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Trademark Appeal Case

代理人による不当な商標登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30591(T2001−30591/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3160120号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成5年4月16日に登録出願、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「商標法第53条の2第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出している。

1 本件商標は、パリ条約の同盟国であり、世界貿易機関の加盟国であり、商標法条約の締約国であるアメリカ合衆国において、商標権を有する請求人の当該権利に係る商標に類似する商標であって、当該権利に係る商品を指定商品とするものであり、かつ、本件商標の登録出願は、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで、その代理人によってされたものである。

2 上述したように、請求人は、アメリカ合衆国において、甲第3号証に示す欧文字「JIMMY’Z」を横書きした構成からなる登録商標〔別掲(2)、以下「引用商標」という。〕を所有し、以前の権利者であるカルフォルニア州の法人「ジミーズ トレーディング インコーポレイテッド(JIMMY'Z TRADING,INC.)」によって出願され、1988年(昭和63年)5月31日に登録、その指定商品は、第25類「男性用及び女性用の活動着及びスポーツウェア、すなわち、シャツ、上着、Tシャツ、セーター、ベスト、ジャケット、コート、ドレス、スカート、ショーツ、パンツ、スラックス、ジーンズ、ずほん、帽子、キャップ、ベルト、水泳着、靴及びサンダルを含む履物」である。

したがって、本件商標は、アメリカ合衆国において商標権を有する請求人の引用商標と類似する商標であって、その指定商品には引用商標に係る商品「履物」を含むものであることが明らかである。

3 さらに、甲第4号証は、被請求人「ニッキー株式会社」と引用商標の前権利者であった「ジェイエムゼット インコーポレイテッド(JMZ, Inc.)」(以下「ジェイエムゼット社」という。)との間で交わされた引用商標についての使用許諾契約書(LICENSE AGREEMENT)(以下「本件契約書」という。)の写である。

本件契約書から明らかなように、被請求人は、1992年(平成4年)9月1日から1995年(平成7年)12月31日まで、引用商標の日本における独占的通常使用権者であり、引用商標が使用された履物等の総販売代理店であった。引用商標は、本件契約当事者であったジェイエムゼット社から請求人へと譲渡されたため、本件契約書の原本(契約当事者の署名入りのもの)が請求人の手元にはない。

このため、請求人は、被請求人の手元にある本件契約書の原本を検証すべく、商標法第56条で準用する特許法第150条規定に基づく証拠調をここに申し立てる(注、請求人は平成13年5月30日に証拠保全の申立て「証拠2001−98003」を行っていることが確認されている。)。さらに、請求人は、同日付で、本件契約書の原本の提出を求めるべく、特許法第151条で準用する民事訴訟法第221条の文書提出命令の申立を行うべく、準備をしているところである。

たしかに、甲第4号証には、契約両当事者の署名がない。しかしながら、署名者であったジェイエムゼット社の副社長「ジェフ マリン(Jeff Marine)」氏によれば、本件契約書は、同人が署名したものと同一とのことである。この点に関しては、ジェフ マリン氏の供述宣誓書を追って提出する予定である。一方の「Hideaki Nikki」氏とは、被請求人会社の常務取締役「二木英昭」氏のことと思われる(甲第5号証)。

4 また、本件契約書には、ライセンシー(ニッキー株式会社)は、ライセンサーの事前の書面による同意無くして、許諾された権利について、何らかの名義若しくは直接的又は間接的に関連するいかなる登録も求めないし、獲得しない、と規定されている。

以上のことから、本件商標の登録出願が、正当な理由がないのに、その出願時において、代理店であった被請求人によってされたものであることは明らかである。

5 以上述べたとおり、本件商標の登録は、商標法第53条の2第1項の規定に基づき取り消されるべきである。

第3 証拠保全の申立てと本件契約書原本の提出指令の手続について

当審において職権により、請求人が申し立てた本件審判事件に関する証拠保全申立て(証拠2001−98003)について調査したところ、請求人は本件商標の登録取消審判事件について上記本件契約書「LICENSE AGREEMENT」(甲第4号証の原本)の証拠保全を求める申立書を平成13年5月30日に提出し、特許庁は平成13年8月8日にその証拠保全の申立てを認める決定をし、その決定書の謄本を申立人(請求人)及び相手方(被請求人)に送達した。

そして、上記証拠保全の決定をした合議体の審判長は、その証拠保全の決定に基づき平成13年8月8日付けの指令書により、相手方である被請求人「ニッキー株式会社」に対し証拠保全申立書副本に添付されている「LICENSE AGREEMENT」の原本を提出することを命じた。

第4 被請求人の対応

被請求人は、本件審判請求に対し、何ら答弁していない。

また、上記証拠保全の決定をした合議体の審判長が平成13年8月8日付けの指令書により、証拠保全申立書副本に添付した「LICENSE AGREEMENT」(甲第4号証)の原本の提出を命じたが、上記「LICENSE AGREEMENT」の原本の提出はない。

第5 当審の判断

1 商標法第53条の2第1項に規定する取消審判の請求があったときは、審判請求に係る登録商標がパリ条約の同盟国等においてわが国の商標権に相当する権利を有する者の商標と同一又は類似の範囲であること、またその商標登録出願が、正当な理由がないのに、その同盟国等の権利者の承諾を得ないで、その商標登録出願の日若しくは当該商標登録出願の日前1年以内に当該登録商標のいずれかの指定商品(類似する商品を含む。)について、当該同盟国等の権利者の取引上の代理人であった者又はその権利者の代表者であった者によってされたものであることのいずれの要件も満たす場合に、当該登録商標の登録を取り消すべきものと解される。

2 そこで、請求人の提出した甲各号証及び主張について検討する。

(1)引用商標の権利者について

アメリカ合衆国特許商標庁が発行した登録証明書である甲第3号証(1999年6月24日付けの証明書の写し)によると、別掲(2)のとおりの欧文字からなる商標「JIMMY’Z」(引用商標)は、1987年7月17日に登録出願、1988年5月31日にカルフォルニア州の法人「ジミーズ トレイディング インコーポレテッド(JIMMY'Z TRADING,INC.)」を権利者として第1490256号として登録されたものであって、登録された日から20年の期間にわたり登録が継続すること、そして、その証明した日〔1999年(平成11年)6月24日〕における権利者は、フロリダ州の法人「ジェイエムワイゼット インコーポイテッド(JMYZ,INC.)」であることが認められる。

してみると、甲第3号証の証明書によれば、アメリカ合衆国の登録商標である引用商標の権利者は、登録当時はカルフォルニア州法人「ジミーズ トレイディング インコーポレテッド(JIMMY'Z TRADING,INC.)」であり、そして、証明した日の1999年(平成11年)6月24日には請求人「ジェイエムワイゼット インコーポイテッド(JMYZ,INC.)」であることが確認できる。しかしながら、本件商標の登録出願当時〔1993年(平成5年)4月16日〕及びその登録出願の日前1年以内における引用商標の権利者が、請求人主張のように「ジュイエムゼット インコーポレイテッド(JMZ,Inc.)」(ジェイエムゼット社)であったことを確認することはできない。

その他、上記期間内にジェイエムゼット社が、引用商標の権利者であったことを証明する証拠の提出はない。

(2)引用商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり「JIMMYZ」の欧文字を横書きした構成であるのに対し、引用商標は別掲(2)のとおり「JIMMY」の欧文字にアポストロフィ記号「’」及び「Z」の欧文字を一連に「JIMMY’Z」と横書きした構成よりなるものであるところ、両商標の構成文字はアポストロフィ記号「’」の有無の差があるのみで、いずれの商標もその綴り文字「JIMMYZ」を共通にするものであり、両商標はその構成文字に相応していずれも「ジミーズ」と称呼され得るものである。

してみると、本件商標は、引用商標と外観上「JIMMYZ」の綴り文字及び「ジミーズ」の称呼を共通にする類似する商標と認められる。

また、甲第3号証によると、引用商標は第25類に属する商品を指定商品としており、その指定商品中に「靴及びサンダルを含む履物(FOOTWEAR, INCLUDING SHOES AND SANDALS)」が含まれているものであり、この商品は、第1の項で述べた本件商標の指定商品に含まれる商品であると認められる。

(3)代理人について

a)請求人は、被請求人「ニッキー株式会社」と引用商標の前権利者であった「ジェイエムゼット社」との間で交わされた引用商標についての使用許諾契約書(当事者の署名がされていない契約書。「本件契約書」)の写しとして甲第4号証を提出し、被請求人は、1992年(平成4年)9月1日から1995年(平成7年)12月31日までの期間、引用商標の日本における独占的通常使用権者であり、引用商標が使用された履物等の総販売代理店であったことは明かであると主張し、請求人は、引用商標の権利は本件契約者であったジェイエムゼット社から請求人へと譲渡されたため、本件契約書の原本(契約当事者の署名入りのもの)が請求人の手元にはないので、被請求人に対し本件契約書の原本の提出を求めるべく、被請求人を相手として証拠保全の申立てをし、さらに、民事訴訟法に基づく文書提出命令の申立を行うべく準備をしているところである。また、上記契約書の署名者であったジェイエムゼット社の副社長「ジェフ マリン(Jeff Marine)」氏による供述宣誓書を追って提出する予定である旨述べている。

また、本件契約書の被請求人側の署名者である「Hideaki Nikki」氏は、被請求人の常務取締役の「二木英昭」氏のことと思われる(甲第5号証)等と主張している。

b)しかしながら、請求人提出の本件契約書である甲第4号証によると、その表紙部分に「LICENSE AGREEMENT」と記載され、本文と「SCHEDULES TO LICENSE AGREEMENT」よりなる内容書類とで全36頁に及ぶものであり、その本文の末尾部に「LICENSOR」として「JMZ,INC」、「By:(空欄)」、「Jeff Marine」、「Its:Vice President」と署名する欄があり、また「LICENSEE」として「NIKKI CO.,LTD」、「By:(空欄)」、「Hideaki Nikki」、「Its:Executive Vice President」と署名する欄が設けられているが、この契約の両当事者の署名がされていないものであるから、その契約書が存在したこと、またその契約書に記載された内容で本件商標についての使用許諾がされたことを認めることはできない。

c)一方、前項第3及び第4で述べたとおり、本件審判に関する証拠保全の決定に基づく本件契約書の原本の提出命令にもかかわらず、被請求人からは本件契約書の原本の提出がなかったので、審判長は、平成15年2月18日付けの審尋により、甲第4号証(本件契約書)の内容が真正であることの立証を求めた。しかるに、請求人からは何らの応答もなされていない。また、請求人が主張している「ジェフ マリン」(Jeff Marine)」氏による供述宣誓書の提出もない。

d)また、本件契約書の被請求人側の署名者(代表者)とされている「Hideaki Nikki」に関係する企業情報として提出された甲第5号証によると、「東京商工リサーチ企業情報/G−Search」とタイトルが記載され、その下の欄に「商号」を「ニッキー(株)(ニッキー)」と、「設立」を「昭和25年7月」と、「役員」を「(専)二木和哉(常)二木英昭,・・」(全部で8名記載されている。)と、「営業種目」を「水着、外衣、靴下、他卸売」と、そしてその最下段の「更新年月日」を「2000年6月30日」等とそれぞれ記載されていることが認められる。

この企業情報からすると、この情報は「2000年(平成12年)6月30日」現在のものであって、本件契約当時〔1992年(平成4年)9月1日〕の情報ではないことからして、本件契約書に記載されている「NIKKI CO.,LTD」が「ニッキー株式会社」(被請求人)であって、契約書に記載されている「Hideaki Nikki」が、同会社の役員と記載されている「二木英昭」であり、かつ本件契約当時その企業を代表する地位にあったものとみることは困難である。

e)その他、甲第4号証の本件契約書の写しが該契約書の原本と同一のものであること、その他、被請求人が本件商標の登録出願当時又はその登録出願の日前1年以内に代理人としての地位にあった者又は代表者であった者と認めるに足りる証拠の提出はない。

f)してみれば、被請求人は、本件商標の登録出願当時又はその登録出願の日前1年以内に当時の引用商標の権利者の代理人又は代表者であった者と認めることはできない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、パリ条約の同盟国等であるアメリカ合衆国において登録されている引用商標と類似する商標であるとしても、本件商標の登録出願当時又はその登録出願の日前1年以内に、引用商標の権利者の代理人又は代表者であった者によって登録されたものと認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第53条の2第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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