Trademark Appeal Case
「POLO」の著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第19759号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引く手、靴びょう、靴保護金具を除く)、靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引く手、靴びょう、靴保護金具、げた、草履類、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(乗馬靴を除く)、乗馬靴」を指定商品として、平成5年9年29日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン コンパニー』が商品『被服、ネクタイ』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『ポロプレーヤー図形』及び『POLO』の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
国内及び外国の辞書、事典を調査したところ、全て「POLO」は「スポーツ名」としか記載されておらず、アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」の事は一切記載されていない。
「POLO」はペルシャで始まりイギリスで発達した「スポーツ」に過ぎず、「スポーツ」として「POLO」を知らない日本人はいない程である。
そのため、「POLO」は「テニス」「ゴルフ」と同様に「スポーツ名」であり、「一般用語」として認められるべきである。
「POLO」又は「POLO RALPH LAUREN」が「ラルフ・ローレン」のものであるとしても、「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけるべきではない。
4 当審の判断
(1)「POLO」の周知、著名性について検討する。
(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」の各商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980、12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」、(株)東京企画平成7年1月発行「世界のブランド大全集’95」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」に、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
他にこれを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くても本願出願前までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されて周知、著名な商標に至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、別紙に表示するとおり、文字と図形との組み合わせよりなるところ、その構成中の文字部分は、「ASCOT PARK POLO CLUB」の文字よりなり、そして、その構成中の図形部分は、上段を欠いた二重楕円形中にマレットを持つ騎手が馬に乗っている状態を描いてなるものである。
そして、本願商標中の文字部分は、「ASCOT」、「PARK」、「POLO」、「CLUB」の各文字よりなるところ、各文字はそれぞれ既成の意味を有する語である。したがって、「POLO」の文字部分が1つ語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。また、本願商標中の図形部分にあって、マレットを持つ騎手が馬に乗っている状態部分は、上段を欠いた二重楕円形に比して、強く印象付けられるものであって、馬にまたがるポロ競技のプレーヤーを描いてなると容易に認識させるものである。
そうとすれば、本願商標は、その構成中に、馬にまたがるポロ競技のプレーヤーを認識させる図形部分と「POLO」の文字部分とを有してなるものと理解、把握される場合も少なくないというのが相当である。
してみると、本願商標をその指定商品に使用する場合には、前記事情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「馬にまたがるポロ競技のプレーヤーを認識させる図形部分」及び「POLO」の文字部分に注目して、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして周知著名商標である引用商標を容易に連想、想起するものと認められ、本願商標は、ラルフ・ローレン(原審認定のザポロ/ローレン コンパニーはラルフ・ローレンが関係する会社で両者は同一視できるものである。)又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
請求人は、「POLO」の文字は、国内及び外国の辞書、事典には「スポーツ名」としか記載はなく、アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」とは記載がないから、本願商標は登録すべきである旨主張し、さらに、平成11年10月29日付け審判請求理由補充書をもって、「POLO」商標は「ラルフ・ローレン」のものではなく、日本法人「ポロ・ビーシーエス株式会社」の権利である旨の意見広告が「日経流通新聞(平成11年10月28日現在)」に掲載されているから、特許庁の見解は正しくないと主張しているが、係るこれらの主張は前記認定判断を左右するものではないから、請求人の主張は採用することができない。
5 むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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