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Trademark Appeal Case

100年住宅の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第19398号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別紙に示した構成よりなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,建築物の点検・修理又は保守,エレベーターの修理又は保守,火災報知器の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,電話機の修理,家具の修理,建具の修理又は調整,金庫の修理又は保守,時計の修理又は保守,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,浴槽又は浴槽がまの清掃,電話機の消毒,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。)」を指定役務として、平成6年12月27日に登録出願されたものであるが、指定役務については、平成10年6月11日付手続補正書をもって「建築一式工事」と補正されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、圧倒的顕著に表された『100年住宅』の文字と付記的図形に文字を結合してなるところ、これよりは『一世紀の長期にわたって快適な居住(使用)に耐え得る住宅(建物)』であることを容易に想起させるものであるから、これを本願役務中上記の要素を反映した建設工事に使用しても、需要者をして何人の業務に係る役務であるかを認識することができない商標と認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品(役務)以外の商品(役務)に使用するときは商品(役務)の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)住宅建築に関する政策の一つとして、昭和55年度から3ヶ年にわたり建設省が行った研究グループの成果である「センチュリー・ハウジング・システム」は、例えば、朝日新聞社発行「朝日現代用語’99」の「センチュリー・ハウジング・システム(CHS)」の項(1078頁)によれば、「より長期にわたって快適な住居に耐え得る住宅の設計手法の開発」を狙いとし、その名称の意味は、「一世紀にわたって使用に耐え得る住宅を実現する仕組み」であり、「CHSにおいて、耐用性の高い住宅システムの実現に向けて提案されているのは、第一に、耐用年限の短い部品の交換性をよくするための設計法、第二に、ライフステージの変化に対応して、間取りなどを変える可変技術の開発と適用、第三に、部品の互換性を高めるための寸法調整ルール。」であることが認められる。

そして、現在、わが国の住宅建築業界においては、建設省が推進する「センチュリー・ハウジング・システム」に適合した住宅であると認定された住宅の建築を実施する企業が増加している実情にあり、該「センチュリー・ハウジング・システム」に適合する住宅を、「100年住宅」と称している事実がある。

例えば、麻布出版株式会社、1996年7月1日発行「いま売れている住宅NO.42」の「長寿住宅づくりその課題と対策」(214頁)によれば、「建設省では、1983年よりCHSと呼ばれる住宅の認定事業が制度化されています。CHSとは『センチュリー・ハウジング・システム』の略称で、一般には『100年住宅』と呼ばれ、耐久性の高い住宅をいかに供給するかがテーマとなっています。」なる記載が認められるところである。また、同雑誌は、「長命住宅100年住宅の勧め」と題し、巻頭大特集を組んでいることも認められる。

さらに、「100年住宅」の語は、新聞記事によっても見出せるところである。例えば、1988年3月19日付日刊工業新聞には、「センチュリーハウジング推進協、22日に設立総会。70社参加」と題する記事の中で「・・これは長期間にわたって快適な住居が確保できる新しい“百年住宅”の普及とCHS住宅供給促進を図る狙いで・・・」と記載されていることが認められる。また、1997年8月13日付読売新聞(東京、朝刊)には、「100年住める家 通産省プロジェクト・ハウスジャパンがモデル住宅建設へ」と題する記事の中で、「二000年度までの七年計画で『百年住宅』の実現を最大の目玉に据え、暮らしに関する様々な先端技術の開発を進めている。・・・」なる記載が、1998年10月24日付朝日新聞(夕刊)には、「『100年住宅』応援、来年度まで1万戸割高分を補助 建設省方針」と題する記事の中でも、「百年以上長持ちするマンション」について「百年住宅」の語が使用されている。

そしてまた、一般の建築業者の間でも、「3世代にわたり(100年の)長期間住み続けられる耐久性の高い住宅」等を意味するものとして「100年住宅」の語を使用していることは、1988年4月2日及び1994年9月5日付日刊工業新聞における「長谷川工務店」、「松元工業」に関する記事、1989年12月25日付日経産業新聞における「木下工務店」に関する記事、その他多数の新聞記事、インターネットのホームページ等により認め得るところである。

(2)上記建築関連分野における実情よりすれば、別紙に示した構成よりなる本願商標をその指定役務である「建築一式工事」について使用した場合、その構成中顕著に書された「100年住宅」の文字部分は、「100年にわたって長期に使用することができる住宅」そのものを表したと容易に理解されるものであり、また、同じくその構成中の3つのありふれた円輪郭内に書された「100年住宅設計」、「100年住宅仕様」、「100年住宅維持管理」の文字部分は、前記した「耐用性の高い住宅システムの実現に向けて提案されている▲1▼耐用年限の短い部品の交換性をよくするための設計法、▲2▼ライフステージの変化に対応して、間取りなどを変える可変技術の開発と適用、▲3▼部品の互換性を高めるための寸法調整ルール」(朝日現代用語’99)を、それぞれ「100年住宅」を実現するための諸要素を表すものとして端的に表現したものと理解されるにとどまるものといえる。そして、上記文字部分以外の部分は、特に印象に残る構成態様のものではなく、極めてありふれた付記的図形といえるから、本願商標の構成全体としてみても、これをその指定役務について使用した場合は、自他役務の識別標識たる商標としての機能を発揮すべく格別顕著な部分は有しないというのが相当である。

してみると、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、全体として役務の質(内容)を表したと理解するにとどまるものと認められ、自他役務の識別標識としては認識し得ないものといわなければならない。

(3)前記(2)に関して、請求人(出願人)は、審判請求の理由中で、「本願商標は、自他役務の識別力を有するものであるが、これが認められない場合は、商標法第3条第2項の適用を受けるべく証拠を提出する予定である。」旨主張していたので、審判長は、平成11年5月24日付審尋書をもって、商標法第3条第2項の適用を受けるべく証拠の提出につき審尋したところ、請求人は、平成11年7月19日付で上申書及び第1号証ないし第12号証を提出したが、上記上申書によれば、第1号証ないし第12号証は、本願商標が、商標法第3条第2項の適用を受けるための証拠ではなく、自他役務の識別力を有していることを立証するためのものであり、本願商標が識別力を有していることにつき、その理由をさらに補充する旨主張している。

しかしながら、「100年住宅」の語は、本願の指定役務の分野で、役務の質を表示するためのものとして普通に使用され、また、本願商標は、構成全体としても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものとはいえないこと前記のとおりであるから、提出に係る証拠により、前記認定が左右されるものではない。また、請求人は、相当の期間が経過するも、本願商標が自他役務の識別力を有することについての理由補充を提出していないものである。

(4)以上のとおり、本願商標は、これを「建築一式工事」について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない商標といわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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