結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35287(T2002−35287/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4512359号商標(以下「本件商標」という。)は、「SURAMOX」の欧文字と「スラモックス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成12年10月24日に登録出願され、第5類「動物用薬剤,その他の薬剤」を指定商品として、平成13年10月5日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2141824号商標(以下「引用商標」という。)は、「SURMAX」の欧文字と「サーマックス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和61年7月29日に登録出願され、第1類「成育促進用の動物用薬剤、その他の薬剤」を指定商品として、平成元年5月30日に設定登録され、その後、同11年6月29日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出している。
a)本件商標は、上段に「SURAMOX」の欧文字を、下段に「スラモックス」の片仮名文字を二段に表してなる。
しかし、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼され、一個の商標から二個以上の称呼の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。
そして、今日の日本における外国語の普及度よりみると、下段「スラモックス」の片仮名文字は、上段「SURAMOX」の欧文字の構成から必ずしも自然に生じる称呼ではなく、かつ、本件商標は、全体を常に一体不可分のものと称呼しなければならないとすべき理由は見出せないから、上段に表されている「SURAMOX」の文字部分に相応する称呼も生じる。
ここで、「SURAMOX」の文字は、特定の観念・称呼をもって親しまれているとは認め得ないところである。したがって、これを英語風に称呼する場合にあって、前半の「SUR」の発音については、例えば、「SURF(打ち寄せる波)」「SURVEY」の語がそれぞれ、「サーフ」「サーベイ」と発音している事例があり、そうとすれば、「SUR」の語の前半に有する綴り字の称呼としては、これを「サー」と発音することが自然であるといわなければならない。一方、後半の「MOX」の発音についてみると、例えば、「LUMMOX(のろま)」「FLUMMOX(まごつかせる)」の語がそれぞれ、「ラマックス」「フラマックス」と発音している事例があり、そうとすれば、「MOX」の語の後半に有する綴り字の称呼としては、これを「マックス」と発音することが自然であるといわなければならない。
そして、簡易迅速を旨とする現実の商取引に際しては、かかる一般に親しまれている語とはいえない欧文字から構成される商標にあっては、その綴り字を正確に記憶して発音するとは限らず、その綴り字を恰も「SURMOX」と認識され、「サーマックス」と称呼することも少なくないものと推認される。
よって、両者は、商標の構成の一部より生ずる称呼を共通とする、称呼上類似の商標であるというべきである。
b)次に、両者の観念上類否を検討すると、前述のように両者はそれぞれ、これに接する需要者に特定の観念を有しない造語であるから、両商標は、観念において類似するものということはできないが、逆に観念上明確な差異を有するものとはいえず、この点が両商標の類似性を否定する要素として重視されるべきではないと認められる。
c)また、両者の外観上の類否について検討すると、本件商標と引用商標は、いずれも前段に欧文字の大文字より構成され、需要者の印象に残りやすい前半部分において「SUR」の3文字を共通にするばかりでなく、後半部分において同じく「M」「A」「X」の3文字を含んでいる。
したがって、その需要者である一般的な消費者は、特に、時と所を異にしてこれに接した場合に、両商標が上記のとおり、称呼が近似しており、また、観念上明確な差異を有しないこともあって、両商標の欧文字を正確に記憶することなく、その綴り文字上の差異に注意が及ばないまま、両商標につき混同をきたすおそれがあることを否定することはできない。
このように、両商標は、外観において明らかに異なるものとして看取されて記憶、印象づけられ、想起される構成を具備しているとみることはできない。
d)よって、本件商標及び引用商標の称呼、観念、外観によって両商標の指定商品の需要者に与える印象、記憶、連想等を、取引の実情を併せて総合して判断すると、その出所について誤認混同するおそれが十分にあるものと認められる。
a)請求人は、米国法人であり、1876年に設立されて以来、革新的な医薬品を、日本をはじめ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、香港、イタリア、韓国、ノルウェー、スェーデン、イギリス等、全世界の人々に提供することを通じて、人々の健康で活動的な生活に貢献しており、その総売上は、2001年度業績発表で、115億4300万ドルにも達している。
日本国内においては、1975年に日本法人として、「日本イーライリリー株式会社」(兵庫県神戸市中央区磯上通7−1−5)が設立されており、全世界ですでに高く評価されている大型新薬を日本でも次々と発売し、請求人は、その分野では周知かつ著名である。
b)「SURMAX\サーマックス」は、請求人の年間売上6億8610万ドルにも達する動物用医薬品の主要製品として、抗菌性の飼料添加物として広く使用されている。日本国内においても、1992年に上市されて以来、抗菌性の飼料添加物として、飼料会社を通じ日本全国の末端養豚場、養鶏場等に提供されており、現在、この分野での市場占有率は概ね豚で25%、鶏でも25%であり、その商標は、トップブランドとして日本全国に広く知られている。また、業界雑誌、新聞等の媒体を通じ日本全国に定期的に行われている。実際、現時点では、数種の月刊誌とともに、1日報誌にも掲載されており、日本の飼料会社、大手豚・鶏生産者が定期購読している業界紙にも商標が頻繁に使用されている。
c)したがって、このように請求人の独創的な商標「SURMAX」が商品、抗菌性の飼料添加物につき相当程度の周知性を獲得している市場において、「SURAMOX」が「動物用薬剤」に使用された場合、需要者が請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
請求人は引用商標「SURMAX\サーマックス」を現に使用しており、抵触する商標の使用に由来する業務の混同を防止すべく、本件無効審判請求を行うものである。
よって、この出願について登録を取得するためには、本件商標の登録を無効とする必要があり、請求人は本件審判請求を行うについての利害関係を有する。
以上詳述したとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、登録を受けることができなものであるから、本件商標の登録は同法第46条にもとずき無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
(ア)請求人は、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼され、一個の商標から二個以上の称呼の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。と主張している。
確かに、一般論としてはそのようなことがありえる。しかし、これは商標全体から生じる称呼が冗長な場合であったり、商標の各構成部分中のある構成部分が他の構成部分に比して際立って表現されていたりする場合に適用されるものである。
本件の場合においては、本件商標から自然に生ずる称呼「スラモックス」は冗長ではなく、また、本件商標の構成中のある部分が他の構成部分と比して際立って表示されていることも無い。つまり、本件商標は、ほぼ同じ大きさで、且つ、同じ太さの線で表された欧文字及びカタカナを同じ幅でまとまり良く上下二段に書してなるものであり、その上段と下段に軽重の差はない。
したがって、請求人の前記主張を前提とするすべての主張には理由がない。
仮に、請求人の前記主張を前提としたとしても、以下に述べるとおり、やはり請求人の各主張には理由がない。
(イ)請求人は、今日の日本における外国語の普及度よりみると、下段「スラモックス」の片仮名文字は、上段「SURAMOX」の欧文字の構成から必ずしも自然に生じる称呼ではなく、と主張している。
しかし、今日の日本におけるローマ字や外国語の普及度よりみると、本件商標の下段の「スラモックス」のカタカナは、上段の「SURAMOX」の欧文字から自然に生じる称呼と同一であり、そのため、需要者は、本件商標の下段の「スラモックス」のカタカナを、上段の「SURAMOX」の欧文字のいわば読み仮名として認識すると考えるのが自然である。
よって、請求人の前記主張には理由が無い。
そして、需要者は、本件商標の下段の「スラモックス」のカタカナを、上段の「SURAMOX」の欧文字の読み仮名として認識するのであるから、本件商標全体を一体不可分のものと認識するとみるのが自然である。
したがって、請求人の、本件商標は、全体を常に一体不可分のものと称呼しなければならないとすべき理由は見出せないから、上段に表されている「SURAMOX」の文字部分に相応する称呼も生じる。との主張には理由がない。
(ウ)仮に、請求人が主張するように、本件商標の上段に表されている「SURAMOX」の文字部分に相応する称呼も生じるとしても、今日の日本におけるローマ字や外国語の普及度よりみると、本件商標の上段の「SURAMOX」からは、本件商標の下段の「スラモックス」のカタカナと同一の称呼「スラモックス」が生じるとみるのが自然であることは、前記したとおりである。
(エ)更に、この点に関し、請求人は、
a)「SURAMOX」の文字は、特定の観念・称呼をもって親しまれているとは認め得ないところである。
b)したがって、これを英語風に称呼する場合にあって、前半の「SUR」の発音については、例えば、「SURF(打ち寄せる波)」「SURVEY」の語がそれぞれ、「サーフ」「サーベイ」と発音している事例があり、そうとすれば、「SUR」の語の前半に有する綴り字の称呼としては、これは「サー」と発音することが自然であるといわなければならない。
c)一方、後半の「MOX」の発音についてみると、例えば、「LUMMOX(のろま)」「FLUMMOX(まごつかせる)」の語がそれぞれ、「ラマックス」「フラマックス」と発音している事例があり、そうとすれば、「MOX」の語の後半に有する綴り字の称呼としては、これを「マックス」と発音することが自然であるといわなければならない。
d)そして、簡易迅速を旨とする現実の商取引に際しては、かかる一般に親しまれている語とはいえない欧文字から構成される商標にあっては、その綴り字を正確に記憶して発音するとは限らず、その綴り字を恰も「SURMOX」と認識され、「サーマックス」と称呼することも少なくないものと推認される。
e)よって、両者は、商標の構成の一部より生ずる称呼を共通とする、称呼上類似の商標であるというべきである。と主張している。
まずa)についてみると、「SURAMOX」の欧文字は、確かに特定の観念・称呼をもって親しまれているとは言い難いかもしれない。しかし、前記したとおり、今日の日本におけるローマ字や外国語の普及度よりみると、「SURAMOX」の欧文字からは「スラモックス」との称呼が自然に生じるのである。
次に、b)についてみると、請求人が例示する語はともに「SUR」の文字のすぐ後ろに子音(FとV)が存在している。一方、本件商標の上段の「SURAMOX」の「SUR」の文字のすぐ後ろには「A」という母音が存在しており、この点で、本件と請求人が例示する語とは大きく異なる。即ち、本件商標の上段の「SURAMOX」の前半部についてのみ着目した場合、この母音「A」が存在するがゆえに、需要者は、「SUR」のみならず、そのすぐ後ろに存在する「A」まで含めて、「SURA」までが前半部であるとして認識し、当該前半部を「スラ」と称呼するとみるのが自然である。 したがって、「SUR」のみを前半部として抽出し、当該部分から「サー」との称呼が生じるとの請求人の前記主張には、理由がない。
c)についてみると、請求人が例示する語はともに一般の日本人には全く馴染みの無い語である。仮に、請求人が例示するような事例があったとしても、そのような事例があることのみをもって、「MOX」の語の後半に有する綴り字の称呼としては、これを「マックス」と発音することが自然であるとは決して言えないものである。なぜなら、今日の日本におけるローマ字や外国語の普及度よりみると、「MOX」の欧文字は、「モックス」と称呼されるとみるのが自然であるからである。
よって、請求人の前記主張には、理由が無い。
d)についてみると、請求人のかかる主張が認められるとすれば、いわゆる造語商標はほとんどその綴り字を正確に記憶して発音することはできないことになりかねず、あまりにも不当な主張といわざるを得ない。
なお、本件商標の場合には、下段にカタカナで「スラモックス」と表示されているので、上段部の「SURAMOX」から「スラモックス」との称呼が自然に生じることは前述したとおりであり、本件商標はその「スラモックス」という自然な称呼で記憶されるのである。更に、今日の日本におけるローマ字や外国語の普及度よりみると、「スラモックス」との音から直ちに想起される「SURAMOX」の欧文字の綴りも記憶されるのである。
よって、前記a)からd)を前提とする請求人の主張e)にも理由が無い。
尚、本件商標から自然に生ずる称呼「スラモックス」と引用商標から自然に生ずる称呼「サーマックス」とは、その称呼音数、構成音からして聴者をして十分に聴別できるものである。
よって、本件商標と引用商標とは称呼上非類似の商標である。
(オ)請求人は、本件商標と引用商標との観念を比較して述べているが、本件商標は、特定の観念を生じない造語商標であるので、本件商標と引用商標とは、観念上は比較すべくもない非類似の商標である。
(カ)請求人は、両者の外観上の類否について検討すると、本件商標と引用商標は、いずれも前段に欧文字の大文字より構成され、・・・、と主張している。
しかし、本件商標は、上段に「SURAMOX」の欧文字を、下段に「スラモックス」のカタカナを二段に書してなる商標であり、一方、引用商標は、上段に「SURMAX」の欧文字を、下段に「サーマックス」のカタカナを二段に書してなる商標であって、両商標ともに欧文字のみで構成される商標ではない。
したがって、両商標の外観を比較するのであれば、下段のカタカナ部分を含めて対比すべきであり、かつ、両商標の態様が前記のとおりであるから、両商標は外観上は一見して明確に識別し得る非類似の商標である。
仮に、両商標の欧文字部分のみを比較したとしても、両商標の欧文字部分の構成文字「SURAMOX」と「SURMAX」とでは、
・真中における「A」の文字の有無、
・また、後半部の「O」と「A」の相違があり、
・更に、本件商標の欧文字部分「SURAMOX」の後半部「MOX」と、引用商標の欧文字部分「SURMAX」の後半部「MAX」とは、「MAX」の語が「MAXIMUM」の略語として日本人に馴染みのある語であることに鑑みれば、需要者をして十分に識別し得るものと考えるべきであり、これらの相違が両商標の欧文字部分を見た者に与える影響は大きく、このため両商標の欧文字部分のみに着目した場合であっても、やはり両者は外観上は一見して明確に識別し得る非類似の商標である。
この点、請求人は、外観に関して主張しているが、いずれも理由がないものである。
なお、請求人は、本件商標の「SURAMOX」部分についてその『後半部分において同じく「M」「A」「X」の3文字を含んでいる。』と主張しているが、この真意が後半部の「MOX」を誤って「M」「A」「X」と主張しているのか、又は、「SURAMOX」の真中に位置する「A」を敢えて後半部と位置付け、且つ、「A」「M」(「O」)「X」の語順を入れ替えて、「M」「A」「X」の3文字を含んでいる』と主張しているのかは定かではないが、いずれにしてもかかる主張は事実に反する。
(キ)以上の次第であり、本件商標と引用商標とは、称呼、観念、外観のいずれの点においても非類似の商標であるので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に反して登録されたものではない。
(ア)請求人は、医薬品の分野では周知かつ著名である旨主張しているが、かかる主張は「SURMAX/サーマックス」(以下、請求人商標という。)の商標が周知かつ著名であるか否かという点とは一切関係のないことであり、本件審判事件の争点とは無関係である。
(イ)請求人は、「SURMAX/サーマックス」は、請求人の年間売上6億8610万ドルにも達する動物用医薬品の主要製品として・・・、と主張している。
しかしまず、この売上高を示す証拠は一切提出されていないし、また、いつの時点の売上高であるかも不明である。
更には、この売上高は請求人商標を付した商品の売上高ではなく、「動物用医薬品」の売上高であるため、請求人商標を付した商品の売上高がどの程度のものか、若しくは、前記売上高のうち請求人商標を付した商品の売上高が一体何割を占めるのか等一切不明である。
(ウ)更に、請求人は、その商標は、トップブランドとして日本全国に広く知られていること、業界雑誌、新聞等の媒体を通じ日本全国に定期的に行われていること、実際、現時点では、数種の月刊誌とともに、1日報誌にも掲載されており、日本の飼料会社、大手豚・鶏生産者が定期購読している業界紙にも商標が頻繁に使用されていること等を主張しているが、これらを示す証拠は一切提出されていない。
なお、請求人が提出した甲第6号証の最後の頁に、請求人の主要製品売上実績が掲載されているが、その中には請求人商標の製品は掲載されていない。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)よりすれば、請求人商標は、日本国内で広く知られているとは到底言えないものである。
(オ)仮に、請求人が主張するように、請求人商標が日本国内で広く知られているとしても、前記したとおり、そもそも請求人商標と同一の構成から成る引用商標と本件商標とは互いに非類似の商標であるから、需要者において本件商標を付した商品が請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがないことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に反して、登録されたものではない。
本件商標と引用商標「SURMAX/サーマックス」とは、上記したとおり、互いに非類似の商標であり、かつ、需要者において本件商標を付した商品が請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがないものであるから、請求人には本審判請求についての利害関係は存在しない。
以上の次第であり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び第15号に該当しないものであるので、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。
請求人が本件審判の請求をするについて当事者間に利害関係の争いがあるので検討するに、請求人及び被請求人は同業者であり、また、請求人が引用商標を商品「動物用薬剤」に使用している事実も認められ、しかも、その商品も本件商標の指定商品と同一又は類似のものであるから、本件商標の商標権の存否によって、請求人はその権利に対する法律的地位に直接の影響を受けるか、又は受ける可能性のあるものとみられるものである。
したがって、請求人は、本件審判を請求することについて法律上の利益を有するものである。
本件商標は、前項第1で述べたとおり「SURAMOX」の欧文字と「スラモックス」の片仮名文字を二段に横書きして表されているところ、「SURAMOX」の欧文字が特定の読み、意味を有する既成の語よりなるものとはいえないものであり、その欧文字「SURAMOX」は「スラモックス」と自然に発音され得るものと認められることからして、その片仮名文字部分は欧文字の読みを振り仮名的に表しているものであって、その欧文字「SURAMOX」の読みを特定しているものとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、その構成中の「スラモックス」の片仮名文字に相応して、「スラモックス」の称呼のみを生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「サーマックス」の称呼を生ずるものと認められる。
しかして、本件商標より生ずる「スラモックス」の称呼と引用商標より生ずる「サーマックス」の称呼とは、長音、促音を除いて音数に5音と4音の差があると共に、語頭部に「スラモッ」と「サーマッ」の音の明らかな差異が認められるものであるから、両称呼は容易に区別し得るものである。
また、本件商標及び引用商標の欧文字部分は、中間において「A」の文字の有無及び前者の6番目と後者の5番目の文字において「A」と「O」の差異を有するものであるから、両商標の欧文字部分は、文字に対する通常の注意力をもってすれば、その差異は明らかに認識し得るもので見誤るそれはないものとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成全体より特定の観念を生ずるものとは認められないから、引用商標と観念において比較することはできない。
そして、両商標は、他に類似するところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するものとすることはできない。
なお、請求人は、本件商標より生じる称呼について、その構成中上段の欧文字「SURAMOX」に着目し、「SUR・・」及び「・・MOX」の綴りよりなる英語の発音の用例を挙げ、「サーマックス」と称呼することも少なくないものと推認される旨主張している。
しかしながら、当該商標から生じる称呼を判断するに当たっては、その商標全体を一つの商標として使用されることを前提として、その商標全体の構成及び取引者・需要者の文字に対する注意力及び外国語に対する知識程度を考慮すべきものであり、特に当該商標が欧文字からなる造語である場合には、わが国の外国語の知識程度からして、その綴り文字に相応して、ローマ字又は英語に倣って読み、称呼するのが一般的経験則であり、それからすると、本件商標の場合、「SUR」と「AMOX」に分離して読まれるというよりも、「SURAMOX」全体を一連に「スラモックス」と読まれのが自然といえる。そして、本件商標は、その読みを片仮名文字で併記したものであることからすると、本件商標から生じる称呼は上記認定のとおりであり、この点についての請求人の主張は採用できない。
請求人は、引用商標は商品「動物用薬剤」に使用し周知・著名なものである旨主張しているので、その点について検討するに、請求人の提出に係る証拠は、請求人の日本法人である日本イーラリリー株式会社が作成した技術資料となっている商品パンフレットの甲第5号証と請求人及び同日本法人がそれぞれインターネット上に開設しているホームページを印刷したものである甲第6号証のみであって、例えば、その商品の販売数量、販売額等の裏付けとなる取引書類又は業界雑誌、新聞等の具体的に周知・著名であることを明らかにする客観的な証拠資料が何等提出されていないので、請求人が引用商標を商品「動物用薬剤」に使用していた事実は窺えるとしても、請求人の提出に係る証拠をもってしては、引用商標が本件商標の登録出願時には請求人の業務に係る上記商品の商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そして、本件商標は、上記2のとおり、引用商標と非類似であり、かつその構成態様、観念、称呼等を総合してみても、明らかに区別し得る別異のものと認められる。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者・需要者が引用商標を直ちに連想又は想起するとは認められず、該商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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