Trademark Appeal Case
称呼同一商標の商品役務類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90165(T2003−90165/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4632176号商標(以下「本件商標」という。)は、「CELL COMPUTING」の文字(標準文字)を書してなり、平成14年2月6日に登録出願され、第9類「組込み型コンピュータ用マザーボードその他の電子応用機械器具及びその部品,電子通信機械器具」を指定商品として、平成14年12月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第76号証及び検甲第1号証を提出している。
(1)本件商標は、その指定商品であるコンピュータの品質、効能等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本件商標は、「Cell computing」の文字(標準文字)を書してなり、平成13年6月15日に登録出願され、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年11月22日に設定登録された登録第4622804号商標(以下「引用商標1」という。)と類似することは明らかであり、その指定商品は引用商標1の指定役務と類似するものである。
また、本件商標は、申立人の所有する「DELL」の欧文字を横書きしてなり、平成元年10月9日に登録出願され、第11類「コンピューター、コンピュータープログラムを記憶させた電子回路、磁気デイスク、磁気テ−プ、その他の電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成8年12月25日に設定登録された登録第2718761号商標(以下「引用商標2」という。)と称呼において類似する商標であり、その指定商品も互いに抵触するものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)申立人の所有する引用商標2並びに申立人の商号の略称である「DELL COMPUTER」及び「デルコンピュータ」なる商標は、本件商標の出願日前には日本国内において周知著名となっていたものであるから、本件商標がその指定商品について使用された場合には、申立人の販売する商品と出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
(1)本件商標は、前記のとおり「CELL COMPUTING」の文字よりなるところ、その構成中、「CELL」の語が、コンピュータ用語で「『独房』といった一般の意味から、情報を構成する最小の単位である1ビット、1文字、1バイト、1ワードのための記憶装置上の基本単位。記憶装置上でファイル領域を確保したり、ファイルを検索するときに、一つの単位として参照される連続した記憶場所」を表す語(甲第2号証)であり、また、「COMPUTING」の語が、英語で「計算、演算」を意味する語であるとしても、これらの語をまとまりよく標準文字で表し、一連一体のものとして把握される本件商標が、その指定商品との関係において、商品の品質、効能等を直接的、かつ、具体的に表示するものとして取引者・需要者の間に認識されているものとは認められないばかりか、申立人も何らその証左を示していない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものとみるのが相当である。
(2)本件商標と引用商標1の類否についてみると、その構成はそれぞれ前記のとおりであるから、両商標は、その構成文字に相応すれば称呼を同じくするものであり、また、外観においても相紛らわしいものであるが、本件商標の指定商品と引用商標1の指定役務において、申立人が証拠(甲第4号証の1ないし11、同第5号証)を挙げて類似性を主張するところの指定商品中の「電子計算機用プログラム」と指定役務中の「インターネット又は電子計算機端末による通信若しくはその他の通信を利用した電子計算機用プログラムの提供」及び同じく指定商品中の「電子計算機」と指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスク、磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」との類否について検討すると、これらの商品及び役務における取引の実情を考慮すれば、これらの商品及び役務は、同一の事業者によって製造・販売及び提供するのが、当該業界において通例となっているとまではいえないものであり、本件商標の上記商品と引用商標1の上記役務とは、取引の対象、取引の形態、流通経路等を異にする場合が多いものとみるのが相当であり、申立人の証拠を考慮しても、両者が直ちに類似するものであるということはできない。
してみれば、本件商標の指定商品と引用商標1の指定役務は、非類似のものといわなければならない。
次に、本件商標と引用商標2の類否についてみると、本件商標は、前記のとおり「CELL COMPUTING」の文字よりなり、引用商標2は「DELL」の文字よりなるものであるから、両商標は、その外観及び観念においては相紛れるおそれはないものであり、また、称呼においても、本件商標は、一連一体のものとして把握されるものであること上記3(1)で述べたとおりであるから、これよりは「セルコンピューティング」の一連の称呼を、引用商標2よりは「デル」の称呼を生ずるものと認められるから、その称呼において顕著に相違すること明かであり、この点においても相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、その外観、観念及び称呼のいずれにおいても非類似の商標といわざるを得ない。
(3)申立人より提出された証拠によれば、引用商標2の「DELL」を極めて特徴のある文字にデザイン化した商標及び申立人の商号の略称と認められる「DELL COMPUTER」又は「デルコンピュータ」の文字よりなる標章が、コンピュータ市場において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして使用された結果、取引者・需要者間に周知著名性を獲得するに至ったことは認められるとしても、本件商標は、上記3(2)で認定のとおり、引用商標2とは差異が顕著で十分に区別し得る別異の商標といえるものであるばかりでなく、この引用商標2を極めて特徴のある文字にデザイン化した商標との比較においても、別異の商標ということができる。
また、本件商標と申立人の商号の略称である「DELL COMPUTER」又は「デルコンピュータ」の文字よりなる標章と比較しても、その外観及び観念においては相紛れるおそれはないものであり、また、称呼においても、本件商標よりは「セルコンピューティング」の一連の称呼を、「DELL COMPUTER」又は「デルコンピュータ」よりは「デルコンピュータ」の称呼を生ずるものであるから、その称呼において顕著に相違すること明かであり、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標は「DELL COMPUTER」又は「デルコンピュータ」の文字よりなる標章と類似しない別異の商標と判断するのが相当である。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、「DELL」を極めて特徴のある文字にデザイン化した商標又は申立人を連想・想起させるようなことはなく、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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