結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成9年審判第20430号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2614322号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成元年3月30日に登録出願、「GIANNI VALENTINO」の欧文字を横書きしてなり、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、同5年12月24日に設定登録されたものである。
請求人が引用する商標は、以下のとおりである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第35号証(枝番を含む。)を提出した。
請求人は、イタリアの服飾デザイナーとして全世界に著名な「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の同意を得て、同氏のデザインに係る各種の商品を製作、販売し、これらの商品に「VALENTINO GARAVANI」、あるいは「VALENTINO」の欧文字からなる商標を使用している者であるが、上記の「VALENTINO GARAVANI」の氏名は単に「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されており、この略称も本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっているところであり、この略称の著名なことは甲第8号証(商願昭61−81516号に対する登録異議の申立てについての決定謄本)をはじめとして、甲第13号証、同第15号証、同第16号証、同第20号証、同第23号証、同第32号証及び同第34号証(報知新聞)によって立証されている。
しかるところ、本件商標を構成する「GIANNI VALENTINO」の文字の後半部の「VALENTINO」の文字は、上記「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の氏名の著名な略称を含む商標でことは明らかであり、その他人の承諾を得ずに登録出願されたものであることが明らかである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
本件商標と引用A商標を比較するに、本件商標は、前記に示すとおり、「GIANNI VALENTINO」の欧文字よりなるものであるところ、その全体を称呼するときは「ジアンニヴァレンティノ」の9音にも及ぶ冗長なものとなるばかりでなく、「ジアンニ」と「ヴァレンティノ」の間に段落を生ずるものであり、しかも、上記のデザイナー「VALENTINO GARAVANI」の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることとも相挨って、本件商標は、単に「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって、取引に資される場合が決して少なくないものとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものといわざるを得ない。
一方、引用A商標は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなるものであって、これはイタリアの著名なデザイナー「VALENTINO GARAVANI」の氏名を表すものであるが、婦人服、紳士服、ネクタイ等の被服、バック、ベルト、靴、ライター等に使用された結果、全世界に著名な商標となっていることは、甲第9号証(商願昭62−132065号に対する登録異議の申立てについての決定謄本)によっても明らかであり、その構成文字全体から生ずる「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼の他、構成文字前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって取引に資されている場合も決して少なくないのが実情である。
そうとすれば、引用A商標は、「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用A商標は、「ヴァレンティノ」の称呼を共通にする類似の商標であることは明らかであり、また、本件商標と引用A商標の指定商品が同一のものであることも明らかであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
請求人は、引用A商標の指定商品以外の商品についても、多数の登録商標を使用している。これらのうち、引用BないしE商標を引用する。
そして、請求人の「VALENTINO」、あるいは「VALENTINO GARAVANI」の文字からなる商標は、これが「被服、ネクタイ、バッグ、ベルト、靴、ライター」等に使用され、本件商標の登録出願日(平成元年3月30日)前から周知、著名であることは特許庁においても明らかである(甲第9号証ないし同第34号証)。
また、本件商標と引用AないしE商標が称呼上類似する商標であることは上記2で述べたとおりであり、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている商品はいずれも服飾品の範疇に属する密接な関係にある商品である。
したがって、本件商標は、これを被請求人がその指定商品に使用するときは、その商品が恰も請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか、又は請求人と経済的、組織的に何等かの関係にある者、すなわち、姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるをえない。
被請求人は、本件審判の請求は、これを却下する、又は本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第30号証(枝番を含む。)及び資料1ないし30を提出した。
本件審判の請求は利害関係人によるべきところ、請求人は本件審判の請求について利益を有するものであるのか何ら説明をしていない。
したがって、本件審判の請求は利害関係を有しないものによってなされた不適法なものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により、その請求は却下されるべきである。
(1)請求人は、「VALENTINO」の文字がイタリアの服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の氏名の著名な略称であると主張しているが、同氏の略称としてのみ著名であるとの事実は全くなく、著名であるとする証拠も本件に関してはなんら提出されていないものである。
甲第8号証の2(登録異議の決定)においては、「『VALENTINO』の文字が・・『VALENTINO GARAVANI』の著名な略称でもある・・」とあるが、「『VALENTINO GARAVANI』のみの著名な略称である・・」とは記載されていない。
わが国に世界の一流品、世界のブランドを紹介する雑誌においても、請求人の商標「VALENTINO GARAVANI」を始めとして、「Mario Valentino」、「Valentino Rudy」等が掲載されている(乙第1号証)が、いずれの商標も「VALENTINO」とのみ略称して使用されていないし、「VALENTINO」が請求人の商標として著名であるとの事実もない。
(2)「VALENTINO」の文字を含むデザイナーは複数存在し、それぞれ自らの氏名を商標として使用しているが、これらのデザイナーの間では、他のデザイナーに不側の不利益を及ぼさないように氏名商標として一連に表示すべきであるという認識が広まっており、これによって秩序が保たれている。
甲第33号証(新聞広告)には、ベルト、バッグについて、「valentino garavani」、「Mario Valentino」の各商標が同一紙面上に掲載されている。
乙第2号証の1(商品広告)においては、バッグ、財布、靴、子供服について、被請求人の商標「GIANNI VALENTINO」「ジャンニ バレンチノ」と「Rudolph Valentino」「ルドルフ バレンチノ」の各商標が同一紙面上に掲載され、また、乙第2号証の2(商品広告)においても、眼鏡について、「Valentino Rudy」、「VALENTINO CHRISTY」、「ANDRE VALENTINO」の各商標が同一紙面上に掲載されている。
このように、「VALENTINO」、「バレンチノ」等の文字を含む商標を付した商品は多数存在し、同一紙面上で広告掲載されたり、売場を同じくすることも少なくないが、いずれにおいても問題は生じていない。
(3)かかる取引の実情を考慮すると、「VALENTINO」の文字を含む商標所有者が「VALENTINO」とのみ省略して使用するときは、かえって他のデザイナーとの区別がつかなくなり、需要者・取引者をしてそれらの者の業務に係る商品を表示するものとして識別することを困難にせしめ、商取引を混乱に陥れることになり兼ねないと考えられる。
甲第13号証の2、甲第15号証の2、甲第15号証の3、甲第16号証の2、甲第20号証の2、甲第23号証の3、甲第32号証の2、甲第32号証の3、甲第32号証の5(雑誌)の記載等をみると、被服について、「valentino」「ヴァレンティノ」の文字とともに、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」「valentino garavani」「VALENTINO GARAVANI」等の文字が使用されており、これにより、デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(バレンティノ ガラバーニ)に係る商標であることを担保しようとする請求人の意思が推認される。
他方、甲第34号証(新聞記事)には、単に「バレンチノ」と記載され、「イタリアの有名デザイナー」である旨付記されているが、前記の「マリオ・バレンティノ」等も「イタリアの有名デザイナー」であり、かかる記載のみからはどのデザイナーなのか特定することは極めて困難である。
(4)よって、「VALENTINO」の文字は、「VALENTINO GARAVANI」の氏名の略称として著名であるとの事実は認められず、本件商標は氏名商標として一連に表示したものとして認識されるのであるから、商標法第4条第1項第8号に該当しないものである。
(5)なお、本件商標は、イタリアの著名なデザイナー「GIANNI VALENTINO」(ジアンニ バレンチノ)の文字を書してなるものであるが、同氏からの承諾(乙第3号証)に基づき、被請求人の関連会社であるヤング産業株式会社が、本件商標に係る商標権を取得した後、同社から被請求人に譲り渡されたものである。
わが国には、「GIANNI VALENTINO」の商標の使用に関して19社のライセンシーと4社のサブライセンシーが存在するが、ヤング産業株式会社はジャンニ・バレンチノ事務局として機能し、被請求人も同社に本件商標の管理運営を委託している(乙第4号証ないし同第6号証)。
(1)本件商標と引用A商標の類否について比較検討すると、両商標は、その構成において顕著に相違しており、外観上の差異は明確に区別して認識することができるから、外観において相紛れるおそれのない非類似の商標である。
つぎに、本件商標と引用A商標の称呼及び観念について検討すると、本件商標は、イタリアのデザイナー「ジアンニ バレンチノ」の氏名を表したものであり、その構成文字に相応して「ジアンニ バレンティノ」の称呼が生ずるものであるのに対し、引用A商標は、イタリアのデザイナー「バレンチノ ガラバーニ」の氏名を表したものであり、その構成文字に相応して「バレンチノ ガラバーニ」の称呼が生ずるものである。
そこで、本件商標の称呼と引用A商標の称呼を比較すると、「ジアンニ」「ガラバーニ」の有無という明確な差異があるため全体の語感語調は全く異なり、明瞭に区別して聴取することができるものである。
また、両商標は観念上も明らかに相違するものである。
(2)請求人は、本件商標について、「GIANNI」の文字と「VALENTINO」の文字の間に段落を生ずるものであるから、需要者一般に親しまれている「VALENTINO」の文字に相応して「ヴァレンティノ」の称呼が生じ、また、同じく引用A商標「VALENTINO GARAVANI」は「VALENTINO」の文字に相応して「ヴァレンティノ」の称呼が生じ、本件商標と引用A商標は類似すると主張する。
しかしながら、本件指定商品の属する第22類のみを取り上げても、「VALENTINO」の文字を含む商標は多数存在し、引用A商標、「GARAVANI VALENTINO」、「MARIO VALENTINO」、「VALENTINO RUDY」、「Toscani Valentino」、「Valentino/orlandi」の各商標は、いずれも一体不可分の商標として認識され、別異の商標であると判断されている(乙第7号証ないし同第12号証)。
(3)取引の実際においては、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーが他にも存在し、「VALENTINO」の文字を含む一連の商標とその他の「VALENTINO」の文字を含む一連の商標とは、別異の商標として認識され取引に資されているのであり、需要者をして商品の出所につき混同を生ぜしめるおそれはないものである。
それ故、引用A商標が、たとえ甲第9号証(登録異議の申立ての決定)に記載されているように、「『VALENTINO』或いは『VALENTINO GARAVANI』からなる商標を・・・使用され、・・・周知著名である・・・」としても、請求人のみが「VALENTINO」とのみ省略して取引するときは、他のデザイナーとの区別がつかなくなり、秩序を乱すこととなる。
(4)したがって、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(1)被請求人は、「VALENTINO GARAVANI」の商標が著名なものであることを否定するものでは決してない。
しかしながら、「VALENTINO」の商標、「VALENTINO」の略称は、たとえ請求人が使用していても請求人の商標として著名であるとの事実は全くない。
すなわち、被服、ハンドバック、くつ等の商品分野では、請求人と同等あるいはそれ以上に著名なイタリーのデザイナー「マリオ・バレンティノ」がおり、同人が使用する「MARIO VALENTINO」の商標は著名商標として認識されている。乙第1号証(雑誌)においては、「VALENTINO GARAVANI」、「MARIO VALENTINO」等が掲載されているが、いずれの商標も「VALENTINO」とのみ略称して使用されていない。
(2)「VALENTINO」の商標、略称が請求人の商標として周知著名ではないことは、他の商品区分での審査における判断でも支持されているものである。
すなわち、「GIANNI VALENTINO」の商標、「GIANNI VALENTINO」の文字を含む商標について、多くの商品区分で登録を得ており、出願公告後にグロベレガンセ ビー ベーという会社から登録異議申立てを受けたが、いずれの商品区分においても、登録異議申立ての理由はないとの決定がなされている(乙第14号証及び同第15号証、乙第17号証及び同第20号証、乙第21号証及び同第22号証、乙第23号証ないし同第28号証)。
(3)このことは、過去の審判事件における審決例によっても裏付けることができるものである。
まず、第21類における「Valentino Franchini」の商標に対して、出願公告後、グロベレガンセ ビー ベーにより登録異議申立てがなされたが、登録異議申立てに対する決定においては、「Valentino Franchini」の文字は、イタリアなどにおいてしばしばみられる男子の姓名を表したものと容易に理解し得るところであり、そして、姓と名のいずれか一方によってもなお、当該人を明らかに認識し得るが如き格別の事情があればともかく、通常かかる姓名の場合には、これを一体のものとして把握し観察するのが自然であって、いかに簡易迅速を尊ぶ商取引の実際を考慮しても「Valentino」と「Franchini」とを分離して、単に「ヴァレンティノ」と称呼されるとはみられないとされ、登録異議申立ての理由はないものと決定されている(乙第29号証)。
また、第17類における「Valentino Rudy」の文字を含む商標に対して、出願公告後、グロベレガンセ ビー ベーにより登録異議申立てがなされたが、登録異議申立てに対する決定においては、「Valentino Rudy」の文字部分は欧米人の氏名を表すものであって、通常は構成全体の文字より生ずる一連の称呼をもって、取引に資されるとみるのが相当であるとされ、登録異議申立ての理由はないものと決定されている(乙第30号証)。
(4)以上のように、「VALENTINO」の文字を含む商標は、請求人一人のものではなく、他にも著名商標が存在し取引市場を同じくしている以上、「VALENTINO」とのみ略称して使用するのは、かえって取引者・需要者をして混乱せしめることにならざるを得ない。
よって、「VALENTINO」のみの商標、「VALENTINO」の略称は、請求人の使用に係るものとして周知著名なものではない。
したがって、引用各商標中の「VALENTINO」の文字のみ、「VALENTINO」の略称のみからは「VALENTINO GARAVANI」を看取し得ず、本件商標をその指定商品に使用しても、請求人若しくは同人と何らかの関係あるものの業務に係る商品であると誤認し、商品の出所につき混同を生ずるおそれはないものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
よって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とされるべき理由は全く存在しない。
本件においては、請求人は、本件商標の登録が存在することにより、自己の取り扱いに係る商品と本件商標を使用した商品との間に、出所の誤認混同を生じさせるおそれがある、ないし請求人の人格権が害されると主張しているのであるから、本件商標の登録を無効にし、排除せんとすることは、商標権の本質に照らして当然の権利というべきものである。
したがって、請求人は、本件商標の存在によって、直接不利益を受ける者であるから、本件審判の請求をするにつき、利害関係を有するというべきである。
(1)「服飾辞典」(昭和63年9月10日第10刷文化出版社発行)には、「イタリア北部の都市に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判になり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。ヴァレンティ−ノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクションからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしている。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々である。物をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァレンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーといえる。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。」との記載がある。
(2)「英和商品名辞典」(1991年初版第3刷株式会社研究社発行)には、「イタリア RomaのデザイナーValentino Garavani(1932?)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字で書くこともある)。・・・1967年にFirenzeで白一色のコレクションを発表してマスコミに大きく取り上げられ、一躍その名を高めた。」との記載がある。
(3)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日岩波書店発行)には、「ガラヴァーニ,ヴァレンティノ Garavani,Valentino」の項において「通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933−)服飾デザイナー.ローマ生まれ.ミラニとパリでファッションを勉強し、その後、パリのジャン・デッセ(1904−70)とギー・ラロシュのもとで働く.1959年に自分の店をローマに開くが、世界的に認められるようになったのは1962年のフィレンツェでのショーKARADEARU.」との記載がある。
そして、「ヴァレンティノ」(若しくは「バレンチノ」)の表示は、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の氏名、またはそのデザインに係る商品群に使用されるブランド(「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」)の略称を表すものとして、本件商標の登録出願前より、我が国のファッション関連の商品分野の取引者及び需要者の間で広く認識されていたものというのが相当である。
(1)本件商標及びその指定商品について
ア 本件商標は、前記のとおり「GIANNI VALENTINO」の文字よりなるものであるところ、その構成中に、前記5.で認定した「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のデザインに係るハンドバッグ、ベルト、婦人服、紳士服、パーティーバッグ、フォーマルウェア、スポーツウェア、ネクタイ、婦人靴等について使用され、本件商標の登録出願前より、我が国においても取引者及び需要者の間に広く認識されている「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」の略称として、我が国において著名な「ヴァレンティノ」と同一の称呼を生ずる「VALENTINO」の文字を含むものである。
イ 本件商標の指定商品は、前記のとおり、「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」とするものであるところ、該商品は、ファションに関連する商品であって、統一ブランドの下に被服等と合わせてトータル的にファションをまとめようとする昨今においては、著名なデザイナーがデザインし、そのデザイナーの名前をブランドとした商品が市場に多数出回っている実情にある。
(2)上記(1)ア及びイで認定した、本件商標の構成態様及び取引の実情よりすれば、本件商標をその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者及び需要者は、その構成中の「VALENTINO」の文字部分に強く印象付けられ、「ヴァレンティノ」とも呼ばれる「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のブランドを連想、想起し、該商品が「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のブランドの一種、ないし兄弟ブランドであるとの誤解を生ずるか、あるいは「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」、もしくはその関連会社と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように認識する蓋然性が極めて高いというべきである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」を使用した商品との間に、出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(1)答弁について
被請求人は、「VALENTINO」が「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」の略称として、著名ではない旨主張し、第17類、第20類、第21類、第23類等の登録例、審査・審判例を挙げている。
しかしながら、前記2.及び5.で認定したように、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」は、1967年に、白だけの服のファッションショーを開いて、ファッション界にセンセーションを巻き起こし、その名声を確立した。我が国においても、昭和50年代はじめには、同デザイナーが手がけた被服等が新聞雑誌等を通じて紹介され、商品のデザインがエレガントであることなどの理由により、その名前は、ファッション関連の業界にとどまらず、一般の消費者の間にも広く知られるようになったということができる。そして、我が国においては、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」、ないし同デザイナーのデザインに係る商品群について使用される「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」が、単に「ヴァレンティノ」と表示されている事実があることからすると、「ヴァレンティノ」若しくは「VALENTINO」との表記から、一般の消費者は、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」を連想、想起するというのが相当である。
そして、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーに係る商品のブランドが、単に「ヴァレンティノ」若しくは「VALENTINO」と略称されている事実は存在しない。
また、本件商標の指定商品を含めた他の商品の区分において、「VALENTINO」の文字を含む商標が登録されている事実が存在するとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、その登録出願時から査定時において、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」を使用した商品との間に、出所の混同を生ずるおそれがあったか否かの問題であるから、被請求人が挙げる登録商標等の存在に、前記認定が左右されるものではない。
(2)職権でした証拠調べに対する意見について
ア 被請求人は、各証拠とも、記事中の「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の記載との関係で、単に簡略的に用いられているにすぎず、これをもって「ヴァレンティノ」が著名な略称とすることはできない旨主張する。
しかしながら、上記のとおり、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」、ないし同デザイナーのデザインに係る商品群について使用される「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」が、ファッション関連商品の分野の取引者及び需要者の間に極めて著名であること、これらが単に「ヴァレンティノ」と略称されている事実が存在すること、及び「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーに係る商品のブランドが、単に「ヴァレンティノ」若しくは「VALENTINO」と略称されている事実は存在しないことからすると、「ヴァレンティノ」の表示から、取引者及び需要者は、直ちに「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」、ないし同デザイナーのデザインに係る商品群について使用される「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」を想起することは明らかであり、このように、「ヴァレンティノ」の表示は、「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」の略称として広く知られているといえる。
イ 被請求人は、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーは、その使用する商標を他のデザイナーに係る商品と誤認混同が生ずるような商標の使用を避けるため、一連に表示して棲み分けを図っている。
このような取引の実情からみても、「VALENTINO」の文字を含む商標は一体のものとしてみるべきであり、過去の登録異議の決定においても一体の商標であるとの判断をしている旨主張する。
しかしながら、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」以外の、「VALENTINO」の文字を含むデザイナーがその商品に「VALENTINO」の文字を含めた商標を一連で使用しているのは、単に「ヴァレンティノ」若しくは「VALENTINO」と略称され、著名であるという事実がなく、「VALENTINO」の文字のみを使用すれば、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」のデザインに係る商品と誤認される場合があるからとみるべきである。
また、一般の消費者が、「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」以外の「VALENTINO」の文字を含むブランドについて、「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の取り扱いに係る商品群に使用される「VALENTINO(ヴァレンティノ)商標」と誤認混同を生じていないとする証拠もないことから、被請求人主張の「棲み分け」ができていると断定することもできない。
(3)したがって、被請求人の主張は採用できない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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