Trademark Appeal Case
ESIGNの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−1364(T2001−1364/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ESIGN」の文字(標準文字)を横書きしてなり、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・光磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)その他の電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極」を指定商品として、平成11年10月21日に登録出願されたものである。
2 当審において通知した拒絶の理由
当審において、請求人(出願人)に対し、平成15年8月6日付けをもって拒絶理由の通知をしたところ、その拒絶理由の要旨は次のとおりである。
本願商標は、ローマ文字の大文字よりなる「ESIGN」の文字を同書、同大、同間隔をもって書してなるところ、その「ESIGN」の文字をみると、「通信ネットワーク用語事典 2001〜2002年版」(発行所 株式会社秀和システム)には、「1991年にNTTが開発した電子署名技術。RSAよりも処理が高速な点が特徴。OCNの『ネットキーサービス』という暗号化メールのサービスで用いられている。」と、「日経コミュニケーションブックス 通信・ネットワーク用語ハンドブック」(発行所 日経BP社)には、「NTTが1991年に開発、製品化した電子署名技術。RSA暗号に比べ処理が高速なのが特徴。OCNの暗号メール・サービスである『ネットキーサービス』などで利用されている。」とある。
また、新聞記事においては、2001年4月18日付け「日刊工業新聞」には、「NTT、暗号技術の基本特許を実装利用に限り無償で提供」の見出しの下に「NTTは17日、国内外の標準化機関に対し、NTT情報流通プラットフォーム研究所が開発した暗号技術に関する基本特許について、実装のために利用する場合に限り無償で提供(実施許諾)することを決めた。対象となる特許は、共通カギ暗号方式の『Camellia』、公開カギ暗号方式の『EPOC』と『PSEC』、電子署名方式の『ESIGN』。無償提供により、暗号・電子認証技術の活用を促進、新たな情報流通サービスを低コストで安全に利用できるようにするのが狙い。・・・NTTは、共通カギ暗号分野でCamellia(三菱電機と共同提案)、公開カギ暗号分野でEPOCとPSEC、電子署名分野でESIGNを国内外に提案している。」と、2000年10月27日付け「日経産業新聞」には、「NTT―AT、電子投票システム、暗号技術で不正防止――投票用紙はFD。」の見出しの下に「NTTアドバンステクノロジ(NTT―AT、東京・新宿、〜社長)は投票結果を簡単に集計できる電子投票システムを開発した。・・・投票情報は日本電信電話(NTT)の暗号技術『FEAL』と電子署名技術『ESIGN』を使って送信し、改ざんを防ぐ。」と、1999年7月30日付け「日経産業新聞」には、「NTTのデジタル署名、国際標準規格に採用――電子商取引で改ざん防ぐ。」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)が独自の暗号技術を使って開発したデジタル署名アルゴリズムが国際標準規格に採用された。・・・NTTのデジタル署名アルゴリズムは『ESIGN』と呼ばれ、今回『ISO/IEC14888』という国際規格に取り上げられた。」と、1998年10月19日付け「日刊工業新聞」には、「日本電信電話、超多目的スマートカードを開発。1枚で複数のアプリケーションに対応」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)は一枚で複数のアプリケーションに対応できる超多目的スマートカードを開発した。コアプロセッサーとして複数の暗号・認証方式に対応可能な専用回路を新開発するとともに、512キロバイト大容量フラッシュメモリーの採用により、電子マネーやマルチメディア情報流通などの各種サービスに利用できる。・・・新開発したコアプロセッサーは代表的な公開鍵暗号方式のRSA暗号のほか、NTTが独自開発したデジタル署名方式のESIGN、次世代のセキュリティー高度化に欠かせないだ円曲線暗号など、複数の暗号・認証方式に対応できる。」と、1998年10月19日付け「日経産業新聞」には、「ICカード、記憶容量512キロバイト――NTT、ソフト更新可能に。」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)は電子マネーなどに応用可能な多目的ICカードを開発した。・・・一般的なRSA暗号に加え、NTT独自のESIGN暗号、だ円曲線暗号に対応できる演算回路を内蔵している。具体的には電子マネー、クレジットカード、会員証、乗車券、診察券といった多様な機能を一枚のカードに集約できるようになる。NTTは今後、カードの読み取り機などシステム全体の開発を急ぎ実用化につなげる。」と、1998年3月23日付け「日本工業新聞」には、「GrRが来月からネットで課金可能な仮想店舗の決済技術」の見出しの下に「新決済技術は、日本電信電話(NTT)が開発した暗号技術『FEAL』と電子署名技術『ESIGN』を組み合わせた。インターネット上で販売する際、ネットワークへの不法侵入やデータの改ざんなどを防止し、安全に課金できる仕組みを築いた点が最大の特徴。」と、1998年3月20日付け「日刊工業新聞」には、「GrRとNTT、オンラインショッピングの新課金決済技術を共同開発」の見出しの下に「ジーアールホームネット(GrR、東京都豊島区〜)と日本電信電話(NTT)は、GrRが運営する仮想店舗『ぷららモール』で安全なオンラインショッピングを実現するための決済技術『VSMAP』を共同開発した。NTTの暗号技術『FEAL』と電子署名技術『ESIGN』を組み合わせた新課金決済技術で、インターネット上の不正行為を防止できる。」と、1998年3月20日付け「日経産業新聞」には、「GrR、オンライン上の買い物――専用ソフト不要に。」の見出しの下に「新しい課金方式の名称は『VSMAP』。NTTが開発した暗号技術『FEAL』と電子署名技術『ESIGN』を採用した。」と、1997年5月26日付け「日本工業新聞」には、「やってきた電子マネー時代:(6)NTT方式の特徴 要求条件に柔軟に対応」の見出しの下に「ICカードの耐偽造性を活用するためには、高度なデジタル署名処理をICカードの制限された性能条件で実装する必要があり、NTTが独自に開発した『ESIGN』と呼ぶデジタル署名技術を採用している。」と、1997年4月28日付け「日本工業新聞」には、「やってきた、電子マネー時代:(3)偽造防止技術の歩み いまやレースは中盤戦」の見出しの下に「『共通鍵暗号方式』は、暗号化と復号化で共通に使用する鍵情報を秘密に保持できる場合、効率的な暗号方式である。このタイプの暗号として日本では、80年代後半から日本電信電話(NTT)のFEAL、日立製作所のMULTI2、三菱電機のMISTY1、日本電気のENCRiPなどが考案されている。一方、不特定の人から暗号化したデータを受け取れるように考案されたものが、『公開鍵暗号方式』である。このアイデアは76年に発表され、78年に米国でRSA方式が考案された。RSA方式は、データの暗号化だけではなく、データの正当性の保証や認証に利用できる『デジタル署名』も実現できる。デジタル署名としては、NTTも91年にESIGNを発表している。」と、1996年9月13日付け「日経産業新聞」には、「第12部成功の条件(5)暗号技術、国の安全に波及(サイバースペース革命)」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)は11日、安全性や効率性を高めた新しい電子マネー技術を日本銀行金融研究所と共同で開発したと発表した。・・・一部には米欧の技術も採用しているが、送られてくる電子マネーが本物であるかどうか、また利用者が本人であるかどうかなどの確認に使う暗号技術では『ESIGN』というNTT独自の技術を使う。」と、1991年10月9日付け「日経産業新聞」には、「パソコンデータ偽造・改ざん防ぐNTTの電子署名ESIGN、ペーパーレスの保証人。」の見出しの下に「パソコンで作成した文書やデータに“電子的な署名捺(なつ)印”を施す特殊なソフトウエアをNTT(日本電信電話)が開発、今年度末からICカードの形で販売する。・・・NTTが開発した電子署名『ESIGN』は公開鍵暗号方式(暗号を解読する復号鍵を公開する方式)を採用し、相手の認証や改ざんの有無をだれでもチェックできるようにした。不特定多数が通信で決済や受発注をし合うにはこの方式が適している。」と、1991年7月21日付け「日本経済新聞」には、「あなたもいかが、次世代暗号――膨大な数字、印鑑代わりに(日曜版)」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)は7月初め、『公開かぎ暗号』と呼ばれる次世代暗号を用い、膨大な数字を個人の印鑑代わりに使う電子印鑑『ESIGN』を実用化した。通信文に特殊な数字を暗号として付け、パソコン通信などで送る。受け手は通信文が確かに発信者本人からのもので偽の通信文でないか確認できる。」と、1991年7月3日付け「毎日新聞」には、「[ビジネス情報]パソコン通信に電子印鑑(イーサイン)――NTT」の見出しの下に「NTTは2日、パソコン通信の内容が正当なものか確認できる、IC(集積回路)カード利用の電子印鑑『ESIGN(イーサイン)』をこのほど開発したと発表した。ICカードに記録された本人確認用暗号を使って発注書などの送信文書に“署名”すると、解読用の専用ソフトを組み込んだ受信側は、途中で改ざんがあったかどうかの検出や本人確認ができる仕組み。導入費用はパソコン1台当たり10万円以下の見込み。今年度末から販売の予定。」と、1991年7月3日付け「日刊工業新聞」には、「NTT、電子印鑑を開発。暗号化技術でWPやパソコン作成文書の改ざんを直ちに検出」の見出しの下に「日本電信電話(NTT、社長〜)は2日、独自の暗号化技術によりワープロやパソコンなどで作成した文書に安全、確実な電子的署名・押印が可能になる電子印鑑方式『ESIGN』を開発、併せて同方式のICカード化に成功したと発表した。ESIGNを用いた文書は発信者の確認が容易にできると同時に、いかなる文書の変更・改ざんも検出可能で、一般のペーパーによる署名・押印と同様の効果を電子化された文書に持たせることができる。」と、1991年7月3日付け「日本経済新聞」には、「ファクス・パソコン通信、NTT、電子印鑑開発――発信者を照合。」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)はファクシミリやパソコン通信などで電子データをやりとりする際、発信者の確認と途中での改ざんの有無を調べられる電子印鑑(デジタル署名)技術を開発した。電子印鑑を使ったときの信号処理が従来より千倍以上速く、初めて実用化のメドがたった。・・・開発した電子印鑑は『ESIGN(イーサイン)』と呼び、公開かぎ暗号とよばれる暗号方式を使っている。・・・実用に耐える速度のため、今年度末から処理ソフトなどを子会社のNTTアドバンステクノロジ(本社武蔵野市、社長〜)が発売する予定。」と、1991年7月3日付け「日経産業新聞」には、「データ通信でNTT、発信者確認、高速で――電子印鑑を開発。」の見出しの下に「日本電信電話(NTT)はファクシミリやパソコンなどの電子データの通信で、発信者が確かに本人かどうか確認できる電子印鑑(デジタル署名)技術『ESIGN(イーサイン)』を開発した。印鑑代わりに付け足すデータの処理時間が従来より千倍以上速いのが特徴で、初の実用レベルの速度を達成した。この技術は内容がもとのままかどうかもチェックできるため、偽の通信やデータを改ざんした通信などコンピューター犯罪を見分けることができる。」とある。
また、インターネットのホームページにおいては、「http://www.ntt.co.jp/news/news01/0104/010417.html」には、「ネット社会のセキュリティ確保に向け暗号技術の基本特許を無償化」の見出しの下に「日本電信電話株式会社(NTT)は、国内外の標準化機関等に対し、NTT情報流通プラットフォーム研究所が開発した世界最先端の共通鍵暗号方式(*1)『Camellia』(三菱電機株式会社との共同開発)、公開鍵暗号方式(*2)『EPOC』及び『PSEC』、並びに電子署名方式(*3)『ESIGN』に関する基本特許を、Camellia、EPOC、PSEC、ESIGNそれぞれの実装のために利用する場合に限り、無償で提供(実施許諾)する旨、表明していくことを決定しました。」及び「*3電子署名 公開鍵暗号において復号が復号鍵を有する本人にしかできないことを応用して個人の認証を行う方式。ディジタル署名ともいう。NTTが開発した電子署名方式に、ESIGN(1991年)、楕円Okamoto−Schnorr署名(1999年)がある。」と、「http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/japanese/group/internet/ninshou/ninshou−1.html」には、「21世紀デジタル社会の暗号政策への提言 第1部 『デジタル社会』の到来と暗号」の見出しの下に「デジタル署名技術としては、RSA方式の他、離散対数問題に基づくエルガマル署名方式やDSA(Digital Signature Algorithm:米国政府のデジタル署名標準の一つ)、我が国のNTTが開発したESIGN方式などが知られている。」と、「http://nnw.nikkeibp.co.jp/nnw/quiz/010725.shtml」には、「今週のクイズ」の回答の中で「ESIGN(イーサイン)は、NTTが開発した公開鍵暗号方式です。ESIGNは、ディジタル署名で使うことを主な目的として開発されました。RSAに比べて同じ暗号強度で数十倍高速といわれています。」と、「http://www.mekikies.com/met1998j/htmls/body/mm/mm−2−2_com−7.html」には、「セキュア通信の正当性を保証する認証機関 『CANP』」の見出しの下に、「ESIGN/FEAL」について「ともにNTTによって開発された暗号方式であり、ESIGNは秘密鍵と公開鍵を用いた公開鍵暗号方式を用いて電子署名を行うための方式・・・どちらも高速な処理が可能であることに特徴がある。」と、「http://www.sisnet.or.jp/sis/dokuhon/p10.htm」には、「10.セキュリティ関連用語」として、「ESIGN」について「NTTの開発した電子署名の方式。素数p、qとしたときn=qp**2の関係にある素因数分解問題の困難さに基く公開鍵/秘密鍵方式で、RSA方式の数十倍の速度で処理するといわれる。・・・ESIGN方式は離散的Taylor展開を使って署名の確認を行う。」とある。
そうすると、「ESIGN」の文字は、日本電信電話株式会社(NTT)が開発、製品化した電子署名技術を指称するものとして取引者、需要者に広く認識されているといえる。
そして、本願商標は、その「ESIGN」の文字により構成されているのであり、しかも、その指定商品中には、電子署名技術に密接な関連を有する「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・光磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)その他の電子応用機械器具及びその部品」や「電気通信機械器具」などを含むのであることから、これを、その指定商品に使用したときは、取引者、需要者をして、NTT若しくはそのグループ会社、または、それらと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
当審において、請求人に対し、新たに上記2の拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人(出願人)からは何らの意見、応答もない。
そして、前記2の拒絶の理由は妥当なものと認められ、本願は、その拒絶の理由によって拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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