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Trademark Appeal Case

商標使用の立証不備

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−31163(T2002−31163/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2061849号商標(以下「本件商標」という。)は、「KCS」の欧文字により構成されてなり、昭和61年4月1日に登録出願され、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として、昭和63年7月22日に商標権の設定登録がされたものである。

当該商標権は、平成10年4月28日に存続期間の更新登録されている。

また、本件審判請求の登録は、平成14年10月30日にされた。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「加工食料品」についての登録を取り消すとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。

1.請求の理由

請求人は、本件商標の指定商品「加工食料品」について調査しても、継続して3年以上、日本国内において、本件商標が被請求人によって使用された事実を見出せない。

さらに、被請求人以外の者が、被請求人から前記指定商品について通常使用権の許諾を受けて、本件商標を本件審判請求前3年以内に日本国内において使用した事実も認められない。

2.弁駁の理由

被請求人は、本件商標が被請求人である商標権者によって、加工食料品である商品「即席中華そばめん、即席カレー」について現在使用中である旨主張し、登録商標の使用説明書3通を提出しているが、以下に述べるとおり、これらによっては、本件商標がその登録取消を免れるに足る使用事実の証明資料としては不十分なので、被請求人の主張には理由がない。

(1)乙第1号証は、平成14年12月5日に撮影された即席中華そばめんと即席カレーの写真であるとされている。しかるに、写真撮影資料については、適宜被請求人等により作成できる程度のものであって、本来的に証拠力に乏しいものであるし、仮にこれらの写真が平成14年12月5日に真正に撮影されたものであるとしても、本件審判請求の登録がなされた日前3年の間に使用された事実を証するものではない。

さらに、請求人が調査したところによれば、添付写真に示された「MCC\MCC GOURMET GIFT from KOBE」のラベルが付された即席カレーの詰め合わせは、兵庫県神戸市のエム・シーシー食品株式会社が製造・販売する商品であって、被請求人の商品ではない(甲第3号証)。

また、同じく添付写真に示された「ラーメン\味紀行」のラベルが付された即席中華そばめんの詰め合わせについても、北海道旭川市の藤原製麺株式会社や、福島県喜多方市の株式会社喜多方らーめん本舗、尾道栄食有限会社ら他社が製造・販売する商品であって、いずれも被請求人の商品ではない(甲第4号証)。さらに、包装箱に表示されたラベル「ラーメン\味紀行」に類似する「味紀行」は明星食品株式会社の登録商標となっている(商標登録第1957252号)。

結局、これら乙第1号証に添付された写真は、他人が製造・販売している商品包装箱に対してシールを貼付し、撮影されたものにすぎない。

(2)乙第2号証は、被請求人の名称・住所等が記載されたシールであって、平成13年7月に印刷作成されたものとされている。しかして、仮に当該シールが平成13年7月に印刷作成されたものであるとしても、単に当該シールの作成事実やその作成日付を証明するものにすぎないのであって、本件審判請求に係る指定商品「加工食料品」との関係で本件商標が現実に使用された事実を証するものではない。

(3)乙第3号証は、平成13年7月に作成された商品包装箱であるとされている。しかしながら、当該商品包装箱の作成者として記載されているのは先の乙第2号証に記載されたシールの作成者と同一人である「熊本市九品寺5−8−8」に住所を有する「株式会社博文社」であるとされていること、作成年月日が乙第2号証と同一であること、商品包装箱に貼付されたシールが乙第2号証に示されたシールと同一であること等からすれば、乙第3号証も、先の乙第2号証と同様にシールの印刷作成年月日を証明しているにすぎないと考えられる。

さらに、当該商品包装箱に印刷されている「MCC\MCC GOURMET GIFT from KOBE\神戸からのグルメ便」の部分には「MCC FOOD PRODUCTS CO.,LTD.」との名称が記載され、かつ、その住所として「32FUKAEHAMAMACHIHIGASHINADA‐KU KOBE JAPAN」が記載されている。これら住所と名称は、前述のとおり、兵庫県神戸市に本店住所を有するエム・シーシー食品株式会社のことを意味していることが明らかである。

したがって、乙第3号証も、被請求人が取り扱っている他社商品包装箱に対して乙第2号証に示されたシールを貼付したものであって、その意味するところは、乙第2号証と同じく貼付されたシールの印刷作成年月日を証明しているにすぎない。

(4)結語

以上のとおり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証のいずれによっても、本件商標が、本件審判請求の日前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「加工食料品」につき現実に使用された事実は明らかにされていないから、被請求人の主張には理由がない。

3.答弁(第2)に対する弁駁

請求人は、下記の被請求人の答弁(第2)に対し、何ら弁駁するところがない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁(第2)を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。

1.答弁の理由

本件商標は、被請求人である商標権者において、当該加工食料品である商品「即席中華そばめん、即席カレー」について、包装箱に商標「KCS」を、その登録商標と同一の態様で使用しているものである。その使用事実を登録商標の使用説明書(乙第1号証ないし乙第3号証)により立証する。

2.答弁(第2)の理由

(1)請求人は、本件商標の使用に係る商品がいずれも「被請求人の商品ではない」から「現実に使用された事実を証するものではない」と弁駁している。しかしながら、当該商品の「小売」は、必ずしも商標権者の製造に係る商品であることを要しない点は一般取引業界における常識と認められる。

他人の製造に係る商品について、自分の商標を付して販売する行為においても商標の使用である点、明らかである。

(2)被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品中「即席中華そばめん、即席カレー」につき使用したことを証明した資料を補充し、その事実を明らかにする。

(イ)商品「即席カレー」についての「販促キャンペーン」の企画書

(ロ)商品「即席中華そばめん」についての「販促キャンペーン」の企画書

以上、乙第4号証にて、当該商品の販促キャンペーンを行った事実を立証する。

(ハ)商品「即席カレー」の取引書類として「株式会社アートコーヒー」からの平成13年9月30日、同年10月31日、平成14年6月30日、同年7月31日、同年8月31日、同年9月30日の「請求書」

以上、乙第5号証にて、当該商品「即席カレー」につき、株式会社アートコーヒーから購入していた事実を立証する。

(ニ)商品「即席カレー」の平成13年10月31日、「即席中華そばめん」の平成14年12月26日の「売上領収書」、「即席カレー」の平成14年7月22日の「売上納品書」、当該商品の販売領収書12枚

以上、乙第6号証にて、当該商品「即席カレー」につき販売されていた事実を立証する。

(ホ)商品「即席中華そばめん」の取引書類として「メロディアン株式会社」からの平成14年10月31日、同年11月30日の「請求書」

以上乙第7号証にて、当該商品をメロディアン株式会社から購入していた事実を立証する。

(へ)商品「即席中華そばめん」「即席カレー」の包装箱に貼付した社名シールを印刷した「敷島印刷株式会社」からの平成14年4月6日付納品書及び同年4月30日付請求書

以上、乙第8号証にて、社名シールについての印刷業者間とで実際印刷を発注し納品を受けた事実を立証する。なお、当該「社名シール」の印刷は従前「株式会社博文舎」(乙第2号証)であったが、この「社名シール」がなくなり同一の「社名シール」につき新たに印刷して使用したものである。

(3)叙上のとおり、本件商標は、取消対象商品である加工食料品の「即席中華そばめん、即席カレー」に請求の登録前3年以内に使用されていたものであるから、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断

本件審判請求は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「加工食料品」についての取消しを求めるものであって、本件商標は、商標の構成を「KCS」の欧文字とし、指定商品を第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」とするものであり、その請求の登録は、平成14年10月30日にされたこと上記のとおりである。

1.当事者間の主張について

(1)弁駁の要点

被請求人は、本件商標はその指定商品中「加工食料品」(以下「取消対象商品」という場合がある。)に属する「即席中華そばめん」及び「即席カレー」について、本件審判請求の登録前3年以内に商標権者により使用されていると述べ、「登録商標の使用説明書」(乙第1号証ないし乙第3号証)を提出した。

これに対し、請求人は、(ア)乙第1号証(写真撮影資料)は、本件審判請求の登録前3年の間に使用された事実を証するものではなく、他人が製造・販売している商品包装箱に対してシールを貼付し、撮影されたものにすぎない。(イ)乙第2号証(シール)は、平成13年7月に印刷作成された事実やその作成日付を証明するものにすぎない。(ウ)乙第3号証(商品包装箱)は、被請求人が取り扱っている他社商品包装箱に対してシールを貼付したものであって、乙第2号証と同じく貼付されたシールの印刷作成年月日を証明しているにすぎない。したがって、本件商標は取消対象商品について使用された事実は明らかにされていない旨反論した。

(2)答弁(第2)の要点

上記(1)の弁駁に対し、被請求人は、他人の製造に係る商品について、自分の商標を付して販売する行為においても商標の使用である。また、被請求人は本件審判請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品中「即席中華そばめん、即席カレー」につき使用したことを証明した資料を補充するとして、乙第4号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。

2.請求人の主張(弁駁の理由)について

請求人は、上記(1)(ア)ないし(ウ)のとおり、他人が製造・販売している商品包装箱に対しての本件商標の使用によっては、取消対象商品について使用された事実は明らかにされていない旨反論しているので、先ず、この点について判断する。

各種商品を取り扱う流通業界において、流通業者(小売業者を含む。)が商品を流通させる際に自己の取り扱う商品であることを表示するため自己の商標を付するとともに、製造業者の商標が付された商品そのものの写真等を用いて宣伝・広告している商取引の実情があり、この場合の流通業者(小売業者を含む。)が自己の商標を付して取引する行為も商標の使用と解されるところである。すなわち、商標法上の商品は、商品そのものが商取引の目的物として一般市場を製造元ないしは販売元から、流通業者を経由して末端の一般消費者に転々流通するところのものであり、他人が商標を付し・製造した当該商品を継続して自己の取り扱う商品として、これに加えて別個の登録商標が付された商品を正規なルートによって流通過程におく場合には、その販売に関して商標権者が自己の業務に係る商品であること(小売業者としての個別商品毎の出所表示)を表すものであって、当該商品に対する消費者との間に責任を負うことを約した商品の取引に付随するものというべきである。

そうすると、登録商標の使用は、必ずしも商標の使用に係る当該商品の製造者が商標権者等でなければならないものではなく、他人が商標を付し・製造した当該商品について最終的な流通業者が一般消費者への商品の移転(販売)をする際に限定的に付加して使用する場合も、その付加された登録商標が取消請求に係る指定商品について使用されていれば、その指定商品に係る商標登録の取り消しを免れるというべきである。

3.本件商標の使用証明について

本件商標を取消対象商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した「登録商標の使用説明書」(乙第1号証ないし乙第3号証)及びその使用したことを証明した資料を補充するものとして提出した乙第4号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を検討する。

(1)使用商標

乙第2号証として提出されたシールには、欧文字「KCS」をやや図案化(「C」のふところ部分に「●」を付加している。)したところの本件商標と社会通念上同一といえるもの(請求人はこの点について争っていない。)、及び商標権者の名称・住所が表示されていること。また、乙第6号証の1ないし4として提出された取引書類である売上領収書、売上納品書及び領収書にもこれと同様の商標の使用が認められる。

(2)使用商品

乙第1号証及び乙第3号証として提出された添付写真に示された「MCC\MCC GOURMET GIFT from KOBE」のラベルが付された即席カレーの詰め合わせ、及び「ラーメン\味紀行」のラベルが付された即席中華そばめんの詰め合わせについて、それぞれ乙第2号証として提出されたシールが貼付されており、取消対象商品である「加工食料品」に属する「即席中華そばめん」及び「即席カレー」について、商標権者により使用されていることが認められる。

(3)使用時期等

(ア)商品「即席カレー」

乙第5号証の1ないし6として提出された平成13年9月30日付、同年10月31日付、平成14年6月30日付、同年7月31日付、同年8月31日付、及び同年9月30日付の各請求書は、東京都目黒区在の「株式会社アートコーヒー」から商標権者宛ての取引書類であって、その請求明細書の商品名欄に「マサラ ビーフカレーチウカラ」「MCCタヒチカレー200G」「MCC ジヤワフウカレー200G」「MCC マレーシアカレー」及び「MCCレトルトカレースーパー200カラ」の記載が認められ、これと乙第4号証の1及び2として提出された「業務用カレー販促キャンペーン」の企画書に「カレーセット(5パック入り)」及び「ジャワカレー、タヒチカレー」等の商品内容の記載、さらに、乙第6号証の1として提出された平成13年10月31日付の「売上領収書」の品名に「カレーセット」の記載、乙第6号証の3として提出された平成14年7月22日付の「売上納品書」に同記載、また、乙第6号証の4として提出された2001年10月16日付、同10月1日付、同9月27日付、同9月19日付、2002年8月28日付、同7月16日付、同6月28日付、同6月19日付、同6月17日付、及び同6月3日付の各領収書に商品名として「カレーセット(5P)」の記載がそれぞれ認められるものである。

そうすると、上記取引書類の各日付はいずれも、本件審判請求登録日(平成14年10月30日)前3年以内であって、かつ、その記載内容等を相俟って徴すれば、乙第2号証として提出されたシールが貼付された乙第1号証及び乙第3号証として提出された添付写真に示された「MCC\MCC GOURMET GIFT from KOBE」のラベルが付された即席カレーの詰め合わせを購入して、最終消費者に対し販売したものとみて差し支えないというべきである。

(イ)商品「即席中華そばめん」

乙第7号証の2として提出された02年10月31日付の請求書は、大阪府八尾市在の「メロディアン株式会社」から商標権者宛ての取引書類であって、その請求明細書の伝票日付及び品名欄に商標権者の各営業所の記載とともに「021028/ラーメンセット5食×12セット」の記載が認められ、これと乙第4号証の3として提出された「ご当地ラーメン販促キャンペーン」の企画書に「それぞれの名産地で製造された乾燥麺は、・・・5食の味わいが楽しめる、お得なセットです」及び「旭川・尾道・博多・喜多方・和歌山」等の商品産地等の記載、そして、乙第6号証の2として提出された本件審判請求登録日(平成14年10月30日)以降である平成14年12月26日付の「売上領収書」の品名及びコード欄に「ラーメン」及び「50013」の記載、また、乙第6号証の4として提出された2002年12月18日付、及び同12月2日付の各領収書に商品名として「ラーメンセット(5P)」の記載がそれぞれ認められるものである。

してみれば、上記取引書類の各日付は、02年10月31日付の請求書の請求明細書の伝票日付以外は、本件審判請求登録日(平成14年10月30日)後のものであるが、当該伝票の日付にある02(平成14年)年10月28日には各営業所に「ラーメンセット」が納入されていたものと推認させ、、かつ、各取引書類の記載内容等を相俟って徴すれば、乙第2号証として提出されたシールが貼付された乙第1号証として提出された添付写真に示された「ラーメン\味紀行」のラベルが付された即席カレーの詰め合わせを本件審判請求登録日(平成14年10月30日)前3年以内に販売していた蓋然性が高いというべきである。

4.結語

以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によって、商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の取消請求に係る指定商品「加工食料品」に属する商品「即席中華そばめん、即席カレー」に使用していること、また、この使用時期が本件審判請求の登録前3年以内であって、かつ、日本国内においての使用と認め得るものである。

そうすると、被請求人において、本件審判の取消請求に係る指定商品に登録商標を使用していたことを立証し得たものというべきである。

そして、請求人は、被請求人の答弁(第2)に対し、何ら弁駁するところがない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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