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Trademark Appeal Case

商標使用の同一性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−31415(T2002−31415/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4299921号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成10年6月17日に登録出願、第16類「雑誌」を指定商品として、同11年7月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「商標法第50条の規定により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品「雑誌」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

(2)弁駁の理由

被請求人は、答弁書において乙第1号証ないし乙第3号証を提出するものであるが、提出された乙号証によっては、被請求人が主張するような使用事実が認められない。

ア 乙第1号証

(a)別掲のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標A」という。)は、左上隅に配された「イラスト的に描かれた稲妻図」、該稲妻図を背景にした漢字「電撃」、略中央に大書されたローマ字「HOBBY」、該ローマ字の下方左側に小書されたローマ字「MAGAZINE」によって構成され、これらの各構成文字は、書体や大きさにおいて顕著な差異が認められるのみならず、各々が異なる段(行)に配されているとともに色分けされた態様からなり、その結果、「電撃」「HOBBY」「MAGAZINE」のいずれもが別個の識別標として機能する別異の商標と認識されるもので、全体としても極めて特徴的な外観態様をなす。

対して、本件商標は、別掲のとおり、同書同大、一連一行、ありふれた書体で「電撃Hobbymagazine」と書され、全体が一つの識別標として認識され、機能するものである。

そうとすると、使用商標Aと本件商標とは、相異なる外観、称呼及び観念を認識させるとともに、全体としてもその外観的特徴を著しく異にするもので、このような変更使用が商標の識別機能に重大な影響を与えることは明らかで、「使用商標Aの使用は、本件商標と同一と認められる商標の使用である。」との請求人主張は認められない。

(b)裏表紙の左側中央に表示された商標は、同書同大、一連一行にて「月刊電撃ホビーマガジン」と縦書きされ、全体が一つの商標と認識される構成態様からなる。

これを本件商標と対比すると、両商標は、その外観や文字種が異なるばかりか構成自体を異にするもので、前者が「ゲッカンデンゲキホビーマガジン」との称呼が生ずるのに対し、後者は「デンゲキホビーマガジン」との異なる称呼が生ずる。

すなわち、「月刊」の有無は重大な相違というべきで、雑誌を指定商品とした場合、「月刊」の文字は単に商品の特性を示すにとどまらず、商品識別要素として十分な機能を果たす部分であることは、多くの登録例からも明らかである(甲第2号証)。

(c)文中(36頁、37頁、53頁、220頁)で表記されている文字文言は、基本的に商標(第2条1項)でも、商標の使用(第2条3項)でもない。

商標には、当然に識別標としての機能が求められていることからすれば、識別標として使用されておらず、また、識別標として認識される可能性もないこれら文中の文字文言が、商標法上の商標又はその使用といえないことは明らかである。

イ 乙第2号証

(a)右下側に表示されている使用商標Aは、前記(2)ア(a)と同様の理由によって、本件商標の使用とは認められない。

(b)略中央に表記されている「電撃Playstation×電撃HOBBY MAGAZINE」の文字は、商標(第2条1項)及びその使用(第2条3項)とは認められず、仮に、この文字が商標の使用であるとすると、該使用商標は、同書同大、一連一行にて「電撃Playstation×電撃HOBBY MAGAZINE」と構成されているのであるから、本件商標と同一の商標とは認められない。

ウ 乙第3号証

(a)表紙左上隅及び裏表紙上段に表示された使用商標Aは、前記(2)ア(a)と同様の理由によって、本件商標の使用とは認められない。

(b)分離された頁にまたがって表示された「電撃(+稲妻図)」「HOBBY」「MAGAZINE」(以下、この商標を「使用B商標」という。)は、「電撃(+稲妻図)」と「HOBBY」とが明瞭に色分けされていると共に、「電撃」の文字には特徴的な「稲妻図」が重ね描かれ、更に、「HOBBY」と「MAGAZINE」とは分離した異なる頁に表記されている。そのために、該使用商標は、全体を一体不可分に構成した本件商標とは異なり、「電撃(+稲妻図)」「HOBBY」「MAGAZINE」の各々から外観、称呼及び観念を認識させ、別個の識別標としてそれぞれが機能し、更に、全体としても本件商標とはその外観的特徴を著しく異にする。

特に、「MAGAZINE」の文字は、指定商品「雑誌」そのものを意味し、単独では商品出所の識別力を有さず、本件商標及び被請求人の別件登録商標「Hobby Magazine/ホビーマガジン」のように、他の構成要素と合体して初めて識別力を発揮し得るものである。したがって、「MAGAZINE」の部分を切り離した状態でのこのような使用は、本件商標の登録が認められた所以に反し、本件商標の本質部分を変更した使用というべきである。

エ 商標の同一性

(a)商標法第50条に規定する「当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」とは、同一の称呼や観念が生ずることのみでは足りず、異なった称呼や観念が生じないことが条件であり、また、外観においても、全体としてその特徴を著しく変更したような場合には、もはや、同一と認められる範囲を逸脱した商標というべきである(甲第3号証)。

(b)両商標を対比してみると、本件商標からは「デンゲキホビーマガジン」との称呼のみが生ずるのに対し、各使用商標からは「デンゲキホビーマガジン」の称呼のほか、「デンゲキ」「デンゲキホビー」「ホビー」「ホビーマガジン」の各称呼が生ずる。

また、観念においても、前者からは間疑すべき特段の意味が生じないのに対し、後者からは「電撃」の部分より「電流を受けたときのような衝撃」、「HOBBY」の部分より「趣味・道楽」、「MAGAZINE」の部分より「雑誌」の観念がそれぞれに生ずる。

さらに、外観においても、前者は「同書同大、一連一行、ありふれた書体」で構成されているのに対し、後者は「異書異大、複数行(段)、特徴的書体、+稲妻図形」で構成され、識別標としての特徴を著しく異にする。

したがって、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標と認められないことは明らかである。

(3)結論

以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件商標と同一と認められる商標がその指定商品に使用された事実を証明し得ないから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。

(1)被請求人の会社概要

被請求人は、平成4年10月15日に設立され今日に至っているものであるが、本件商標は、被請求人が発行する多種類の月刊雑誌の中でも「プラモデル、GK、TOYのすべてがわかる新感覚のホビー雑誌」について、平成11年1月1日発行の創刊号から平成15年3月号まで継続使用している。

(2)使用証拠

乙第1号証は、発行所が被請求人、発売元が株式会社角川書店(東京都千代田区所在)に係る2002年11月1日発行の「電撃Hobbymagazine 11月号」で、表紙、裏表紙、背表紙、奥付、目次表題、アンケートの表題、アンケートの回答及び愛読者プレゼント申し込み用はがき、その他に、本件商標である「電撃Hobbymagazine」の商標が、文字の書体と大きさとを異にしてはいるが、二段横書きに表示され、また、縦方向の2列に表示されている。

奥付には、「電撃Hobbymagazine」の商標が二段横書きに表示されていると共に、その直ぐ下部には「電撃HOBBY MAGAZINE 11月号」と横一連に表示されており、特に、この使用態様は、本件商標と横一連の構成である点で酷似したものである。

その他、本号内における本件商標と称呼上同一である「電撃ホビーマガジン」の構成からなる商標が、例えば、36、37、53、220、302の各頁及び裏表紙の左側中央部に表示されている。

乙第2号証は、「電撃Hobbymagazine」誌についての2002年6月号用の販売促進用ちらしで、本件商標においては、「電撃Hobbymagazine」の商標が、書体と大きさとを異にした二段横書きに表示されている。

乙第3号証は、被請求人が発行所で株式会社角川書店が発売元に係る「電撃のガンダム ホビー書籍カタログ」で、全体は4枚折り畳みであるが、表紙の左上部には「電撃Hobbymagazine」の商標が、文字の書体と大きさとを異にして、二段横書きにやや小さく表示されており、これを最初に開くと平行した2頁をもって、最上段に「作る喜び、見る楽しみを追求するホビー最強誌」と青色地に白抜きで表示され、その表示の下部に「電撃HOBBYMAGAZINE」と青色地部に赤色の「電撃」の文字と濃緑色の「HOBBYMAGAZINE」の文字とで横幅一杯に表示されている。

(3)商標の同一性

前記した乙第1号証ないし甲第3号証に各種態様で表示されている各商標は、本件商標と実質的に同一である。

すなわち、使用に係る商標と本件商標とは、称呼と観念が同一であると共に外観においても指定商品である「雑誌」の具体的な性状に適合させた社会通念上同一と認められる範囲での使用であることは明らかである。

このことは、商標法第50条第1項のカッコ書きの内容とも適合したものである。

(4) 結論

上述のとおり、本件審判における指定商品の「雑誌」については、本件商標と実質的に同一の態様からなる商標を、本件審判請求の予告登録前3年以内に使用しており、かつ、1999年1月から現在までの略4年3か月にわたって継続使用している事実が明確であるから、本件商標は商標法第50条第1項に該当し、その登録が取り消されるべきものではない。

4 当審の判断

本件商標は、別掲のとおり「電撃Hobbymagazine」の文字を一連に横書きしてなるものである。

被請求人は、本件商標を月刊雑誌の中でも「プラモデル、GK、TOYのすべてがわかる新感覚のホビー雑誌」について、平成11年1月1日発行の創刊号から継続使用している旨述べているので、以下検討する。

(1)乙第1号証は雑誌であるところ、表紙上段、裏表紙左上部、背表紙上部、奥付部分中段、5頁上部、298頁上部及び綴じ込み葉書には引用商標Aの表示(表紙のものはその一部が他の図形に隠れる態様で表示され、奥付のものは彩色されていない。)があり、奥付中段には「電撃HOBBYMAGAZINE 11月号」の表示があり、奥付下段には「電撃ホビーマガジン・ホームページ好評稼働中!!」の表示がある。

また、奥付には、発行所として「株式会社メディアワークス」(被請求人の名称)の表示及び「2002年11月1日発行」の表示がある。

(2)乙第3号証は、雑誌についてのカタログと認められるところ、その表面及び裏面に使用商標Aが表示され(裏面のものは、その一部が他の文字に隠れている。)、また、これを最初に開いた左右の分離された頁にまたがって使用商標Bが表示されている。

ところで、請求人は、使用商標A及び使用商標Bは本件商標と社会通念上同一と認められない旨主張しているので、この点について検討する。

まず使用商標Aについてみるに、使用商標Aは、別掲のとおり、「電撃」、「HOBBY」及び「MAGAZINE」の各文字の大きさ、書体、色彩が異なり、また「電撃」の文字には背景的に稲妻様の図形が配されているものである。

しかしながら、雑誌の題号など文字からなる商標の場合に、その全部又は一部を図案化させ、また、その一部を異なった大きさ、色彩で表し、あるいは複数行に分けて表すなど、視覚上の印象を高めるために文字にデザインを施すなどして多様な表現手段を用いて表すことは、取引社会においては広く行われているところである。

かかる取引の実情を考慮すると、使用商標Aにおけるこれら各文字は、まとまりよく一体的に表されていて、全体をもって一つの題号を表したものとみて何等不自然なものではなく、そのように認識することを妨げるほど、各文字間において構成態様が異なるとは認め難いものである。しかも、これを裏付けるように、「月刊電撃ホビーマガジン」の文字が裏表紙に、「電撃HOBBYMAGAZINE 11月号」の文字が奥付に表示されており、使用商標Aは、全体をもって該雑誌の題号を表したと認識されるものと判断するのが相当である。

そうとすれば、使用商標Aの「電撃」、「HOBBY」及び「MAGAZINE」の各文字を結合すると本件商標の構成文字と同一になるものであるから、使用商標Aは、本件商標と社会通念上同一のものと判断するのが相当である。

次に、使用商標Bについてみるに、使用商標Bは、「雑誌のカタログ」(乙第3号証)に表されているものであるところ、この「雑誌のカタログ」の形状は、横長の用紙を横に二つに折り、さらに左右の面をそれぞれ横に二つに折ったものであって、使用商標Bは、これを最初に開いた左右の頁にまたがって表されており、この左右の頁は分離されているものである。

しかしながら、左右の頁が分離されているとはいえ、該雑誌のカタログを最初に開いた場合、使用商標Bが左右の頁にまたがって連続して表示されていると看取し得る体裁のものであり、これに接した取引者、需要者は、該雑誌のカタログには使用商標Bが表示されていると認識するものと判断するのが相当である。そして、取引場裏においては、このように、分離されたページにまたがるように文字や図形を意図的に表示することにより、見る者により強い印象を与えることを期待した商品パンフレット、ちらしなどが少なからず見受けられるところである。

そうとすれば、使用商標Bは、「電撃HOBBYMAGAZINE」の一連の文字を表したものとして、取引者、需要者に認識され得るというべきであるから、本件商標とは構成文字が同一のものであり、社会通念上同一の商標と認めるのが相当である。

以上の証拠を総合してみれば、被請求人は、本件審判請求登録(平成15年(2003年)1月8日)前3年以内である2000年8月10日及び2002年11月1日当時、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る商品「雑誌」について使用していたものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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