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Trademark Appeal Case

商標使用の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30894(T2001−30894/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1456703号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAILBOX」の欧文字を横書きしてなり、昭和51年8月26日登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和56年2月27日設定登録され、その後、平成3年1月30日及び同13年4月10日に商標権存続期間の更新登録がされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出している。

1 本件商標は、請求人の調査によれば、本件商標は本件審判請求に係る指定商品につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、商標法第50条第1項の規定に基づき本件商標の指定商品中、「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、ねまき類」につき登録取消審判を請求する。

2 被請求人の答弁に対する弁駁(第1回)

(1)被請求人は、使用を証明する証拠として「平成13年9月19日」に撮影した「商品写真」(乙第1号証)を添付してしいる。しかし、これは本件商標の使用証明とはならない。本件商標審判の請求の登録日(予告登録日)は、平成13年9月5日であり、本件審判請求の登録日以降に作成されたものである。

(2)添付された「写真」がたとえ本件審判請求の登録日以前のものであったとしても被請求人の主張には根拠がなく失当である。

登録商標の使用に係る指定商品が「現在の店だけでも今年で4年」もの間「企画販売」している事実は認められない。なぜならば、答弁の中で「4年」の間「自店にてオリジナル商品として企画販売して」いることを客観的に立証する「納品伝票」、「請求書」、「売上げ表」等の証拠は一切提出されていない。また、不使用取消審判の請求に係る何れの「指定商品」に使用しているものであるかが全く示されていない。

したがって、被請求人が本件商標を指定商品に使用していることの証明とはならない。

(3)乙第1号証(商品写真)からは、本件商標を使用している事実は認められない。

a)「MAILBOX FAMILY」と思われる欧文字と「熊」を図案化したと思われる図形及び当該図案の側に記された筆記体の欧文字から構成される部分について(Tシャツの胸部分に表示)

上記図形は、商品の購買意欲を喚起させることを目的として表示せられているものであり、その表示が付された商品の製造源あるいは確認する「目じるし」、すなわち「商標」とは解せられず、実質的な商標の使用に当たらない。

欧文字「MAILBOX FAMILY」については、当該文字部分と下記に表された図形とが結合して一体となって表示されており、当該文字部分が独立しあるいは付随的に出所を表示し、自他商品識別の機能を果たしているものとは認められないので、欧文字「MAILBOX FAMILY」も「商標」としては使用されていない。

b)「MAILBOX FAMILY」と思われる欧文字が左側の袖に表されて構成される部分について(Tシャツの右袖に表示)

当該欧文字も中央部に表された欧文字「MAILBOX FAMILY」を小さくした相似形であり、中央部に大きく表された欧文字と図形とが一体となって構成され「意匠」として機能する標章の一要素としての性格を有しており、単独で商標としての機能を有するものとは到底認められない。

c)糸からなる小さな紐を介して安全ピンにより商品(Tシャツ)に繋いだ「下げ札」の部分について

当該下げ札には、欧文字の小文字「mail」の筆記体と欧文字の大文字「B」の筆記体、同小文字「o」の筆記体と図形を上段にし、欧文字の大文字「F」と同小文字「FAMILY」の筆記体を下段に配してなる。そもそも当該下げ札には本件商標「MAILBOX」が表されていない。また、上段の語尾の文字が「x」の装飾文字であり欧文字全体で「mail Box」が図案化されているものと認識できるとしても、当該標章は、本件商標としての使用とは言い難い。

通常下げ札は、商品が生産者又は販売者から問屋等の中間業者を介して又は直接に消費者の手元に届けられる商品に付されるものであり、生産者又は販売者等の出所を表示する機能を有することから、容易に脱落しないように止められるものであるのに対して、商品写真に示された下げ札は安全ピンにより留められているにすぎないので、容易に外すことができるため流通される商品への使用の態様とはいい難い。また、商品の左側上部に留められ、商品に表された欧文字「FAMILY」を覆い隠すように配置されているのは極めて不自然であり作為が感じられる。

d)上記a)の図形の下側に表されている欧文字「MAILBOX」「PLANNING」とこれらの間にある図形とから構成される部分について

当該標章は、商標としては小さすぎて判読が肉眼においては困難であるため、一般の消費者はもとより商品の取引者間においても識別力を発揮することは事実上あり得ない。

e)取消に係る商品と関連するとも思われる商品が3つハンガーに吊り下げられた状態の写真について

このうち真ん中に吊り下げられている商品は、拡大した写真に表された商品であり、上述したところにより登録商標の使用の態様に該当しないことは明らかである。

左側に吊り下げられている商品に表された標章は、「MAIL BOX」の日本語の観念である「郵便ポスト」の形態を図案化し、この図形の中に欧文字「MAILBOX」をあしらってなるから、図形と文字が一体となって意匠として機能しており、商標としての機能を発揮するものではない。

右側に吊り下げられている商品に表された標章は、欧文字「mail」と同じく「BOX」を上下に配したものの下に「イヌ」と思しき動物を図案化した図形とを一体にしてなるから、これも左の標章と同じように図形と文字が一体となって意匠として機能しており、商標としての機能を果たしているとは到底いい得ないものである。

3 被請求人の答弁に対する弁駁(第2回)

請求人は、平成14年11月20日付弁駁書において、次のとおり述べている。

乙第1号証ないし同第4号証からは、本件商標を使用している事実は認められない。

(1) 乙第1号証及び同第3号証に係る商品写真について

これらが登録商標の使用証明にならないのは、写真が撮影したその日の状態を示すものであって、これのみでは時間の継続性が読みとれないからである。商標法はその使用の時期を予告登録前3年以内と明確に規定しており、他の証拠と共にその後も継続して使用していると推定されない限り商品写真を以てしてはその主張は認められない。

(2)乙第2号証は、被請求人の確定申告書であるが、これは、被請求人が店舗を設けて事業を経営していることを立証するのみで、本件商標の使用については何ら影響をおよぼすものではない。被請求人が本件商標を付した商品を製造・販売し、税務署に所得税の申告書を提出しているのであれば、営業所得の明細、すなわち請求書や領収書といった客観的書類があるはずであり、これらによって初めて商品が市場で流通していることを立証できるのである。

(3)乙第4号証について

チラシに商標は付されていても、商品との関連性がなく、又これを設置、交付した時期も不明である。

4 請求人の意見書における意見

請求人は、平成15年5月19日提出の意見書において、乙5号証及び同6号証について以下のとおり意見を述べている。

(1) 乙第5号証の1ないし3について

まず、乙第5号証の1は、商品が特定されていない請求書であり、乙第5号証の3は、「メールボックス プリント代」に係る請求書であって、商品の代金ではないのでこれらは使用を証明する書面としては認められない。

つぎに、乙第5号証の2は、「メールボックス PtTシャツ」に係る請求書であるが、この中の「Pt」はプリントを意味するものと思われ、先に提出された乙第1号証の写真のいづれのTシャツかは特定できないが、このような使用は、平成14年1月9日付弁駁書で述べたように、図形との一体性において意匠的機能を有するにすぎず、商標としての使用とは認められない。

(2) 乙第6号証について

乙第6号証は、被請求人自らの作成に係る日計表であるから、「M/B プリントT」が、「Mail Box プリント T−シャツ」を意味するものであるとしても書証としての客観性を有しない。

(3)以上、乙第5号証及び同第6号証を以てしても、本件登録商標が請求に係る商品に使用されているとは認められない。

なお、被請求人は、平成2年の更新登録出願において、(株)メールボックスを通常使用権者として「セーター」に係る使用を立証しているが(甲第5号証)、その後同社の存在は不明確で、ただ「メールボックス」の屋号で事業を経営しているといえども、「メールボックス」として営業しているからといってその販売に係る商品全てに使用を認めなければならないという根拠はない。

5 以上の次第であることから、本件商標がその「指定商品」に使用されていないこと及び本件商標の不使用の正当理由もないことは明らかである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(枝番を含む。)を提出している。

1 本件商標の商品に関して、現在、自店にてオリジナル商品として企画販売しており、現在の店だけでも今年で4年目になるので、請求人の調査とは、くいちがいが出ているため、本件審判請求は成り立たない。

2 弁駁書に対する答弁

(1)提出の商品写真について

撮影日は平成13年9月19日であり、本件審判請求の登録日以降の日付であるが、被請求人の立証趣旨は本件請求日以前に、これらの商品を既に製造、販売していたことを立証するものである。撮影日が本件審判請求の登録日以降であれば使用証明にならないとする請求人の主張は不当である。請求人の論法では商標使用権者は、常に取消審判に備えて、商品の写真を撮影しておかなければならないことになる。

(2)商品の販売について

被請求人は前記写真の商品のように、指定商品の内、ワイシャツ類または下着類に該当する商品を販売しているものである(乙第1号証)。

被請求人は渋谷区東2−9−21で屋号を「メールボックス」として事業を経営しており、平成9年4月以降、渋谷区恵比寿1−7−6において店舗を設けて、本件商標を付した商品類を販売しているものである(乙第2号証の1及び2)。

「メールボックス」として営業している以上、本件商標を使用している商品を販売していることは当然、推定さるべきである。

(3)指定商品における本件商標の使用について

被請求人は平成9年4月以降、前記商品の外、本件商標を使用している商品を販売している(乙第3号証の1ないし3)。また、前記商品には明白に本件商標を使用している。請求人はこれが小さすぎて判読が肉眼では困難であると主張しているが、それは請求人の主観的判断であり、被請求人が本件商標を使用している事実には変わりがないし、図案と一体となっているものとは考えられないものである。

「mail BOX」なる記載のある、いわゆる下げ札についても、通常は、容易に脱落しないようになっているというが、安全ピンによるものが本件商標の使用に該当しないという事も一方的主張である。販売者において自由に取り付けをすることができるものである。また、被請求人は前記営業所において、取扱商品として、本件商標を明示したチラシを設置、交付している(乙第4号証)。

(4)審尋に対する回答

被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に製造、販売されていたことを客観的に立証する証明書として、株式会社サンヨーニットからの請求書及び被請求人の日計票を提出する(乙第5号証1ないし3及び同第6号証)。被請求人は、同社と遅くとも平成8年以降、本件商品の製造を継続して依頼していたもので、請求書はその一部である。日計表は平成13年7月6日のもので、上から4段目の記載のものが該当する。

第4 当審の判断

1 乙第1号証ないし同第6号証ににより以下のことが認められる。

(1)乙第1号証は、Tシャツの下げ札の部分を拡大した写真と商品の陳列状態を撮影した写真(2枚)であり、それらの写真によると、商品の陳列状態を撮影した写真では、壁面に横楕円形の面に上側の辺に沿って大きく「MAIL BOX」の欧文字、その下に家風の図を配したステンドグラス風の看板とみられるものが掲げられ、その隣に3枚のTシャツがハンガーに掛けられ陳列されている様子が写されており、そのTシャツの左から2番目のTシャツに下げ札が取り付けられており、その下げ札の部分を拡大した写真を見ると、その下げ札は、安全ピンで取り付けられ、その札には「mail BOX」の文字を大きく表し、その下側に小さく「Family」と表され、いずれも筆記体風に表わされている商標が認められる。また、3枚のTシャツの胸の部分には、それぞれ、郵便箱の如き図形内に「MAIL BOX」の文字を表しているもの、「MAIL BOX FAMILY」の文字と4匹の熊と思しき動物の顔を表しているもの、又は「mail」「BOX」の文字を段違いに表しその下に犬と思しき図形を表したものが表示されている。そして、それらの写真(2枚)の右下部分に「’01 9 19」と日付が表示されている。

(2)乙第2号証の1は、12年3月に作成された平成11年分の被請求人の所得税の確定申告書(写し)(「渋谷税務署12.3.13文書収受38」の押印がされている。)であり、それによると、本人(申告者)について記載する欄に、職業を「衣料販売」、屋号雅号を「メールボックス」と記載され、同第2号証の2は、14年3月に作成され、渋谷税務署で受付された同13年分の所得税の確定申告書(写し)(「渋谷税務署14.3.11文書収受30」の押印がされている。)であり、申告者の住所欄に「渋谷区東2−9−21 メールボックス」と記載されている。

(3)乙第3号証の1ないし3は、商品Tシャツの写真であり、それによると商品Tシャツの衿部分に織りネームが付され、その織りネームには、「mail Box」の欧文字とその「mail Box」の文字部分の下側に「x」の文字から左方向に幅厚となるように下線風の図が配されて表示されている商標が認められる。そして、それらの商品写真は平成14年7月10日に請求人が作成したことの記載がされている。

(4)乙第5号証1ないし3は、千葉県松戸市所在の「株式会社サンヨーニット」から「メールボックス(徳永)」に対する代金請求書(写し)であり、それによると、平成13年5月分の「メールボックスPt Tシャツ 52枚」及び「メールボックスプリント代 65枚」の代金請求書と認められる。

(5)乙第6号証は、商品販売の日計表と認められ、摘要欄4段目に「M/B プリントT」、数量欄に「1」、金額欄に「2940 M」と記載され、日付は「13年7月6日」と記載されている。

2 上記事実及び被請求人の主張を総合してみると、被請求人(商標権者)は、少なくても乙第2号証の1によると平成11年3月衣料品を販売する「メールボックス」(MAILBOX)の店舗を設け、Tシャツなどの衣料品を販売しているもので、その店舗で取り扱う商品Tシャツについて「株式会社サンヨーニット」(千葉県松戸市所在)がプリント製造したTシャツを販売しているものであり、乙第1号証及び同第3号証に掲載されている商標を使用しているものと認められる。

(1)使用商標について

乙第1号証の下げ札に表されていた「mail Box」の文字と「Family」の文字を二段に表示されているところの商標が本件商標と同一であるか否かについて検討するに、下げ札に大きく顕著に「mail Box」の文字が表され、それに比べ「Family」の文字が際立って小さく、両文字部分を一体のものとしてみられることが常である程の構成態様とはいい難く「mail Box」(以下「使用商標1」いう。)の文字も独立して商標として機能していると認められるものである。

また、乙第3号証の1ないし3の織りネームに表示されているやや図案化した下線が付記されている「mail Box」の欧文字からなる表示(以下「使用商標2」という。)は、商品Tシャツに使用する商標と認められるものである。

(2)本件商標の使用について

しかして、本件商標の構成は、第1で述べたとおり「MAILBOX」の欧文字を横書きしてなるところ、本件商標と乙第1号証の下げ札に表されている使用商標1とは、文字の書体、大文字と小文字の差異、また「mail」と「Box」の間に間隔の有無があるとしても、いずれの商標も綴り文字を同じくし、「メールボックス」と称呼されるものであって、「郵便箱、郵便受け」を意味する英語として理解、認識される範囲のものと認められることから、本件商標は、使用商標1と称呼、観念を共通にする社会通念上同一の商標とみるのが相当である。

また、乙第3号証の1ないし3の織りネームに表示されている使用商標2は、「mail Box」の文字と下線風の図からなるところ、その下線風の図の部分は「mail Box」の文字を強調する意図で装飾的に付記されているものと看取されるに過ぎず、この使用商標2を全体からみて「mail Box」の文字からなる商標と実質的に何ら異なるところはないものとみられるもであることから、使用商標1と同様、本件商標と使用商標2とは社会通念上同一の商標とみるのが相当である。

そして、乙第2号証によれば、被請求人(商標権者)は、衣料販売店を経営し、Tシャツ等を販売していることが認められ、乙第5号証及び同第6号証(枝番を含む。)の取引書類は、本件審判請求の登録前3年以内のものといえ、これを否定すべき事情も認められない。

3 してみれば、被請求人(商標権者)は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件審判の取消請求に係る指定商品中の「Tシャツ」を販売し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと推認することができる。

4 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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