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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35284(T2003−35284/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4618630号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1.本件商標

本件登録第4618630号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年11月13日に登録出願され、「メバプラチン」の文字を横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成14年11月8日に設定登録されたものである。

第2.請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2049558号商標は、「メバロチン」の文字を横書きしてなり、昭和61年1月20日に登録出願され、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年5月26日に設定登録されたもので

ある。

同じく登録第2069627号商標は、「MEVALOTIN」の文字を横書きしてなり、昭和61年1月20日に登録出願され、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年8月29日に設定登録されたものである。

同じく登録第2448922号商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成元年10月27日に登録出願され、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録されたものであり、その後、指定商品については、平成14年3月22日にした書換登録申請により、第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第8類、第9類、第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品として、平成14年4月17日に書換登録されたものである。

同じく登録第2448923号商標は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成元年10月27日に登録出願され、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成4年8月31日に設定登録されたものであり、その後、指定商品については、平成14年3月22日にした書換登録申請により、第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第8類、第9類、第10類、第16類、第19類、第21類、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品として、平成14年4月17日に書換登録されたものである。(以下、3件を一括して「引用商標」という。)

第3.請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は無効とすべきものとする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項(第1号)の規定に基づいて、その登録は、以下の理由により無効とされるべきものである。

1.本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とを比較検討してみるに、両者の構成は、それぞれ前記のとおりであるから、前者からは、「メバプラチン」の称呼を生ずるものであるのに対して、後者からは、「メバロチン」の称呼を生ずるものである。

しかして、本件商標より生ずる「メバプラチン」の称呼と引用商標より生ずる「メバロチン」の称呼とは、文字により構成された商標における自他商品を識別するための標識としての機能を果す場合において、最も重要な要素となる語頭部分における「メ」、「バ」及び語尾部分の「チ」、「ン」の4音を全く同じくしているものであり、語中央部において「プラ」音対「ロ」音の差異を有するものではあるが、該差異音とても、「ラ」音と「ロ」音は、共に子音「r」を共通にする、同じラ行に属する舌音であって、調音方法及び発音の仕方を同じくする近似した音であるから、これに、弱音の「プ」音を付加したにすぎない該差異音が、両者の全体的称呼に及ぼす影響は、決して大きなものではなく、したがって、両者を全体として、一連に称呼した場合には、その全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、これらに接する聴者をして、彼此の称呼を聞き誤らせるおそれの充分にある、互いに相紛らわしい称呼であるといわざるを得ない。

してみれば、両商標が、薬剤について使用される場合には、その構成中の語頭部分の「メバ」の文字部分は、後半部の「プラチン」及び「ロチン」の文字部分に比して、自他商品の識別力を果す最も重要な部分、所謂、商標の要部若しくは商標の基幹部分というべきものである。更に、薬剤等の商標として、「メバ」の音で始まるものは、引用商標のみであることからも、本件商標をその指定商品である「薬剤」について使用をするときは、観念的な連想を惹きおこし易い、その基幹部分「メバ」を共通にし、しかも、薬剤の商標の接尾語として、我国においては、比較的好まれてありふれて採択使用されている文字の「ン」をも共通とする点からも、請求人の製造・販売する商品「高脂血症用薬剤」に使用する引用商標「メバロチン」を連想させ、これに接する取引者・需要者は、請求人のシリーズ商標若しくは姉妹商品として、請求人の製造・販売に係るものと誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれがある。

2.引用商標の周知、著名性について

引用商標は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」(動脈硬化用薬剤)に付されて使用され、平成1年の発売以来、その売上高は、当初の70億円(市場占有率17.5%)から、その売上を延ばし、同11年度には、1288億円(市場占有率53.9%)にものぼり、「高脂血症用薬剤」の単品商品が、売出しからの僅か11年間で、1兆59億円にも達している事実がある(甲第11号証、請求人の商品「メバロチン」の平成1年から同11年度までの売上高及び市場占有率一覧表)。

また、上記商品の宣伝広告活動も、広告代理店、株式会社丹水社を通じて、活発かつ盛大に行っており、その宣伝広告費も、単品商品「高脂血症用薬剤」の金額としては、平成1年に1600万円台であったものが、同14年は10月までに2100万円台を投じ、発売以来の14年間で、4億3000万円以上もの広告費をかけているものである(甲第12号証、株式会社丹水社の平成1年から同14年までの「メバロチン」広告掲載金額一覧表及び甲第13号証、同上の雑誌出稿一覧表)。

その他にも、「メバロチン」に関して、株式会社医薬広告社を通じて平成7年4月から同14年10月までの広告出稿一覧表(甲第14号証)、協和企画株式会社を通じて1995年度から2001年度にかけての広告出稿一覧表(甲第15号証)及び株式会社東宣を通じて1995年度から2002年度にかけての広告出稿一覧表(甲第16号証)がある。

したがって、引用商標は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するためのものとして、この種商品を取り扱う業界における取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている、周知、著名な商標であるから、これと相紛らわしい本件商標を、その指定商品である「薬剤」について使用をするときには、これらに接する取引者及び需要者をして、その商品が、請求人の業務に係る商品であるかの如く誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれがある。

請求人の上記主張理由の正当性を立証すべく、本件事案とその判断の軌を一にする審決例及び判決例(甲第17号証ないし同第20号証)を挙げる。

上記の事実を勘案するとき、薬剤の商標として「メバ」の音で始まるものは、引用商標の外には存在しないことから、これに、薬剤の商標の接尾語として、我国においては、比較的好まれてありふれて使用されている文字の「ン」を共通にする本件商標は、被請求人の創作に係る商標であるというよりは、むしろ、引用商標の著名性に、明らかに只乗りする意図の下に出願された商標である。

請求人は、このような事実を立証するものとして、平成15年6月30日発行の「読売新聞」(朝刊)に掲載された記事を、甲第21号証として、提出する。

更に、請求人は、請求人の引用商標の周知、著名性を立証すべく、宣伝広告を掲載した具体的な誌名等について、甲第23号証ないし同第32号証を提出する。

以上の証拠方法によって、先に述べたとおり、請求人は、引用商標を、斯界における、最も有効な媒体(雑誌等)を用いて、継続的、かつ、定期的に反復した宣伝広告に努めた結果、引用商標は、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識された周知、著名な商標であるといえる。

3.むすび

してみれば、本件商標は、引用商標と称呼の点において、互いに彼此相紛らわしい類似の商標であるといわなければならず、かつ、本件商標の指定商品である「薬剤」は、引用商標のそれに包含されていること明らかなところであり、また、引用商標が、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」を表示するためのものとして、取引者及び需要者の間において、極めて広く認識されている周知、著名な商標であり、本件商標をその指定商品である「薬剤」について使用をするときは、これらに接する取引者及び需要者をして、その商品が、請求人の取り扱いに係る商品と誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれの充分にある商標であるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものである。

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項(第1号)の規定に基づいて、その登録は、無効とされるべきものである。

第4.被請求人の主張

被請求人は、何ら答弁していない。

第5.当審の判断

請求人より提出された甲第3号証、同第5号証、同第7号証、同第9号証(引用商標の商標公報)、同第4号証、同第6号証、同第8号証、同第10号証(引用商標の商標登録原簿)、同第11号証(請求人の商品「メバロチン」の平成元年から同14年までの売上高及び市場占有率一覧表)、同第12号証(株式会社丹水社の「メバロチン」の平成1年から同14年までの広告掲載金額一覧表)、同第13号証(「メバロチン」の平成1年から同14年までの雑誌出稿金額)、同第14号証ないし同第16号証(「メバロチン」の1995年度から2002年度までの広告出稿一覧表)、同第23号証(「メバロチン」の1989年から2000年までの商品販売促進用のリーフレット)、同第26号証(薬事日報社発行の1990年から2000年までの「医薬品・医療衛生用品価格表」抜粋)、同第27号証(国際商業出版株式会社発行の1990年から1997年までの「国際医薬品情報」抜粋)、同第28号証(国際商業出版株式会社発行の2000年度版ないし2002年度版の「製薬企業の実態と中期展望」抜粋)、同第29号証(株式会社ライフサイエンス・メディカ発行の1990年から2000年までの雑誌「PROGRESS MEDICINE」抜粋)、同第30号証(社団法人日本薬学会発行の1989年から2000年までの「ファルマシア くすりの科学」抜粋)及び同第31号証(日本医師会発行の1990年から2000年までの「日本医師会雑誌」抜粋)によれば、請求人は、「メバロチン」の文字及び「MEVALOTIN」の文字からなる商標を、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和63年5月26日及びに昭和63年8月29日に商標登録していること、また、「MEVALOTIN」の文字と図形を結合してなる商標を、「薬剤」を含む第5類ほか多区分(11区分)にわたる商品を指定商品として、平成4年8月31日に商標登録していることが認められる。

さらに、請求人の業務に係る商品「高脂血症用薬剤」(動脈硬化用薬剤)について「メバロチン」及び「MEVALOTIN」文字からなる商標を付して平成元年の発売以来、単品商品としては相当な費用をかけて宣伝、広告してきたこと、その売上実績は当初(平成1年)の70億円(市場占有率17.5%)から、その売り上げを延ばし、平成11年度には、1288億円(市場占有率53.9%)にも達しており、平成2年度から平成11年度までの高脂血症用剤市場における売上高の第1位を占めていることが認められる(甲第11号証)。

以上の事実を総合すると、引用商標は、平成元年から請求人の取扱に係る商品「高脂血症用薬剤」(動脈硬化用薬剤)を製造、販売して以来、相当な費用をかけて宣伝、広告してきた結果、本件商標の登録出願(平成13年11月13日)時には、既に医薬品業界においては、取引者、需要者の間で、請求人の取扱に係る上記商品の商標として広く認識され、周知・著名な商標になっていたものと認められる。

また、甲第26号証(薬事日報社発行の「医薬品・医療衛生用品価格表」抜粋)によれば、少なくとも平成2年8月発行から平成12年8月発行までの間には、「メバ」(「MEVA」)を語頭に有する薬剤の商標は、請求人が販売する「メバロチン」、「MEVALOTIN」の商標以外に掲載されていないこと、また、語尾の「ン」は、薬剤の商標の接尾語として、我が国において多数使用されている語であることが認められる。

そして、語頭の「メバ」及び「MEVA」は、特定の意味合いを看取させない造語と認められるものである。

そこで、「メバプラチン」の文字よりなる本件商標と請求人の使用する引用商標とを比較するに、両者は、いずれも特定の意味合いを看取させない造語商標と認められるものであって、その語頭部分の「メバ」と語尾部分の「チン」を共通にし、中間部において「ロ」と「プラ」の差異を有するものである。しかして、前者の「ロ」と後者の「ラ」は共にラ行に属する舌音であって、これに「プ」が付されているものの、それぞれを一連に称呼した場合には、共に「メバ」で始まり「チン」で終わる「メバ...チン」の音感、音調が強く印象に残るものであって、加えて、前記で認定したとおり、「メバ」が薬剤の商標の語頭として殆ど使用されていない語(響き)であることから、両商標が薬剤に使用された場合には、その構成中の「メバ...チン」の文字部分が、比較的記憶・印象に残りにくい中間部の文字部分に比べて、強く印象付けられ、自他商品の識別力が強く商標識別の重要な要素を占めるものといわなければならない。

してみれば、被請求人が本件商標をその指定商品である「薬剤」に使用した場合には、前記認定のとおり、これに接する取引者・需要者は、「メバ」及び「チン」の文字部分に着目してこの部分から引用商標を連想又は想起し、該商品が請求人又は請求人と何らかの関係する者に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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