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Trademark Appeal Case

地名と品質の結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−16222(T2002−16222/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第24類「八掛地,織物」を指定商品として、平成13年9月27日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、普通に用いられる程度のひらがな文字で『ぐんまこぶし』と書かれたものであるが、このうち『ぐんま』は、群馬県一帯の地名を、また『こぶし』は、その指定商品である織物等との関連においては、絹織物の一つ(玉絹の一種)である『こぶしぎぬ』(小節絹)を容易に想起させるものであるところ、群馬県は、埼玉県と共に古くより『小節絹』の産地として広く知られていることから、このような構成態様からなる本願商標を、その指定商品中、例えば、『小節絹』に使用する場合、これに接する需要者は、前記意味合いから、その商品が『群馬(県)産の小節絹』であるという、その商品の品質(材質)あるいは生産地を表わしたものとして認識するにとどまる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲に示したとおり、「ぐんまこぶし」の文字をやや崩した書体で書してなるところ、該文字は、関東地方北西部に位置する県名として広く知られている「群馬」を意味する「ぐんま」と、「小節」、「拳」及び「古武士」等の意味を有する語として知られている「こぶし」の二語を結合してなるものであると容易に判断し得るものである。

しかして、該構成中の「こぶし」の文字は、『JIS工業用語大辞典第4版』(日本規格協会1998年7月15日発行)を徴すると、「小節」の項の掲載があり、「こけ節,わ節,毛羽節,小つなぎ節,小びり節の総称」と記載されている。さらに、同書により前記の「こけ節」等を徴すると、「こけ節 生糸の小節の一種で,糸がわずかに太く,長さ2mm未満又はごく小さい塊状のもの」、「わ節 生糸の小節の一種で,糸から繭糸が環状に分離し,その長さが10mm未満のもの」、「毛羽節 生糸の小節の一種で,糸から繭糸が枝状に分離し,その長さが10mm未満のもの」、「小つなぎ節 生糸の小節の一種で,糸をつないだ切れ端の長さが3mm未満のもの」、「小びり節 生糸の小節の一種で,糸を構成する繭糸がらせん状を呈し,その形が小さいもの」と記載されている。また、該「こぶし」の文字について『原色染織大辞典』(淡交社 昭和52年6月6日発行)を徴すると、同じく「小節」の項の掲載があり、「生糸の欠点の一つで、コケ節、ワ節、ケバ節、小ヌカ節、小ツナギ節、小ビリ節またはこれらに類似の節の総称」と記載されている。

そうすると、該構成中の「ぐんま」は「群馬」を、「こぶし」は「小節(生糸に生じるこぶ状などの節)」を意味するものと認められるから、「ぐんまこぶし」の文字からなる本願商標は、小節のある絹織物(小節絹)の「主なる産地は埼玉・群馬の両県」(前記『原色染織大辞典』の「こぶしぎぬ」の項を参照)であることと相俟って、その指定商品との関係においては、「群馬県産の小節のある絹織物(小節絹)」の意味合いを容易に理解、認識させるとみるのが相当である。

このことは、例えば「小節」について、インターネットの各種情報紹介サイトをみると、以下のような記事が掲載されていることからも十分に裏付けられるところである。

(1)「繭糸に現われる小節の淘汰は育種上極めて重要なことである。小節の適伝性については略々明かにされている。まず基礎品種に小節の少ないものを導入する事が大切である。そのうえに生繰法などにより個体別淘汰を適切に行なうことにより、比較的早くその目的が逢せられるといわれている。」(http://rms2.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/kaidai/kaiko/6-3-1_h.html)

(2)「この玉繭こそが、自然の小節からできる独特の表情を生み出してくれる。牛首紬は、この玉繭からできた糸を横糸に、通常の繭からの糸を縦糸に美しい綾を織りなしていく。 絹の光沢のなかに独特の小節をもつ牛首紬は、光によっても微妙に色が変化する」(http://www.kougei.or.jp/crafts/0115/d0115-5.html)

(3)「細繊度品種は小節、解舒率などの糸質が良好で収繭量や生糸量歩合が普通品種と大差ないことを目標にした結果、『あけぼの』を筆頭に繊度が約2デニールとなる多数の品種が育成された。・・・小節点が50点以下となる系統が選抜されている。従来は大中節や小節の多いものは品種として成立しなかった。蚕品種指定制度では小節の限度点は93点と定められ、この値をクリヤーしないと他のすべての形質が優れていても指定品種にはなりえなかった。小節不良系統は40年以上前に見出され、以来、育成者は玉糸とは異質な節のある生糸の製造を夢見て苦労しながら維持してきたものである。」(http://www.nises.affrc.go.jp/pub/silkwave/hiroba/FYI/kaisetu/yamamoto.htm)

(4)「群馬県西部地域も昔から絹の産地で、その薄絹が集散地高崎に集まりました。紅板締めに使う絹地は『絲吉絹(いとよしぎぬ)』や『小節絹(こぶしぎぬ)』と呼ばれ、一反当たり75〜150g程度の非常に薄いもので、重ねて着た着物の重量を軽くすると共に、保温性にも優れています。」(http://www.ttrl.pref.gunma.jp/zyouhou/2003-04-NO33.pdf)

(5)「繭の煮熟度が生糸の小節形態に及ぼす影響」(http://www.silk.or.jp/jsss/ito.pdf)

してみると、本願商標をその指定商品中「絹を使用してなる八掛地,絹織物」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が群馬県産の小節絹を使用してなる八掛地,同小節絹織物であるという、商品の産地、品質及び原材料を表示したものと直ちに理解、認識するというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、また、「絹を使用してなる八掛地,絹織物」以外の「八掛地,織物」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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