Trademark Appeal Case
公的資格誤認と公序良俗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−18338(T2000−18338/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「公認日本経営診断士」の文字を標準文字とし、第16類「印刷物、文房具類(昆虫採集用具を除く。)」を指定商品として、平成11年2月17日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『公認日本経営診断士』の文字よりなるところ、これはあたかも公的職業資格として現に存在するかのごとく認識される商標と認められるものであるから、このようなものを一私人が自己の商標として採択・使用することは国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序、善良の風俗を害するおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり、「公認日本経営診断士」の文字よりなるものである。
ところで、末尾に「士」の文字が付される場合は、「弁護士」や「学士」など「一定の技能や資格を持つ人」の意を表す場合が多く、また、一般の国民の間でもそのように理解する場合が多いといえる。
そして、資格は、大別すると、国・地方自治体及びこれらに準ずる機関が法律によって試験を実施し、認定する国家資格、財団法人・社団法人・日本商工会議所などが試験を実施して文部省などのような官庁又はその大臣が認定する公的資格、上記した資格以外のものであって、法律の適用を受けることない民間資格とがあるところ、国家資格は、前記のとおり、法律の定めにより、国家試験の実施を行い、一定の基準を満たした能力、あるいは知識や技能を備えたと認定された者に限って、一定の地位・権限を付与するものが圧倒的に多く、資格に対する一般の国民の信頼性が高いといえるものである。これに対し、民間資格は、前記のとおり、法律で何ら規制されず、認定された資格自体の知識・技能水準が一般の国民の間で必ずしも明確には把握されていない場合が多いといえるから、国家資格と民間資格とでは、一般の国民に対する信頼度等において大きな隔たりがあるといわなければならない。
さらに、末尾に「士」の文字が付される資格には、「弁護士」、「弁理士」、「公認会計士」、「税理士」、「中小企業診断士」、「不動産鑑定士」、「司法書士」、「行政書士」、「建築士」等々、国家資格に数多くあり、これらの資格の名称は一般の国民の間で広く知られているといえる。
上記した事情のもとで、一般の国民が「公認日本経営診断士」の文字よりなる本願商標に接した場合、全体として、「国家、社会などに正式に認められた日本における企業等の経営に関し、適切な指導等を行う資格を有する人」なる意味合いをもって、国家資格の一種類を表したと理解する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そうすると、国・地方自治体及びこれらに準ずる機関と何らの関係を有しないと認められる請求人が、国家資格を表したと理解させる「公認日本経営診断士」の文字よりなる本願商標をその指定商品について使用することは、国家資格の制度に対する社会的信頼を失わせるものであるから、社会公共の利益に反し、穏当でなく、また、本願商標を使用した指定商品は、需要者に国・地方自治体及びこれらに準ずる機関と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その出所について誤信させ、取引の秩序を乱すおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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