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Trademark Appeal Case

称呼類似と接尾語の慣用性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35047(T2003−35047/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4603823号商標の登録は、その指定商品中「薬剤」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4603823号商標(以下「本件商標」という。)は、商標の構成を「メバロコール」の片仮名文字と「MEVALOCHOL」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成13年10月30日に登録出願され、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、平成14年9月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する自己の所有に係る登録商標は、以下の(a)ないし(d)に示すとおりである(以下、併せて「引用各商標」という場合がある。)。

(a) 登録第2049558号商標(以下「引用商標A」という。)は、商標の構成を「メバロチン」の横書きした片仮名文字とし、昭和61年1月20日に登録出願、指定商品を第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」として、昭和63年5月26日に設定登録されたものである。当該商標権は、その存続期間の更新登録が平成10年1月27日にされている。

(b) 登録第2069627号商標(以下「引用商標B」という。)は、商標の構成を「MEVALOTIN」の横書きした欧文字とし、昭和61年1月20日に登録出願され、指定商品を第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年8月29日に設定登録されたものである。当該商標権は、その存続期間の更新登録が平成10年4月28日にされている。

(c) 登録第2448922号商標(以下「引用商標C」という。)は、商標の構成を後掲(1)に示すとおり「MEVALOTIN」の横書きした欧文字と彩色された幾何的図形との組合せとし、平成1年10月27日に登録出願され、指定商品を第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」として、平成4年8月31日に設定登録されたものである。当該商標権は、存続期間の更新登録が平成14年4月2日にされ、指定商品については、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」ほか、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録が平成14年4月17日にされている。

(d) 登録第2448923号商標(以下「引用商標D」という。)は、商標の構成を後掲(2)に示すとおり「MEVALOTIN」の横書きした欧文字と幾何的図形との組合せとし、平成1年10月27日に登録出願され、指定商品を第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」として、平成4年8月31日に設定登録されたものである。当該商標権は、存続期間の更新登録が平成14年4月2日にされ、指定商品については、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」ほか、第1類ないし第4類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録が平成14年4月17日にされている。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。

1.本件商標と引用各商標の比較について

本件商標と引用各商標の構成は、それぞれ上述のとおりであって、構成上、本件商標からは、「メバロコール」の称呼を生ずるのに対して、引用各商標からは、「メバロチン」の称呼を生ずるというのが相当である。

しかして、本件商標より生ずる「メバロコール」の称呼と引用各商標より生ずる「メバロチン」の称呼とは、共に5音構成よりなるうち、語頭からの「メ」、「バ」及び「ロ」の3音を全く同じくし、後半部において、「コール」音対「チン」音の差異を有するものであるが、請求人の提出に係る平成12年8月8日株式会社薬事日報社発行「平成12年度 医薬品・医療衛生用品価格表2000」(甲第21号証、甲第22号証)の記載に徴し、商品「薬剤」の商標の接尾語として、「コール」及び「チン」の文字が、我が国において、比較的好まれてありふれて使用されている事実を把握することができるところであって、「コール」及び「チン」の文字は、いずれも薬剤の商標の接尾語として、我が国においては比較的好まれてありふれて使用されている語であることから、両商標が、薬剤について使用される場合には、その構成中の語頭部分の「メバロ」の文字部分は、後半部の「コール」及び「チン」の文字部分に比して、自他商品の識別力を果たす最も重要な部分、いわゆる商標の要部若しくは商標の基幹部分というべきものである。

さらに、平成1年8月18日薬事日報社発行「医薬品・医療衛生用品価格表」(甲第33号証)、平成2年3月20日、同5年4月25日、同10年3月20日及び同12年3月20日株式会社薬業時報社発行「保健薬事典」(甲第26号証)及び平成2年8月10日、同3年8月12日、同4年8月20日、同5年8月6日、同6年8月8日、同7年8月8日、同8年8月8日、同9年8月8日、同10年8月7日、同11年8月6日及び同12年8月8日の薬事日報社発行「医薬品・医療衛生用品価格表」(甲第27号証)により、「メバロチン」発売以前には、「メバロ」の文字が、販売名の語頭部分に、商標として採用された医薬品が存在していないことがわかる。

薬剤等の商標として、「メバロ」の音で始まるものは、引用商標のみであることからも、本件商標をその指定商品中「薬剤」について使用をするときは、観念的な連想を惹きおこし易く、請求人の製造・販売する商品「高脂血症薬剤」に使用する引用商標「メバロチン」を想起させ、これに接する取引者・需要者は、請求人のシリーズ商標若しくは姉妹商品として、その商品の出所につき、混同を生じさせるおそれのある、彼此相紛らわしい商標であるといわなければならない。

2.販売実績等について

引用各商標は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤(動脈硬化用薬剤)」に付されて使用され、平成1年の発売以来、その売上高は、当初の70億円(市場占有率17.5%)から、その売上を伸ばし、平成11年度には、1288億円(市場占有率53.9%)にものぼり、「高脂血症用薬剤」の単品商品が、売出しからの11年間で、1兆59億円にも達している事実がある(甲第11号証)。これらの事実を立証する具体的な証拠方法としては、次のとおりである。

(1) 甲第25号証

これは、平成2年4月5日薬事日報社発行「最近の新薬」('90/41集)であり、これにより、「メバロチン」が平成1年3月31日に製造認可され、同年10月2日に発売された事実がわかる。

(2) 甲第26号証

これは、平成2年3月20日、同5年4月25日、同10年3月20日及び同12年3月20日株式会社薬業時報社発行「保険薬事典」4種類であり、これにより、「メバロチン」が平成1年の発売以来、継続して販売されていることがわかる。

(3) 甲第27号証

これは、平成2年8月10日、同3年8月12日、同4年8月20日、同5年8月6日、同6年8月8日、同7年8月8日、同8年8月8日、同9年8月8日、同10年8月7日、同11年8月6日及び同12年8月8日薬事日報社発行「医薬品・医療衛生用品価格表」11種類であり、これにより、「メバロチン」が平成1年の発売以来、継続して販売されていることがわかる。

(4) 甲第28号証

これは、1990年9月24日、1991年9月23日、1992年7月13日、同年10月12日、1993年7月26日、同年10月25日、1994年8月22日、同年11月14日、1995年8月28日、同年11月13日、1996年8月26日、同年11月11日、1997年8月25日、同年11月10日、1998年8月24日、同年12月14日、1999年9月27日、同年12月13日、2001年1月22日及び2002年1月28日国際商業出版株式会社発行「国際医薬品情報」20種類であり、その「マーケティングシェア・シリーズ」の項に徴し、商品、高脂血症用薬剤「メバロチン」の売上高及び市場占有率の比較により、他社の同種同薬効製品を圧倒的に引き離していることがわかる。

(5) 甲第29号証

これは、2000年1月20日、2001年1月20日及び2002年1月25日国際商業出版株式会社発行「製薬企業の実態と中期展望」3種類であり、甲第28号証の内容を引き継いで掲載したものであり、同上趣旨の内容が引き続いていることがわかる。

3.宣伝広告について

上記商品の宣伝広告活動も、広告代理店、株式会社丹水社を通じて、活発かつ盛大に行っており、その宣伝広告費も、単品商品「高脂血症用薬剤」の金額としては、平成1年に1600万円台であったものが、平成14年は10月までに2100万円台を投じ、発売以来の14年間で、4億3000万円以上もの広告費をかけているものである(甲第12号証、甲第13号証)。

その他にも、「メバロチン」に関して、株式会社医薬広告社を通じて平成7年4月から同13年3月までの広告出稿一覧表(甲第14号証)、協和企画株式会社を通じて1995年度から2001年度にかけての広告出稿一覧表(甲第15号証)及び株式会社東宣を通じて1995年度から2002年度にかけての広告出稿一覧表(甲第16号証)がある。これらの宣伝広告等を掲載した具体的な証拠方法としては、次のとおりである。

(1) 甲第24号証

これは、請求人の業務に係る引用各商標「メバロチン」の商品販売促進用の平成1年10月ないし同12年4月間のリーフレット12種類であり、これにより、「メバロチン」の平成1年の発売以来、請求人によって、販売、宣伝広告活動に使用されている事実がわかる。

(2) 甲第30号証

これは、1990年2月、同年4月、1991年ないし1998年の各月、1999年12月及び2000年1月の各月10日株式会社ライフサイエンス・メディカ発行の雑誌「PM Progress in Medicine」73種類であり、これにより、「メバロチン」の宣伝広告を継続的、定期的に行っていることがわかる。

(3) 甲第31号証

これは、平成1年7月、同年8月、同年10月、同年11月、同年12月、同2年1月、同年2月、同年3月、同年4月、同年5月、同年6月、同3年11月、同4年5月、同年6月、同年9月、同年10月、同5年3月、同年4月、1994年5月、1995年3月、同年4月、1996年1月、同年2月、同年7月、同年8月、同年9月、同年10月、1997年1月、同年2月、同年3月、1998年7月、同年8月、同年9月、1999年1月、同年2月、同年3月、同年4月、同年5月、同年6月、同年7月、同年12月及び2000年1月の各月1日の社団法人日本薬学会発行の雑誌「ファルマシア」42種類であり、これにより、「メバロチン」の宣伝広告を継続的、定期的に行っていることがわかる。

(4) 甲第32号証

これは、平成2年7月から12月、同3年7月から12月及び同4年から12年までの各月1日及び15日の日本医師会発行の雑誌「日本医師会雑誌」217種類であり、これにより、「メバロチン」の宣伝広告を継続的、定期的に行っていることがわかる。

4.まとめ

以上のとおり、引用各商標は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するものとして、業界における取引者及び需要者の間において、広く認識されている周知、著名な商標であるから、これと相紛らわしい本件商標を、その指定商品について使用をするときには、その商品が、請求人の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれのあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、引用各商標と称呼において相紛らわしい類似の商標であるといわなければならず、かつ、本件商標の指定商品中「薬剤」は、引用各商標のそれに包含されていること明らかなところであり、かつ、引用各商標が、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するものとして、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている周知、著名な商標であるから、本件商標をその指定商品中「薬剤」について使用をするときは、その商品が、請求人の取り扱いに係る商品と誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれのある商標であり、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の各規定に違反して登録されたものである。したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定に基づいて、その登録は、無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁をしない。

第4 当審の判断

1.引用各商標の周知性について

請求人の提出に係る「年度別売上及び市場独占率」ないし「広告出稿一覧」(甲第11号証ないし甲第16号証)、商品販売用リーフレットないし医薬品関連の刊行物等(甲第24号証ないし甲第32号証)によれば、請求人は「高脂血症用薬剤(動脈硬化用薬剤)」について、引用各商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用し、この分野の医薬品として高い市場占有率を占め、かつ、宣伝広告も行った結果、「メバロチン」片仮名文字、「MEVALOTIN」の欧文字よりなる商標及びその組合せからなる商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも医薬品の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていた事実が認められる。

2.引用各商標の識別性について

「平成12年度 医薬品・医療衛生用品価格表」(甲第21号証、甲第22号証)によれば、医薬品の販売名には、その末尾部分が「チン」また「コール」の文字となっているものが散見できるものであり、これらは、比較的好まれて薬剤に使用する販売名(商標)の末尾部分に採用されるものとみて差し支えない。また、請求人の業務に係る当該商品「メバロチン」の発売以前には、「平成元年度 医薬品・医療衛生用品価格表」(甲第33号証)等によれば、「メバロ」の文字が、医薬品の販売名の語頭部分に、商標として採用された医薬品が存在していないといえる。

そうしてみると、引用各商標は、上記のとおり、「メバロチン」又は「MEVALOTIN」の文字よりなり、若しくは「MEVALOTIN」の文字を顕著に有するものであって、これをその指定商品中の「薬剤」に使用した場合においては、語頭からの「メバロ」、「MEVALO」の文字部分が商標の基幹部分として印象、把握される場合も決して少なくないというのが相当である。

3.本件商標と引用各商標の類否について

本件商標と引用商標Aを比較すると、本件商標は、その構成上段の「メバロコール」の文字の欧文字表記に当たるものが下段の「MEVALOCHOL」の文字とみられるところ、本件商標の「メバロ」の文字部分と引用商標A「メバロチン」の語頭からの3文字は一致している。次に、本件商標と引用商標B、引用商標C及び引用商標Dを比較すると、本件商標の「MEVALO」の文字部分と引用商標B「MEVALOTIN」の語頭からの6文字は一致しており、また、本件商標の「MEVALO」の文字部分と引用商標C中の文字「MEVALOTIN」及び引用商標D中の文字「MEVALOTIN」の語頭からの6文字は一致している。

そうしてみると、本件商標は、これをその指定商品中の「薬剤」に使用した場合、語頭からの「メバロ」、「MEVALO」の文字部分が商標の基幹部分として印象、把握され、この文字部分が「高脂血症用薬剤」に使用して広く認識されるに至っていた請求人の「メバロチン」、「MEVALOTIN」の文字よりなる商標の語頭からの文字部分と一致しているところから、観念的な連想を惹き起こし、取引者、需要者は前記商標のシリーズ商標又は姉妹品として請求人の業務に係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所につき混同を生ずるおそれが、本件商標の登録出願時及び登録査定時にあったものといわなければならない。

4.まとめ

そうすると、本件商標と引用各商標とは、「薬剤」に使用する場合、その構成文字中の「メバロ」又は「MEVALO」の文字部分が商標の基幹部分として印象、把握され識別標識として機能し、商取引に資されるものであり、この点において、両者は彼此相紛れるおそれのある類似の商標としなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき、本件審判請求に係る指定商品「薬剤」についての商標登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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