Trademark Appeal Case
公序良俗と著名死者名
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−9512(T2000−9512/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ガウディ」の片仮名文字と「GAUDI」の欧文字を二段に横書きしてなり、第28類「遊戯用器具」を指定商品として、平成11年5月7日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『スペインの建築家であったアントニオ ガウディ』を認識させる『ガウディ』『GAUDI』の文字を有してなるものであるから、このようなものを一出願人が自己の商標として採択使用することは、国際信義をそこねるおそれがあり穏当でないから、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
「アントニオ ガウディ(Antonio Gaudi)」(1852〜1926年)は、スペインの建築家であり、特に、1883年に着工して以来現在に至るも未だ未完成といわれる、スペイン・バルセロナにある「サグラダ・ファミリア聖堂」の主任建築家として名声を得、広く知られているものと認められ、1926年に死亡したものの、その死後においても未だその名声は衰えていないものと理解するのが相当である。
そして、「広辞苑第五版」には、「ガウディ」の見出し語で表示され、「アントニオ ガウディ」の紹介が掲載されているところである。さらに、「ガウディ」の文字をインターネット検索情報でみると、「アントニオ ガウディ(Antonio Gaudi)」の話題が掲載されているものが少なからず見受けられる(例えば、「ガウディ&バルセロナ・クラブ」のタイトルの記事 http://www.gaudiclub.com/jpn/、「ガウディ・ファン倶楽部」のタイトルの記事 http://www.cafegaudi.jp/gaudi/)。
そうすると、「ガウディ」及び「GAUDI」は、同人の略称として、現在においても著名であるといえるものである。
ところで、商標法は、公正な競争を図り、取引秩序を維持することを目的とする競業秩序を維持する面を持っているものであるが、商標法第4条第1項第7号は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は、商標登録を受けることができない」旨を規定しており、その趣旨は、商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけでなく、一般に国際信義に反する場合も含まれると解される。
そこで、本願商標をみると、本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、これよりは、指定商品の取引者、需要者に故アントニオ ガウディの略称であることを想起、観念させるものと認められるものである。
してみれば、著名な死者の著名な略称である「ガウディ」と「GAUDI」の文字よりなる本願商標を、同人と何らの関係もない出願人が、その指定商品について私的独占使用の目的をもって採択し、これを商標として登録することは、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、我が国の国際的な信頼も損なうおそれがあるというべきであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害するものといわざるを得ない。
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するものとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
なお、請求人は、商標法第4条第1項第7号の規定が適用されているのは、事実上、著名な外国人の氏名であって、著名な外国人の氏又は名のみに関しては適用がない旨主張しているが、著名な外国人の死者の略称(氏又は名のみ)についても、著名な外国人の死者の氏名と同等に扱うことが同規定の趣旨に沿うものである。さらに、過去の登録例を挙げ、本願商標は登録させるべきである旨主張しているが、具体的事案の判断は、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。そして、本願商標については上記認定のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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