Trademark Appeal Case
著名性の立証範囲
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−91140(T2000−91140/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4404499号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成11年1月18日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し」を指定役務として、同12年7月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第3027670号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し」を指定役務として、同7年2月28日に設定登録されたものである。その後、引用商標について商標登録取消審判(平成10年審判第30209号)請求があり、「本件商標の登録を取り消す」旨の審決に対し、東京高等裁判所に審決取消請求の訴え(平成12年(行ケ)第48号審決取消請求事件)がされたが、該訴えの取り下げがされたため、前記審決が同12年2月3日に確定し、その商標権の登録の抹消が同15年6月4日にされたものである。
3 登録異議の申立ての理由
(1)本件商標は、外観的にみても、観念においても「ITT」の文字と二段に併記した「ドラマ」及び「DRAMA」の文字とが一体のものとして認識される理由はないから、大書された「ITT」の欧文字が独立して認識・把握されるものである。したがって、本件商標からは「アイティティ」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標からも「アイティティ」の称呼を生ずることは明らかであるから、両商標は、「アイティティ」の称呼を共通にする類似の商標であり、指定役務も同一又は類似するものである。
(2)申立人は、アメリカ合衆国に本拠を有する国際的企業グループである「ITTグループ」において商標管理をしている企業である。ITTグループは、世界的規模で「ITT」の文字よりなる商標を「情報通信関連の商品及び役務」等について使用してきた結果、引用商標は、日本の情報通信分野においても周知・著名となっている。
してみれば、本件商標は、申立人の著名な略称からなるものであり、また、商標権者が本件商標をその指定役務に使用すれば、需要者は、当該役務が申立人企業グループにより提供されているものの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、別掲のとおりの構成よりなるところ、引用商標の登録は、前記したとおり、商標登録取消審判(平成10年審判第30209号)により取り消され、その審決は確定している。
ところで、商標法第54条第2項の規定によれば、第50条第1項の審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、同項の審判の請求の登録の日に消滅したものとみなすと規定されている(平成8年法律68号)。
しかして、引用商標についての上記取消審判の請求の登録の日は、平成10年3月25日である。
してみれば、本件商標について登録査定がなされた平成12年6月14日の時点においては、既に、引用商標の商標権は消滅していたものであるから、商標法第4条第1項第11号についての申立てについては、理由がないものといわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第8号及び第15号について
申立人の提出に係る甲第3号証(ITTグループ企業リスト)、甲第4号証(外国会社年鑑)及び甲第5号証(世界各国におけるITT商標の登録状況表)によれば、ITTグループには、ITTの文字を冠した相当数の企業が存在すること、世界各国において、かなりの数のITT商標の登録がなされていることを認めることができる。
しかしながら、甲第4号証として提出された外国会社年鑑によれば、ITT Industries,Inc.は自動車部品、防衛・電子、流体技術製品を製造する会社であり、ITT Hartford Groupは総合保険会社であり、ITT Corp.は娯楽・宿泊施設を運営する会社であって、本件商標の指定役務である「移動体電話による通信」等の役務を行っている旨の記述はなく、又、「ITT」の文字からなる標章の著名性に言及している記述も見当たらない。
そうとすれば、申立人の提出に係る証拠をもってしては、「ITT」の標章が申立人の略称として、また、申立人の業務に係る商品・役務を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めるに十分なものとはいえない。
してみれば、商標権者が、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、申立人の使用に係る商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
また、上記の理由から、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標ということもできない。
(3)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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