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Trademark Appeal Case

PGA商標の周知性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−8019(T2001−8019/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成11年1月13日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『Professional Golfers Association』(本部=アメリカ合衆国フロリダ州所在)が主催するゴルフ競技会のシンボルマークとしてテレビ放映などにより広く知られるに至った標章と同一であるから、これを出願人が指定商品に使用するときは需要者は前記団体もしくは前記団体と実質的に同一であるなど特別な関係にある者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について誤認を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「PGA」の文字は、仮に、各国のプロゴルフ協会を指称する場合があるとしても、一方で、例えば、「現代用語の基礎知識2003」(発行所 株式会社自由国民社)には「PGA(Professional Golfers’Association)アメリカのプロゴルフ協会」と、「最新英語情報辞典 第2版」(発行所 株式会社小学館)には「PGA(略) Professional Golfers’Association プロゴルフ協会:通常は米国プロゴルフ協会を指す。」と、「コンサイスカタカナ語辞典」(発行所 株式会社三省堂)には「PGA〔Professional Golfers’Association〕(米国)プロ−ゴルフ協会」と、また、「ゴルフ用語小辞典」(発行所 株式会社フクイン)には「P・G・A =プロフェッショナル・ゴルファーズ・アソシエーション=アメリカ・プロ・ゴルフ協会の略」と記載されているとおり、特に、米国プロゴルフ協会を指称するものとしても理解されているものである。しかも、本願商標は、単なる「PGA」の文字ではなく、長方形状の黒塗りの輪郭図形内に、「PGA」及び「TOUR」の文字と人がゴルフクラブを振っている姿を表したものと思しき図形を白抜きで表示してなるものであるところ、請求人(出願人)が平成13年1月31日付け意見書において提出した参考資料1ないし8や、甲第1ないし第6号証によっても日本のプロゴルフ協会に関連しての本願商標の使用が見出せない一方で、米国のツアーの報道等に際しては、本願商標と同一と思しき商標を見出し得るのであり、各種新聞記事をみても、次の(2)で後掲するとおり、米国のプロゴルフ協会を「PGA」と略称し、その米国プロゴルフ協会ツアーを「PGAツアー」と称している実情がある。

まして、請求人は、審判請求の理由において、本願商標と同一の商品商標に関しては、「この面で米国『PGA』の利害を代表する」という「PGA TOUR INC.」(以下「TOUR社」という。)との契約に基づき、米国側の要求に応じて請求人が日本国特許庁への出願手続を行うことになっている旨述べている(この点については後記(3)で詳述する。)のであり、このことからも、本願商標は、請求人である「社団法人 プロゴルフ協会」ではなく、米国のプロゴルフ協会に係るものであることが窺えるといえる。

そうすると、本願商標に関しては、少なくとも、このような態様の下では、「日本において『PGA』と表記されれば、それは米国の『PGA』を指すのではなく、出願人である『社団法人 プロゴルフ協会』を表す略称となる」などという請求人の主張は採用できないというべきであり、結局、我が国においても、米国のプロゴルフ協会に係るものとして周知、著名になっており、我が国の取引者、需要者も、米国のプロゴルフ協会を認識するとみるのが相当である。

(2)上記(1)で米国のプロゴルフ協会を「PGA」と略称し、その米国プロゴルフ協会ツアーを「PGAツアー」と称しているとした新聞記事は、次の(a)ないし(t)のとおりである。

(a)2003年1月9日付けの読売新聞(東京朝刊17頁)には、「貞方、米ゴルフツアーデビュー 日本飛び越え一気に世界へ」の見出しの下に「日本でプロ経験のない23歳の貞方(さだかた)章男=写真=が16日からの米プロゴルフ協会(PGA)ツアー、今季第2戦ソニー・オープン(ハワイ・ホノルル)でPGAツアーのデビューを果たす。丸山茂樹、田中秀道らは日本で経験を積んで米国へ進出したが、貞方のケースはボーダーレス化が進むスポーツの象徴の一つと言える。」と記載されている。

(b)2002年8月12日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ ビュイック・オープン最終日 ウッズが優勝」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアー、ビュイック・オープンは11日、ミシガン州グランブランのワーウィック・ヒルズGCC(パー72)で最終ラウンドが行われ、2アンダー、70で回った世界ランク1位、タイガー・ウッズ(米)が通算17アンダー、271で優勝。今季4勝目、PGAツアー通算33勝目を挙げた。」と記載されている。

(c)2002年7月12日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ グレーター・ミルウォーキー・オープン第1日 丸山6位発進」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーのグレーター・ミルウォーキー・オープンは11日、ウィスコンシン州ミルウォーキーのブラウン・ディアーパーク(パー71)で第1ラウンドが行われ、昨年大会でPGAツアー初優勝を飾り連覇を目指す丸山茂樹が6アンダー、65で回り、首位に2打差の6位タイと好スタートを切った。トミー・アーマー(米)が8アンダーで単独トップに立った。横尾要と田中秀道はともに3アンダーの33位につけている。」と記載されている。

(d)2001年12月4日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ 米ツアー最終予選会最終日 田中に来季出場資格」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーの来季出場資格をかけた最終予選会は3日、フロリダ州ウエストパームビーチのベアーレークCC(パー72)で最終ラウンドが行われ、7位タイでスタートした田中秀道は1バーディー、3ボギーの2オーバー、74とスコアを落としたが、6日間トータルで18アンダー、414で23位タイとなり、35位タイまでに認められる出場資格を獲得した。・・・また、フロリダ州オーランドから参加した高校3年のアマチュア、タイ・トライオン君も23位タイに食い込み、PGAツアー史上最年少となる17歳で出場資格を得た。しかし、実際にはPGAツアーはメンバー資格を18歳以上と規定しており、来年6月の誕生日までは、出場は主催者推薦枠の範囲内に制限される。」と記載されている。

(e)2001年9月13日付けの日刊スポーツ(13頁)には、「ゴルフ PGA 世界ランクの算出方法と、PGAツアー出場資格の変更を発表」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)は、世界ランクの算出方法とPGAツアーの出場資格の変更を発表。ポイント獲得から1年以上経過すると、ポイントが突然減少するのを避ける仕組みになる。」と記載されている。

(f)2001年7月17日付けの読売新聞(東京朝刊27頁)には、「ゴルフ ミルウォーキー・オープン最終日 丸山、米ツアー初優勝」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーのグレーター・ミルウォーキーオープンで、丸山茂樹が悲願のPGAツアー初優勝を飾った。」と記載されている。

(g)2001年7月16日付けの読売新聞(東京夕刊1頁)には、「丸山茂樹、米ゴルフツアー初V 日本選手、青木以来18年ぶり2人目」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーのグレーター・ミルウォーキーオープンは十五日、ウィスコンシン州ミルウォーキーのブラウンディア・パークGC(パー71)で最終ラウンドが行われ、丸山茂樹選手(31)がチャールズ・ハウエル(米)とのプレーオフの末、PGAツアー初優勝を飾った。優勝賞金は五十五万八千ドル(約七千万円)。日本選手のPGAツアー制覇は、一九八三年ハワイアン・オープンの青木功選手以来十八年ぶりで、米国本土開催の大会では史上初の快挙となった。」と記載されている。

(h)2001年7月7日付けの朝日新聞(西部夕刊10頁)には、「多い20代の若者(釜山かいわい 東亜日報から) 【西部】」の見出しの下に「『○PGAツアーに名乗り』 02年釜山アジア競技大会のゴルフ競技場として使用される釜山市機張(キジャン)郡日光面(イルグァンミョン)にある『アシアドカントリークラブ』は、世界の名門ゴルフ場の仲間入りを狙っている。釜山観光開発が昨年4月に着工。13万6千余坪の敷地に27ホール、ホール延長は約10キロ。来年4月に完成する予定で、米プロゴルフ協会(PGA)ツアー東北アジア大会の開催地として名乗りをあげている。」と記載されている。

(i)2001年7月2日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ ハートフォード・オープン最終日 ミケルソンがV 丸山、7位タイに」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーのハートフォード・オープンも1日、コネティカット州クロムウェルのTPCリバーハイランズ(パー70)で最終ラウンドが行われ、丸山茂樹は6バーディー、ノーボギーの6アンダー、64と大きくスコアを伸ばし、通算11アンダー、269として前日の24位から巻き返して7位タイに入った。優勝は首位でスタートしたフィル・ミケルソン(米)で通算16アンダー、264。PGAツアー通算19勝目をマークした。」と記載されている。

(j)2001年5月31日付けの朝日新聞(東京朝刊17頁)には、「ツアーでカート使用勝訴 マーティン「ほっとした」 米プロゴルフ」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーでのカート使用の可否を巡る裁判で、米連邦最高裁判所が、先天的な歩行障害があるケーシー・マーティン(米)に使用を認める判断を下したことを受け、29日、マーティンが電話インタビューで『ほっとしている』など心境を語った。マーティンは98年にカート使用権を求めた訴訟で勝訴、連邦高裁でも一審判決が支持されており、『ゴルフのルールに、カート使用を禁じたり、使用した選手にペナルティーを科したりするということはどこにもない』と改めて話した。現在は下部ツアーに参加しており、『PGAツアーに復帰する願いがかなうよう頑張りたい』と意欲をみせた。」と記載されている。

(k)2001年3月27日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ プレーヤーズ選手権最終日 ウッズが2週連続V 尾崎直は26位タイ」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアーのプレーヤーズ選手権は26日、フロリダ州ポンテベドラビーチのTPCソーグラス(パー72)で前日、日没サスペンデッドとなった最終ラウンドの残りが行われ、首位に立っていたタイガー・ウッズ(米)が通算14アンダー、274で、2週連続優勝を果たした。今季2勝目、PGAツアー通算26勝目。」と記載されている。

(l)2001年3月13日付けの産経新聞(東京朝刊18頁)には、「タイ・トライオン ゴルフ界に新星 16歳でPGAツアー予選突破」の見出しの下に「米ゴルフ界にタイガー・ウッズに続くスーパースター誕生へ−。フロリダ州の高校2年生、タイ・トライオン(16)は、11日まで米フロリダ州コーラル・スプリングスで開かれたPGA(米プロゴルフ協会)ツアーのホンダ・クラシックで、史上2番目の若さで予選をクリアする快挙を成し遂げた。」と記載されている。

(m)2000年6月6日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ 全米オープン最終予選5日 丸山「58」をマーク 初出場決める」の見出しの下に「男子ゴルフのメジャー第2戦、第100回全米オープン(6月15―18日)の最終予選(36ホール、ストロークプレー)が5日、全米各地で行われ、メリーランド州ロックビルのウッドモントCCでの予選に出場した丸山茂樹は、前半の南コース(パー71)で1イーグル、11バーディーの13アンダー、58の驚異的なスコアをマーク、通算11アンダー、通算132の2位で予選を通過、全米オープン初出場を決めた。・・・予選会のため、米プロゴルフ協会(PGA)ツアー記録には残らないが、18ホールでのPGAツアー記録、59を上回る快スコアだった。午後の北コース(パー72)では2オーバー、74だった。」と記載されている。

(n)2000年6月5日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ ケンパー・オープン最終日 シェラーが初制覇 細川は2位タイ」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアー、ケンパー・オープンは4日、米メリーランド州ポトマックのTPCエーブネル(パー71)で最終ラウンドが行われ、細川和彦が5アンダー、66の好スコアをマークして、通算11アンダー、273で、PGAツアーで自己最高の2位タイに入る大健闘をみせた。」と記載されている。

(o)2000年5月30日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ メモリアル・トーナメント最終日 ウッズが通算19勝目 丸山は10位」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアー、メモリアル・トーナメントは29日、オハイオ州ダブリンのミュアフィールドGC(パー72)で前日、大雨で順延となった最終ラウンドの残りが行われ、タイガー・ウッズ(24)(米)が通算19アンダーの269で2日目からの首位を守って大会2連覇を飾った。PGAツアー通算19勝目、今季4勝目。」と記載されている。

(p)2000年4月24日付けの読売新聞(東京夕刊3頁)には、「ゴルフ グレーター・グリーンズボロ・クラシック最終日 丸山8位タイ」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)ツアー、グレーター・グリーンズボロ・クラシックは23日、米ノースカロライナ州のフォレスト・オークスCC(パー72)で最終ラウンドが行われ、丸山茂樹は4バーディー、4ボギーのイーブンパー、72でホールアウト、通算6アンダー、282で前日の9位タイから一つ順位を上げて8位タイでフィニッシュした。優勝は1アンダー、71でまとめたハル・サットン(米)で、通算14アンダーの274。今季2勝目、PGAツアー通算13勝目を挙げた。」と記載されている。

(q)2000年1月14日付けの読売新聞(東京朝刊18頁)には、「米男子ゴルフ今季第2戦きょう開幕 丸山「流れ呼びたい」」の見出しの下に「米男子プロゴルフ(PGA)ツアーの今季第2戦、ソニーオープン・イン・ハワイが13日(日本時間14日)に開幕する。PGAツアー本格参戦のスタートを切る丸山茂樹のほか、スポンサー推薦で日本から出場する5選手が12日、プロアマ戦などで最終調整を行った。」と記載されている。

(r)1999年10月27日付けの産経新聞(東京朝刊20頁)には、「P・スチュワート選手墜落死 42歳“全盛”道半ば ウッズ悲嘆『大きな虚脱感』」の見出しの下に「米国の人気プロゴルファーで、個性的なニッカーボッカーがトレードマークのペイン・スチュワート(四二)が25日(日本時間26日)、自家用ジェット機で自宅のフロリダ州からPGA(米国プロゴルフ協会)ツアーの今季最終戦開催地のテキサス州に向かう途中墜落死したニュースは米プロゴルフ界に衝撃を与えた。」と記載されている。

(s)1997年7月19日付けの朝日新聞(東京朝刊17頁)には、「注意した競技役員を殴り失格 PGAツアー予選会(ハーフタイム)」の見出しの下に「米プロゴルフ協会(PGA)の来年のツアー予選会で、スロープレーを注意された選手が、注意した競技役員にパンチを見舞い失格となるトラブルがあった。」と記載されている。

(t)1989年2月8日付けの日刊工業新聞(31頁)には、「西日本後楽園、リゾート計画に拍車。まず89年春ホテル開業、温泉脈も発見」の見出しの下に「西日本後楽園(別府市〜、社長〜氏、電〜)は、十五年間に約五百億円を投じ設備の拡充を図る『城島後楽園リゾート開発計画』を進めているが、その第一弾の主宿泊施設となる城島高原グランドホテル(改装中)のオープンを四月二十八日と決めた。また城島後楽園カントリークラブは、PGA(米国プロゴルフ協会)ツアートーナメントができるコースに改造するため、保坂誠会長(後楽園スタヂアム社長)と所属の鈴木規夫プロが訪米中で二、三年中にはビッグトーナメントが可能なコースに仕上げる。・・・一方、ゴルフ場はPGAツアートーナメントができるコースにする計画で、それにはどのような改造が必要なのかについて打ち合わせるため保坂会長や鈴木プロが訪米中。」と記載されている。

(3)請求人は、審判請求の理由において、本願商標と同一の商品商標に関して「この面で米国『PGA』の利害を代表する米国『PGAツアー』と出願人との間で、・・・『PGA』の文字を含む商標の日本国特許庁への出願は、すべて出願人が行うこと(米国側で日本国特許庁へ出願済みのものについては、出願人に譲渡する)、米国側が、出願人に、本願商標と同一の商標(黒字で縦長の長方図形の中に『PGATOUR』の文字と男性のハイフィニッシュした姿勢を描いた図形とを、白抜きに配して成る商標)の出願を、商品区分を特定して要求した場合には、出願人がこれを出願し、米国側は、これについて専用使用権の登録を行う」旨の契約を締結しており、本願は米国側の要求に応じて出願したものである旨主張する。

当審においては、請求人と米国プロゴルフ協会等との関係を明確にすべく、平成15年8月18日付けをもつて、要旨次のとおりの審尋を行ったところ、平成15年10月1日付けをもって回答書があり、その証拠として甲第9ないし第23号証(枝番を含む。)の提出があったものである。

「請求人の主張に係る契約を立証する証拠は何ら提出されていない。しかも、同主張にもかかわらず、原査定の拒絶の理由にもある米国プロゴルフ協会(ザ プロフエッショナル ゴルファーズ アソシエイション オブアメリカ)所有の本願商標と同一の登録商標(例えば、登録第2263182号商標、登録第2527692号商標)は出願人に譲渡されるところがなく、また、請求人所有の本願商標と同一の登録商標について、米国プロゴルフ協会に専用使用権が設定されるところも一切ない。それどころか、請求人は、米国プロゴルフ協会所有の本願商標と同一の登録商標について取消審判(例えば、取消2001−30158号)を請求し登録の取消し図っているし、米国プロゴルフ協会は、自己の名義で商標登録出願(例えば、商標登録願2003−38370、同38371、同38372)を続けている事実がある。したがって、上記のような事情を踏まえると、何らの証拠もない状況では、請求人の主張は俄には信じ難いといわざるを得ないから、その主張が事実であるならば、その主張に係る契約及びその契約が現在でも有効であることを立証する証拠(契約書の写しなど)、さらに、該契約に基づいて米国側が出願人に対して本願商標の指定商品について出願の要求を行った事実を立証する証拠(依頼状の写しなど)を提出されたい。また、それらの証拠を提出する際には、あわせて、該契約の米側の当事者が誰であるのか、さらに、仮に、該米側当事者が米国プロゴルフ協会である場合には、上記のような状態に至った経緯及びその状態が解消し、請求人主張のとおりに事態が収束する見込みがあるのか否か、仮に、該米側当事者が米国プロゴルフ協会とは異なる場合は、該米側当事者は米国プロゴルフ協会や米国で開催される『PGAツアー』と如何なる関係を有しているのかについて裏付けとなる証拠を添えて詳細に説明されたい。なお、上記立証や説明がなされないときは、その請求人の主張は事実を伴わないものとみざるを得ないことを申し添える。」

そこで、検討するに、甲第9及び第10号証(枝番を含む。)によれば、請求人がTOUR社との間で、少なくとも、1991年12月に、本願商標と同一の商品商標について、TOUR社の日本への商標登録出願を請求人に譲渡し、請求人の登録に対する異議や審判請求を取り下げ、未だ登録を得ていない分類についてTOUR社が使用を望む場合は、請求人が商標登録出願を行う旨の契約を締結しており、1998年2月に、本願商標の指定商品の区分と同じ第3類についてTOUR社から請求人に出願の依頼があった事実は認められる。

しかし、請求人提出の甲第22号証(枝番を含む。)によれば、米国プロゴルフ協会の定款の第V条第1項には「PGAツアーの名称とマークは、協会(ジ・アソシエーション)が所有し、その使用をPGAツアーに関連する使用のために使用許可しているものである。」とあることから、本願商標と同一の商標の所有者はTOUR社でなく、米国プロゴルフ協会であり、TOUR社は同協会から使用許諾を得て使用しているにとどまるものと推認し得る。このことは、米国特許商標庁のインターネットのホームページ(http://www.uspto.gov/)によって米国で登録されている本願商標と同一又は極めて類似しているといえる商標を調査してみても、その商標(登録番号:2395739、2023685、2364722、2366496、2362173、2351974、2353814)の所有者は「Professional Golfers’Association of America」、すなわち、米国プロゴルフ協会となっていること、さらに、請求人自身、回答書において、日本への商標登録出願に関連して「甲第21号証によれば、米国『PGAツアー』(すなわち、TOUR社)と米国『PGA』(すなわち、米国プロゴルフ協会)との契約上、米国『PGAツアー』は、本願商標と同一の商標を出願しこれを所有してはならないこととなっている。」と述べていることからも裏付けられるところである。

しかも、請求人とTOUR社の間についても、請求人の回答書並びに甲第11ないし第21号証によれば、1991年12月の契約にはそれぞれ見解の相違があり、必ずしも、同契約の履行が十分になされず、平成15年8月18日付け審尋に記載したような事態をも招来していることが窺える。

その他、請求人が米国プロゴルフ協会より本願商標の出願、登録について承諾を得ているような特段の事情も見出し得ない。

そうすると、請求人主張の契約は本願商標と同一の商標の所有者というべき米国プロゴルフ協会との間のものではなく、しかも、請求人とTOUR社の間の契約の履行自体も十分になされていない状況にあることから、該契約書の存在をもって、請求人、TOUR社及び米国プロゴルフ協会を出所の混同を生ずるおそれがない実質的に同一人に等しい関係にあるということはできない。

この点、請求人は、米国プロゴルフ協会の会長等の役員がTOUR社のメンバー等になっており、両者は長年、密接で絡み合った関係を持っており、TOUR社も1991年12月の契約に変更はないと言明している旨主張するが、そのような状況の中で平成15年8月18日付け審尋に記載したような事態を招来するに至っていることを踏まえると、名義人を所有者に合致させる手続がないままに、請求人の主張のみをもって、本願商標に出所の混同を生ずるおそれがないということはできない。

(4)以上のとおり、本願商標は、我が国においても、米国プロゴルフ協会に係るものとして周知、著名なものであり、我が国の取引者、需要者も米国プロゴルフ協会を認識するとみるのが相当であって、請求人を米国プロゴルフ協会と実質的に同一人とみても差し支えないとすべき特段の事情があるともいうことができないから、結局、本願商標は他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標といわざるを得ない。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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