結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35280(T2003−35280/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4564582号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラボーグ」の標準文字よりなり、平成13年7月16日に登録出願、第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年4月26日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由、商標法第4条第1項第15号の該当性についてを概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第131号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求人が引用する登録第655209号商標(以下「引用商標A」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和36年10月23日に登録出願、第26類「印刷物、ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品として、同39年10月9日に設定登録されたものである。同じく、登録第967284号商標(以下「引用商標B」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和43年12月20日に登録出願、第26類「雑誌、その他本類に属する商品」を指定商品として、同47年6月7日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、第6類「金属製彫刻」、第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」、第19類「石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻」及び第20類「額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」とする書換登録が平成14年11月27日になされている。同じく、登録第4547685号商標(以下「引用商標C」という。)は、「ボーグ」の文字を標準文字により書してなり、平成11年1月8日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同14年3月1日に設定登録されたものである(以下これらをまとめていう場合は単に「引用商標」という。)。
(2)引用商標Aは、請求人の所有に係るファッション雑誌のタイトルとして、日本を含め世界的に著名となっている商標である(甲第2号証の1及び2参照)。
又、引用商標Bは、引用商標Aのカタカナ表記の「ヴォーグ」であって、我が国においては第二次大戦以前より現在に至るまで、前記世界的著名商標(引用商標A)のカタカナ表記として使用されている(甲第3号証の1及び2参照)。
更に、引用商標Cは、我が国文部省の「国語審議会」による指導に基づき、引用商標Aのカタカナ表記として、我が国の新聞社をはじめ、辞典、雑誌等の出版業界で「ボーグ」として使用され、本件商標の出願日以前から周知著名性を獲得し、現在に至っているものである(甲第4号証の1及び2)。
この、引用商標A及びBからは「ヴォーグ」の称呼の他に「ボーグ」の称呼も生じる。
引用商標Aの称呼に関し、『日本語の感覚からすれば「ボーグ」と「ヴォーグ」の称呼の区別はつけにくいところである』点は、東京高裁によるVOGUE関連判決における認定でも明らかである。現に、我が国における「VOGUE」誌の説明においても「ボーグ」と表記している例も多く見られている。
しかも、「登録商標の著名度が高い場合には、その著名度の高い部分に世人の注意が集中し当該著名登録商標の称呼、観念が生じる」ことも裁判所においても明確に認定されているところである。
(3)これに対し、本件商標は標準文字のカタカナ「ラボーグ」からなり、「ラボーグ」の称呼の他に「ラ」「ボーグ」と分離した称呼も生ずる。この点は本件商標の商標権者によるホームページでの現実の使用態様「La Vogue」から判断して見ても、「ラ」の称呼と「ボーグ」の称呼とが分離して生ずることは明らかである(甲第1号証の3参照)。
しかも、本件商標の指定商品は、第29類の全国的にブームに乗っている、いわゆる「健康食品」「自然食品」と、第32類の「清涼飲料、果実飲料」である。
したがって、本件商標は、その出願時及び査定時において、引用商標A、B、Cの各称呼「ボーグ」を共通にし、特にCとは外観が類似し、かつ、指定商品が一般庶民或いは大衆が愛好する商品の典型とも云うべきものである以上、本件商標は明らかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。
被請求人は、本件請求に対し、何ら答弁するところがない。
昭和42年10月6日発行の「朝日新聞」(甲第13号証の1,2)には、「京都の金閣寺で取材する『ボーグ』の一行」と写真とともに紹介する記事が掲載され、「世界的なハイファッション誌、フランスの『ボーグ』がこの12月号に【パリモードを魅惑の日本で・・・】と記載されている。昭和42年10月21号の「週刊新潮」(甲第53号証)には「『ボーグ』に撮られた日本の風景」のタイトルの下、「『ボーグ』とは、いうまでもなく、ファッションの中心、パリで発行されて、世界の流行を左右するといわれる服飾雑誌の権威。」と記載されている。昭和45年8月25日初版発行、平凡社「アポロ百科事典」(甲第54号証)には、「ボーグ Vogue」の項に、「フランスの服飾雑誌。フランス版(1892創刊,年10回パリ発行)のほか、アメリカ版(1915創刊,年20回ボストン発行)、イギリス版(1916創刊,年12回ロンドン発行)がありそれぞれの国の特色を生かして出版されている。」と記載されている。昭和55年1月1日発行の「現代用語の基礎知識」(甲第61号証)には、「ボーグ(vogue)」の項に、「流行。服飾雑誌の名」と記載されている。そして、我が国には、昭和24年10月3日発行の「朝日新聞」(甲第70号証の1,2)に、「『ヴォーグ』入荷 世界的スタイル雑誌『ヴォーグ』が10年ぶりに1日入荷した」と記載されている。また、「VOGUE」誌は平成13年の「NIPPON」版(甲第65号証)によれば、アメリカ版をはじめ、イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・スペイン・ポルトガル・オーストラリア・日本・韓国・台湾・ブラジル・南アフリカ・ロシア・ギリシャの各国版が発行されている。
服飾関係の事典類の記載に関しては、昭和43年5月20日「服飾事典」婦人画報社発行 田中千代編(甲第84号証)には、「『ヴォーグ【Vogue:フランス、アメリカ、イギリス】』の項に、「一般的に最も名の知られた流行雑誌」と記載され、昭和48年4月25日増刷第1版〜昭和54年7月5日増刷第10版発行 田中千代 「服飾事典」同文書院発行(甲第85号証)の「『ヴォーグ【Vogue】』の項に、『ヴォーグ』は、世界でもっとも名高いファッション・ブックの名前でもある。」「一般に最もなの知れた流行雑誌」と記載されている。昭和54年3月5日文化出版局発行の「服飾辞典」(甲第86号証)には、「ヴォーグ【Vogue】の項に『ヴォーグ』といえばファッション誌の代名詞になっている。」と記載され、他に「Vogue Homme」、「Vogue Bambini」の紹介と各誌の表紙写真も掲載されている。
以上の事実に請求の理由を総合すれば、「VOGUE」誌は、1892年アメリカで創刊され、1909年からは、ザ・コンド・ナスト・パブリケーションズ・インコーポレーテッド社により、ファッション雑誌として発行されるようになり(同社が請求人に吸収合併された1988年以降も同社名義で継続して発行されている)、アメリカ、フランス、イギリス等で出版され、世界各国で発売されており、古典的かつ世界的な権威を持ったファッション雑誌として、世界的に広く知られていることを認めることができる。
そしてまた、日本国内においても、「VOGUE」「ヴォーグ」「ボーグ」は、本件商標の出願時である平成13年7月当時はもちろん、その登録時である平成14年4月においても、請求人の発行しているファッション雑誌の題号として、服飾関係の書籍類の取引者、需要者ばかりでなく、ファッションに関連する商品の取引者、需要者間においても広く知られていたものであることを認めることができる。
本件商標は、前記したとおり、「ラボーグ」の片仮名文字を横書きにしてなるものであるところ、その構成文字全体として、特定の語意を有するものとして一般に親しまれているものとは認め難いばかりでなく、その構成中に請求人の取扱いに係るファッション誌の題号を表示するものとして、わが国において著名な「ボーグ」の文字を有してなるものである。加えて、本件商標構成中の「ボーグ」の語がファッション誌「VOGUE」を容易に想起させ、該語の語源がフランス語に由来するものであるところから、語頭における「ラ」の文字部分はフランス語の定冠詞である「La」を表したと理解し、「ボーグ」の文字部分に強く印象付けられるとみるのが相当である。
3.出所の混同について
前記1及び2で認定したとおり、「ヴォーグ」又は「ボーグ」の表示は、請求人の取扱いに係るファッション誌の題号として本件商標の登録出願前より、わが国においてファッション関連の取引者、需要者の間で広く認識されているものであり、かつ、本件商標は、その構成中に他人の業務に係る商品を表示するものとして著名な「ボーグ」の文字を有してなるものである。
また、本件商標の指定商品は、第29類「コラーゲンを主成分とする錠剤状・カプセル状・粉末状の加工食品、セラミドを主成分とする錠剤状・カプセル状・粉末状の加工食品、サメのヒレ末を主成分とする錠剤状・カプセル状・粉末状の加工食品、大豆タンパクを主成分とする錠剤状・カプセル状・粉末状の加工食品」及び第32類「清涼飲料、果実飲料」であるところ、係る商品は近時、美容食品、美容飲料としての開発が顕著であり、「婦人服飾関係をはじめファッション及び美容に関する記事」を主たる掲載内容とする、請求人の業務に係る前記商品とは、少なからず関連性を有する商品といえるものである。
さらに、近時の経営の多角化により、企業が異業種分野に進出する例もみられるところである。
上記した状況にあって、被請求人が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者若しくは請求人の承諾を受けた者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録がなされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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