結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35191(T2003−35191/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4602677号商標(以下「本件商標」という。)は、「アジアン」及び「ASIAN」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成13年10月16日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として同14年9月6日に設定登録されたものである。
本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法3条1項3号及び同法4条1項16号に違反して登録されたものであるとして、商標法46条により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)を提出した。
さらに、請求人は、自己の取り扱いに係る商品の包装やラベルに当該商品の品質や産地等を表す文字を表示することが少なくなく、よって本件商標の存続に関しては十分な利害関係を有する。
そして、該文字は、具体的には「アジア産の」、「アジア風の」等の意味合いの外来語として日常的に使用され、かつ親しまれているものということができる。
甲第2号証は、インターネット上で提供される代表的な検索サイト「Google」を利用したページ検索の結果を示す先頭ページのプリント写しであって、具体的には、上記「アジアン」の文字に関し行った検索と(甲第2号証の1)、該文字に関し特に日本語化した用例と考えられる「アジアンな」の文字列に関し行った検索の結果を示したものである(甲第2号証の2)。
これらの検索においては、「アジアン」の文字につき9万件超、「アジアンな」の文字列につき約6,350件という結果を得ており、これは上記意味合いにおける「アジアン」の文字が、「アジアンな」という助詞を伴う表現方法をもって使用される程に広く一般に親しまれているものであることを示している。
なお、甲第2号証における検索は、本件無効審判請求の途に行ったものであるから、当該検索をした日ないしはページをプリントした日は本件商標の登録査定後であることを念のため申し加えるが、検索された個々のページにおける「アジアン」の文字又は「アジアンな」の文字列のいずれもが、当該登録査定後の記載に係るものとは考え難く、上記「アジアン」の文字は、本件商標の登録査定時には既に上記意味合いにおいて日本語化していたものと判断するのが経験的にも妥当である。
これは、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、インド、スリランカ等々の、かつてあまり馴染みのなかったアジア地域諸国特有の食材、食品、料理、飲料等々が、ここ十数年来しばしば紹介され、又は飲食店において提供される等したことにより、広く一般に受け入れられるに至ったことにもよると考えられる。
たとえば、甲第3号証は、2000年(平成12年)10月27日、株式会社サンケイリビング新聞社(東京都千代田区在)発行の情報誌「シティリビング」写しであって、商業ビル「ベルビー赤阪」の新装開店に関する記事ないしは広告記事であるところ、「Gourmet」と表された標題下には、当該ビル内のテナント飲食店を紹介する記載とともに「充実の和食から話題のアジアンまで」なる記載をみることができる。
また、甲第4号証は、各種料理のレシピを公開するサイト「COOKPAD」(有限会社コインによる運営)であって、料理国籍(発祥地)や食材、用途等に基づく料理レシピの検索ページであるところ、料理国籍を示す欄において、「和風、洋風、中華、フレンチ、イタリアン」の記載と並ぶ「アジアン」の記載をみることができる。なお、このページの提供開始日付について確認することはできなかったものの、当該「アジアン」の文字は、上記「和風、洋風、中華、フレンチ、イタリアン」と同列にされたその記載からすれば、少なくとも本件登録査定時にはすでに、食品や飲料との関係において産地や発祥地を表示するものとして十分に理解されていたものと思料される。
甲第5号証は、いわゆるメールマガジンとして配信された情報が記録されたサイト「メルマ!/倉敷・岡山ぐるめ」であるところ、「倉敷ぐるめ」と称された2000年8月31日付の配信記事中、「中国レストラン 曲江春」による情報記載欄には、「東京で大ブームのアジアンドリンクが当店にもお目見えしました」と記載されている。
甲第6号証は、飲食店に関する情報を配信するサイト「D−STREET」であるところ、「池袋・目白周辺レストラン」として「ZOZOI」(豊島区西池袋在)なるカフェを紹介した2000年12月9日付の情報欄に、「アジアンドリンクがたくさんあります。」との記載をみることができる。
甲第7号証は、生活情報等を配信するサイト「新潟KomachiWeek!」(株式会社ニューズ・ラインによる運営)であるところ、2002年4月号の「ニューシヨプ情報」欄における飲食店「渡海屋(トカイヤ)」(新潟市古町通在)の紹介記事には、「アジアンダイニングとしてリニューアルオープン」、「素材や調理法にアジアンテイストを取り入れた創作料理」とあるほか、「チャイなどのアジアンドリンクも登場した。」と記載されている。
また、甲第8号証ないし同第14号証は、いずれも飲食店又はそのメニューの紹介に係るページであるところ、甲第8号証において「トロピカルドリンク各種¥650〜、アジアンドリンク各種¥550〜などドリンク充実」なる記載、甲第9号証において「また、ランチやディナーはもちろんデザートからアジアンドリンク、カプチーノまでホッとするカフェやバーメニューも充実」なる記載、甲第10号証において「ベトナムコーヒーや、チャイ、ロータスティーなどのアジアンドリンクに加え、」なる記載、甲第11号証において「アジアンなドリンクとデザートが、リーズナブルなプライスでいただけます。」なる記載、甲第12号証において「アジアンなソフトドリンク達/マンゴージュース/グァバジュース」なる記載、甲第13号証において「アジアンドリンクやビールも充実。」なる記載、甲第14号証において「アジアンジュース450」なる記載等をみることができる。
なお、甲第8号証ないし同第14号証については、各ページの配信日付を確認することができないが、上記各「アジアン」の文字の用例にみられる表現方法からすると、該文字をある種飲料の形容に用いるようになったのが本件登録査定の日後であるとは考え難い。
しかしながら、アジア地域を発祥地とする特有の飲料があること、及び、当該飲料の中には、たとえばグアバ、マンゴー等の同地域特産の果物を使用したものやこれらの風味を付したものがあることにつき、上記各甲号証の記載から明らかであるとともに、当該アジア地域特有の飲料について、「アジアンドリンク」、「アジアンジュース」等のように「アジアン」と称することが少なくないこともかかる記載より明らかというべきである。
そして、たとえば甲第15号証の1ないし4として示すように、本件指定商品中の「果実飲料」については、アジア産果実をミックスしたとされる商品につき「ASIAN/FRUITS MIX」及び「アジアンフルーツミックス」の文字を使用した例をみることもできる。
同号証は、日本生活協同組合連合会(以下、「生協」という。)開設のインターネット上のサイトにおけるページの一部であるところ、その1はその取り扱い商品紹介の先頭ページ「コープ商品のご紹介」を、その2はその取り扱いに係る果実飲料「アジアンフルーツミックス 195g(紙缶)」を、それぞれ示すものである。
同号証の2によれば、上記「アジアンフルーツミックス」の文字のほか、当該果実飲料の包装に「ASIAN/FRUITS MIX」の表示を確認することができるとともに、「アジア育ちのおいしい7つのフルーツを、さわやかにミックスしました。」,「アジア産の7種の果実ミックス」等のキャッチフレーズからは、当該商品がアジア産の果実をミックスしたものであって、これをいわばセールスポイントとしているものと認めることができる。
すなわち、当該商品における「アジアン」又は「ASIAN」の文字は、これに接する需要者、取引者等に、アジア産の果実を原材料としたものであることの表示として理解されるものといわざるを得ない。
さらに、この果実飲料の発売時期については、同号証の3及び4により、平成14年5月以前であるものと認められる。
同号証の3は、上記生協による商品宅配用の頒布カタログ「YUMYUM!!」について、「5月4回」と号付けされたものを紹介したページであるところ、これにはその「新商品・お買い得情報」欄において、上記果実飲料「アジアンフルーツミックス(カートカン)」(195g×15)の記載をみることができる。そして、当該「5月4回」の号については、同号証の4として示すそのバックナンバー一覧により、2002年5月における4回目の頒布号であることを確認することができる。
なお、同号証の4のページをプリントした2003年5月1日時点における当年の最新号は「5月3回」であって、このことからも、同号証の3に示すカタログ「5月4回」の号の頒布年は、2002年以前であると認めることができる。
そして、本件指定商品中の商品である「茶の風味の清涼飲料」については、アジア地域産の茶葉を使用した茶の風味の清涼飲料というべき商品につき、「アジアンティー」の文字が普通に使用されている例をみることもできる。
甲第17号証は、株式会社ポッカコーポレーション(愛知県名古屋市在)開設のインターネット上のサイトにおける製品発売記事であるところ、これによると、同社とネスレ日本株式会社(兵庫県神戸市在)が、アジア地域産の茶の風味の清涼飲料「アジアンティー」につき平成12年3月1日に販売を開始したことを確認することができる。
また、この「茶の風味の清涼飲料」に関しては、甲第18号証として示す2000年(平成12年)3月24日付情報誌「シティリビング」にも紹介記事をみることができる。
なお、当該「アジアンティー」の文字は、その全体をもって「アジア地域産の茶葉を使用した茶」の意味合いを理解させるものではあるものの、該文字中の「アジアン」の文字部分が、「アジア風の」、「アジア産の」の意を表したものであって、かつそのように理解されるものであることについては疑う余地がない。
他方、本件商標は、これを上記のような商品以外の商品に使用するときは、これに接する者に、当該商品があたかも上記のような商品であるかのように品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法4条1項16号の規定に該当する。
被請求人は、本件審判請求に対し何ら答弁していない。
(1)本件商標を構成する「ASIAN」の文字は「アジアの」を意味する英語であり、同じく「アジアン」の文字は日本語化されたその表音を表したものと認識されること(甲第1号証)。
(2)インターネットの検索結果によれば、「アジアン」の文字については9万件以上、「アジアンな」の文字については6千件以上がそれぞれヒットしていること(甲2号証)。
(3)飲食店又はそのメニューの紹介記事等において、「アジアン」が料理国籍(発祥地)としての和食、洋食、中華、フレンチ等と同列に扱われていること(甲第3及び第4号証)。
(4)同様に、本件商標の登録査定前の記述と推認されるものに限定しても、「東京で大ブームのアジアンドリンクが当店にもお目見えしました」(甲第5号証)、「アジアンドリンクがたくさんあります。マサラティー、ベトナムコーヒー、アラビアンミントティー、ジンジャーミルク、抹茶ドリンクなどなど。」(甲第6号証)、「90種以上のカクテルに加えて、チャイなどのアジアンドリンクも登場した。」(甲第7号証)、「現地から直接仕入れた豆を使ったベトナムコーヒーや、チャイ、ロータスティーなどのアジアンドリンクに加え、・・・・」(甲第10号証)、「アジアンフルーツミックス 195g<紙缶> アジア育ちのおいしい7つのフルーツを、さわやかにミックスしました。りんご、パイン、ライチ、グァバ、ピーチ、いちご、うめの7種のアジア産果実をバランスよくミックスした、100%天然果汁ジュースです。」(甲第15号証の2)、「『ネスティー アジアンティー』は、・・・若者の間で人気の『アジアンテイスト』をキーワードに開発された新ブレンド茶です。台湾産の赤烏龍茶をベースに、桂花茶、鉄観音茶、キーモン紅茶、ジャスミン茶、ハイビスカスなどアジアの厳選した10種類の素材を絶妙にブレンドし、・・・」(甲第17号証)の如く表現されているほか、「アジアンティーの世界」と題する単行本が発行され(甲第16号証)、また「アジアンティー」について新聞広告されていること(甲第18号証)。その他、記述の時期は不明確ながら、「アジアンなドリンクとデザートが、・・・」(甲第11号証)、「アジアンなソフトドリンク達」(甲第12号証)、「手作りアジアン料理でお腹の中ほっかほか! ASIAN FOODS & DRINKS・・・アジアンドリンクやビールも充実。」(甲第13号証)、「アジアンジュース450」(甲第14号証)といった記述もなされていること。
そうすると、本件商標は、上記のとおり、「アジアン」及び「ASIAN」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これをその指定商品中「アジア産ないしはアジア地域発祥の商品又はアジア産の果実等を原材料とする商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者が商品の品質、原材料を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法3条1項3号及び同法4条1項16号の規定に違反して登録されてものであるから、同法46条1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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