sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標の使用態様

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−30088(T2003−30088/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1924100号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲のとおり、「ADVANTEC」(構成文字中、「A」及び「E」の文字がレタリングされている。)の欧文字と、その下段に小さく「アドバンテック」の片仮名文字とを書してなり、昭和59年10月12日に登録出願され、第1類「化学品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和62年1月28日に商標権の設定登録がされたものである。

当該商標権は、平成9年9月19日に存続期間の更新登録がされている。

また、本件審判請求の登録は、平成15年2月19日にされた。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中、「薬剤」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおりに述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、請求人の調査によれば、上記指定商品中、「薬剤」について継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。しかのみならず、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もない。

2 弁駁の理由

(1)本件商標は、乙第3号証(会社案内・第22頁)によれば「グループの統一ブランド」であり、被請求人を始めグループ内の各社に広く使用されている商標と思われるが、これは商号商標ではなく商品商標であり、被請求人が通常使用権を許諾しているとされる「アドバンテック東洋株式会社」の商号でもない。

そこで、被請求人が本件商標を使用しているとして提出した各号証を検討するに、乙第3号証は、グループ会社の会社案内であり、その表紙に「ADVANTEC」が付されているが、これを以てグループ各社が製造・販売する第8頁ないし第10頁に記載されている製品全てに使用しているとするのは不自然である。また、乙第4号証において商品「尿pH試験紙」の商標は「尿pHテスト−U『トーヨー』」であり、乙第6号証の商品「尿検査用試験紙」の商標は「U−テストII」であり、同じく乙第8号証の商品「乳汁中ケトン体(3−ヒドロキシン酪酸)測定用試験紙」の商標は「サンケトペーパー」である。

即ち、本件商標は上記各号証において製造元「東洋濾紙株式会社」と一体となって商品商標としてではなく商号商標的に使用されており(この点は乙第5号証、乙第7号証及び乙第9号証においても同様)、一般消費者は本件商標が当該商品の商標としては認識し得ないものと考える。また、被請求人は、上記各商品をアドバンテック東洋株式会社を通じて、日本ケミファ株式会社、株式会社三和化学研究所を発売元として販売し、提出されたカタログは発売元の両社により作成されたと思われるが、両社がその作成に係るカタログにどのような形態であれ本件商標を掲載するという行為は、両社が被請求人から使用を許諾されている、即ち両社は法的には通常使用権者の立場にあり、本件商標の原簿にその設定登録がなく、両社は被請求人のグループ会社でもないため、その立証が求められる。

(2)自己の商号(商人が営業に関し自己を表示するための名称)は一般的要件を充足する限り商標登録が可能であり、これを製造元又は販売元として、又直接商品に付して(この場合、会社、商会、製作所、商事等は省略されることが多い)使用が可能であり、後者は一般に、例えば「大正の○○」、「武田の△△」として認識され、これがいわゆる商号の商標的使用であるが、本件商標の場合、直接商品又はその容器に付されておらず、故に「トーヨーの試験紙」はあっても「アドバンテックの試験紙」といったイメージが市場で形成されることはない。その限りにおいて本件商標が当該「試験紙」に使用されているとはいえず、又本件商標は「AdvancedTechnology」をイメージし、先端技術を以て先端技術産業に寄与するといった、一種の企業理念を表したものであり(乙第3号証・第2頁)、「製造元ADVANTEC東洋濾紙株式会社」といった使用は商品商標としての認識はなされないものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

答弁の理由

1 被請求人は、「薬剤」である体外診断用医薬品:尿pH試験紙「尿pHテスト−U『トーヨー』」について製造し、被請求人の代表取締役が兼任する関連会社である「アドバンテック東洋株式会社」(以下「アドバンテック東洋」という。)を通して、実際の販売元となる「日本ケミファ株式会社」(以下「日本ケミファ」という。)に販売し、今日まで同一製品を販売し、商標の使用を継続している。被請求人と「アドバンテック東洋」は通常使用権を許諾している関係にある。

その商標使用の事実を、尿pH試験紙「尿pHテスト−U『トーヨー』」カタログ(乙第4号証)により証明する。

当該カタログの裏表紙に製造元として、「ADVANTEC」の商標が付されている。当該商品の実際の取引の事実を乙第5号証にて証明する。

2 被請求人は、同じく体外診断用医薬品である尿検査用試験紙「U−テストIIシリーズ」について、株式会社京都第一科学(現アークレイ株式会社)との技術提携のもと製造し、「アドバンテック東洋」を通して、実際の販売元となる「株式会社三和化学研究所」(以下「三和化学研究所」という。)に販売し、今日まで同一製品を販売し、商標の使用を継続している。

その商標使用の事実を、体外診断用医薬品である尿検査用試験紙「U−テストIIシリーズ」カタログ(乙第6号証)にて証明する。

当該カタログの裏表紙には、製造元として、「ADVANTEC」の商標が付されている。当該商品の実際の取引の事実を乙第7号証にて証明する。

3 被請求人は、動物用医薬品である乳汁中ケトン体(3−ヒドロキシ酪酸)測定用試験紙「サンケトペーパー」について、2002年から本件商標を付して製造し、「アドバンテック東洋」を通して、実際の販売元となる「三和化学研究所」に販売し、今日まで同一製品を継続して販売している。

その商標使用の事実を、乳汁中ケトン体(3−ヒドロキシ酪酸)測定用試験紙「サンケトペーパー」カタログ(乙第8号証)にて証明する。

当該カタログの裏表紙には、製造元として、「ADVANTEC」の商標が付されている。当該商品の実際の取引の事実を乙第9号証にて証明する。

4 以上のとおり、乙各号証により、被請求人が本件商標の指定商品中「薬剤」に含まれる「尿pH試験紙」(尿pHテスト一U「トーヨー」)、「尿検査用試験紙」(U−テストIIシリーズ)、「乳汁中ケトン体測定用試験紙」(サンケトペーパー)について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、登録商標を使用している。

第4 当審の判断

1 使用の事実

被請求人の提出した乙第4号証ないし乙第9号証によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第4号証及び乙第5号証

乙第4号証は、「尿pHテスト−U『トーヨー』」とする「体外診断用医薬品 尿pH試験紙」についてのカタログであって、裏表紙右下に製造元として、「ADVANTEC」及び商標権者の住所及び名称が掲載されていること。また、乙第5号証は、2002年2月25日付の当該商品の取引書類(物品受領書)であって、返送先として「ADVANTEC」及び商標権者の住所及び名称等、品名・規格の欄に「試験紙 尿pHテスト−U『トーヨー』」、及び受領印欄に丸判での「受領 / 14.2.26 日本ケミファ(株)/物流管理センター」等の各記載がされていること。

(2)乙第6号証及び乙第7号証

乙第6号証は、「U−テストIIシリーズ」とする「体外診断用医薬品 尿検査用試験紙」についてのカタログであって、裏表紙下に製造元として、「ADVANTEC」及び商標権者の住所及び名称が掲載されていること。また、乙第7号証は、2002年5月23日付の当該商品の取引書類(物品受領書)であって、返送先として「ADVANTEC」及び商標権者の住所及び名称等、品名・規格の欄に「試験紙 U−テストII 5 / 試験紙 U−テストII 7」、及び受領印欄に丸判での「受領 14.5.24 /三和化学研究所/小牧配送センター」等の各記載がされていること。

(3)乙第8号証及び乙第9号証

乙第8号証は、「サンケトペーパー」とする「乳汁中ケトン体(3−ヒドロキシ酪酸)測定用試験紙」についてのカタログであって、裏表紙下に製造元として、「ADVANTEC」及び商標権者の住所及び名称が掲載されていること。また、乙第9号証は、2002年5月23日付の当該商品の取引書類(物品受領書)であって、返送先として「ADVANTEC」及び商標権者の住所及び名称等、品名・規格の欄に「サンケトペーパー(国内仕様)」、及び受領印欄に丸判での「受領 14.5.24 /三和化学研究所/小牧配送センター」等の各記載がされていること。

(4)まとめ

以上(1)ないし(3)で認定した事実を総合すると、商標権者は、本件審判請求の登録日(平成15年(2003年)2月19日)前3年以内に日本国内において、それぞれのカタログに掲載された商品、即ち、本件審判の取消請求に係る指定商品である「薬剤」の範疇に属する商品といえる「体外診断用医薬品 尿pH試験紙」、「体外診断用医薬品 尿検査用試験紙」及び「乳汁中ケトン体(3−ヒドロキシ酪酸)測定用試験紙」の取引をしたこと、そして、本件商標の構成は、後掲のとおりになるところ、これと該欧文字表記とは、外観において、小さく書された「アドバンテック」の片仮名文字の有無という若干の相違があるといえ、称呼を共通にし、かつ、直に特定の意味合いを生ぜず観念において異なるものでなく、両者は取引上実質的な差異はないものと認められ、同一の範疇に属するものということができるから、商標権者が前記標章を使用していたことは、当該登録商標を使用していたものというのが相当である。

そうすると、被請求人は、商標権者(被請求人)が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の取消請求に係る指定商品の一について、本件商標を使用していたことを証明し得たというべきである。

2 請求人の主張について

請求人は、本件商標は乙各号証において製造元「東洋濾紙株式会社」と一体となって商品商標としてではなく商号商標的に使用されており、一般消費者は本件商標が当該商品の商標としては認識し得ないものと考える。また、日本ケミファ及び三和化学研究所の両社がその作成に係るカタログにどのような形態であれ本件商標を掲載するという行為は、通常使用権者の立場にあり、本件商標の原簿にその設定登録がなく、その立証が求められる旨述べている。

しかしながら、各カタログの裏表紙に表示された「ADVANTEC」標章が、被請求人(商標権者)の一種の企業理念を表したものとして採択・使用されるものであるとすれば、このような使用方法は、被請求人ないしは関連企業のハウスマーク的使用といえるものであって、被請求人の取扱いに係る個々の商品に使用される個別標識とは別に、各カタログに掲載されている商品の製造元を表す識別標識としての機能を果たしているものとみるのが相当である。

また、「アドバンテック東洋」は、被請求人(商標権者)の代表取締役が兼任する関連会社であって、当該商標権についてその商標権者は他人に通常使用権を許諾することができるとされているものであり(商標法第31条)、これは当事者間の契約により発生するものである。そうすると、当該商標権者と密接な関係にある「アドバンテック東洋」は、本件商標の使用許諾があるものとみるのが自然であり、本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。さらに、たとい「日本ケミファ」又は「三和化学研究所」が発売元あるいは販売元として各カタログに、商品の製造元を表す識別標識としての「ADVANTEC」標章の使用をする行為が本件商標の通常使用権者の使用としてみても、当事者間における上記取引の実情からして、商標権者は、少なくとも両社にその使用を黙示的に許諾しているものというのが相当である。

したがって、上記に関する請求人の主張は、採用できない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。