結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35392(T2002−35392/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4336575商標(以下「本件商標」という。)は、「LOGIKA COMP」の文字を横書きしてなり、平成9年9月10日に登録出願、第7類「カードのエンボス加工装置」及び第9類「ICカード又は磁気カード書き込み装置,ICカード又は磁気カード読み取り装置,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,自動販売機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,遊園地用機械器具,スロットマシン,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気ブザー,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成11年11月19日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2247876号商標は、「LOGICA」の文字を横書きしてなり、昭和62年7月21日に登録出願、第11類「電子計算機{中央処理装置およびその周辺機器(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気デイスク、磁気テープを含む)}ワードプロセツサ、その他の電子応用機械器具、電気通信機械器具、これらの部品及び附属品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録、その後、平成12年3月14日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。同じく登録第4201404号商標は、「ロジカ」の文字を横書きしてなり、平成8年9月25日に登録出願、第9類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同磁気テープ及び同光ディスクその他の周辺機器を含む),その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、平成10年10月16日に設定登録されたものである。以下、これらの登録商標を一括して「引用商標」といい、個別にいう場合は、前者を「引用A商標」、後者を「引用B商標」という。
請求人は、「本件商標は、これを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第46号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、前述の構成からなるから、これから「ロジカコムプ」の称呼が生じる。さらに、これから「ロジカ」の称呼が生じるというべきである。
すなわち、本件商標は「LOGIKA」と「COMP」の語の間に一文字分の間隔があるから、「LOGIKA」と「COMP」が外観上常に一体的に認識されなければならない理由はない。したがって、「LOGIKA」は「COMP」と外観上分離して認識される可能性がある。また、本件商標を称呼した場合、全体で6音の構成音数からなるから、一息で称呼するにはやや冗長である。また、前半の「ロジカ」は「ロ・ジ・カ」と全ての音が明瞭に同じ強さで発音されるに対し、後半の「コムプ」は中間の「ム」が鼻音であるためつまるように発音され、後半部は「コ」と「プ」が特に印象に残る。したがって、本件商標は前半部の「ロジカ」と後半部の「コンプ」の発音方法が異なることから、発音上も「ロジカ」と「コンプ」が分離して認識される。しかも、後述するように「LOGICA」「ロジカ」は、電子計算機、電気通信機械器具等について請求人の著名な商標である。さらに、「LOGICA」(ロジカ)は、何ら特別な意味を有する言葉ではない造語であるから、請求人の略称あるいは商標として極めて強い指標力を有するものである。したがって、電子応用機械器具、電気通信機械器具等の本件商標の指定商品について、「ロジカ」という称呼が生じる商標が使用された場合、需要者、取引者は当該商標を請求人との関係で認識し、これを単に「ロジカ」と称呼するというべきである。したがって、本件商標から単に「ロジカ」の称呼が生じる可能性があるというべきである。
一方、引用商標は、前述の構成からなるから、これから「ロジカ」の称呼が生じることは疑いない。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標である。
(2)以上述べた理由により、本件商標は、引用商標と称呼上類似するものであるから、外観上及び観念上の類似性について論じるまでもなく、本件商標は商標法第4条第1条第11号に該当するものである。
(1)請求人は、1969年(昭和44年)に英国で設立された英国大手のコンピュータソフトウエア会社である(甲第3号証)。請求人の扱っている商品、サービスは、金融機関向けや防衛の分野のソフトウエア、航空業界向けのソフトウエア、電気通信機器のソフトウエアと、これらに関連したコンサルタントと多岐にわたる(甲第4号証、同第5号証、同第6号証等)。
例えば、電気通信の分野では、携帯電話をインターネットに接続させるためのソフトウエアを世界で最初に開発し提供し、世界でトップシェアを誇っている。また、プリペイドのソフトウエアでもトップシェアであり、さらにE−コマースにおけるセキュリティのソフトウエアも提供している。
請求人は、1981年(昭和56年)では税引き前利益は200万ポンドを超え、その後徐々に増え、1986年(昭和61年)には600万ポンドを越えるようになった。さらに、1987年(昭和62年)には、1130万ポンド(約17億4千万円)にもなった(甲第13号証)。
そして、1992年(平成4年)には、海外の成長市場ビジネスの特化を始め、テレコム、エネルギー、公共事業に投資を集中し、売上はさらに拡大し、増加していった(甲第11号証ないし同第18号証)。その結果、1999年(平成11年)6月期には6億5950万ポンドを売り上げ、6340万ポンド(97億7千万円)という記録的な利益をあげた(甲第31号証)。
請求人は、世界的規模のビジネス展開のため、英国の本社を始め、24か国に現地法人を設立し、世界各国での業務を行っている(甲第4号証及び同第32号証)
請求人の主だった取引先は甲第32号証のとおりである。
(2)我が国においては、平成8年10月に日本支社が設立され、我が国でのビジネスの拠点が創られ(甲第31号証)、平成12年7月1日ロジカジャパン株式会社(以下「ロジカジャパン社」という。)が設立された(甲第4号証)。しかしながら、それより以前から、請求人は我が国でのビジネス展開のためにセミナー等を行ったり、東京三菱銀行等とビジネス上の文書を取り交わしている(甲第41号証)。
携帯電話がインターネットにつながるのは当然となり、最初に携帯電話のショートメッセージをインターネットに接続したのが請求人であった(甲第20号証、同第22号証、同第27号証等)。そして、請求人は、J−フォングループ、Tu−Kaグル一プなどの移動体通信事業者向けのショートメッセージ・サービスの提供を基礎に事業を拡大し、日本におけるメッセージ製品の大手サプライヤーとしての地位を確立していったのである。その結果、ロジカジャパン社は大規模な実績を挙げ、平成12年7月1日から平成13年6月30日には、93億1806万4077円もの売上を上げている(甲第3号証)。
このように、ロジカジャパン社は、世界のモバイル市場で培ったノウハウを活かし、メッセージング、モバイル・インターネットの2分野を主な活動領域として、次世代の日本の移動体通信市場に即したソリューションを提供している。さらに、通信事業の他にも、エネルギー、公益事業、産業、金融など幅広い分野のロジカのグローバル・ソリューションは提供されている(甲第4号証)。
そして、請求人は「LOGICA」「ロジカ」を自己の販売及び提供にかかる商品及び役務の商標として永年使用してきており、また「LOGICA」「ロジカ」は自己の略称として認識されている。
さらに、請求人は、我が国での自己の商標の保護のため、商標「Logica」「Logica(図形)」について、引用商標のほかに商標権を取得し(甲第42号証ないし同第46号証)、商標「LOGICA」「ロジカ」「Logica」を独占的に使用してきた。
しかも、「LOGICA」「ロジカ」が造語であることことから、極めて強い指標力を有する商標であることに鑑みれば、特に通信機器、ソフトウエアの分野では、本件商標の出願日より相当前から我が国において、請求人の商標及び略称として周知著名なものとなっており、「LOGICA」「ロジカ」「Logica」といえば請求人「ロジカ社」の商標あるいは略称として広く一般に認識されていたことは明らかである。
前述のように、本件商標と請求人の商標「LOGICA」「ロジカ」「Logica」は称呼上類似する商標であり、請求人の商標の使用にかかる「ソフトウエア」と同一又は類似する商品を指定商品に含むものである。
(3)したがって、本願商標は商標法際4条第1項第10号に該当するものである。
(1)本件商標は、その指定商品中に「ICカード又は磁気カード書き込み装置、ICカード又は磁気カード読み取り装置,電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具」といった、請求人の製造、販売に係るソフトウエア及びサービスと同一又は類似の商品を含むものである。しかも、本件商標は請求人の周知、著名な「ロジカ」「LOGICA」「Logica」と同一の称呼を生じる「LOGIKA」を商標の構成中に含むものである。したがって、本件商標が指定商品について使用された場合、本件商標に接する需要者、取引者は、当該商品が、請求人あるいは請求人と経済的あるいは資本的に関係のある者の製造、販売にかかる商品であるかのごとく、商品の出所について誤認、混同を生じることは疑いない。
(2)したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
「Logika Comp」は、被請求人の商標としとて需要者の間で広く認識されているとのことであるが、審判請求書で述べたように、「ロジカ」といえば請求人を特定するものとして本件商標の出願日において我が国では広く認識されているものである。また、被請求人は、請求人の「LOGICA」が「論理学、論理性、筋道」等を意味するイタリア語であるから、これが請求人の略称あるいは商標として極めて強い指標力を有するものであるということはできないとのことである。確かに、上記意味を有する「LOGICA」なる言葉がイタリア語に存在することを出願人は否定しない。しかしながら、イタリア語は我が国おいては英語に比べてはるかに普及率がおとるものであるから、まず、引用商標の「LOGICA」をイタリア語であると認識するようなことはあり得ないし、まして、これが「論理学、論理性、筋道」等の意味で認識されるようなことは到底考えられない。しかして、請求人は英国法人であり、しかも請求人の商品は何らイタリアと密接な関係を有する商品ではないから、請求人の「LOGICA」がイタリア語の意味で検討されるようなこともない。したがって、引用商標に接する需要者、取引者はこれを何ら意味を有しない造語と認識するというべきである。
よって、請求人の「LOGICA」「ロジカ」は請求人の略称及び商標として極めて強い指標力を有するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、本件商標中の「LOGIKA」と引用商標「LOGICA」は「K」と「C」の差異を有するから、本件商標から直ちに引用商標を想起するとはいえないし、さらに、請求人の使用にかかる商標は「Logica(図形)」「ロジカ」であるから、本件商標は請求人の商標を想起させるものではないとのことである。
しかしながら、本件商標中の「LOGIKA」と引用商標「LOGICA」との相違は単に「K」と「C」の相違でしかなく、これらの外観はさほど相違するものではない。また、「Logica(図)」「ロジカ」からも本件商標中の「LOGIKA」からも共に同一の「ロジカ」の称呼が生じるものである。したがって、被請求人の上記主張は全く理由のないものである。
さらに、被請求人は1989年10月にイタリアに設立されたバンクカード、クレジットカード、ICカード等のカード発行機器の製造販売を主たる事業としている。そして、被請求人は「LOGIKACOMP」「LOGIKA COMP」と一体的に被請求人の名称又は商標を使用している。さらに、請求人は英国大手コンピュータソフト会社であるのに対し、「LOGIKA COMP」は、カード発行機器の分野で被請求人の略称又は商標として広く知られているものであるから、被請求人が本件商標を指定商品に使用しても請求人の業務にかかる商品と出所の混同を生じない、とのことである。
しかしながら、本件審判請求書での主張及び証拠からも明らかなように、本件商標の登録出願日においては、特に本件商標の指定商品である電子応用機械器具、電気通信機械器具の分野に「LOGICA」「ロジカ」といえば、請求人の略称及び商標として、我が国の需要者、取引者の間で広く認識されていたことは明らかである。
したがって、請求人の周知、著名な「Logica」「LOGICA」「ロジカ」が使用されるソフトウエアと密接な関係を有する「カード発行機器」及び本件商標の指定商品に本件商標が使用された場合、当該商品の需要者、取引者は当該商品が請求人の製造、販売に係る商品であるかのごとく、商品の出所について誤認、混同を生じることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号同第10号及び同第15号に該当し、同法第46条の規定により無効にされるべきものである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第25号証を提出している。
本件商標については、本件審判請求人と同一人による登録異議の申立てがされ、同異議事件において、本件審判事件とほぼ同様の理由に対し、本件商標の登録を維持する旨の決定がされている(乙第1号証)。
上記異議決定と同様に、本件審判事件においても「本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものではない」と判断がされてしかるべきものである。
(1)請求人は、前記異議事件において引用した「LOGICA」の文字を横書きしてなる商標のほかに、本件審判事件において「ロジカ」のカタカナ文字よりなる商標を引用しているが、請求人が本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして主張しているところは、「称呼上類似する」とのことであるから、カタカナ文字「ロジカ」を引用商標に付け加えたことによって何ら前記異議決定の判断に変更を加えなければならない理由はない。
(2)請求人は、「LOGICA」(ロジカ)は何ら特別な意味を有する言葉ではない造語であるから、請求人の略称あるいは商標として極めて強い指標力を有するものであると述べている。
しかし、「LOGICA」は、「論理学.論理性.筋道」等を意味するイタリア語(乙第2号証及び同第3号証)で「ロジカ」と発音される。そして日本においても、「LOGICA」の文字を有する商標は、多数登録されており、商標として好んで随時採択されている(乙第4号証ないし同第7号証)。また、「ロジカ」の称呼を有する商標としては、「Rogica」(乙第8号証)、「LOGIKA」(乙第9号証)及び「ROGICA/ロジカ」(乙第10号証)の登録例が存在する。
以上に述べたところから、「LOGICA」「ロジカ」が請求人の略称あるいは商標として極めて強い指標力を有するものであるということはできない。
(3)本件商標より生ずる「ロジカコンプ」の称呼は、格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、本件商標から単なる「ロジカ」の称呼が生ずることはない。
「ロジカコンプ」と「ロジカ」の両称呼の比較において、また「LOGIKA COMP」と「LOGICA」又は「ロジカ」との外観上の比較において、本件商標と引用商標とは顕著に相違し、また、被請求人の商号の主要部として採択した造語たる「LOGIKA COMP」と引用商標とは観念において比較すべくもない非類似のものであるから、本件商標は引用商標に類似するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(1)請求人の主張の理由は、本件商標が使用商標と称呼上類似するとのことであり、当該使用商標から「ロジカ」の称呼が生ずるとしても、当該称呼と本件商標の称呼とが非類似のものであることは既に明らかにしたとおりであるから、請求人が述べるところは理由がない。
(2)請求人が提出した証拠によれば、請求人によって「ソフトウエア」に主として使用されている商標は図案化された「Logica(図形)」のようである。
この請求人の使用商標と本件商標とは、前述した称呼及び観念における差異に加えて、外観において極めて顕著な差異を有するものであるから、互いに類似するものではないことが一層明らかである。
(3)本件商標は、使用商標と同一又は類似するものではないから、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(1)請求人が本件審判において請求人の使用商標に関する証拠として新たに提出されたものは、図案化された「Logica(図形)」、「Logica(活字)」及び「ロジカ(カタカナ)」であって、もちろんのこと請求人が「LOGIKA」の文字を使用している事実は全くない。
そして本件商標は、請求人が使用している前記商標を含むものではなく、請求人の使用商標を想起させるものでもない。
(2)また、前述したとおり、請求人が「ソフトウエア」に主として使用している商標は、図案化された「Logica(図形)」のようであるので、本件商標は、請求人の使用商標と外観における極めて顕著な差異によって互いに充分に区別されるものである。
(3)本件商標は、被請求人の名称「Logika Comp S.p.A.」の主要部「LOGIKA COMP」を表したものに外ならない。
被請求人は、1989年10月にイタリア国ミラノで設立された法人であり、バンクカード、クレジットカード、ICカード等のカード発行機器の製造販売を主たる事業としている。イタリアのカード発行機器市場全体に占める被請求人商品の占有率は、本件商標が出願された1997年の時点で約70%であり、現在では約90%のシェアを占めている。
そして、被請求人の商品は、世界45か国以上に輸出されており、世界全体の市場占有率は40%であって、カード発行機器(ハードウエア)の分野では、被請求人は、米国データカード社に次ぎ世界二位のメーカーである。
日本においては、1997年に日本代表事務所を設置し、日本においても活発な事業活動を行っており、前記米国データカード社に従来独占されていた日本のカード発行機器市場で、被請求人の商品は、現在では既に30%のシェアに達している。
上記事実を示す証拠として、被請求人は乙第11号証ないし同第25号証を提出する。これら証拠に示されているとおり、被請求人の名称(略称)又は被請求人の商品表示は、すべて「LOGIKACOMP」「LOGIKA COMP」「ロジカ・コンプ」と一体的に表示されている。
上述したところから明らかなように、本件商標「LOGIKA COMP」は、本件指定商品の商品分野において、被請求人の略称及び被請求人の商標として世界的に広く知られており、「LOGIKACOMP」「ロジカ・コンプ」の構成全体をもって認識され称呼されている。
よって、請求人が英国大手のコンピュータソフトウエア会社であり、仮に、「LOGICA」「ロジカ」「Logica(図形)」がソフトウエアの分野で請求人の商標及び略称として広く知られているとしても、本件商標は、カード発行機器の分野で被請求人の商標及び略称として広く知られているものであって、先に述べたとおり両商標は商標の構成自体が相違するものであるから、被請求人が本件商標を本件指定商品に使用して請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれはない。
(4)請求人が提出した証拠によれば、新聞等に紹介されている請求人の名称は、「英国ロジカ社」、「英Logica」、「ロジカ(英国)」、「ロジカ社(本社ロンドン)」、「英ロジカ社」、「ロジカ(イギリス)」、「英ロジカ」のように、請求人の国籍とともに表示されている。
以上に述べたところから、請求人及び請求人の商標は、日本においては、「英国のソフトウエアのLOGICA(ロジカ)」として認識されているものというべきである。
これに対して、被請求人及び被請求人の商標は、イタリアの大手カード機器メーカー及びその商標である「LOGIKA COMP」(ロジカ コンプ)として認識されているものである。
この観点からしても、被請求人が本件商標を本件指定商品に使用して請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
以上に述べたとおりであって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではない。
本件商標は、前記のとおり「LOGIKA COMP」の文字よりなるところ、これらの文字は同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体的に表されていて、これより生ずる称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして、「LOGIKA」と「COMP」の両文字間には、1文字程度の間隔があり、構成文字数に2文字の差があるものの、視覚上「LOGIKA」の文字部分が強く印象に残るという程のものではなく、他に、その構成文字中の「LOGIKA」の文字部分のみをもって取引に資されるとみなければならない格別の事情も見出し得ないものであるから、その構成文字の全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。
してみれば、本件商標は、その構成文字の全体に相応して「ロジカコンプ」の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
これに対し、前記のとおり引用A商標は「LOGICA」の文字、引用B商標は「ロジカ」の文字よりなるものであり、引用A商標及び引用B商標は、それぞれの構成文字に相応して共に「ロジカ」の称呼を生ずるものと認められる。
そうとすれば、本件商標より生ずる「ロジカコンプ」の称呼と引用A商標及び引用B商標より生ずる「ロジカ」の称呼とは、音数の差異、各音の音質の差異により明瞭に聴別し得るものといわなければならないから、本件商標は、引用A商標及び引用B商標と称呼において類似するものとは判断することができない。
本件商標が引用A商標及び引用B商標と外観において相違することは明らかであり、また、本件商標は、特定の意味を看取し得ない一種の造語よりなるものというべきであるから、本件商標は、引用A商標及び引用B商標と外観、観念においても類似するものではない。
請求人の提出に係る証拠によれば、請求人は、1969年(昭和44年)に英国で設立されたコンピュータソフト開発会社であり(甲第3号証及び同第16号証等)、英国内で最大手に挙げられている会社である(甲第13号証及び同第17号証)。
我が国においては、平成8年10月に日本支社が、同12年7月1日にロジカジャパン社が設立されていた(甲第31号証及び同第4号証)。
そこで、請求人が周知、著名であるとして挙げる「LOGICA」、「ロジカ」あるいは「Logica」の文字からなる商標(以下、これらの商標を一括していう場合は「請求人商標」という。)の使用状況をみるに、「日経コンピュータ1996.10.28」(甲第17号証)、「mobile media magazine 2000.6」(甲第19号証)、「ANNUAL REPORT 2000」(甲第32号証)のほか甲第4号証、同第33号証ないし同第41号証には、甲第44号証及び同第46号証に示された「Logica」の文字からなる商標(以下「Logica商標」という。)と同一といい得る商標が表されていることが認められる。
提出された証拠のうち、新聞の記事においては、「英国ロジカ社」(甲第11号証)、「ロジカ(英国)」(甲第6号証及び甲第14号証)、「ロジカ社(本社ロンドン)」(甲第12号証)、「英ロジカ社」(甲第15号証)、「ロジカ(イギリス)」(甲第17号証)、「英ロジカ」(甲第22号証、甲第23号証、甲第25号証、甲第26号証及び甲第30号証)のように、その多くは「ロジカ」又は「ロジカ社」に請求人の国籍と認められる文字が付されていて、これらの新聞記事のおける「ロジカ」の文字は、請求人の名称ないしはその略称として記載されていることは明らかであり、これらが請求人の使用する商標と認識されるとは必ずしも認め難いものである。
次に、本件商標の登録出願前の我が国における請求人の事業活動についてみるに、上記のとおり、平成8年10月に請求人の日本支社が設けられており、日本法人の設立は本件商標の登録出願後であるものの、本件商標の登録出願前に我が国において、請求人は事業を行っていたものと推認することができる(甲第40号及び同第41号証)。しかしながら、これらでは、事業内容が具体的に把握し得ないものである。
次に、請求人の売上高をみるに、上掲「日経コンピュータ1996.10.28」(甲第17号証)の「ロジカ(イギリス)得意分野を絞り海外市場で成功」の項に、「・・・英国最大手のロジカは、96年6月期決算が売上高2億8480万ポンド(1ポンド=約177円)・・・」、「現在の売上比率は英国が48%、欧州大陸が30%、アメリカとアジア太平洋地域がそれぞれ10%程度となっている」と記載されていることが認められる。しかしながら、同期の我が国における請求人の売上高は具体的には記載されていない。また、甲第3号証の文書にロジカジャパン社の年毎の売上高として「2000年7月1日〜2001年6月30日」の売上高が記載され、また、甲第26号証の新聞に「ロジカ日本支社は96年に設立。2000年6月期の売上高は約百億円の見込み・・・」と記載されていることが認められるが、これらは本件商標の登録出願後の売上高を示すものである。
他に本件商標の登録出願前の我が国における請求人の売上高を示すものはない。
また、請求人の提出に係る証拠には、我が国における請求人の広告宣伝の実情を示すものはない。
以上によれば、本件商標の登録出願前に、請求人は、我が国において「Logica商標」を使用して事業活動を行っていてたものと推認し得るものの、請求人の提出に係る証拠には、本件商標の登録出願前の我が国における請求人の取引の実情、広告宣伝の実情を示すものはなく、また、どの程度の期間、どの程度の規模で事業活動を行っていたのかなど、その活動状況を把握し得る的確な証拠がない。
そうとすれば、請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願の時に、我が国において、請求人商標が請求人の業務に係る通信機器、コンピュータソフトウエア等に使用する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。
してみれば、前述のとおり、本件商標は、請求人商標と類似するものではなく、構成中の「LOGIKA」の文字部分にしても、「LOGICA」及び「Logica」の文字からなる商標とは第5文字において「K」と「C」の文字の差異を有していて、これらの商標間には誤認混同の生ずる事由は見出し得ないものというべきである。しかも、請求人商標の我が国における周知著名性が認められないのであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者が本件商標より請求人商標を直ちに連想、想起するものとは判断することができず、結局、本件商標は、申立人又は申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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