結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35548(T2002−35548/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4166256号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成7年3月10日に登録出願され、第8類「手動工具(「すみつぼ類・皮砥・鋼砥・砥石」を除く。),手動利器(「刀剣」を除く。)」を指定商品として、平成10年7月10日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第902385号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和44年4月7日に登録出願され、第13類「手動利器、手動工具、金具(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、昭和46年6月21日に設定登録され、その後、その指定商品については、平成13年10月3日に第8類「手動利器(「刀剣」を除く。),刀剣,手動工具(「すみつぼ類・皮砥・鋼砥・砥石」を除く。),すみつぼ類,皮砥,鋼砥,砥石」と書換登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
請求の理由
(1)請求の利益について
請求人は、引用商標の所有者であり(甲第1号証)、当該引用商標をその指定商品について使用していたところ、平成14年12月5日に被請求人「株式会社ナルトシザー」より本件商標の権利侵害である旨の警告(甲第2号証)を受けた。
なお、当該警告書のあて先は「リトパインコーポレーション」であり、その住所は「千葉県野田市柳沢234−22」となっているが、この「リトパインコーポレーション」は請求人の一人である小松京子の屋号である。また、住所も甲第1号証の商標原簿記載の住所から明らかなように同一である。
したがって、請求人は、本件審判を請求するについて利害関係を有する。
(2)本件商標と引用商標との類否について
本件商標及び引用商標は両者ともに図形商標であり、その外観において極めて酷似する。
すなわち、本件商標の外観は、被請求人がその警告書中において述べる通り、円形の枠内に、左方向に向いた笛状の図形と、頭上に二本の剣を交差するように翳す人形の図形とを組み合わせて配してなる構成よりなる図形商標である。
これに対して、引用商標は、本件商標同様に左方向に向いた笛状の図形と、頭上に2本の剣を交差するように翳す人形の図形とを組み合わせて配してなる図形商標である。
両者を比較するに、その違いは本件商標がその商標全体を円形の枠で囲んでいること、人形のスカート部分の線模様を単に太さを変えたことのみであり、そのような微細な相違点を考慮したとしても本件商標と引用商標が全体観察した場合に、その外観において極めて酷似していることは明らかであると思料する。
また、その外観より生じる観念においても、外観が酷似しているものである以上、観念も酷似するものと思料する。
なお、両商標の称呼については、両者ともに図形のみから構成される商標であるため格別の称呼は発生しないものと思料する。
そして、本件商標に係る指定商品第8類「手動利器(「刀剣」を除く。),手動工具(「すみつぼ類・皮砥・鋼砥・砥石」を除く。)」と引用商標の指定商品中第8類「手動利器(「刀剣」を除く。),手動工具(「すみつぼ類・皮砥・鋼砥・砥石」を除く。)」とは同一の指定商品である。
以上の通り、本件商標は引用商標と類似する商標であり、その指定商品も引用商標と一部が同一の商品である。
(3)むすび
本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とするべきものである。
被請求人は、本件審判請求はこれを却下する、本件審判請求は理由がないものとする、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)利害関係について
請求人は、引用商標をその指定商品について使用していたところ、被請求人の一人である株式会社ナルトシザーから本件商標の権利侵害である旨の警告を受け、当該警告書(甲第2号証)の宛先住所と、引用商標の商標登録原簿(甲第1号証)の住所とが同一であることを以て、請求人が上記警告書を受けたものであるから、請求人は、本件審判を請求するについて利害関係を有すると主張する。
しかしながら、上記の各証拠は、請求人の住所と上記警告書の宛先住所とが同一であることを示すだけであり、これらを以て直ちに、請求人が上記警告書の宛名に係る屋号の持ち主であるとの証左とはならない。また、請求人が当該屋号の持ち主であることを示す証拠もない。さらに、請求人が引用商標をその指定商品について使用していたことを示す証拠もない。
したがって、請求人の上記主張は何ら根拠のないものと云わざるを得ない。
してみれば、請求人は本件審判を請求するにつき利害関係がないというべきであり、本件審判請求は却下されるべきである。
(2)本件商標の無効理由について
(ア)本件商標と引用商標とが非類似であることは、特許庁における本件商標(乙第1号証)の審査経過(乙第2号証)、及び本件商標と旧商標法下において連合関係にあった登録第1575612号商標(乙第3号証)の審査経過(乙第2号証)を見ても明らかなように、これら両商標とも、引用商標(甲第3号証)が存在している状況下で何らの拒絶理由通知も受けることなく登録されている事実からして、明白であり、この点からだけでも請求人の上記主張に理由がないことは明らかである。尚、乙第3号証に係る登録商標は、本件商標と白黒反転の関係にあるだけである。
(イ)そもそも、引用商標と本件商標とを対比するに、両者は、笛状の図形と、頭上に2本の剣を交差するように翳す人形の図形とを組み合わせた点で共通するものではあっても、次の点で相違するから上記のように特許庁において登録が認められたものである。
すなわち、
(a)引用商標は、その人形の図形が8頭身で描かれているのに対し、本件商標は、その人形の図形が6頭身で描かれている点。
(b)引用商標は、その人形の図形において腕部だけが塗り潰されているのに対し、本件商標は、その人形の図形において胸部と腕部の両方がともに塗り潰されている点。
(c)引用商標は、その人形の図形において、胴部の下端に向かう広がり方が緩やかであるのに対し、本件商標は、その人形の図形において、同部の下端に向かう広がり方が急である点。
(d)引用商標は、その人形の図形において、笛状の図形から上は1本の線で輪郭が描かれているのに対し、本件商標は、その人形の図形において、胸部以下がすべてに亘って二重線で描かれている点。
(e)引用商標は、その人形の図形において、笛状の図形から下方が9本の太線で縁取りされているのに対し、本件商標は、その人形の図形において、笛状の図形から下方が7本の細線で縁取りされている点。
(f)引用商標は、その人形の図形において、2本の剣はいずれも腕部に比べて極めて細く描かれているのに対し、本件商標は、その人形の図形において、2本の剣はいずれも腕部と略同じ太さで描かれている点。
(g)引用商標は、その人形の図形において、2本の腕部が胴部に比して短く且つ高く掲げられているのに対し、本件商標は、その人形の図形において、2本の腕部が胴部に比して長く且つ低く掲げられている点。
(h)上記(a)〜(g)の相違点があることから、引用商標の人形図形からは背が高くスマートな印象を受けるのに対し、本件商標の人形図形からは背が低くずんぐりした印象を受ける点。
以上(a)〜(h)に列挙したように、両商標は、その人形の図形において多くの点で相違し、しかも本件商標は、引用商標にはない円形の枠を有するものであって、これらの相違点は前記した共通点を凌駕するものであるから、本件商標は引用商標と非類似であることは明白である。
(ウ)ところが、請求人は、本件商標と引用商標との相違点は、円形の枠の有無、及び、人形のスカート部分の線模様の太さにしかなく、これらの相違点を考慮しても本件商標と引用商標は外観において極めて酷似すると主張する。
しかしながら、請求人の上記主張は、両商標における前掲の相違点(a)〜(h)を悉く看過し、対比観察を誤ったものであり、失当と云うほかない。
(3)むすび
以上述べた通り、本件審判請求は、利害関係を有しないものによるものであるから、却下理由を有し、また、仮に当該却下理由がないとしても、本件商標は、引用商標とは非類似であって、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものでないことは明らかであるから、本件審判請求は理由がないものである。
(1)利害関係について
請求人が本件審判の請求をするについて当事者間に利害関係の争いがあるので検討するに、本件商標の商標権の存否によって、請求人はその権利に対する法律的地位に直接の影響を受けるか、又は受ける可能性のあるものとみられるものである。
したがって、請求人は、本件審判を請求することについて法律上の利益を有するものである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、別掲(1)(2)のとおりの構成よりなるものである。
しかして、本件商標と引用商標は、いずれも笛状の図形と、頭上に二本の剣を交差するように翳す人形の図形とを組み合わせた構成よりなるという基本的構成を同じくするものであって、着想、構図等その構成の軌を一にするものとみるのが相当である。
そうすると、被請求人が主張するように、引用商標は、その人形の図形において、2本の剣はいずれも腕部に比べて極めて細く描かれているのに対し、本件商標は、その人形の図形において、2本の剣はいずれも腕部と略同じ太さで描かれている点等、細部において異なるところがあるにしても、本件商標と引用商標とは、時と処を異にして使用される取引の場においては、これらの差異は微差の範囲というべきであり、外観上、彼此相紛らわしい類似の商標といわなければならない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念について考慮するとしても、外観において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。
なお、被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証を提出し、本件商標等の審査経過により、本件商標が特許庁において登録が認められた旨主張しているが、その審査経過をもって、本件の判断を左右するものではないから、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、その登録は同法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第46条第1項により、これを無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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