sokuhyo

Trademark Appeal Case

登録商標と使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30526(T2002−30526/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標及び使用に係る商標

本件登録第4262986号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年4月1日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」外、第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類、第21類、第22類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年4月16日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

また、被請求人の使用に係る商標(以下「使用商標」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなるものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の商標登録中、『第25類 全指定商品』にかかる部分についてこれを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。

2 請求の理由

請求人の調査したところによると、本件商標は、被請求人によって、その登録に係る第25類の全指定商品について、少なくとも継続して過去3年以上に亘り使用されている事実を発見することができなかった。

さらに、登録原簿によれば、使用権の設定登録もされていない。

よって、本件商標登録中、第25類の全指定商品にかかる部分は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。

3 答弁に対する弁駁

ホームページ資料(乙第1号証)及び新聞記事(乙第2号証、乙第7号証ないし乙第13号証)については、本件商標の使用を形式的にも証明するものではない。これらの新聞記事等では、単に店舗の名称として「PAS」が存在することを示すだけで、「PAS」が商標として、商品に使用されている事実を何ら示すものではない。

店舗のウインドウや洋服の下げ札、夕グ、値札、ちらし広告、買物袋等の写真やコピー等(乙第3号証ないし乙第6号証、乙第14号証ないし乙第16号証)の中には、商標の使用の事実を直接的あるいは実質的に示すものであるか疑問の余地があるものもあるが、その点について言及するまでもなく、使用商標は、「S」が1つないうえに、使用商標の「PAS」はロゴ化されており、本件商標とはデザイン的な印象も全く異にしている。また、両者は同じ「パス」の呼び名が生じるとしても、「PAS」は造語であるから、意味・内容の共通性も全くない。このような違いがある場合、社会通念上同一の商標とはいえない。

以上から、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が被請求人等によって審判請求登録前3年以内に使用されていたことは何等証明されていない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。

1 本件商標の使用について

本件商標は、平成13年5月19日から現在に至るまで、市場において継続して使用され続けているものである。

乙第1号証に示すように、被請求人は、「ノンエイジ、ユニセックスのデイリーカジュアルウェアショップ」を展開することとなり、平成13年5月19日に、九州福岡市に所在するダイエー原店(福岡市早良区原6−27−52)並びにダイエー笹丘店(福岡市中央区笹丘1−28−74)の2店舗に、先ず、本件商標を付した商品の販売店舗を開設した。これらの売場においては、レディス商品45品目、メンズ、ユニセックス商品75品目、キッズ商品30品目等のカジュアル衣料品を中心に販売がなされている。

この新店舗展開のニュースは、新聞記事(乙第2号証)により、当時大きく報道された。その後、千葉県松戸市の五香店(千葉県松戸市五香8−44−6)及び埼玉市の蕨店(埼玉県蕨市塚越5−6−38)においても、平成13年7月に商品販売が開始され、現在に至っている。

これらの店舗における本件商標の使用状況を乙第3号証ないし乙第4号証の写真により、商品タグやプライスカードを乙第5号証及び乙第6号証により、チラシ広告、買物ポリ袋、紙製買物袋を乙第14号証ないし乙第16号証にて立証する。

また、平成13年8月に、件外甲社から不正競争防止法に基づく店舗内外装の使用中止を求める仮処分申請がなされた。この事件については、テレビ、新聞雑誌等々で盛んに取り上げら、それらの記事やテレビ放送では、連日、本件商標が新聞に書かれ、本件商標の称呼がテレビで連呼された(乙第7号証ないし乙第13号証)。

2 本件商標の使用態様について

本件商標は、欧文字4文字の「PASS」であり、使用商標は、欧文字3文字の「PAS」であるが、両者の外観酷似は十分に残存し、その語から登録商標であり欧文の称呼でもある「パス」の称呼が生じ、この片仮名「パス」からは「PASS」の観念も生じるものである。

また、本件商標中の片仮名「パス」は、被請求人のプレス・リリースをはじめ新聞記事において頻繁に使用され、テレビ放送の報道では「パス」と連呼され続けて、被請求人の店舗や商品が紹介されており、自他商品の識別機能を果たしているものである。このように、本件商標の使用態様は、十分に社会通念上、本件商標の同一範疇内にあると認められるものである。

また、PAS/パスが全国的な規模で販売されている衣料品の称呼であり、PAS/パスが被請求人のマークとして需要者の間にすでに広く認識されているところからも、この変更が本件商標の有する独自の識別性に何ら影響を与えていないものであり、その限りにおいては、なお同一の範囲に属する標章と認識されるのが需要者や取引者の通念であるといえるものである。

上述のように、「社会通念」、「取引者の通念」というものが、周辺事情等により事案毎に相異する実情に鑑みるとき、本件使用商標「PAS/パス」は、本件商標の使用であって、それ故、商標第50条1項における登録商標の使用要件を充足しているものである。

第4 当審の判断

被請求人が提出した乙各号証をみるに、乙第1号証は、被請求人のホームページ資料であり、そこには、「PAS(パス)」の新規展開についての表題のもと、「ノンエイジ、ユニセックスのデイリーカジュアルウェアショップ『PAS(パス)』を5月19日(土)に、福岡市の原店および笹丘店にオープンいたしますので、お知らせいたします。・・・『PAS(パス)』は当社開発商品で構成したノンエイジ、ユニセックスのデイリーカジュアルウェアのショップです。・・・2.展開計画(1)時期:2001年5月19日(土)より順次」とあり、今後の展開計画やTシャツ、スカート、ジャケット、ソックス、帽子等々の主な取扱商品及び価格が掲載されている。

乙第2号証は、2001年5月17日発行の繊研新聞であり、「ダイエーは19日、カジュアル分野でSPA(製造小売業)型の売場『PAS』(パス)を立ち上げる。・・・パスは、ノンエージ対応のデーリーカジュアルでインナー、服飾雑貨もそろえる。・・・パスはPB比率100%を基本としている。・・・」旨記載されている。

乙第3号証は、撮影日が平成13年8月31日のダイエー蕨店内の写真であり、乙第4号証は、撮影日が同年7月27日と8月31日のダイエー五香店内の写真であって、いずれの写真にも、売場には使用商標が掲げられており、また、乙第4号証には、Tシャツ等の衣料品に使用商標が表示されている商品タグやプライスカードが付されていることを認めることができる。

乙第5号証は、商品タグであり、乙第6号証は、プライスカードであって、いずれにも使用商標が表示されていることが認められる。

乙第14号証は、7月26日(木)から同月29日(日)の日付のあるダイエー各店にわたるチラシ広告であり、Tシャツ等の衣料品が掲載されており、使用商標が表示されていることが認められる。そして、日付と曜日の関係からみれば、7月26日(木)及び同月29日(日)の日付は平成13年の日付と認められるから、乙第14号証のチラシは、平成13年の当該月日当時に配布されたチラシ広告と認められるものである。

乙第15号証は、買い物用のポリ袋であり、乙第16号証は、買い物用の紙製袋であって、いずれにも使用商標が表示されていることを認めることができる。

以上の証拠方法を総合してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録(平成14年6月5日)前3年以内である平成13年7月26日(木)から同月29日(日)当時、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る第25類の指定商品に含まれる「Tシャツ等の衣料品」について使用していたものと認めることができる。

この点について、請求人は、使用商標は本件商標と比べて「S」が1つないこと、ロゴ化されていること、「PAS」は造語であるから、使用商標と本件商標との間には意味・内容の共通性が全くないことを挙げて、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない旨主張している。

確かに、使用商標は、後掲(2)に示したとおり、本件商標の欧文字に比べて「S」の文字を一つ欠いており、また、やゝロゴ化されているということができる。

しかしながら、「PASS」と「PAS」の文字とでは、語尾部分の重複した文字の一つの欠落にすぎないものであり、しかも、これらより生ずる読みも同じ「パス」の称呼であることから、「S」の文字が二つであるか一つであるかという数の違いに、さほど、強い印象の差があるものとは認められず、ロゴ化の程度も商標の印象を大きく左右する程のものとは認められない。

また、「PASS/パス」の語は、「通行、無料乗車券」等を意味する語として知られている語であるところ、取消請求に係る衣料品等の需要者は、老若男女を含む一般的な消費者であり、我が国において、これらの一般的な消費者の多くが英語に堪能な者ばかりであるとはいえないから、「PASS」と「PAS」の語とを必ずしも正確に峻別して認識、記憶しているとは限らず、「PAS」の語が親しまれた意味合いを表す語として知られているものではないこととも相まって、使用商標に接した需要者は、むしろ、親しまれた「パス」の称呼から「通行、無料乗車券」等の意味を想起してしまう場合も否定し難いところである。そうとすれば、厳密な外観上、語義上の差異のみをとらえて、直ちに、外観及び観念上から両者の同一性を否定することは適切なこととはいえない。

そして、被請求人のホームページ資料である乙第1号証によれば、この「PAS」の文字は「パス」と称呼されるものであることが示されているばかりでなく、被請求人店舗の立ち上げを報道する乙第2号証の繊研新聞においても「ダイエーは・・・『PAS』(パス)を立ち上げる。・・・パスは、ノンエージ対応・・・パスはPB比・・・」のごとく「PAS」を「パス」と表記しており、また、平成13年8月に件外甲社から不正競争防止法に基づく店舗内外装の使用中止を求める仮処分申請がなされた事件の各紙報道記事(乙第7号証ないし乙第13号証)においても「ダイエー店舗内のカジュアル衣料専門店『PAS』(パス)は・・・パスは・・・」のごとく「PAS」を「パス」と表記して報道されている事実を認めることができる。

してみれば、本件商標と使用商標とは、形式的に対比してみれば、同一の商標とはいえないとしても、上記のような使用の実態を反映した報道が広く行われていた実情を勘案し、商標に接する需要者の認識をも踏まえてみれば、使用商標は、本件商標と同一の称呼である「パス」の称呼をもって使用されており、かつ、外観及び観念においても酷似した商標として認識され得るものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標の範囲内にあるものとみるのが相当であり、この点について反論している請求人の主張は、採用できない。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る第25類の指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。