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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35459(T2002−35459/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4072019号の指定商品中「被服」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4072019号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年4月11日に登録出願され、「HIーPASS」の欧文字と「ハイパス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第25類「履物,運動用特殊靴,被服,運動用特殊衣服」を指定商品として、同9年10月24日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第1567550号商標(以下、「引用商標」という。)は、「PASS」の欧文字を横書きしてなり、昭和54年12月26日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同58年2月25日に設定登録されたものであり、その後、指定商品及び商品の区分は、平成15年3月5日に指定商品の書換登録により、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」となっており、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

(1)請求の利益について

請求人は、被服、寝具類等の商品群に引用商標を使用しており、これらの商品について本件商標が使用されると、取引者、需要者は請求人が製造し、 販売している被服,布製身回品,寝具類と誤認、混同するおそれが大であるばかりでなく、請求人が別途出願している、商願2001ー36019号の拒絶理由通知において、本件商標が引用されている。

したがって、請求人は、本件審判請求をするについて利害関係を有する。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標構成中の「HI」(及び「ハイ」)の文字は、英語Highの略語として広く認識され、各種商品について、一般に商品の品質が「高級であること」の意味を表す誇称として使用され、理解されている。また、本件商標が全体として特定の意味合いを表す一連の成語であるという事情もない。

以上より、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「HI」「ハイ」の文字部分はその商品が「高級であること」を表すものと容易に理解し、本件商標は「PASS」「パス」の高級品であると判断し、簡易迅速を尊ぶ商取引の場においては、それ自体自他商品の識別機能を果たす「PASS」「パス」の文字部分に相応して生ずる「パス」の称呼及び「通り過ぎる、合格する、通行証」の観念をもって取引にあたる場合も決して少なくないものというのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応して全体として「ハイパス」の称呼が生じるとともに、その構成中の「PASS」及び「パス」の部分に相応して「パス」の称呼をも生ずるものである。

一方、引用商標からは、その構成文字に相応して「パス」の称呼及び「通り過ぎる、合格する、通行証」の観念が生じる。

してみれば、本件商標は、外観の異同について言及するまでもなく、称呼及び観念において、引用商標に類似する商標であり、商品の出所について混同を生じるおそれがあるから、類似の商標というべきである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して

されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべき

である。

4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

本件商標は、「HIーPASS」及び「ハイパス」の英文字及び片仮名文字を二段に横書きした構成よりなるところ、これらの文字は、同じ書体、同じ大きさをもって等間隔に表現されていて、外観上不可分一体として構成されており、これより生ずる「ハイパス」の称呼も冗長にわたるとはいえず、無理なく一連に称呼し得るものである。

してみれば、本件商標は、併記した商標として取引者、需要者に理解され、「ハイパス」とのみ称呼されるものである。

他方、引用商標より生じる称呼は、「パス」及び「ピイエイエスエス」である。

そこで、本件商標から生ずる「ハイパス」の称呼と引用商標から生ずる「パス」及び「ピイエイエスエス」の称呼とを比較すると、両称呼の音構成は、著しい差異により、称呼上相紛れるおそれはないものである。

また、外観についてみるに、両商標の構成は、前記の通りであるから、互いに区別し得るものであり、観念については、本件商標は指定商品との関係において一種の造語よりなるものであるから、引用商標とは比較することが出来ないものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれの点においても類似せず、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当しないというべきである。

5 当審の判断

本件商標は、前記したとおり、「HIーPASS」の欧文字と「ハイパス」の片仮名文字とを二段に横書きした構成からなるところ、「HIーPASS」の文字部分は、ハイフンを介して構成されていることから、外観上、「HI」と「PASS」の文字とに分離して認識され得るものである。

そして、本件商標構成中前半の「HI(ハイ)」の語は、英語の「high」に通じ、その商品の「品質が高級であること」等を表す誇称表示として各種の商品にしばしば採択、使用されているものであり、後半の「PASS(パス)」の語は、「通り過ぎる、合格する、通行証」等を意味する成語として、一般によく知られているものである。

また、「HI(ハイ)」と「PASS(パス)」とを結合した「HIーPASS(ハイパス)」の語全体から自然な意味合いが生じて一連不可分に認識されるというような事情は、認められない。

以上を総合すると、本件商標に接する取引者、需要者は、構成中の「HI(ハイ)」の文字部分を商品の誇称表示と理解し、「PASS(パス)」の文字部分を自他商品の識別機能を果たす部分としてとらえ、取引にあたる場合も決して少なくないものと見るのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、その構成全体に相応した「ハイパス」の称呼を生ずるとともに、構成中の「PASS(パス)」の文字部分に相応した「パス」の称呼をも生じ、「通り過ぎる、合格する、通行証」の観念をも生ずるものといわなければならない。

他方、引用商標は、前記したとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「パス」の称呼を生じ、「通り過ぎる、合格する、通行証」の観念を生ずるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、「パス」の称呼、「通り過ぎる、合格する、通行証」の観念を共通にする類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の「被服」は、引用商標の指定商品中に明らかに含まれているものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「被服」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

しかしながら、指定商品中の「履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」については、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する関係にある商品とは認められないから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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