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Trademark Appeal Case

周知商標の混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35092(T2003−35092/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4620109号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4620109号商標(以下「本件商標」という。)は、「ガシャポン」の片仮名文字と「GASHAPON」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成13年11月20日に登録出願、第9類「カプセル入りおもちゃの自動販売機,その他の自動販売機」を指定商品として、同14年11月15日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)請求の利益について

本件商標がその指定商品に使用された場合、請求人が商品「カプセル入りおもちゃ」について使用する商標「ガシャポン」に化体した業務上の信用が侵されることは明らかであるから、請求人は本件審判を請求することについて利害関係を有するものである。

(2)無効理由について

(A)本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきものである。

(a)請求人は、各種玩具を製造販売している我が国有数の玩具メーカーである。

玩具の一範ちゅうとして「カプセル玩具(カプセル入りおもちゃ)」といわれるものがある(甲第38号証)。これは、球形ないし卵形のプラスチック容器に入った小さな玩具であり、自動販売機で販売される。我が国では、1960年代後半から、このようなカプセル入りおもちゃが自動販売機で販売されるようになったようである。

請求人は、1976年(昭和51年)に、当時20円機が主流であった上記カプセル自動販売機市場に、業界の常識を破る100円機で参入した(甲第3号証ないし甲第12号証)。当時はカプセル入りおもちゃといえば1個20円のいわば安物のオモチャであったが、請求人はそこに100円の高品質の製品を投入し、しかも、カプセル入りおもちゃとしてコレクション性のあるキャラクター人形等を採用したことにより、大きな人気を博することとなった。カプセル入りおもちゃの自動販売機は一般的に「ガチャンコ」と呼ばれていたので、請求人は他社との差別化を図るため、1982年に「ガシャポン」(以下「引用商標」という。)を商標として採用することとし商標登録出願を行った(甲第2号証の1及び2)。

1991年には、請求人は、さらに付加価値の高い200円機を投入(甲第4号証ないし甲第9号証)、1997年には100円、200円切り換え式自販機を採用し(甲第7号証ないし甲第9号証、甲第11号証)、2001年5月からは300円、400円までの販売を可能にした新型自販機を導入している(甲第10号証、甲第11号証)。

また、100円、200円の通常の「ガシャポン」に加えて、1993年8月には「ガシャポン スイングシリーズ(キーチェーン)」、1994年7月には「ガシャポン くっつくんですシリーズ(マグネット)」を発売し、1994年9月には、1966年放映時に「ウルトラマン」を観ていた世代である20歳以上の大人をもターゲットにした「ガシャポンHGシリーズ」を発売した(甲第5号証ないし甲第12号証、甲第34号証)。

このように、子供だけでなく大人向けのカプセル入りおもちゃも「ガシャポン」として販売されるようになり、その自動販売機は、玩具店や駄菓子屋の店頭、スーパーマーケット等のみならず、居酒屋やドラッグストアに設置されることも少なくない(甲第12号証)。

以上のような請求人のカプセル入りおもちゃ「ガシャポン」は、例えば1993年までに累計出荷個数が10億個を超え(甲第3号証)、本件商標の登録出願日である2001年(平成13年)11月20日前の統計によれば、次のとおりである(甲第10号証)。

・自動販売機専用カプセル「ガシャポン」(100円、200円)

1976〜2001.3の累計出荷数 :18億個

・ガシャポン スイングシリーズ(キーチェーン)

1993.8〜2001.3の累計出荷数 :5800万個

・ガシャポン くっつくんですシリーズ(マグネット)

1994.7〜2001.3の累計出荷数 :6455万個

・ガシャポン HGシリーズ

1994.9〜2001.3の累計出荷数 :8550万個

また、請求人の「ガシャポン」を販売するカプセル自販機は、2001年3月末現在で、約16万5千台が全国の市場に導入されている(甲第10号証)。

ちなみに、2001年度の自動販売機によるカプセル入りおもちゃ市場は約210億円の規模であるが、このうち請求人は72%のシェアを占めている(甲第11号証、甲第12号証)。

請求人は、このカプセル入りおもちゃ「ガシャポン」について、例えば商品カタログ(甲第21号証ないし甲第32号証)の他、特に販売者向けの広報誌「ガシャポン ニュース/GASHAPON NEWS」(甲第13号証ないし甲第20号証)を発行して販売促進に努めており、第三者によるコレクション雑誌も発行され(例えば甲第33号証)、一般誌においても広く紹介されてきた(甲第34号証ないし甲第36号証)。

(b)以上のとおり、請求人の引用商標「ガシャポン」は、自動販売機で販売されるカプセル入りおもちゃについて、1982年から既に20年以上継続して使用され(甲第3号証ないし甲第38号証)、その商品の総販売個数は20億個という莫大なものであって、市場占有率も70%を超えている(甲第3号証ないし甲第12号証)。20年以上ということは、発売開始当時小学校5年生(10歳)であった者が現在30歳以上になっているということであり、しかも、その購買層自体も、小学生から大人までの幅広いものであって、販売地域も全国に及んでいる。

したがって、引用商標は、本件商標の登録出願日(平成13年11月20日)はもとより、その相当以前より既に請求人の商標として周知著名なものとなっていたことは明らかである。

なお、甲第39号証ないし甲第44号証は、玩具卸売業者による証明書であり、引用商標が請求人の商標として広く知られているものであることを裏付けている。

(c)本件商標の指定商品中「カプセル入りおもちゃの自動販売機」は、専ら「カプセル入りおもちゃ」を販売するために用いられるものであって、取引の実際においては、自動販売機によって販売される商品の商標やメーカー名(例えば、飲料の自動販売機であれば、飲料の商標や飲料メーカー名)が自動販売機そのものにも付されるのが通常である。このことからみて、「カプセル入りおもちゃの自動販売機」に本件商標が付されていた場合、この自動販売機により販売される「カプセル入りおもちゃ」があたかも請求人の著名なカプセル入りおもちゃ「ガシャポン」であると、需要者が誤認するおそれがあることは明白である。

(d)以上のとおり、被請求人が商品「カプセル入りおもちゃの自動販売機」について本件商標「ガシャポン/GASHAPON」を使用した場合、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

(B)本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきものである。

(a)被請求人は、甲第45号証に示すとおり、請求人と業務上競合する玩具メーカーであり、そのグループ会社である株式会社ユージンは、カプセル入りおもちゃの製造、販売を行っている(甲第45号証及び甲第46号証)。

しかも、引用商標が「カプセル入りおもちゃ」について周知著名な商標であることは、前述のとおりである。

このような状況の下、玩具を専門とする被請求人が、引用商標の存在を知らずに本件商標を登録出願したとは到底考えられないところである。

(b)してみれば、被請求人は、請求人が商品「カプセル入りおもちゃの自動販売機」について、商標「ガシャポン」を登録出願していないことを奇貨として、引用商標に係る請求人の信用にただ乗りし不正の利益を得ようとの意図、引用商標の出所表示機能を稀釈化させようとの意図、引用商標の名声を毀損させようとの意図あるいはカプセル入りおもちゃ市場を混乱させ請求人に損害を加えようとの意図、すなわち不正の目的をもって、本件商標を登録出願したものであることは明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁をしない。

4 当審の判断

甲第3号証ないし甲第17号証、甲第21号証ないし甲第34号証及び甲第50号証によれば、請求人は、各種玩具を製造販売している我が国有数の玩具メーカーであり、自動販売機で販売される球形ないし卵形のプラスチック容器に入った小さな玩具(玩具の一範ちゅうとして「カプセル玩具(カプセル入りおもちゃ)」と呼ばれる。)の市場に1976年(昭和51年)に参入し、コレクション性のあるキャラクター人形等をカプセル入りおもちゃとして採用したことにより、人気を博し、この商品分野で大きいシェアを占めてきた事実、また、請求人は、「ガシャポン」の文字よりなる商標をカプセル入りおもちゃに使用してきた結果、この商標は本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者の間に広く認識されるに至っていた事実が認められる。そしてまた、請求人は、カプセル入りおもちゃを販売するだけでなく、これを販売するための自動販売機自体も自身で市場に投入してきた実態が認められる。

そして、以上の実情の下では、本件商標をその指定商品である「自動販売機」とりわけ「カプセル入りおもちゃの自動販売機」に使用した場合、この自動販売機によって販売されるカプセル入りおもちゃが前記の「ガシャポン」の文字からなる商標を使用してきた請求人の業務に係る商品であるかのように取引者、需要者に誤認されるおそれがあるばかりでなく、自動販売機自体も請求人の業務に係る商品であるかのようにその出所を誤認して混同を生ずるおそれが、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、あったものと認めることができる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して商標登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その商標登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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