結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30754(T2001−30754/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件商標登録の取消しの審判に係る、登録第3023312号商標(以下「本件商標」という。)は、「MOTHER’S RING」及び「マザーズリング」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成4年8月24日に登録出願、第14類「指輪」を指定商品として同7年2月28日に設定登録されたものである。
本件商標登録の取消しの審判は、商標法50条により、本件商標登録の取消しを請求するものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証を提出した。
したがって、被請求人において、上記指定商品についての使用事実を立証されないときは、本件登録は商標法50条1項の規定によりその取り消しを免れない。
被請求人の提出に係る乙第1ないし同第3号証によっては、以下のとおり、本件審判請求前3年以内に、被請求人又は被請求人が通常使用権を許諾したという株式会社チャールズウルフ(以下「チャールズウルフ」という。)が、請求に係る指定商品について本件商標を使用していた事実は立証されていない。
(1)第一に被請求人が立証しなければならない本件商標の使用は、具体的には、本件審判請求の予告登録(平成13年8月1日)前3年以内(平成10年8月1日以降)の使用事実である。
これを使用者についてみれば、被請求人の答弁によれば、株式会社ジェムストーン(以下「ジェムストーン」という。当審注:請求人は被請求人の答弁における「株式会社ジェムストーンジャパン」と「株式会社ジェムストーン」とを混同して、単に「ジェムストーン」としていると思われるので、当審においては、請求人の主張中の「ジェムストーン」の表現を適宜「ジェムストーン」と「ジェムストーンジャパン」とに整理して表示する。)は、平成10年3月20日に、チャールズウルフに商号変更したというのであるから、チャールズウルフの商号において使用することが時系列上必然である。
ところが、乙第2号証(商品パンフレット)及び乙第3号証(価格表)には、「株式会社ジェムストーン」と記載されている。そうすると、このパンフレットは、平成10年3月20日の前に作成されて配布されたものであることは明らかである。
また、乙第2号証には、「株式会社ジェムストーン」の住所と共に記載された郵便番号については「〒160」とあるところ、郵便番号は平成10年2月2日に7桁に変更済みであり(ぽすたるガイド、甲第1号証)、郵便番号の記載によっても、このパンフレットが同年2月2日以前作成、配布したものである事実が裏付けられる。
したがって、それぞれ同年3月20日商号変更前の商号が記載された乙第2及び第3号証は、予告登録前3年以内の本件商標の使用とは無縁のものである。
(2)被請求人の答弁によれば、同人が代表取締役を務める株式会社ジェムストーンジャパン(以下「ジェムストーンジャパン」という。)に対して、通常使用権を許諾していることを前提としているところ、ジェムストーンジャパンの代表者であった事実を含めて、その事実が証明されていないばかりでなく、被請求人谷口実氏は、平成9年11月9日付けで代表取締役を辞任している(チャールズウルフ登記簿謄本、甲第2号証)。
したがって、被請求人がジェムストーン(現チャールズウルフ)に通常使用権を許諾したとの主張は信用し難く、少なくとも、谷口実氏が代表取締役を辞任した以降も、チャールズウルフが通常使用権者であるという事実は認め難い。
そうすると、本件商標は通常使用権者が使用している旨の被請求人答弁に係る前提事実において証明されていないことに帰する。
(3)被請求人は、ジェムストーンジャパン及びチャールズウルフが、平成5年4月1日頃より本件商標を付した指輪を、主として、通信販売の専門雑誌により通信販売していた旨主張するが、予告登録前3年以外の期間であるから、問題外の使用である。仮にその後継続したとしても、その事実は何ら立証されていない。
(4)被請求人は、平成8年10月1日頃から愛知県西尾市下町お城下 ショッピングタウン シャオ内のルィール井上宝石店で販売していた旨、並びにそこでは乙第2及び第3号証を配布した旨主張するが、これらがその記載された商号等から時間的に、予告登録前3年以内に配布された事実はあり得ないことは前述のとおりである。
なお、被請求人は、乙第1号証に示す商品を販売した旨主張するが、同号証は、平成13年8月28日付けで撮影した、単なる指輪のみの写真であって、かつその包装箱にも本件商標と同一の商標は表示されていない。したがって、これによっては予告登録前3年以内において、被請求人が通常使用権を許諾したというチャールズウルフが、請求に係る指定商品「指輪」について、本件商標を使用していた事実は何ら立証されていないことはいうまでもない。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし同第4号証を提出した。
そして被請求人は、ジェムストーンジャパンに対して代表者の立場から、本件商標権について対価無償の通常使用権を許諾している。
通信販売の時、ルィール井上宝石店での店頭販売の時及びインターネットで販売している商品形態は乙第1号証に示すとおりで、またルィール井上宝石店では乙第2号証として示すパンフレットを店頭に置いたり、顧客に配布して販売促進を行っていた。また、乙第2号証のパンフレットとともに、乙第3号証として示す価格表を配布していた。
乙第1号証の商品販売形態には、商標「MOTHER’S RING/マザーズリング」が直接記載されていない。その理由は、この指輪はオーダーメード商品であり、しかも一般的に指輪の商品形態はケースや下げ札に商標名を記載しないのが慣例だからである。 したがって、乙第2号証のパンフレットには、商標名、商品の由来、商品の形態などを具体的に記載され、乙第3号証の価格表には商標名、価格などが具体的に記載されている。
(1)請求人は、ジェムストーンは平成10年3月20日にチャールズウルフに商号変更したこと、郵便番号が同年2月2日に7桁に変更されたこと、を理由として、乙第2及び第3号証は本件審判請求の予告登録前3年以内の本件商標の使用とは無縁のものである、と主張する。
しかし、乙第2及び第3号証は、平成8年10月1日頃から同13年2月末までの間、ルィール井上宝石店の店頭に置いて来店者に配布したり、また顧客に配布して販売促進を行っていたものである。
そして、乙第2及び第3号証に「株式会社ジェムストーン」と表示され、また乙第2号証に3桁の郵便番号が記載されているが、商号を変更したり、郵便番号が変更されたら、その日からパンフレットや価格表に記載の商号や郵便番号を変更しなければならないというものではない。一般の社会通念においては、パンフレットや価格表が残存していれば、残存している分の配布が終了して新規に印刷する場合に、社名や郵便番号を訂正するのが常であり、経済的である。
特に本件商標の使用に係る指輪は、乙第2号証に記載されているとおり、オーダーメイドであって、頻繁に販売されるものではない。したがって、乙第2及び第3号証が数多く配布されるものではないから、社名や郵便番号が変更しても、指輪そのものを変更していないし、連絡先の住所や電話番号が変更されていないのでそのままのものを使用していたものであり、ルィール井上宝石店の店頭には、乙第2及び第3号証そのものが置いてあって来店者が自由に持っていくことができた。
また、被請求人が代表取締役をしているジェムストーンジャパン(乙第4号証)も本件商標の使用者の一員であるから、乙第2及び第3号証に「株式会社ジェムストーン」と表示されていてもよい。
(2)請求人は、被請求人谷口実氏は、平成9年11月9日付けで代表取締役を辞任しているので、チャールズウルフが通常使用権者であるという事実は認めがたい、と主張する。
しかし、代表取締役を辞任したから直ちに通常使用権の許諾が解消するものではない。現実に、被請求人はジェムストーンジャパンの代表取締役であり、ジェムストーンジャパンとチャールズウルフとが共同して本件商標を使用していることを、ジェムストーンジャパンの代表者の立場として許諾しているものである。
(3)請求人は、ジェムストーンジャパン及びチャールズウルフが、平成5年4月頃から通信販売していたことを、本件予告登録前3年以外の期間であるから、問題外であると主張する。
しかし、その当時の通販雑誌を保存していないので、ただその様な販売形態であったと述べただけである。
(4)請求人は、ルィール井上宝石店で販売し、また乙第2及び第3号証を配布した事実が、時間的に、本件予告登録前3年以内に配布された事実はあり得ない、と主張する。
しかし、上前のとおり、乙第2及び第3号証を平成8年10月1日頃から同13年2月末までの間、ルィール井上宝石店の店頭において来店者に配布していた事実は明かである。
また、請求人は、乙第1号証の写真は平成13年8月28日の撮影で、本件商標と同一の商標は表示されていない、と主張する。しかし、乙第1号証は本件審判請求書の副本が送達されて答弁書の提出が求められたので、現在使用している指輪を撮影したものであって、本件審判請求を予測して予告登録前に撮影するようなことはあり得ない。また、宝飾品業界においては、小売店には宝飾品のみを供給し、包装紙や宝飾品収納箱には小売店の定める商標を使用するのが通例である。例えば、主要デパートの宝節品売場では、多数の業者から商品が仕入れられているが、販売時にはデパートの商標が表示されているパッケージや包装紙が使用され、店頭に置かれている宝節品のパンフレットに宝節品の本来の商標が記載されている。
したがって、乙第1号証に本件商標と同一の商標は表示されていないという請求人の主張は、宝飾品業界に不知なためである。
要するに、乙第1ないし第3号証は、現存していて実際に使用に供しているものを撮影し、若しくは複写して提出したものであって、現物はいつでも提出する用意がある。そして、現在でも乙第1ないし第3号証が存在し、使用に供しているから証拠として提出できるのであるから、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用していることが明かである。
商標法50条1項の規定に基づく商標登録の取消しの審判においては、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないことは、同条2項の規定から明らかである。
そこで、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品である「指輪」について本件商標を使用している旨主張し、証拠を提出しているので、提出に係る各乙号証について検討する。
乙第1号証は、指輪とその包装箱及び包装用外箱を撮影した写真であると認められるところ、指輪本体には「WH−05」の文字及び数字を書した下げ札が付けられ、包装箱及び包装用外箱には、不鮮明ながら、図形と「GEMSTONE」の文字を組み合わせた標章が付されているものの、ここに、本件商標の表示は見当たらない。そして、被請求人の答弁によれば、この写真は平成13年8月28日に撮影されたものである。
乙第2号証は、商品パンフレットであり、表題に「Mother’s Ring」及び「マザーリング」の文字が記載され、商品「指輪」の写真と共にその説明がされていることが認められる。
しかしながら、このパンフレットがいつ作成されたものかは、パンフレット自体からは明らかではないし、その作成日を客観的に立証する証拠もない。むしろ、請求人が主張するように、パンフレット中の「株式会社ジェムストーン」の住所記載箇所に表示された郵便番号が3桁であることからすれば、平成10年2月2日前に作成されたものとみるのが自然である。また、被請求人は、このパンフレットを平成8年10月1日頃から同13年2月末までルィール井上宝石店の店頭においたり顧客に配布したと主張しているが、その事実を具体的に立証する証拠はない。さらに、被請求人は商品「指輪」を通信販売の専門雑誌を通じて通信販売し、平成13年2月末に同宝石店が閉店した後はインターネットにより商品販売を継続している旨主張しているが、その事実を立証する証拠もない。
乙第3号証は、商品の価格表であり、表題に「Mother’s Ring」「(マザーズリング 価格表)」の文字が記載されていることが認められる。
しかしながら、この価格表がいつ作成、展示、頒布されたかについて具体的に示すものはなく、一切不明である。
その他、本件商標が使用されていたことを示す証拠の提出はない。
そうすると、被請求人は、本件審判請求の登録日である平成13年8月1日前3年以内の期間に本件商標をその指定商品に使用していたことを証明し得ないこと明らかであるから、本件商標は、継続して3年以上日本国内におて商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもによっても、その指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。また、被請求人は本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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