Trademark Appeal Case
商品形状の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−2488(T2000−2488/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類「工業用洗浄機の部品」、第17類「プラスチック基礎製品」を指定商品として、平成10年12月17日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成14年11月29日付手続補正書をもって、第7類「工業用洗浄機の洗浄ブラシ」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『突起を有する管状のもの』を認識させる立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品中『突起を有する管状製品』について使用しても、単に商品の品質・形状を認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」(30頁)においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地裁 昭和52年12月23日言渡 昭和50(ワ)3035号)との判示がなされており、これと同旨の判示をした判決はこの他にも多数存するところである。
したがって、前記(1)の解釈は、本件独自の見解でないことは明らかである。
(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示すとおり、円柱状の突起構造を有する円筒状の工業用ブラシであることから、指定商品の形状の一形態を表したものであって、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(4)請求人は、「本願の立体的形状は、特異な立体的は形状のブラシで、高い評価を受けており、第3者の製造、販売していない工業用洗浄ブラシである。」旨主張している。
しかしながら、本願商標に係る工業用洗浄ブラシが他社の製品とは異なる新規な形状を示しているとしても、それは専ら、商品の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであることは前記3(1)で述べたとおりであり、それをもって直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認めがたく、これに接する取引者・需要者もまた、工業用ブラシの形状の範囲のものと認識するにすぎないというべきであるから、請求人の主張は採用できない。
(5)請求人は、本願商標は、昭和57年以来継続して、商品「工業用洗浄機の洗浄ブラシ」に使用しているものであって、長期間の使用の結果、何人かの業務に係る商品であるかを認識するに至ったと主張し、甲第3ないし第13号証を提出している。
しかしながら、甲第6号証及び甲第9号証の「新聞記事情報」は、商品「ローラー状PVAスポンジ」及び「PVAスポンジ」の機能等を紹介した記事情報であり、該商品の立体的形状については何ら紹介されていない。また、甲第10号証の1ないし6は、商品の納入先等の一覧表であるが、該一覧表は、請求人会社が作成したものであるから、客観性に欠けるものであって、本願商標の立体的形状の使用により自他商品の識別力を有するに至った事実を証明する証拠とは到底認められない。
さらに、甲第11ないし第13号証は、請求人会社と取引先の証明であると認められるものであり、これらの証拠によっては、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているとするには十分といえないものであるから、請求人の主張は採用できない。
その他、請求人提出の甲各号証を総合してみても、本願商標それ自体が自他商品の識別標識としての機能を有する証拠は発見し得ない。
(6)してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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