結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35190(T2003−35190/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4306296号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年3月2日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年8月20日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、下記の(a)ないし(d)に示した4件の登録商標を引用している。
(a)「NEWYORKER」の欧文字を横書きしてなり、昭和10年7月29日に登録出願され、第36類「莫大小製被服、其ノ他本類ニ属スル商品、但シ帽子ヲ除ク」を指定商品として、同11年4月22日に設定登録された登録第277274号商標(以下「引用A商標」という。)
(b)別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成2年4月24日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同4年9月30日に設定登録された登録第2458050号商標(以下「引用B商標」という。)
(c)「NEW YORKER」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年2月28日に登録出願され、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同63年7月22日に設定登録された登録第2066043号商標(以下「引用C商標」という。)
(d)別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成3年6月26日に登録出願され、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同5年6月30日に設定登録された登録第2545426号商標(以下「引用D商標」という。)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「NEW YORKER」の文字部分のみが独立して商取引に資される場合も決して少なくないから、「ニューヨーカー」の略称も生ずるものである。
一方、引用AないしD商標からも、その構成文字に照応して「ニューヨーカー」の自然称呼が生じるものであること明らかであるから、両者は、「ニューヨーカー」の称呼を共通にする称呼上類似する商標である。
そして、両者の指定商品も同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、引用各商標との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当すること明白である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、平成元年(1989年)8月1日に商号を「大同毛織株式会社」から現在の「株式会社ダイドーリミテッド」に変更したものであるが、その30年前の昭和39年(1964年)に、「NEW YORKER(ニューヨーカー)」ブランドが誕生した。当時、若者の間で大流行していたアイビーファッションをよりアダルト向けに洗練させた結果、国際的なビジネスシーンにも通用する装いとして広く認知され、「ブレザーのNEW YORKER(ニューヨーカー)」という評価を獲得し、我が国のトラッドシーンに不動の地位を築き、現在に至っている。
全国各地のほとんどの有名デパート等のニューヨーカーショップにおいて、「NEW YORKER」ブランドを付した被服等が販売されており(甲第4号証)、最近の「NEW YORKER」ブランドの被服の売上高は、1994年4月から本件商標の出願日である1998年3月までの僅か4年間で、その合計売上高は、紳士服が194億9270万円、婦人服が297億8630万円で、合計で492億7900万円という高額に上っている。
また、甲第6号証ないし甲第10号証に示すとおり、各種媒体を介して「NEW YORKER」ブランドを付した被服の宣伝広告活動を精力的に行ってきた結果、商標「NEW YORKER」を付した被服は、少なくとも、本件商標の登録出願日である1998年3月2日より遥か以前に我が国の取引者、消費者の間において広く知られることとなり、著名商標としての地位を確立した。ちなみに、商標「NEW YORKER」の我が国での周知著名性を示す全国各地の「NEW YORKER(ニューヨーカー)」ブランドの被服を取り扱っている販売店からの証明書を甲第12号証として提出する。
したがって、他人の著名な引用各商標と類似する本件商標をその指定商品について使用した場合、需要者、取引者をしてあたかも当該商品が請求人の業務にかかる商品であるかのごとく、また、少なくとも請求人と経済的若しくは組織的に何等かの関係のある者の業務にかかる商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれが極めて大きいといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
上述のとおり、他人の名声に便乗し、不当な利益を得る等の目的で出願された本件商標は、国際商取引の競業秩序を明らかに乱すものであるから、国際的信義および国際的商業道徳に悖るものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも該当するものである。
被請求人は、請求人の上記3に記載した主張に対し何ら答弁していない。
(1)請求人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)甲第11号証(「MEN’S CLUB/メンズクラブ」1994年9月号)の創刊40周年記念特別企画「NEWYORKER STORY」と題する記事によれば、「1964年、既製服の魅力を追求したニューヨーカーが誕生」、「ビジネスの本場を意識して『ニューヨーカー』と命名」、「クオリティの追求こそがニューヨーカーの基本となる」等の表題のもとに「NEW YORKER」ブランドの30年にわたる歴史が記載されていることを認めることができる。
(イ)甲第6号証(1968年ないし2002年の「NEW YORKER」ブランドを付した被服についての各種商品カタログ)によれば、請求人は、1968年頃から2002年に至るまで、「NEW YORKER」ブランドを付した紳士服及び婦人服等の被服類について数多くの種類のカタログを発行していたことを認めることができる。
(ウ)甲第4号証(「NEW YORKER」ブランドを付した被服の販売店リスト一覧)によれば、請求人は、西武百貨店、丸井、そごう、東武百貨店、高島屋、伊勢丹、小田急百貨店、京王百貨店、三越、近鉄百貨店、阪急百貨店等々、全国各地の有名デパート等のニューヨーカーショップにおいて、「NEW YORKER」ブランドを付した被服等を販売していたことを認めることができる。
(エ)甲第5号証(「NEW YORKER」ブランドを付した被服の売上高を示す証明書)によれば、1994年4月から2002年3月まで、「NEW YORKER」ブランドを付した紳士服及び婦人服の売上高は、毎年100億円を越える金額に達していたものと推認することができる。
(オ)甲第7号証(「NEW YORKER」ブランドを付した被服についての新聞等による宣伝広告例)によれば、日本経済新聞(1989年8月1日付、1992年3月31日付、1992年4月4日付)、朝日新聞(1989年8月29日付、1994年9月23日付)、読売新聞(1994年9月25日付)の各広告記事において「NEW YORKER」ブランドを表示した広告がなされていたことを認めることができる。
(カ)甲第8号証(「NEW YORKER」ブランドを付した被服についての各種雑誌による宣伝広告例)によれば、「check mate」(1979年10月号)、「ViVi/ヴィヴィ」(1983年10月号、1984年8月号)、「CanCan」(1985年増刊号)、「MEN’S CLUB/メンズクラブ」(1979年11月号、1997年6月号、同9月号、同10月号、同12月号)、「DIAMOND STYLE/ダイヤモンド・スタイル」(1999年5月号、同10月号、2000年4月号)、「OLDBOY/オールドボーイ」(1999年4月号)、「週刊ダイヤモンド」(1999年3月20日号、同9月18日号、同10月16日号、同11月27日号、2000年3月18日号、同4月8日号)、「FIGARO/フィガロ」(1997年10月号及び11月号)、「MORE/モア」(1998年10月号)、「VINGTAINE/ヴァンテーヌ」(1997年4月号、同10月号、同11月号、同12月号及び1998年3月号)、「0ggi/オッジ」(1997年12月号、1999年5月号、同10月号、2000年4月号、同11月号)、「BAILA/バイラ」(2001年11月号、2002年6月号、同10月号)の各種雑誌において、「NEW YORKER」あるいは「ニューヨーカー」ブランドを付した被服についての宣伝広告記事が掲載されていたことを認めることができる。
(キ)甲第9号証(JR・地下鉄等の電車内に掲示された中吊りポスター広告等による広告例)によれば、請求人は、平成3年以降、JR各線、西武、京王、小田急、東急、東武、名鉄、近鉄、京阪、阪急、西鉄、営団地下鉄、札幌地下鉄、仙台地下鉄、名古屋地下鉄、大阪地下鉄、福岡地下鉄等々の数多くの電車内の中吊り広告において、「NEW YORKER」あるいは「ニューヨーカー」ブランドを付した被服についての宣伝広告記事を掲載し、また、地下鉄丸の内線新宿三丁目駅コンコース、JR渋谷駅ホーム等において、「NEW YORKER」ブランドを掲示した看板による広告を行っていたことを認めることができる。
(ク)甲第10号証(NEW YORKER」ブランドを冠した各種スポーツ大会等のスポンサーであったことを証する資料)によれば、請求人は、「1983年のジャズコンサート」、「1998年ワールドカップサッカーフランス大会」、「ニッポンチャレンジアメリカ杯2000ヨットレース」等のイベントにスポンサーとして協賛し、「NEW YORKER」ブランドの浸透に努めていたことを認めることができる。
(2)「NEW YORKER」商標の著名性について
以上の事実を総合してみれば、請求人は、昭和39年(1964年)に「NEW YORKER(ニューヨーカー)」ブランドを立ち上げて以来、主要日刊新聞への広告、ファッション雑誌等への広告、JRをはじめとする数多くの電鉄会社の車両内の中吊り広告等、種々の媒体を利用して長年にわたり、積極的に「NEW YORKER(ニューヨーカー)」ブランドの宣伝広告に努め、「NEW YORKER(ニューヨーカー)」ブランドの被服は、全国各地の有名百貨店等のニューヨーカーショップにおいて販売され、その売上高も本件商標の登録出願日である1998年3月までのわずか4年間で、492億円余という高額に達していたものであることを認めることができる。
そうとすれば、請求人の使用に係る「NEW YORKER(ニューヨーカー)」の商標は、請求人の業務に係る商品「被服」を表す商標として、本件商標の登録出願時(平成10年3月2日)においては既に、我が国における取引者、需要者の間に広く知られていたものということができ、その著名性は、その後、登録査定時(同11年5月27日)を経て今日に至るまで継続しているものと認められる。
(3)出所の混同について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、ロゴ化した「NY」の文字を背景に、「NEW YORKER」の欧文字と「RIDER’S」の欧文字とを二段に表した構成からなるものであるところ、視覚上、「NEW YORKER」と「RIDER’S」の文字とに分離して認識し得るばかりでなく、全体として特定の親しまれた意味合いを認識させるものでもなく、被請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者間に知られているというような事情も認められない。
そして、本件商標の指定商品は、請求人の使用に係る「被服」を含むばかりでなく、いずれもファッションと密接に関連する商品であるということができる。
してみれば、本件商標は、その構成中に「NEW YORKER」の文字を顕著に含むものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中上段の「NEW YORKER」の文字のみをとらえ、請求人の著名な「NEW YORKER」の商標を連想、想起し、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ず、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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