Trademark Appeal Case
立体商標の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−3748(T2001−3748/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、平成11年12月20日に登録出願、指定商品については、願書記載の指定商品を、原審における同12年12月14日付け手続補正書をもって、第29類「ハム」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品中の『ハム』との関係より、その商品の形状(包装容器)の一形態と3パックのまとめ売りの販売形態を容易に認識させる立体的形状をもって表してなるものであるから、これをその指定商品中の『ハム』に使用するときは、単に商品の品質、包装の形状及び販売形態を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、後掲のとおりの構成よりなるものであるところ、立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の有する機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の有する美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
さらに、本来的には自他商品・役務を識別するための標識として採択されるものではない立体商標については、登録によって発生する商標権が全国的に及ぶ更新可能な半永久的な独占権となることを考慮すれば、その識別性について厳格に解釈し、適用することが求められるところである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、原則として、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)請求人は、「本願商標は、商標の識別という観点を離れて形式的かつ厳格にその構成を観察すれば、まとめ売りの販売形態を認識させる可能性は存在するが、願書に添付の『商標の説明書』の記載から理解できるように3つの包装容器を少しずつずらして配置することによりあたかも一つの包装容器からなる商品のように認識される独創的な構成からなるものであって、本願の指定商品の分野において類似品が存在しない商品の形状であるから、『3パックのまとめ売りの販売形態』を『容易に』認識させる立体的形状では決してないものである。また、指定商品『ハム』との関係おいて、その商品の形状(包装容器)の一形態と3パックのまとめ売りの販売形態を容易に認識させる立体的形状でもなく、更に、『ハム』に使用するときは、単に商品の品質、包装の形状及び販売形態を表示するにすぎないとの認定がなされるべきでなく、その商品『ハム』の形状(包装の形状を含む)を普通に方法で表示する商標でないことは明らかである。この点に関し、拒絶査定の理由中では、登録第4428284号との大きな差異として、『P』及び『プリマハム』の文字が付加されている点を説示するが、審査官は本願商標がその商品分野において商品『ハム』に使用された場合に、単に商品の品質、包装の形状及び販売形態を表示するにすぎないとする根拠及び証拠の明示が何らなされていないことからすれば、これは単なる商品の品質、包装の形状及び販売形態を表示するにすぎないとの認定がなされるべきでなく、その商品『ハム』の形状(包装の形状を含む)を普通に方法で表示する商標でないことは明らかである。」旨主張しているので、この点について検討する。
(3)本願商標は、後掲のとおりの立体的形状よりなり、スライスしたハムを包装した容器を等間隔にずらして、3パック重ね合わせた形態として、普通に看て取れるものであるところ、業界においては、真空パックされたハムを粘着テープ等を用いて、3パックひとまとめにした状態で販売することは、一般的であるといっていいものである。
そうすると、本願商標は、3パックまとめ売りにおける商品「ハム」の包装の立体的形状にすぎないものであると認められるから、これをその指定商品「ハム」に使用しても、取引者・需要者は、それが「ハム」をパック販売する包装の形状(容器)としての一形態を表したものと認識するに止まり自他商品の識別標識とは認識しないと判断するのが相当である。
(4)請求人は、「更に、万一、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、大量の宣伝広告及び販売数量によって、本願商標を使用された商品は既に本件審判請求人又は譲っても特定の何人かの業務に係る商品であると商品『ハム』の取引者及び需要者間において認識されるに至っているものである。即ち、例えば、第2号証の通りの宣伝広告資料を大量に配布してスーパーマーケット等の大型量販店で大量に販売されていることから、昨年4月から本年2月までの販売数量は、合計約238トンに及び、その売上高は、約3億4千9百万円(第3号証)にも及んでいることからも商品『ハム』の取引者及び需要者間において大変好評を博していることが明らかである。よって、本願商標はその使用実績において十分に商標法第3条第2項の適用を受けることができる商標であるから、既に、本願商標が商標法第3条第2項の適用により商標法第3条第1項第3号に該当するとの拒絶理由は解消している。なお、商標法第3条第2項の適用の主張にあたり、識別力取得の認定のための証拠資料が不足しているとの認定の場合には、その旨のご指摘に従い追加証拠の提出の用意があるので、その具体的なご指摘をお願いする次第である。」旨主張しているが、平成15年6月6日付けの審尋において、「提出された第2号証及び第3号証の証拠方法によっては、出願された商標が使用により識別力を有するに至ったか明らかでないので、商標法第3条第2項の適用に必要な証拠方法を追加して提出されたい。」旨通知したが、この点について応答がなく、請求人の提出した証拠によっては、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至った商標であると認定することはできない。
その他、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を有するものであるとして、需要者に認識されているという格別の理由は見いだせない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(5)以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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