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Trademark Appeal Case

立体商標の容器形状識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第16579号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については、平成10年6月24日付けの手続補正書により、第2類「塗料、染料、顔料、印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)、謄写版用インキ、絵の具、塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉、塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉」に補正されているものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、商品及び役務の区分第2類に係る指定商品との関係からすれば、それらの商品の包装(収納容器)の一形態を示す立体的形状を認識させるに止まるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。

立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

(2)これを本願についてみれば、本願商標は、指定商品との関係においてみるに、複写機や印刷機において当該機器に装着して使用するトナーや印刷インキの収納容器の形状の一形態を表したものとみられるものであるから、これをその指定商品中「トナー、印刷インキ」について使用しても、取引者、需要者は、単にトナー、印刷インキの収納容器を表したものと認識するものと認められ、結局、商品の包装(収納容器)の形状を表示するにすぎないものというべきである。

(3)請求人は、本願商標の筒型自体が基本的形状だとしても、筒型の上方に構成された多数溝を施した部分に着目すると、その構成は明らかに新規に技巧を加えた部分であり、全体として捉えても特殊な態様であって、取引者、需要者はここの部分に着目して取引を行うのであり、識別機能を十分に果たしているものである旨主張する。

しかしながら、商品の包装の形状は、本来的には収納容器としての機能、即ち、本願にあっては、本願商標に係る立体的形状が表す容器は、それに一定量のトナーや印刷インキを収納し、複写機等の機器に装着して、当該機器本体内にトナーや印刷インキを供給する機能を果たすための目的で採択されたものであることは、その形状からみて明らかであるということができる。

しかして、本願商標に係るトナー、印刷インキの包装(収納容器)の形状が他人によるこの種製品についての立体商標出願の態様や意匠権の一例における形状(請求人提出の資料1及び同2)とは異なる形状を示していても、それは自己の取扱いに係る複写機等の機器(型番)に合わせて採用されたものであって、その形状が収納容器としての機能に関わるものである以上は、これに接する取引者、需要者は、当該商品の包装(収納容器)の形状の範囲のものと認識するにすぎないとみられるものであり、請求人の主張する新規な特徴を有するという点をもって、直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認め難いところである。

また、商品又は商品の包装の形状については、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度の導入に当たっては、商標法第4条第1項第18号(商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状)等が設けられ、前掲工業所有権審議会答申でも、「...、指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること...」としている(前掲答申P31▲5▼参照)。

そして、商品又は商品の包装の形状であっても、例えば、その形状について強力な宣伝等が伴って使用された場合等、使用により自他商品の識別力を取得する場合があり、そのときに識別力を認めて商標登録することは前示のとおりであるところ、本願商標については、この点について何ら主張、立証するところがない。

(4)してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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