sokuhyo

Trademark Appeal Case

記述的称呼の要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2003−60072(T2003−60072/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「つや出し剤」に使用するイ号標章は、登録第4629817号商標の商標権の効力の範囲に属しない。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4629817号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、第3類「つや出し剤」を指定商品として、平成13年11月8日に登録出願され、同14年12月13日に設定登録がなされたものであり、現に有効に存続しているものである。

第2 イ号標章

被請求人が商品「つや出し剤」に使用するイ号標章は、別掲2に示すとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張

1 請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)判定請求の必要性

被請求人は、本件請求に係る登録第4629817号商標(以下「本件商標」という)の商標権者であるが、被請求人が商品「つや出し剤」に標章「鏡面WAX」(以下「イ号標章」という)を使用していること、請求人が商品「つや出し剤」に「鏡面つや出しワックス」並びに「キズ消し鏡面耐久ワックス」の標章を使用していることが前記商標登録の商標権を侵害するものである旨の警告を平成15年7月23日に発した。(甲第1号証)

請求人は、イ号標章は、本件商標とは無関係であること。ひいては本件商標はイ号標章によって使用されているとは言えず、登録後3年にわたり他に使用の事実がない限り、請求人は本件商標の登録を取り消すことについて審判を請求することができることを明らかにしたい。

よって本件判定を求める次第である。

(2)イ号標章の説明

被請求人の警告書によれば、被請求人は平成13年9月1日よりイ号標章を付したつや出し剤(甲第2号証)を発売している。

被請求人が販売する上記つや出し剤に付されたイ号標章は黄色の「鏡面」なる文字と赤色の「WAX」の文字を「青および紫の放射線状からなる背景」に配したものであり、さらに赤色の「WAX」の文字は白色の「キズ消し・光沢」なる文字および「SCRATCH CLEAR/SHINE FINISH」で上下に挟まれている。

これに対し、被請求人は警告書において単に「鏡面WAX」の部分が商品表示であると主張している点について、請求人は異論がある。しかしながら、判定の判断において要部ではないと思われることから、請求人は主張を明確にする目的で被請求人の主張に沿いイ号標章は「鏡面」と「WAX」の文字を配したものであるとしてイ号標章が商標権の効力の範囲に属しないとの説明を行う。

(3)イ号標章が商標権の効力の範囲に属しないとの説明

本件商標は「『WILLSON』の文字を楕円により囲んだ図形」と「鏡面」の文字を配したものであるから、これにより「ウイルソンキョウメン」の称呼および「ウイルソン社製の鏡面作用を有する製品」との観念を生じるものである。

他方、イ号標章は「鏡面」と「WAX」の文字を配したものであるから、これにより「キョウメンワックス」の称呼および「鏡面作用を有するワックス製品」との観念を生じるものである。

本件商標とイ号標章とは、「キョウメン」の称呼、「鏡面作用を有する製品」との観念を共通しているが、標章「鏡面」はつや出し剤の品質、効能、用途を示すに過ぎず、商標法26条の商標権の効力が及ばない商標に相当する。

この主張は、他の商標出願の拒絶理由においても明確化されている。(甲第3号証の1から第4号証の2(甲各号証の内容から明白な誤記と認められるので当審において更正する。))

平成11年商標登録願第75171号は、商品区分3類における商標「鏡面」についての商標出願であり、当該出願に対する拒絶理由通知書は「研磨方法において.鏡面加工、鏡面研削によって、表面を光沢のある鏡面に仕上げることが、該業界において、普通に行われている。」と認めている。

さらに、平成11年商標登録願第100917号は、被請求人目らによる指定商品「つや出し剤」における商標「鏡面コンパウンド」についての商標出願であり、当該出願に対する拒絶理由通知書は「『鏡のようになめらかな表面仕上げをするため』の意味を認識させ、単に商品の品質、用途、形状を表示するにすぎない」と認めている。

一方、イ号標章においては、本件商標の要部であるところの「ウイルソン」の称呼および「ウイルソン社製の製品」との観念を生じる部分がないことから、商品の出所を明らかにすることが不十分であり、本件商標とイ号標章は非類似の標章である。

ここまで、請求人は主張を明確にする目的で被請求人の主張に沿いイ号標章は「鏡面」と「WAX」の文字を配したものであるとして説明を行ってきたが、イ号標章が、黄色の「鏡面」なる文字と赤色の「WAX」の文字を「青および紫の放射線状からなる背景」に配したものであり、さらに赤色の「WAX」の文字は白色の「キズ消し・光沢」なる文字および「SCRATCH CLEAR/SHINE FINISH」で上下に挟まれているものであっても商標権の効力の範囲に属しないことは明らかである。

(4)むすび

よって、請求の趣旨のとおりの判定を求める。

2答弁に対する弁駁

(1)平成15年10月29日付で被請求人が提出した答弁書においては、答弁の趣旨を導き出すために必要な理由および証拠が記載されていない。

被請求人は、答弁の趣旨において「被請求人が商品『つや出し剤』について使用するイ号標章は、商標登録第4629817号の商標権の効力の範囲に属する」との判定を求めている。

しかしながら、その理由においては、請求の理由に対する認否に引続き、

1 本件判定においては「不便用による取消審判の申立をする前提として本件判定を請求している」こと、

2 本件商標とイ号標章を対比させることに誤りがあること、および本件商標が被請求人の製造販売する指定商品に用いられていること、

3 請求人が本件商標の使用の有無の判定を求めていること、およびイ号標章を選択して判定請求することに誤りがあること、

4 上記1、2、3の理由から判定請求が認められないこと、

5 本件登録商標を使用した事実、

等を述べているが、登録商標とイ号商標の対比や類比判断等によって答弁の趣旨を導き出し得ていない。従って、被請求人の答弁内容は本件判定事件において考慮に値しないことが明らかである。

(2)答弁の理由に対する反論

被請求人は、答弁の理由1から5において、答弁の趣旨とは無関係な主張を述べているため、請求人としては反論の必要性は無いと考えているが、看過できない主張も含まれているため、敢えて以下に反論を行う。

ア「不便用による取消審判の甲立をする前提として本件判定を請求している」との主張に対する反論

請求人は、判定の必要性において、「不便用による取消審判」を検討中である旨を記載しているが、このことは判定請求の必要性の判断に際して必要条件とはならない。利害関係が必要とされない判定請求においては、被請求人も認めるところである判定請求の必要性の前段に記載された「警告の事実」をもって、判定請求の必要性を十分充足する。

イ「WILLSON」と「鏡面」の結合商標であるとの主張

被請求人は、答弁の理由2において、「本件商標は、商標権者の商号『WILLSON』と指定商品の効能を強調した用語である『鏡面』の結合商標である」と主張している。

このことは、請求人が判定請求書において主張する「標章『鏡面』はつや出し剤の品質、効能、用途を示すに過ぎず、商標法26条の商標権の効力が及ばない商標に相当する。」とも一致し、被請求人目ら商標権者の商号であるところの『WILLSON』の部分のみが出所表示機能を有していることを認めているのである。

従って、「イ号標章においては、本件商標の要部であるところの『ウイルソン』の称呼および『ウイルソン社製の製品』との観念を生じる部分がないことから、商品の出所を明らかにすることが不十分であり、本件商標とイ号標章は非類似の標章である。」との請求人の主張は、被請求人の答弁とも一致するところである。

ウ「請求人が本件商標の使用の有無の判定を求めている」との主張に対する反論

判定は商標権の効力に関するものであり(商標法28条)、請求人の判定請求の趣旨も同様である。ところが、被請求人は、答弁書において「本件商標の使用の有無の判定」を請求人が求めていると主張し、使用の有無について答弁している。これらは被請求人の故意による判定の趣旨の「すり替え」であり容認されるべきものではない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「被請求人が商品「つや出し剤」について使用するイ号標章は、商標登録第4629817号の商標権の効力の範囲に属する」との判定を求め、その答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

1 請求人は商標法第50条に基づき、本件商標に対し不使用による取消審判の申立をする前提として本件判定を請求していると解されるところ、登録商標と社会通念上同一と認められる標章が登録権者により使用されているか否かが判定の対象となる(50条1項括弧書)。使用商標が登録商標と社会通念上同一のものと認識し得るか否かの判断に当っては、指定商品の属する産業分野における商取引の実情を考慮する必要があるものと解するのが相当である。(東京高裁 昭和60年9月3日判決、昭和60年(行ケ)第26号、参考集11、592−593頁)

昭和49年12月16日に行われた工業所有権審議会の「商標制度の改正に関する答申」の中でも、「現実に使用されている商標が登録商標の使用であると認識できるかどうかの判断については、自他商品の識別をその本質的機能としている商標の性格に照らして考えれば、単なる物理的同一にこだわらず、取引社会の通念に照らして登録商標の使用と認められるかどうかによるべきである」と述べられている。

現に特許庁における商標取消審判においても、「Buku BuKu プクプク」なる商標の商標権者が「ぶくぶくキッチン」なる標章を用いていた場合、使用していたものと判定している。(24類)(取)審決昭54.5.10、昭52審6656、(1781−37)

2 本件商標は、商標権者の商号「WILLSON」と指定商品の効能を強調した用語である「鏡面」の結合商標である。

本件商標の指定商品はつや出し剤であり、可塑性のある粘土状の半固体であるから、本件商標を使用する際、指定商品に直接貼布することは出来ず、缶等の容器の表面に使用することとなる。

従って、本件商標は缶の表面に表示して使用されるものであるが、本件商標の使用の有無を判定する際に、請求人の如く、缶に付された表示の一部に過ぎないイ号標章のみを抽出して登録商標の標章と対比することは失当である。

事実、イ号標章は、被請求人の指定商品の缶の正面と背面に使用されているのみであって、缶の他の表面には「WILLSON」なる本件商標の一部も表示されているのである(左側面、写真4)。

前述のとおり、本件商標は「WILLSON」なる商号と「鏡面」なる用語からなるところ、「WILLSON」の部分は、左側面(写真4)に使用されており、「鏡面」の部分は正面(写真1)と背面(写真2)と平面(写真5)に用いられている。

即ち、本件商標において「WILLSON」なる商号部分と「鏡面」なる用語が一体として用いられていなくとも、前述の如く指定商品の容器の各面に各々表示されているものであるから、取引社会の通念に照らせば、本件商標は明らかに使用されていると認められるべきものである。

以上よりして、本件商標は、一般取引社会の通念に照らせば被請求人の製造販売する指定商品に用いられていること明らかである。

3 換言すれば、請求人の如く、本件商標の使用の有無を判定するのに、指定商品にイ号標章のみしか使用されていないという殊更に誤った前提で判定を請求すること自体、全く失当なのである。

4 以上よりして、本件判定請求が認められないこと明らかである。

5 尚、念のため、被請求人が、平成14年9月30日と同14年10月31日に当業界の雑誌に広告を掲載し、本件登録商標を使用した事実を主張、立証する(乙1及び2号証)。

第5 当審の判断

本件商標の構成は、別掲1に示すとおり、赤色で表された「WILLSON」の文字を横書きしたものを横長の楕円輪郭で囲んでなるものと「鏡面」の文字を普通に用いられる方法で横書きしたものとを結合させた構成よりなるものである。

他方、請求人の提出に係るイ号標章は、別掲2に示すとおり、文字の下部から上部に向かって黄色から白色へ連続して色彩を変化させたグラデーション表示で表した「鏡面」の文字と赤色で表した「Wax」の文字とを横一列に結合させ、「Wax」の文字部分の上段に「キズ消し・光沢」、下段に「SCRATCH CLEAR/SHINE FINISH」の文字をそれぞれ小さく横書きしたものを併記した構成よりなるものである。

ところで、「鏡面」の文字は「鏡やレンズの表面」を意味する語であるが、研磨や塗装などの場で、鏡やレンズのような光沢のある滑らかな表面状態を指称する語として使用されており、本件商標の指定商品及びイ号標章の使用に係る商品を扱う業界にあっても、近時、素材や塗装の表面を磨いたりコーティングをするなどして滑らかにし、鏡面のような光沢を出すことを特長とする商品が各社から発売され、その商品に該文字を使用していることが新聞の記事(例えば、(1)「弱音の再生能力を高めた自動ピアノ4機種を発売/ヤマハ」1989.5.9付読売新聞 東京朝刊「ヤマハは・・・黒鏡面つや出しのデザインで・・・がある。」、(2)「トーマイレジファ、FRP用コーティング樹脂を発売」1998.8.28付日刊工業新聞 「・・・木型表面にこの樹脂を吹き付けて、サンディングしてつや出しすると、生産型とほぼ同じ鏡面に仕上がるという。」、(3)「情報プラザ:商品 ファインセラミックス茶器「玉磁(ぎょくじ)」」2003.3.8付繊研新聞 「京セラは・・・丹念にダイヤモンドパウダーで磨きあげ、鏡面やつや消しなどの仕上げを施している。・・・」)やインターネットのホームページの記載(例えば、(4)タイホー工業(株)の提供に係るHPにおける同社製品紹介中の「洗車キズなどの小キズが気になる方へ!キズを消して鏡面仕上げ」として紹介されている製品(http://www.taihokogyo.co.jp/j_site/2nddiv/page/new20.html)、(5)(株)フジサンケイリビングの提供に係る「ディノス」HPにおける同社取扱商品「カーワックス「クイックコート」1リットル」の製品紹介記事中の「・・・ポリマー、カルナパ、マイクロワックスの高重合で、極めて薄く持続性の高い鏡面皮膜を形成。・・・」(http://www.dinos.co.jp/webapp/commerce/command/ProductDisplay?prmenbr=10&prrfnbr=719953))等により認められるところである。

そうすると、本件商標の指定商品及びイ号標章の使用に係る商品「つや出し剤」との関係では、「鏡面」の文字よりは、「鏡の表面のような光沢及びつやを出すことができる商品」「鏡の表面のような光沢及びつやを出すための商品」の意味合いを認識させるものである。

したがって、本件商標中の「鏡面」の文字部分は、商品の品質、効能を表示するものであり、自他商品の識別標識として機能を有しない部分であって、本件商標において自他商品の識別標識力のある要部は、横長の楕円輪郭図形で囲まれた「WILLSON」の文字部分にあるというべきである。

そこで、イ号標章をみると、イ号標章は、「鏡面」、「Wax」、「キズ消し・光沢」及び「SCRATCH CLEAR/SHINE FINISH」の文字をそれぞれ横書きした構成よりなるところ、構成中の「Wax」の文字は、その使用に係る商品の普通名称を表示したものと容易に認められるところであり、また「キズ消し・光沢」及び「SCRATCH CLEAR/SHINE FINISH」の文字も、商品の品質、効能を日英両方の言語で表してなるものと理解されるとみるのが相当である。

そして「鏡面」の文字を含んでなるイ号標章を商品「つや出し剤」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、さきに述べたように、該文字より、「鏡の表面のような光沢及びつやを出すことができるつや出し剤」の意味合いを表したものと認識するとみるのが相当である。

そうとすれば、被請求人がその指定商品「つや出し剤」等に使用する「鏡面」の文字を含む本件商標のみならず、被請求人が商品「つや出し剤」に使用する「鏡面」の文字を含むイ号標章にあって、「鏡面」の文字部分は、自他商品の識別標識として機能を有するものではなく、当該商品の品質、効能、用途を普通に用いられる方法で表示したものといえるものであるから、商標法第26条第1項第2号に該当するものといわなければならない。

したがって、商品「つや出し剤」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない。

よって、結論のとおり判定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。