Trademark Appeal Case
著名商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90224(T2003−90224/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4638126号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)とおりの構成よりなり、平成14年3月13日登録出願、第5類「ビタミンを主成分とするカプセル状の薬剤,鮫軟骨を主成分とする錠剤,鮫の肝油を主成分とするカプセル状の薬剤,銀杏葉を主成分とするカプセル状の薬剤,深海魚から採った油を主成分とするカプセル状の薬剤,プラセンタを主成分とするカプセル状の薬剤,こけももを主成分とするカプセル状の薬剤」を指定商品として、同15年1月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する標章は、以下のとおりである。
(a)別掲(2)のとおりの構成よりなるネイチャーケア・ジャパン株式会社の未登録標章(甲第2号証(以下「引用商標1」という。))。
(b)「NATURCARE」の欧文字を横書きしてなり、第29類「ベータカロチン・小麦胚芽油・大豆レシチン・乳酵母・カルシウム・骨粉・卵殻粉・大豆タンパク・アセロラ・ローズヒップ・ヘム鉄・トウモロコシ・エンドウ豆・リンゴ・キトサン・ビフィズス菌・ビタミン類・ミネラルを主成分とする顆粒状・粉状・液状・錠剤状に形成された加工食品」を指定商品として、平成6年1月24日登録出願、同9年7月4日に設定登録された登録第3328894号商標(以下「引用商標2」という。)。
(2)申立人と引用標章の著名性について
申立人は、アメリカ、シカゴを本拠地とする多国籍企業サラ・リーコーポレーションの傘下のグループ内の商標等を管理する会社であり、そして、サラ・リーコーポレーションは、傘下に一流ブランドを抱え、年商2兆2000億円(1999年実績)を売り上げる世界的企業である(甲第5号証第74頁)。サラ・リーコーポレーションの日本における傘下企業として、ネイチャーケア・ジャパン株式会社(以下「ネイチャーケア・ジャパン」という。)という会社があるが、同社は日本におけるネットワークビジネスのパイオニアとして35年の歴史を誇るリーディングカンパニーである(甲第6号証)。ネイチャーケア・ジャパンは、最初1969年4月にスワイプ・ジャパンとしてスタートしたが、当該商号中の「スワイプ」は、元々アメリカのテキサス州のケミカル・アソシエーツ社によって開発され、全米で爆発的人気を得た家庭用洗剤の商標である。スワイプ・ジャパンは、日本に通常の訪問販売とは異なるクチコミによるネットワークビジネスを初めて導入し、このビジネススタイルが家庭の主婦に受け、創業5年目にして、スワイプ・ジャパンの売れ行きは57億2000万円を計上した(甲第5号証第36ないし40頁)。その後ヘアケア製品を導入して売上を順調に伸ばし、日本上陸後8年の1977年8月には、スワイプ・ジャパンは社名を株式会社ホームケア・ジャパンに変更し、1997年、ホームケア・ジャパンはM&Aという形でサラ・リーコーポレーションの傘下に入った。株式会社ホームケア・ジャパンはサラ・リーコーポレーションの傘下に入ったことをきっかけに、引用商標2が登録になったこともあり、主力製品シリーズ名「ネイチャーケア」に因んで、2000年1月、社名をネイチャーケア・ジャパンに変更した(甲第5号証第72ないし76頁)。ネイチャーケア・ジャパンが採用するネットワークシステムの特徴は、店舗や営業所を持つことなく、クチコミというコミュニケーション手段のみにより販売活動や宣伝活動を行うことにある。ネイチャーケア・ジャパンは35年という歴史を経てそのメンバーは全国各地に及び(甲第9号証)、売上は80億円にものぼる(2002年度)。
ネイチャーケア・ジャパンはその商号に対応する標章として、引用商標1のとおり、欧文字「NaturCare」の「Care」の部分の「r」の右肩部を緑の葉の形状にした商標を使用する。東京都世田谷区に在るネイチャーケア・ジャパン本社ビルにも当該商標が使われている(甲第5号証第69頁)。また、社内封筒(甲第10号証)や製品カタログ「NaturCare」(甲第11号証)にも同商標が使用されているので提出する。ネイチャーケア・ジャパンの製品群は、栄養補助食品、健康増進食品などの「ヘルスケア製品」、スキンケア製品・メイクアップ製品・ヘアケア製品・ボディケア製品などの「パーソナルケア製品」及びスワイプを中心にした「ホームケア製品」の3つの分野に分けられる(甲第11号証)。この中で特に「ヘルスケア製品」は急激にシェアを伸ばしており、特にプロポリス(ドリンクタイプ、カプセル、エキス、パウダー)や高純度高濃度のDHA/EPAにイチョウ葉エキスをプラスした栄養補助食品(カプセル)、乳酸菌、オリゴ糖、グルコサミンにコンドロイチンやコラーゲンをバランスよく配合した健康維持製品(粒状)などが人気の高い商品である(甲第5号証第118ないし134頁)。ネイチャーケア・ジャパンに社名変更したのが平成12年1月であることを考慮すると、少なくとも本件商標の出願日の平成14年3月13日以前から現在に至るまで、需要者の間でネイチャーケア・ジャパンの商標が著名であったことは明白である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、欧文字「Nature’s Care」のうち、「N」の右肩部及び「C」の頭部を葉の形状で表したものを左横書きにしてなる商標であるから、本件商標からは、「ネイチャーズケア」という称呼が生じる。
一方、引用商標1及び引用商標2は、商号とともに、あるいは商号と関連して使うことから、「ナチュールケア」という称呼の他に、「ネイチャーケア」の称呼が生じる。
本件商標の称呼「ネイチャーズケア」と上記「ネイチャーケア」の称呼を比較すると、両者の相違は、第5音の「ズ」の有無の相違にすぎず、両称呼が比較的長いものであることを考慮すると、両者の相違が称呼全体に及ぼす影響は決して大きなものとはいえず、したがって、両商標の称呼は類似する。また、本件商標とネイチャーケア・ジャパンの引用商標1は、その構成する文字の一部を葉っぱの形に変形していることから、外観が酷似するものである。
したがって、本件商標と引用各商標とは、称呼若しくは外観が類似するものであるといえる。
次に、本件商標の指定商品とネイチャーケア・ジャパンの業務に係る商品とを比較する。
本件商標の指定商品は、医薬品である。一方、ネイチャーケア・ジャパンの商標が使用される商品のうち、特に、「ヘルスケア製品」部門に属する健康増進食品や栄養補助食品は、いわゆる健康食品に属するものであり、医薬品ではない。健康食品は、主として健康の維持・増進及び疾病の予防として摂取されるものであるが、病気になった状態と病気になる前の段階との線引きをはっきりとひくことは不可能であり、最近になって健康食品を制度化する動きが進んできたものの、そもそも医薬品と健康食品とのすみわけは明確なものではない。両者は、原材料、製造部門、販売部門、用途、需要者層を共通にするものであり、これら商品間に関連性が存在することは明らかである。なお、今後、規制緩和が進み、一般小売店での医薬品販売が可能になると、ますます医薬品と健康食品の関連性は密接なものになっていくと思われる(甲第16号証)。医薬品と健康食品が密接な関連性をもっていることを勘案すると、一般需要者は医薬品メーカーが、健康食品の製造に多角化を図ることは容易に想定できる。事実、大手の製薬会社は健康食品分野に既に参入している。したがって、企業における多角経営の可能性があることは明白である。
以上とおりであり、本件商標は、ネイチャーケア・ジャパンの相当程度知られた商標との関係において、出所の混同を生じる客観的なおそれのある商標である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当し、その登録は取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)甲各号証について
甲第4号証は株式会社ホームケアの製品カタログであり、甲第7号証及び甲第9号証ないし甲第12号証はネイチャーケア・ジャパンのメンバー登録ガイド・レコグニッションブック・社内封筒・製品カタログであって、いずれも申立人自身の直接関係する会社の製品紹介等である。
甲第5号証、甲第6号証及び甲第8号証は申立人と同人の取扱いにかかる商品に関する書籍であり、甲第13号証及び甲第14号証はネイチャーケア・ジャパンの製品記事の掲載されている雑誌、新聞である。
甲第15号証及び甲第16号証はいわゆる健康食品に関するインターネット上の情報からの抜粋記事である。
以上の甲第4号証ないし甲第16号証によれば、申立人とネイチャーケア・ジャパン等の関係は理解できるとしても、例えば、「サラ・リーコーポレーションが年商2兆2000億円(1999年実績)を売り上げる世界的企業である(甲第5号証第74頁)、スワイプ・ジャパンの売れ行きは57億2000万円を計上した(甲第5号証第36ないし40頁)、ネイチャーケア・ジャパンは35年という歴史を経てそのメンバーは全国各地に及び(甲第9号証)、売上は80億円にものぼる(2002年度)」とする申立人の主張する事実を裏付ける証拠は何ら提出されていない。
また、書籍(甲第5号証、甲第6号証及び甲第8号証)が出版されているとしても、直接引用商標1及び引用商標2の著名性を立証するものとは認められない。
さらに、雑誌(甲第12号証及び甲第13号証)に2回、新聞(甲第14号証)に1回広告記事として掲載されたにすぎないものであるから、これらの全証拠及び職権による調査によっても、申立人の引用する引用商標1及び引用商標2が本件商標の登録出願時(平成14年3月13日)及び登録査定時(平成15年1月17日)において、健康食品及び医薬品の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたという事実を認めることはできない。
そして、本件商標の指定商品は、薬事法の規定に基づく医薬品の大部分と同法にいう医薬部外品に含まれる「薬剤」であるのに対し、引用商標2の指定商品は、加工食品の範疇に属するいわゆる「健康食品」であって、生産部門の異なる同一又は類似のものでない。
そうすると、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人など他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあったとすべき相当の理由がないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。