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Trademark Appeal Case

著名商標と出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−22539(T2001−22539/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,クッションカバー,座布団カバー,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,黒白幕,紅白幕,布製ラベル,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第27類「毛皮の敷物,その他の敷物,壁掛け(織物製のものを除く。),畳類,洗い場用マット,人工芝,体操用マット,壁紙」を指定商品として、平成11年5月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、その構成中に、世界的に有名なイタリア国のデザイナー『Valentino Garavani』が『紳士・婦人既製服・婦人靴・革製バッグ・革小物・香水』等に使用して著名な商標『VALENTINO』の文字を有してなるものであるから、出願人がこれをその指定商品について使用するときには、恰も、前者の業務に係る商品又は前者と経済的に何等かの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)「Valentino Garabani」及び「VALENTINO」などの商標の著名性について

当審において、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」に関して、商標法第56条第1項において準用する特許法第150条第1項の規定により、職権で証拠調べを行った結果、発見した事実(平成15年4月28日付け証拠調べ通知書参照)を総合して判断するに、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして本願商標の登録出願時、既に我が国において著名であったものと認められる。

また、同氏の名前は「Valentino Garavani」「ヴァレンティノ・ガラバーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「Valentino」「ヴァレンティノ」と略して採り上げられており、ファッションに関して「Valentino」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、同氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バッグ、インテリア用品等のファッション関連の商品は、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)「VALENTINO」「valentino」(ヴァレンティノ)の商標(以下、これらの商標を合わせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたというべきであり、このことは本願商標の登録出願時のみならず、現在においても同様であるといい得るところである。

(2)商品の出所の混同について

本願商標は、別掲に示すとおり、図形と文字との組み合わせよりなるものであるところ、これらは常に一体不可分のものとしてのみ把握されるとは限らず、図形部分、文字部分もそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。しかして、その構成文字部分中には、「VALENTINO」の文字を有するが、前記認定のとおり、「VALENTINO」はヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏に係る商品を表示するものとして周知、著名なものとなっているから、本願商標において「VALENTINO」の文字は重要な意味を持つ言葉と認識され、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「VALENTINO」の文字部分に自ずと注意を惹かれ強く印象づけられるものと認められる。しかも、本願商標の指定商品は、引用商標の使用商品である婦人服、紳士服、バック等の材料となる織物、ビニルクロス、ラバークロス、レザークロスなどのほか、ともにデザインが重視される商品であって、デザイナーの関与が十分予想されるものである。

そうすると、本願商標を、請求人(出願人、以下同じ)がその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、周知商標である引用商標を連想させ、本願商標が付された商品が引用商標の一種ないし兄弟ブランド、ファミリーブランドであるなどと誤解し、その商品があたかも上記デザイナーであるヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏又は、同人と組織的・経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。

(3)請求人の主張について

請求人は、平成15年4月28日付け証拠調べ通知書により通知の証拠では、周知であるとする「VALENTINO」の商標が特定できないばかりでなく、証拠自体が古すぎるため現時点での商標の周知性を証明し得ない旨主張する。

しかし、「VALENTINO」などの引用商標がヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏に係る商品を表示するものとして、出願時すでに我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたということは上述のとおりであり、また、現在も「株式会社ヴァレンティノ ブティック ジャパン」(東京都千代田区所在)が、全国の有名百貨店において、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏のデザインに係る商品を、引用商標を用いて販売していることは、ファッション関連商品を扱う業界においては明らかな事実である。

そうとすれば、商標に化体された信用・評判・名声は、継続して使用される程蓄積されるのが通常であることから、引用商標の著名性は現在も継続しているものと認め得るものであり、さらには引用商標の著名性は多数の「VALENTINO」関連の判決(平成14年(行ケ)第354号、平成14年(行ケ)第370号、平成14年(行ケ)第421号など)においても肯定されているところであるから、通知した証拠が古いことを理由にこれを否定できるものではなく、これら引用商標が周知、著名でないことを客観的に証明することもない請求人の主張は採用し得ない。

次に、請求人は「VALENTINO」はイタリア国等ではありふれた姓名であることからヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏以外の者の営業の標識としては保護されないとするのは公益に反する旨を、さらに、市場には既に「VALENTINO」を含む多数の商標が存在する状況から、「VALENTINO」の文字のみには自他の商品を識別する能力がもはやない旨主張する。

しかし、「VALENTINO」がイタリアでありふれた姓名であっても、我が国においてありふれた姓名であるとは認められないし、そのことが、我が国において、商標として識別力を獲得することの妨げや、周知となった当該姓名を特定の商品の分野で独占的に使用することを認める妨げになると解すべき理由はない。また、「VALENTINO」を含む商標が市場において多数使用されているからといって、それが常に出所について混同を生ずるおそれもなく取引に資されていることを意味するわけではないし、混同を惹起させるかどうかは対象とする商標ごとに個別具体的に判断すべきことであって、本件事案とは直接関係するものではない。

なお、請求人は、平成11年7月から実施された商標審査基準の運用にも言及しているが、著名商標の保護の強化については、国際的な趨勢であるばかりでなく、それ以前から、工業所有権の保護に関するパリ条約の趣旨に添った運用を行ってきたところであり、また、そもそも、商標の類否・混同等の判断は、各商標につき個別具体的に判断されるべき性質のものであること前述のとおりであるから、該商標審査基準の運用を違法ということはできず、本願商標についての判断を左右することにはならない。

そうしてみると、請求人の主張は根拠のないものであって、いずれも採用できない。

(4)まとめ

以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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