ」の文字は、上記のとおり、ファッション雑誌の題号として、服飾関係の書籍類の取引者、需要者ばかりでなくファッションに関連する商品の取引者、需要者間にも広く知られているものである。

そうとすれば、本件商標は、全体として、特定の意味合いを有するものとは認め難いばかりでなく、構成文字全体をもって常に一体的にのみ認識しなければならない格別の事情があるものとも認められないものであって、「ボーグ」の文字の出所表示力は、「バーチャル」及び「VR」の文字部分に較べて遙かに強いものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、その構成中に、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「ボーグ」の文字を含むものであるから、たとえ、本件商標の指定商品が前記第1のとおりであり、引用商標の指定商品が前記第2のとおりであるとしても、取引者、需要者を共通にすることがあり、かつ、引用商標の著名性に鑑みれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「ボーグ」の文字に注意が惹かれ、請求人の著名商標「VOGUE」「ヴォーグ」「ボーグ」を連想、想起し、該商品が請求人又は請求人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

4 結び

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録がなされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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