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Trademark Appeal Case

複合商標の称呼と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35178(T2003−35178/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4634593号の指定商品及び指定役務中の第38類「電気通信(放送を除く),電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,衛星放送加入契約の代理,電子計算機端末通信の加入契約の取次ぎ」についての登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4634593号商標(以下「本件商標」という。)は、平成14年1月22日に登録出願、「ビービーホットスポット」及び「BBHOTSPOT」の文字を上下二段に横書きしてなり、第9類、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第40類、第41類、第42類、第43類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年1月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標登録の無効の理由に引用する登録第4539387号商標(以下「引用商標」という。)は、「ホットスポット」の文字を標準文字により表してなり、平成12年11月16日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として同14年1月25日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張の要点

請求人は、結論掲記のとおりの審決を求めると申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証を提出している。

1 請求の理由

(1)請求の利益について

請求人は、登録第4539387号をもって、第38類に属する役務を指定して本件商標と類似する先願商標「ホットスポット」について登録を受け、使用しているものであり、本件審判の請求について利害関係を有するものである。

(2)本件商標について

本件商標は、「ビービーホットスポット」及び「BBHOTSPOT」の文字からなるものであるから、「ビービーホットスポット」と一連に称呼されるほか、次のような理由から、単に「ホットスポット」とも称呼されるものである。

(ア)通信関係分野にあっては、本件商標の構成中の[BB」「ビービー」は、単なるローマ字の2文字というだけでなく、「broadband」の略として一般に使用され、本件商標の商標権者であるビー・ビー・テクノロジーの社名とかNTTの子会社であるNTTブロードバンドイニシアティブが使用しているNTT−BBなどのように、社名やサービス名に使われるものとしてなじまれているものである(甲第3号証)。

本件商標が通信関係の役務について使用された場合、これに接する取引者及び需要者は、その構成中の「ビービー」「BB」の部分を上記のようなものと理解し、後半の「ホットスポット」「HOTSPOT」の特徴によって取引に当たることになることは、取引の経験則から見て自明のことである。

(イ)また、本件商標が全体としてなじまれた一つの語を形成しているものではなく、全体の称呼も冗長であり、後半の「ホットスポット」「HOTSPOT」が語意のある成語であって、請求人が通信関係分野において商標として現に使用しているものでもあるから、本件商標が「ビービー」「BB」の部分を含む一体のものとして把握され、常に「ビービーホットスポット」なる一連の称呼のみによって取引に当たられるということはないというべきである。

(ウ)ちなみに、請求人は、たとえば、「OCNホットスポット」のように表示して使用したり、また、使用許諾に当たっては、たとえば、「@niftyホットスポット」のように、使用者に略称の付記を認めることも行っている(甲第4号証及び同第5号証)。通常行われる使用態様と考える。

この場合、当然ながら、使用者は、「ホットスポット」を請求人の役務の商標として認識し、その役務との関連で使用していることを利用者に判るように表示しているものである。

(エ)かような状態にあるところに、本件商標にあっては、甲第3号証の通信ネットワーク用語ハンドブックにも例示されているビー・ビー・テクノロジーを社名とする被請求人が使用するのであるから、取引者及び需要者が本件商標の構成中の「ビービー」「BB」をその社名の略称的なものと見ることになる可能性が高く、かような点からも、その構成中の「ビービー」「BB」は分離観察されることになることは否定できない。

いずれにしろ、本件商標は、その構成中の「ホットスポット」「HOTSPOT」の部分に相応し、単に「ホットスポット」とも称呼され、また、「人気のあるナイトクラブ」(hot spot)(甲第6号証)などの観念をも生ずるものである。

(3)引用商標について

引用商標は、「ホットスポット」の文字を書してなるものであるから、字音どおり、「ホットスポット」と称呼され、「人気のあるナイトクラブ」などの意味合いを有する「hot spot」に通ずるものである。

(4)本件商標と引用商標の比較

本件商標と引用商標とを比較すると、いずれも、上記のように「ホットスポット」と称呼され、また、「人気のあるナイトクラブ」(hot spot)を観念させるものであるから、称呼及び観念を共通にする類似の商標であることは明白であり、請求に係る指定役務と引用商標の指定役務とが、同一又は類似のものであることも明らかである。

本件商標が「BB」の文字を冠していても、これが、役務についての記号・符号と見られたり、「broadband」の略として、また、社名やサービス名と見られて分離観察される性質のものであることは前述のとおりであるから、これに接する取引者及び需要者が「ホットスポット」「HOTSPOT」の部分を要部として認識するから、引用商標と混同することになることは明白である。

請求人は、引用商標を、いわゆる無線LANサービスについて現実に使用しているが、本件商標が指定役務中の無線LANサービスについて使用された場合、利用者が混同を起こすことになることは必至である。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、請求に係る役務については、請求人の登録に係る引用商標と類似し、指定役務も同一又は類似のものであり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

2 被請求人の答弁に対する弁駁

(1)本件商標について

(ア)本件商標の構成中の「ビービー」「BB」が一般に商品、役務についての記号、符号として使われるローマ字の二字とその読みであるばかりでなく、通信関係分野にあっては、「broadband」の略として使用されているものであること及び構成中の「ホットスポット」「HOTSPOT」は、(「ホットスポット」は引用商標でもあるが、)もともと「人気のあるナイトクラブ」(hot spot)の意味を有する成語であること、そして、本件商標が全体として一つの意味のある語を形成しているものではなく、しかも、「ビービーホットスポット」なる称呼は冗長なものであること等の事情から見れば、本件商標に接する取引者及び需要者は、取引の経験則上これを分離して考察することになるのが、むしろ普通である。

本件商標の構成中の「BB」「ビービー」は、「broadband」の略として一般に使用されるほか、本件商標の商標権者の前社名であるビー・ビー・テクノロジーあるいはNTTの子会社であるNTTブロードバンドイニシアティブのNTT−BBなる社名などに「ビー・ビー」「BB」が広く用いられている。

このことは、本件商標の商標権者の現社名である「ソフトバンクBB株式会社」にあっても同じである。「ビー・ビー」「BB」の文字を社名の前又は後に置いてあり、「BB」を強調して、役務名も「Yahoo!BB」とか「BBフオン」などが使われている(甲第7号証)。

(イ)商標の類否又は識別性の判断の前提として、商標の構成中のローマ字の二字と目される部分がどのように認識されるかについての認定判断が示されている審決は数多くあり、大方は、その部分が分離観察されるものとされている(甲第8号証)。

その理由としては、ローマ字の二字が商品とか役務の種別、等級、規格等を表わす記号、符号として又は氏名、名称の略称として普通に用いられることが挙げられる。

本件もこれらと同様に解されるべきものである。

(2)既登録例について

(ア)被請求人は、既登録例を数多く挙げ、本件商標の登録の正当性を述べているが、挙げられた併存登録の例を見ると、後願に当たる商標は、ほとんどが本件商標の商標権者(被請求人)の出願に係るものであり、したがって、被請求人は、他人の先願既登録商標に片っ端から「BB」「ビービー」を冠して登録を得ているものであることが分かる。

言い換えれば、被請求人は、ここに挙げられている商標に関する限り、他人の商標との差別化のための努力は払わないで、他人の商標登録を知ってあるいは当然に知り得たのに、他人の商標そのものの識別性を借りて安易な商標の採択をしているものといわざるを得ない。

自他商品が識別できる商標を採択し登録することにより、使用者の権利を保護し、取引の秩序を保とうとしている商標法の基本的理念を無視した出願であり、常識にも反する登録であるとしかいいようがない。

そうであることが、明白であるにもかかわらず、たまたま登録されたかのような例を挙げて、本件商標の登録が正当なものであるかのように主張される態度も理解し難いところである。

役務、特に情報を扱う業務分野の役務の商標にあっては、物販における商標の場合のように、商品による確認とともに識別するような術がないことから、自他識別のためにはそれに使用する商標が重要な役割を果たすものであることは、いまさらいうまでもないことであり、そのことは被請求人自体が経験上も当然に把握されているものであろう。

かような商標が登録に名をかりて使用されたのでは、折角の登録制度は崩壊し、信頼性を失うことになることは必定である。需要者、利用者の混乱も避けられないので取引の秩序も保てない。

一連に称呼観念されるから紛れることはないなどというような、通り一遍の議論とか文章によって片付けられる性質のものではない。

(イ)本件商標は、前述のように、引用商標に「BB」の読みに相応する「ビービー」の文字を付加しただけのものであり、本件商標に接する需要者、利用者は、そのことを容易に認識するから、現実に本件商標と引用商標とが、たとえば「無線LAN」と称される役務について同じ場所で使われ又は同じ媒体において広告されるようなことを考えて見れば、需要者、利用者が両者の出所を混同するおそれがあることは、くり返し述べるとおりである。

本件商標と引用商標とが類似するものであることは明らかであり、前掲併存登録の例があるから本件商標の登録に正当性があるかのような被請求人の主張も理由がない。

第4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第25号証を提出している。

本件商標は、これに接する需要者・取引者に一連の造語商標であると直観されるものであり、引用商標とは称呼上、観念上も明らかに非類似の商標である。

本件商標は、同書体の文字にて同大、同色、同間隔に調和よく一連の態様で二段に表示されてなる構成である。よって、特に「ビービー」「BB」と「ホットスポット」「HOTSPOT」とに分離して、後半部「ホットスポット」「HOTSPOT」の文字部分のみを分離して考察しなければならない格別の事由が存しているものではない。その構成よりすれば、一連不可分に「ビービーホットスポット」と称呼される造語と認識されるものである。「ビービーホットスポット」と一連に称呼して特段冗長でもなく、部分的に軽重もない。

また、本件商標は一連の造語商標と認識されるものであるから、何ら明確な観念も生じ得ないものである。

請求人は、本件商標構成中の「BB」は、これが役務についての記号・符号と見られたり、「broadband」の略として分離観察される性質のものであると主張するが、上述の通り一連の態様に書された本件商標の構成よりすれば、わざわざ「ビービー」「BB」の文字部分を分離観察するのは不自然であって、本件商標に接する需要者・取引者が当該文字部分は記号・符号であるとか、「broadband」の略であるから識別力を有さない文字部分であると理解して、単に「ホットスポット」と称呼するとは到底考えられない。

特に、「ビービー」「BB」の文字部分は商標構成中語頭部に位置するものであるところ、ある商標を略称する場合には語頭部を以て略称されるのが通常であるにもかかわらず、当該文字部分を捨象し、残りの文字部分に照応して単に「ホットスポット」と略称されるとするのは取引の通念に照らしても不適当であるといわざるを得ない。

上記被請求人の主張に客観性を証するものとして、第38類に属する役務を指定役務とする併存登録例が存する(乙第1号証ないし同第25号証)。これらの併存例は本件と事例を同一視しうるものであると思料する。

上記の併存例は、仮に、上段に掲げた商標の構成中語頭部の「BB」の文字部分を捨象した場合には、下段に掲げた商標に類似の商標であるとしてその登録は認められなかったはずである。にもかかわらずこれらの商標の登録が認められているのは、これらの商標は全て「BB○○」全体で一連の造語商標であると認定されたからに他ならない。本件商標のみこれらの併存例と異なった判断をされるべき合理的な理由は全く見あたらない。

したがって、本件商標は引用商標とは称呼上「ビービー」の音の有無により明確に聴別されるものである。また、観念上は本件商標は一連の造語商標と認識されるものであるから、ここから明確な観念は生じ得ず、よって引用商標と対比することはできない。

結局、本件商標は引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断

本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記のとおりの構成からなるところ、全体として既成の観念を有する語として一般に親しまれたものともいえず、また、全体から生ずる称呼も比較的冗長である。そして、その構成中の「HOTSPOT」の文字は、「紛争地帯、人気のあるナイトクラブ」等の意味を有する英語(甲第6号証)であり、かつ、「ホットスポット」の文字はその表音文字といえるものであるから、単なる欧文字二文字とその表音文字「BB」「ビービー」とは、軽重の差があるといわなければならないうえ、甲第3号証によれば、「BB」の文字は、通信関係の分野において、ブロードバンド(braodband)の略として知られ、「Yahoo! BB」、テレビ東京ブロードバンド(TX-BB)、NTTブロードバンドイニシアティブ(NTT-BB)等のように社名やサービス名に使われていることの多い用語であることが認められ、それ自体では自他役務の識別力がないか極めて弱いものとみるのが相当であり、このことは、「BB」文字の表音文字として認められる「ビービー」についても同様である。

そうとすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、通信関係の分野において、「ビービー」「BB」の文字部分と「ホットスポット」「HOTSPOT」の文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握、理解されるものともいい難く、寧ろ、「ビービー」「BB」の文字が前述のとおり看取される場合も決して少なくことを考慮すれば、該文字部分を捨象し、成語である「HOTSPOT」及び「ホットスポット」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も十分あり得るものというべきである。

してみれば、本件商標は、書された文字に相応して「ビービーホットスポット」の称呼の他、単に「ホットスポット」の称呼及び「紛争地帯、人気のあるナイトクラブ」の観念をも生ずるものといわなければならない。

他方、引用商標は、「ホットスポット」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成文字に相応して、「ホットスポット」の称呼及び「紛争地帯、人気のあるナイトクラブ」の観念を生ずること明らかである。

したがって、本件商標と引用商標とは、「ホットスポット」(紛争地帯、人気のあるナイトクラブ)の称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務中の第38類「電気通信(放送を除く。),電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,衛星放送加入契約の代理,電子計算機端末通信の加入契約の取次ぎ」は、引用商標の指定役務と同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により、その指定商品及び指定役務中の結論掲記の役務についての登録を無効にすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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