Trademark Appeal Case
クラスタモニタの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−17034(T2001−17034/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「クラスタモニタ」の文字を横書きしてなり、第9類の願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年9月4日に登録出願、その後、当審において、平成13年9月25日付けをもって手続補正書の提出があり、その指定商品が第9類「コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体,コンピュータネットワークを通じて提供されるダウンロード可能なコンピュータプログラム」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『クラスタモニタ』の文字を書してなるものであり、その構成中の『クラスタ』は『1台の制御装置に複数個の端末などを接続した群構成』といった意味(『2000−’01年版最新パソコン用語辞典』の378頁 株式会社技術評論社 平成12年11月25日第11版第6刷発行)の『cluster』を表音で表わし、『モニタ』は『監視装置』といった意味に通ずる英語の『monitor』を表音で表わすものであって、これら両語を結合してなる全体としての意味するところを指定商品との関係からみると、これより『1台の制御装置に複数個の端末などを接続したこれらを監視する装置』といった意味合いを表わすものとみるのが自然であり、これをその商品に使用しても、取引者・需要者は、単に商品の品質(内容)を表示するにすぎないものと理解・認識するにとどまり、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、「クラスタモニタ」の文字よりなるところ、「英和コンピュータ用語大辞典 第2版」(発行 日外アソシエーツ株式会社)によると、その構成中の前半部の「クラスタ」の文字は、「同じ属性をもつ対象を複数個集めて一つの対象としたもの」という意味で様々な分野で使用されており、本願の指定商品を取り扱う業界においては、例えば、「コンピュータのハードウェアにおいては、1台の制御装置に接続され制御される磁気テープや表示装置、キーボード端末などの集まり。通常、ホストシステムとは単一のinterfaceをもつ。サブシステム(subsystem)とほぼ同義に使用される。」ものをいう「cluster」の語を表すものとして親しまれているものである。同じく、後半部の「モニタ」の文字は、「監視」を意味し、「システムを監視するためのハードウェアやソフトウェア」を指称する「monitor」の語を表すものとして親しまれているものである。
(2)本願の指定商品を取り扱う業界においては、複数のコンピュータを連動させて、一つのシステムとして運用する所謂クラスタリングが進められており、かかる運用には、複数のコンピューター機器を総合管理するソフトウェアが必要となるところ、そのようなソフトウェアの一種として、各システム(クラスタ)の監視(モニタ)用のソフトウェアの開発も盛んに行われているところである。
そして、このような実情があることは、次の(a)ないし(g)のような新聞記事の記載によっても十分に裏付けられるところである。
(a)2002年11月14日付け日刊工業新聞(6頁)には、「米オラクル、米HPと商用DB開発基盤で提携」の見出しの下に「オラクルは、最新の商用DB『オラクル9iデータベースリリース2』を、HP製UNIX用OS『HP―UX』とアイテニアム2に対応させていく。同時に、共同顧客サービスとして、遠隔サポートツールを開発。両社が協力して、コンフィグレーションやデータのモニタリングレベルまで実施する。また近年重要性が増しているクラスタリング技術については、HPが主導して『オラクル9iリアル・アプリケーション・クラスター』を迅速にインストール、サポートする標準プログラム『HPベリファイド』を発表した。」と記載されている。
(b)2000年4月20日付け日本工業新聞(4頁)には、「米サン Linux向け専用Java製品を投入 ソラリスとの互換も実現へ」の見出しの下に「具体的には、今秋投入するクラスター(並列接続)ソフトに続き、無線環境向けのJavaやインターネット記述言語XML関連技術、システム間連携のEAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)ソフトなどを製品化する。さらに中期的には、無停止技術や高度な障害モニタリング技術などを組み合わせ、一切システム停止のない継続運用技術を提供するという。」と記載されている。
(c)1998年12月23日付け日刊工業新聞(5頁)には、「日本HP、UNIX関連ソフト4種の最新版を発売」の見出しの下に「日本ヒューレット・パッカード(日本HP、東京都杉並区〜、〜社長、〜)は、UNIXを中心とするオープンシステムの可用性を高めるためのソフト製品四種の最新版を発売した。UNIXサーバのクラスターを実現する『MCサービスガード』が最大十六台構成に対応するなど、機能を強化。価格は『MCサービスガード』が六十八万五千円から、ハードウエア監視用の『イベント・モニタリング・サービスHAモニタ』が二十六万四千円、システム資源配分用の『プロセス・リソース・マネジャー』が四十万四千円から、クラスター監視用の『クラスタ・ビュー・プラス』が四十五万七千円。」と記載されている。
(d)1997年11月13日付け日刊工業新聞(10頁)には、「沖電気工業、UNIX上で大規模・高信頼システムを構築。ソフトとサービス提供」の見出しの下に「沖電気工業はUNIXシステム上で大規模かつ信頼性の高いオンライントランザクション処理(OLTP)を実現するためのソリューション『OLTPクラスタ』を発売した。クラスタソフトの『MC/サービスガード』と、TPモニター『BEAタキシード』を組み合わせて利用するもの。負荷分散や並列処理によって耐障害性を高め、機関業務への適用を可能にする。実際には必要なソフトとコンサルティングサービスを組み合わせる形で、十二月に発売する。」と記載されている。
(e)1997年6月4日付け日刊工業新聞(8頁)には、「日本タンデム、ソフト事業に参入。NT環境でクラスタ対応」の見出しの下に「日本タンデムコンピューターズ(東京都品川区〜、〜社長、〜)は三日、ウィンドウズNTのOS環境下で企業の基幹業務を実現できるクラスタ(用語参照)対応のソフト『ノンストップソフトウエア』を発売、本格的にソフトウエア事業に参入すると発表した。同ソフトを使うことで、同社の超並列サーバ『ヒマラヤシリーズ』上で動く基幹アプリケーションがクラスタ環境のウィンドウズNTサーバで使えるようになる。またUNIXシステムと比べ数分の一のコストで同等な機能が実現できるとしている。発売するのは多次元データのマイニング機能をサポートしたデータベース管理システム『ノンストップSQL/MX』、トランザクション処理モニターの『同TUXEDO(タキシード)』など。同ソフトにより、システムに障害が発生してもノンストップで連続的に運用でき、大量のデータ処理でもクラスタ接続されたノード数に比例した高速処理が可能となる。NTからヒマラヤシリーズまでの幅広い規模のシステムニーズに対応した共通なアプリケーション環境が構築できる。・・・【用語】クラスタ接続=複数のコンピューターを房状に接続し、クライアント側からはあたかも一台の装置のように利用できるようにした接続方式。各種データは一台が故障しても他のハードが自動的にバックアップするため、信頼性・可用性が向上する。拡張性も高い。」と記載されている。
(f)1996年10月24日付け日本工業新聞(9頁)には、「日本サン CPU30個搭載も UNIXサーバーSMP対応型発売」の見出しの下に「拡張性に優れる最新UNIX機『ウルトラ・エンタープライズ』をクラスター化した製品シリーズで、並列処理型DB(データベース)向けの『PDBサーバ』、高可用性システム向けの『HAサーバ』の二タイプで構成。『PDBサーバ』は、『オラクル・パラレルサーバ』『サイベースMPP』『インフォミックス−オンラインXPS』の各DBソフトが利用可能で、大規模なデータウエアハウス(データの格納庫)の構築にも対応できる。また『HAサーバ』は、障害モニター管理用モジュールにより、障害を最小限にとどめ自動的に復旧させる機能などが強化されている。」と記載されている。
(g)1996年8月20日付け日刊工業新聞(8頁)には、「富士通、大型コンピューター技術をパソコンサーバに移植。企業の基幹系利用に対応」の見出しの下に「富士通(社長〜氏)は、大型コンピューター分野の自社開発技術をパソコン(PC)サーバに移植する。ウィンドウズNTを搭載したPCサーバの性能が向上し、企業の基幹系情報システムにまで採用される動きが出てきていることに対応するもの。まず、処理装置を複数接続するクラスタリング技術の移植を考えており、このほかネットワーク管理ソフト、各種ミドルウエア類でも検討を進めている。業界標準化の動向を見極めながら市場に投入していく。富士通ではPCサーバ事業の担当部署を『FMVシリーズ』を担当するパーソナルビジネス本部から大型機担当のコンピュータ事業本部に移管。メーンフレームやUNIXサーバで蓄積した技術の下方展開を進める。PCサーバの性能向上には、まず複数のCPU(中央演算処理装置)を接続して処理速度や信頼性を上げるクラスタリングが必要になると判断している。富士通社内で開発しているクラスタリング技術のほか、資本参加している米アムダール社のNT用クラスタリング、子会社の米ハル社の並列処理技術などを応用していく考え。ただ、NT上ではクラスタリング技術の標準化が進むと見られることから、マイクロソフトの『ウルフパック』、米タンデムコンピューターズの『サーバネット』といった他社のクラスタリング技術の標準化動向を見極めた上で市場投入していくという。システム管理ソフトの分野では、すでに自社のPCサーバにサーバ本体を監視する『SMM(サーバ・モニター・モジュール)』を搭載している。さらに自社開発の『MPウオーカ』などを応用し、NT上で多数のコンピューターを接続したネットワークシステム全体の監視やソフト更新などを集中管理するツールを用意していく。また、メーンフレームやUNIXサーバで利用している自社開発の各種ミドルウエアについても順次、NTへの移植を進めていく。PCサーバは、ペンティアムの高速化やペンティアム・プロの登場、マルチプロセッシングの一般化などにより急速な性能向上が続き、基幹系情報システムまでカバーするのは時間の問題と見られている。UNIXサーバやメーンフレームがメーカーごとに異なるOS(基本ソフト)を利用しているのに対し、PCサーバではウィンドウズNTが主流になることから、クラスタリング技術などをめぐる標準化の動向に注目が集まっている。」と記載されている。
(3)上記(2)のような状況を踏まえると、上記(1)のような構成よりなる本願商標は、取引者、需要者をして、「クラスタ」の語と「モニタ」の語によつて構成されているものと容易に理解し得るものであり、全体としても「クラスタをモニタするハードウェアやソフトウェア」、すなわち、「1台の制御装置に接続され制御される各システム機器(クラスタ)を監視(モニタ)するハードウェアやソフトウェア」程度の意味合いを認識し得るものといえる。
そして、このことは、次の(h)ないし(m)のようなインターネットのホームページの記載からも窺うことができる。
(h)「wysiwyg://321/http://www−jp.netapp.cpm/tech_library/glossary/c.html」のインターネットのホームページには、「NetAppライブラリ 用語集」の見出しの下に「cluster monitor」について「クラスタ・モニタ クラスタ内のファイラーの関係を管理するソフトウェア」と記載されている。
(i)「http://www.archi.is.tohoku.ac.jp/〜ooba/ja7ude/dxkeeperturbo.htm」のインターネットのホームページには、「DXKeeperTurbo」の見出しの下、「DXLab」の項に「みなさんは、DXクラスタをモニタするときにどんなプログラムを使っていますでしょうか。わたしは、AA6YQ Daveさん作のDXLabの中のSpotCollectorというツールを使っています。すでにお使いの方もいらっしゃるかもしれませんが、このDXLabというプログラムは、複数のツールからなるアマチュア無線用統合ソフトウェアで、非常に多彩な機能を持っています。・・・さて、DXLabは複数のプログラムから構成されており、それらを簡単に紹介いたしますと、『Commander リグのコントロール。』『DXKeeper ログプログラム。』・・・『SpotCollector クラスタモニタ。』・・・」と、また、「DXKeeperTurboの機能」の項に「SpotCollectorでクラスタをモニタしているときに、ターゲット局のコールサインをダブルクリックすると、そのコールサイン、周波数、モードがTurboHAMLOGの入力ウインドウへセットされます。」と記載されている。
(j)「http://www1.jpn.hp.com/products/servers/proliant/benchmark/d1760benchmark−20011011.pdf」のインターネットのホームページには、「COMPAQ PerformanceBrief」の見出しの下、「世界をリードするProLiant DL760クラスタの特徴」の項に「管理 コンパックが提供する簡明なクラスタ管理ソリューション」として「コンパックは、ProLiant8−Wayの製品戦略を補完する目的でWebベースの先進的なクラスタ管理ツールを提供するため、顧客は、複雑なサーバークラスタをいつでも、どこでも、効果的に管理することができます。コンパックのインテリジェントなクラスタアドミニストレータと、Compaq InsightマネージャXEのクラスタモニタによって、クラスタの計画、導入、運用が簡便に進められるため、顧客はリスクを軽減し、複雑な作業から解放され、より高い柔軟性と可用性が得られます。」と記載されている。
(k)「http://www.novell.co.jp/pdf/nwcs/nwcs_wp.pdf」のインターネットのホームページには、「Novell NetWare Cluster Services for NetWare 5」の見出しの下、「■NetWare Cluster Services NLMs」の項に「インストールプロセスでは、クラスタ内の各ネットワークサーバに次のようなNetWare Cluster Services NLMsがインストールされます。『・CLSTRLIB. Cluster Configuration Library』・・・『・NCPIP. 最新のNCPプロトコルエンジン』、『・CMON. Cluster Monitor Utility(クラスタ監視ユーティリティ)』」及び「Cluster Monitor(CMON、クラスタモニタ)は、クラスタ内の各ノードで実行されるコンソールユーティリティで、ネットワーク管理者はクラスタ内のノードの状態を表示することができます。」と記載されている。
(l)「wysieyg://267/http://docs.hp.com/ja/B7612−90016/」のインターネットのホームページには、「Event Monitoring Service ユーザーズ・ガイド」の見出しの下、「6.1.クラスター・モニター・リファレンス」の項に「HAクラスター・モニターは、HP OpenView ClusterViewを実行していない環境で利用すると便利です。HAクラスター・モニターは、ローカル・ノードが所属しているクラスターのステータス情報をレポートします。」のほか、「表6.1.HAクラスター・モニターの名前と監視対象リソース」と題した表や、「クラスター・モニターで検出された問題を解決する方法については、『MC/ServiceGuardの管理(HP Part No.B3936−90027)』を参照してください。」などと記載されている。
(m)「http://tru64unix.compaq.co.jp/document/v51b/TCR/IG/CHPPGRDX.HTM」のインターネットのホームページには、「8 TruCluster Software バージョン1.5またはバージョン1.6からのアップグレード」の見出しの下、「8.3.1一般的な要件」の項に「綿密な計画を作成して、構成図を作成します。現在の環境の構成マップを作成するには、cluster_map_create−fullコマンドを実行します。マップの表示および印刷を行うには、クラスタ・モニタ(comon)を使用します。」と記載されている。
(4)以上のとおりであるから、本願商標は、たとえ、その指定商品が「コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体,コンピュータネットワークを通じて提供されるダウンロード可能なコンピュータプログラム」に補正され、所謂ソフトウェアのみになったとしても、上記(1)のとおり「モニタ」の語がシステムを監視するためのハードウェアばかりでなく、ソフトウェアをも指称するものであり、依然として本願の指定商品中に相応する商品が含まれ得るものであるから、これをその指定商品中、クラスタの監視や管理を行うためのソフトウェアに使用したときは、結局、「1台の制御装置に接続され制御される各システム機器(クラスタ)を監視(モニタ)するソフトウェア」の意味合いを理解し、その商品の品質を表示するものと認識するにとどまるものといえる。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、これを、その指定商品中、前記以外の商品に使用したときは、恰もクラスタの監視や管理を行うためのソフトウェアであるかの如く商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同第4条第1項第16号に該当するといえる。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。
なお、請求人(出願人)は、種々の商標の登録例を提示し、本願商標も登録すべき旨主張するが、それらの登録商標は本願商標とは構成を異にするものであり、事案を異にするものであるから、その主張を採用することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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