Trademark Appeal Case
接尾語の識別力と称呼
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90686(T2002−90686/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4581483号商標(以下「本件商標」という。)は、「コンビ」の片仮名文字を上段に、「COMBI」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成13年3月27日に登録出願、第1類ないし第10類、第12類、第14類ないし第32類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年6月28日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「zym」、「チーム」の語は、「酵素」を意味するenzyme(エンザイム・エンチーム)に由来しており、以下の引用各登録商標( 以下「引用商標」という。)からは、「コンビ」の称呼が生じるから、本件商標は、引用商標と類似し、かつ、引用商標と同一又は類似の商品に使用するものであるから、本件商標は、その指定商品のうち、第5類中の「乳幼児用沐浴(入浴)剤,その他の薬剤」については、商標法4条1項11号に該当する旨申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)登録第475878号商標
登録第475878号商標は、「Combizym」の文字を横書きしてなり、昭和30年5月17日に登録出願され、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和31年1月25日に設定登録され、昭和51年5月10日、昭和61年4月16日及び平成8年2月28日に商標権の存続期間の更新登録の設定がなされているものである。
(2)登録第1647948号商標
登録第1647948号商標は、「コンビチーム」の文字を横書きしてなり、昭和56年1月30日に登録出願され、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和59年1月26日に設定登録され、平成6年7月28日に商標権の存続期間の更新登録の設定がなされたものである。
第3 当審による取消理由通知
当合議体は、商標権者に対して、以下の内容を要旨とする取消理由を通知した。
<理由>
「zym(ザイム)」、「チーム」の文字は、「酵素」に関連がある商品について、これらの文字を末尾に付して標章として使用されている例が多いことから、「zym(ザイム)」、「チーム」の文字は、商品との関係において品質を認識させるか、あるいは識別力が極めて弱い文字というのが相当であり、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、引用商標に接する取引者、需要者は、その構成中、自他商品の識別機能を果たし得る、前半部の「Combi」、「コンビ」の文字部分に着目して、これより生ずる「コンビ」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないというべきであり、引用商標は、その構成文字に相応して、単に「コンビ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
してみれば、本件商標は、引用商標と「コンビ」の称呼を共通にする類似の商標であり、本件商標は、その指定商品のうち、第5類中の「乳幼児用沐浴(入浴)剤,その他の薬剤」は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
第4 商標権者の意見
上記「第3」の取消理由通知に対して、以下の内容を要旨とする意見書を提出した。
<商標権者の意見の要旨>
(1)「酵素」については、取消理由通知に記載のとおりであって、英語で「Enzyme」と綴られるものであり、「エンザイム」あるいは「エンチーム」と表記されるものである(乙第1号証、同第2号証及び取消理由通知)。
「あなたがのむ病院の薬」(乙第3号証)によれば、その消化酵素剤の項目に記載されている総計70件のうち、「ザイム」の片仮名文字を有するものは4件でその比率は5.7%、また「チーム」の片仮名文字を有するものは5件でその比率は7.1%にすぎない。
したがって、(あなたがのむ病院の薬)における記載は、消化酵素剤の製品名の語尾に「ザイム」、「チーム」の文字を使用したものが極めて小数であるという事実を示しているにすぎず、この事実及び上記数値をもって「ザイム」若しくは「チーム」の片仮名文字が「酵素」を意味する若しくは「酵素製剤」を表示するものとして標章中に使用されているものであるとすることはできない。
取消理由通知は、書籍「13700の化学商品」を示し、同書籍において、酵素に関する化学製品について、その語尾部分に「ザイム」あるいは「チーム」の語を付して標章としている事例として「マルタザイム」、「ビオザイムM、グルクザイム」、「レポチーム」、「スミチーム」、「フジチーム」が記載されているとしているが、その記載内容は「マルタザイム Maltazyme」、「ビオザイムM Biozyme M、グルクザイム GIuczyme」、「レボチーム Rebozyme」、「スミチーム Sumizyme」、「フジチーム Fujizyme」と全てに欧文字が併記されているものであって、かつ「ザイム」、「チーム」に対応する欧文字は全て「zyme」であり「zym」ではない。
さらに、同書籍中に記載されている酵素に関する化学品の総数は、117件であるがそのうち「ザイム」、「チーム」の文字を有するものが21件(17.95%)、更に「ザイム」、「チーム」に相応する欧文字として「zym」を使用しているものは僅か3件(2.56%)にすぎない。
してみれば、該書籍記載の事実からすれば、「ザイム」、「チーム」の片仮名文字については「zyme」の欧文字と併用してはじめて「酵素」との関連が認識される可能性が生ずるものであり、さらに欧文字「zym」については「酵素」を意味若しくは表示するものであるとすることはできない。(乙第4、7、8号証)
(2)取消理由通知のいう、インターネットホームページ情報については、インターネット上において、酵素若しくは酵素を主材とする一部の製品の標章中に「ザイム」、「チーム」の文字を使用したものがあるという事実を示しているにすぎず、しかも、酵素若しくは酵素を主材とする製品の標章に「ザイム」、「チーム」の文字を使用していない事例もある。(乙第5号証の1ないし至3)
このインターネットホームページ情報をもって「ザイム」若しくは「チーム」の文字が「酵素」を意味する若しくは「酵素製剤」を表示するものとして標章中に使用されているとすることはできない。
(3)甲第7号証の審決例(平成1年審判第17391号審決)で述べているように「『チーム』『ZYM』の文字が『薬剤、化学品、医療補助品』を取り扱う業界において『酵素』を意味するものとしての認識を持って使用されているのが実情である。」なのであれば、「チーム」、「ZYM」の文字は、その指定商品の品質、原材料等を表示するものであり、指定商品中該文字に照応する商品以外の商品について使用する場合には商品の品質の誤認を生ずるおそれのあるのものとして、引用商標は商標法4条1項16号に該当するとされなければならないものである。しかしながら、引用商標は品質の誤認を生ずるおそれのないものとして、第1類に属する全ての商品を指定商品として登録されているものである。
一方、「ザイム」、「ZYM」について昭和53年7月24日付けの昭和42年審判第4303号審決において「『ザイム』については『zyme』の日本語化したもの、まして一般に理解し、親しまれているものではない、・・・本件商標は『ザイム』、『ZYM』の文字を有するけれども、それが一般の取引者、需要者にとって親しまれた語ではないため、これを抽出して『酵素』の意味を理解することがない、本件商標は商標法4条1項16号の規定に違反して登録されたものではない」と判断されている(乙第6号証)。
(4)「『zym(ザイム)』、『チーム』の文字は、商品との関係において品質を認識させるか、あるいは識別力が極めて弱い文字というのが相当である」(取消理由通知)とすることはできない。
(5)引用商標中の「zym」、「チーム」の文字が指定商品の品質等を表すものではなく、さらに同一書体で一体不可分に書してなるため全体の構成もまとまりが良く、これを「コンビザイム」若しくは「コンビチーム」と一連に称呼した場合においても冗長にわたるものではなく、またその語呂も良くその他これを分断して観察しなければならない格別の理由はない。
引用商標からは、「コンビザイム」若しくは「コンビチーム」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念を生じさせない造語よりなるものである。
引用商標から生ずる「コンビザイム」、「コンビチーム」と本件商標から生ずる「コンビ」の称呼を比較するに、両者は「ザイム」、「チーム」の音の有無に顕著な差異を有しており、明確に聴別することのできるものである。
よって、本件商標と引用商標は称呼上非類似の商標であることは明らかである。
第5 当審の判断
申立人は、引用商標の後半部分を構成する「zym」、あるいは「チーム」の文字は、「酵素」を意味するenzyme(エンザイム・エンチーム)に由来しており、引用商標からは、「コンビ」の称呼が生じると主張しており、当審も商標権者に対して同旨の通知をした。
これに対して、商標権者は意見書において、「引用商標中の『zym』、『チーム』の文字が指定商品の品質等を表すものではなく、引用商標からは、『コンビザイム』若しくは『コンビチーム』の一連の称呼のみを生ずるものである。」と主張している。
そこで、以下、引用商標構成中の「zym」、あるいは「チーム」の文字が「酵素」を意味するものとして認識されるか否かについて検討する。
(1)申立人の主張について
申立人が提出した、甲第4号証の「研究社 新英和大辞典」によれば、「enzyme」の語が、「酵素」、「エンチーム」の意味を有するものであることは認められるものの、これが「zym」(チーム)と略称されることを示す記載は見出せない。
甲第5号証及び同第6号証の1には、「コンビチーム(Combizym)」との商標名の酵素製剤が存在することは認められるところ、これらによれば、その事実が確認できるだけであり、「チーム」、「zym」の語が「酵素」を意味するとの直接的な証左とすることはできない。
甲第6号証の2(「あなたがのむ病院の薬」)には、「消化酵素製剤」として、末尾に「ザイム」あるいは「チーム」の文字が付くものが見うけられるところ、商標権者が提出した乙第3号証(甲第6号証の2及びその続葉を示したもの)によれば、その消化酵素剤の項目に記載されている総計70件のうち、「ザイム」の片仮名文字を有するものは4件で、その比率は5.7%であり、また、「チーム」の片仮名文字を有するものは5件で、その比率は7.1%であることが確認できる。
これによれば、「消化酵素製剤」に「ザイム」あるいは「チーム」の文字が付されて使用される事例は極めて僅かというべきであり、これが一般的に使用されているとはいい得ないから、引用商標の後半部分を構成する「ZYM」、あるいは「チーム」の語が「酵素」を意味するものとして使用されることがあるとしても、それが「酵素」に関する商品について一般的に使用されているとまでは認定することができない。
(2)取消理由通知について
「酵素」については、英語で「Enzyme」と綴られるものであり、「エンザイム」あるいは「エンチーム」と表記されるものであり(乙第1号証及び同第2号証)、単に「zym」、「チーム」とのみ略されるとの証左は認められない。
取消理由通知が示した、書籍「13700の化学商品」における酵素に関する化学品のうち「ザイム」、「チーム」の文字を有するものが17.95%、「ザイム」、「チーム」に相応する欧文字として「zym」を使用しているものは2.56%にすぎないことが認められる。
したがって、上記書籍の記載をもって「ザイム」、「チーム」、「zym」の文字が「酵素」を意味するものとして一般的に使用され、取引者・需要者がそのような認識をするということはできない。
取消理由通知が示した、インターネットホームページ情報に「ザイム」、「チーム」の語が「酵素」に関連する商品に使用されていることが認められるとしても、それが一般的であるとするには、十分でない。
(3)結論
以上によれば、「ザイム」、「チーム」、「zym」の文字が「酵素」を意味するものとして指定商品中の商品「酵素製剤」について、取引者・需要者間で一般的に使用されているとすることはできない。
してみれば、引用商標が、単に「コンビ」の称呼をもって取引に資されるとすることはできず、引用商標は、「コンビザイム」あるいは「コンビチーム」の一連の称呼のみを生ずるとするのが相当である。
そうとすれば、本件商標が引用商標と称呼において類似するということはできない。
したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものではないから、本件商標は、商標法43条の3第4項の規定に基づき、取り消すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり決定する。
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