sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消と商品類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30832(T2002−30832/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1660705号商標(以下「本件商標」という。)は、「TELEMAC 8」の文字を横書きしてなり、昭和54年11月2日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和59年2月23日に設定登録、その後、平成6年3月30日に商標権存続期間の更新登録がされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「第1660705号商標登録の登録は、これをその指定商品中「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」について取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証(枝番号を含む。)を提出している。

1 請求の理由

被請求人は、本件商標を指定商品中「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」について、本件審判請求の日から3年以上過去において使用した形跡は皆無である。よって、商標法第50条の規定により、指定商品中の上記商品について、本件商標の登録を取り消すべきである。

2 弁駁の理由

(1)各指定商品の意味

被請求人の提出した乙第1号証によれば、確かに「小容量テレメータ装置”Telemac−8”」と記載されており、TeIemac−8という商標がテレメータ装置について被請求人の2001年のカタログにおいて使用されていることが示されている。そして、乙第1号証から明らかな如く、このテレメータ装置とは、ダム・用水管理システム又は水利セキュリティシステム等の水利システムの一部を構成する周辺機器の一つとして記載されている。

乙第1号証によって被請求人が現在使用中であると主張している商品は、ダムの水利状況をデジタル及びアナログ情報として、有線又は無線回線を介し電送する機能を持った「テレメータ装置」のみであり、この様な特殊なテレメータ装置は、電気通信機械器具に包含されるものであるかもしれないが、電気送信機械器具は、この様な特殊のテレメータ装置の上位概念であるから、電気通信機械器具の全てを使用していることにはならない。

携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品は、明らかに上記テレメータ装置とは異なる商品であるから、例え、これらの全てが電気通信機械器具の範疇に属するものであったとしても、上記テレメータ装置について本件商標を使用しているからといって、そのことから直ちに、本件商標が携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品に使用されていることとはならない。この点、被請求人は、短絡的に、本件商標を上記テレメータ装置に使用しているから、直ちに携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品、すなわち電気通信機械器具についても本件商標を使用していることになると結論付けており、失当である。この点において既に被請求人の主張には根拠がない。

(2)商品の類似性

請求人は、本件商標が「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」について不使用であると主張しており、更に、被請求人は、本件商標がダムの水利状況をデジタル及びアナログ情報として、有線又は無線回線を介して電送する機能を持った「テレメータ装置」について使用していると主張しているので、上記「テレメータ装置」が「携帯電話機、携帯受信機」と類似するか否かが問題とされるべきである。

ところで、審査基準によれば、商品の類比を判断するに際しては、次の基準(イ)〜(へ)を総合的に考慮するものとするとしている。

(イ)生産部門が一致するかどうか

(ロ)販売部門が一致するかどうか

(ハ)原材料および品質が一致するかどうか

(ニ)用途が一致するかどうか

(ホ)需要者の範囲が一致するかどうか

(へ)完成品と部品との関係にあるかどうか

そこで、これらの各基準に照らして、上記「テレメータ装置」と「携帯電話機、携帯受信機」との類比を検討する。

まず、(イ)の生産部門については、乙第1号証に記載されているテレメータ装置は、大型の装置であって、携帯可能なものではなく、更に音声データではなくデータの電送を意図したものであるから、その構造は著しく異なるものである。一方、携帯電話機、携帯受信機は、主に音声データを電送することを意図したものであり、更に、極めて小型の構造であることに特徴を有するものである。したがって、設計上も製造上も著しく異なる設備及び工程管理が必要となるものであるから、生産部門が一致するとはいえない。更に、注意すべきことであるが、テレメータ装置は、水利システムの「周辺機器」であり、したがって、このテレメータ装置は、水利情報を伝送するための水利システムの一部として生産されることが予定されているものであって、そのことからも、独立的に操作可能である携帯型の電話機及び受信機とは自ずからその性能及び構造を異にするものであって、その点からも生産部門が異なるものであることが理解される。

次に、(ロ)の販売部門について検討すると、上記「テレメータ装置」は、水利システムの一部として使用するものであり、その様な水利システムを販売する場合には、自治体等の特定の顧客に対するものであって、極めて特殊かつ特定的な販売形態によるものである。一方、携帯電話機及び携帯受信機は、一般需要者を販売対象とするものであるから、上記「テレメータ装置」の販売形態とは全く異なる販売形態によるものであり、したがって、販売部門は自ずと異なるものであることは明らかである。

次に、(ハ)の原材料及び品質が一致するかどうかについて検討すると、上記「テレメータ装置」では、乙第1号証に示されるように、ラック内に実装可能な大型の筐体を有しており、その中に水利情報、すなわちデータを伝送することを目的とする装置が組み込まれているものであって、携帯され主に音声情報を伝送する構成を有する携帯電話機及び携帯受信機とは原材料及び品質が著しく異なるものであることは明らかである。

次に、(ニ)の用途が一致するかについて検討すると、上記「テレメータ装置」では、水利情報という特殊のデータを遠隔的に電送するものであって、水利システムの周辺機器としての用途を有するものであるが、携帯電話機及び携帯受信機は、携帯される機能を有し主に音声情報を伝送又は受信する独立した装置として機能するものであるから、用途は著しく異なっている。

次に、(ホ)の需要者の範囲について検討すると、乙第1号証の裏面に記載されている納入実績一覧を見ると、<電力会社様向け>として北海道電力、東北電力、東京電力など幾つかの電力会社の名前が挙げられており、更に<自治体様向け>として岡山県、鹿児島県、北海道開発局などの幾つかの自治体の名前が挙げられている。これらはいずれも平成8年から平成12年にかけての実績として挙げられており、需要者としては電力会社と自治体のみであり、極めて特殊でかつ限定的な需要者の範囲であることが分かる。一方、携帯電話及び携帯受信機は、一般需要者を対象とするものであって、上記テレメータ装置の需要者とはその対象も範囲も全く異なるものである。

最後に、(へ)の完成品と部品の関係について検討すると、上記「テレメータ装置」は、水利システムの周辺機器であるが、携帯電話機及び携帯受信機とは完成品と部品の関係にないことは明らかである。

以上のように審査基準における商品の類比判断基準に基づいて総合的に判断した場合に、上記「テレメータ装置」は、携帯電話機及び携帯受信機とは非類似であることが明らかである。

3 結語

したがって、例え、上記「テレメータ装置」について本件商標を使用しているとしても、本件商標を携帯電話機及び携帯受信機について使用していることとはならないので、本件商標の登録は携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品について取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。

1 答弁の理由

被請求人は、現在本件商標を「ダムの水利情報を遠隔地で送受信するための商品」に使用している。

乙第1号証は、被請求人が作成したカタログであり、その内容からも明らかなとおり、被請求人の使用商品は、ダムの水利情報を遠隔地で送受信するための商品である。具体的には、ダムの水利状況をデジタル及びアナログ情報として、有線又は無線回線を介し電送する機能を持った「テレメータ装置」として利用されるものである。また、当該カタログの背表紙には、「このカタログの記載内容は2001年3月現在のものです。」と明示している。したがって、被請求人が、審判請求人が取消を求める商品「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」、すなわち「電気通信機械器具」について本件商標を使用していることは明らかである。

2 結語

以上の通り、本件商標は、本件審判請求前から「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」、すなわち「電気通信機械器具」に関して被請求人が使用しており、請求人の請求には理由がない。

第4 当審の判断

本件商標は、「TELEMAC 8」の文字よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品とするものであるところ、本件審判請求は、その指定商品中「携帯電話、携帯受信機及びその類似商品」について、商標法第50条の規定によりその登録の取り消しを求めるものであって、請求の登録は、平成14年7月31日にされているものである。

そこで、被請求人の提出に係る乙第1号証を検討するに、乙第1号証は、「Panasonic」、「水利システムカタログ」と表紙に記載された商品カタログであり、その3ページに「小容量テレメータ装置」、「“Telemac−8”」と列記され、その下部に、「遠方監視、計測、制御などの分野で、ディジタルおよびアナログ情報を、有線または無線回線を介し、伝送します。高精度で高信頼性で、送信装置、受信装置、送受信装置としても使用可能。コンパクトなので机上にも設置できます。」と記述されると共にその写真が掲載されている。裏表紙には「松下電器産業株式会社/松下通信機工業株式会社/コミュニケーションシステム部」(これらの文字は三段に表されている。)及び「このカタログの記載内容は2001年3月現在のものです。」と記載されている。

上記乙第1号証の商品カタログによれば、被請求人は、平成13年3月当時、ディジタル及びアナログ情報を有線又は無線回線を介して伝送するテレメータ装置(以下「テレメータ装置」という。)について「Teremac 8」の文字からなる商標を使用していたものと認められる。

上記本件商標の構成よりすると、テレメータ装置に使用されている「Teremac 8」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められ、また、その使用は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたものである。

請求人は、テレメータ装置と携帯電話機及び携帯受信機とは、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲、完成品と部品との関係を総合的に判断した場合、非類似であること明らかである旨主張する。

そこで、テレメータ装置と携帯電話機及び携帯受信機が類似する商品であるか否かについて検討する。

テレメータ装置については、上述したように、商品カタログに「遠方監視、計測、制御などの分野で、ディジタルおよびアナログ情報を、有線または無線回線を介し、伝送します。高精度で高信頼性で、送信装置、受信装置、送受信装置としても使用可能。コンパクトなので机上にも設置できます。」と記載されていて、この記載によれば、遠方における監視情報、計測情報、制御情報等を送信するための装置であって、送信装置、受信装置あるいは送受信装置としても使用が可能なものである。その機能、用途からすると、電気通信機器といえる商品であると認められる。

これに対し、携帯電話機は、一般に広く普及している携帯可能な小型電話機であり、また、携帯受信機は、ラジオ放送、テレビ放送その他の電波を受信するための携帯可能な小型受信機(例えば甲第3号証の1)であって、その機能、用途からして電気通信機器であると認められる。

ところで、電気通信機器を製造販売する電気通信機器メーカーとしては、被請求人など大手メーカーの存在が知られていて、これらの大手メーカーは、放送用機器、業務用通信機器などの大型の装置から、ラジオ受信機、携帯電話機など一般家庭用の小型の製品までを手がけているメーカーが少なくなく、これらの商品に統一した商標を使用することの多いことも一般に知られているところである。

現に、被請求人及びその関連会社(子会社)は、代表的出所標識である「Panasonic」商標のもとにテレメータ装置と携帯電話機を製造販売している事実があり(乙第1号証及び甲第2号証)、被請求人が他の通信機器メーカーに較べて格別特異な分野の商品を取り扱っているという事実も見出せないから、この事実に照らせば、テレメータ装置と携帯電話機及び携帯受信機は、生産部門が概ね共通しているものと判断するのが相当である。

また、テレメータ装置と携帯電話機及び携帯受信機は、電波を送受信するという商品の機能、用途においても概ね共通しているものということができる。

そうとすれば、販売部門、需要者層において、テレメータ装置は主に電力会社、自治体を対象に特殊な販売形態で取り引きされるのに対し、携帯電話機及び携帯受信機は一般需要者を対象として一般電気店、小売店等で販売されるのが主であるとしても、携帯電話機又は携帯受信機の商標と同一又は類似の商標の付されたテレメータ装置に接した場合、上述の生産部門、機能、用途の共通性からみて、取引者、需要者は、これらの携帯電話機又は携帯受信機とテレメータ装置は同一メーカーの商品であろうと、すなわち出所を同じくする商品であろうと認識することが少なくなく、むしろそのように認識するのが自然であるというべきであるから、乙第1号証に示された被請求人の業務に係るテレメータ装置は、携帯電話機及び携帯無線機と類似の商品であると判断するのが相当である。

以上のとおりであり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定商品中「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」に含まれる「テレメータ装置」について、商標権者により使用されていたものといわなければならない。

したがって、本件商標の指定商品中「携帯電話機、携帯受信機及びその類似商品」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。