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Trademark Appeal Case

「和の伝統」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−23119(T2001−23119/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成12年12月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、普通に用いられる程度の筆記体風の文字で『和の伝統』と書かれたものであるところ、このうち『和』は昔から日本を指称する語として用いられており、『伝統』は一般に、古くからの長い歴史によって培われてきた方法、芸術等として把握されている語であるから、本願商標の構成文字全体としては『日本の古くからの伝統』という程度の意味合いを認識させるにとどまるものといえ、このような文字からなる本願商標を、その指定商品中、例えば、『寝巻き』『和服』『足袋』『皮草履』『剣道衣』等に使用する場合、これに接する需要者は、その商品が、単に、『日本古来からの伝統的な商品』という意味合いを理解するにすぎず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記のとおり、やや崩した書体で「和の伝統」と書してなるところ、該文字は、普通に用いられる方法の域を脱しない程度の態様で表したものといい得るものであり、また、構成中の「和」の漢字は「日本、日本風」等の意味を、構成中の「伝統」の漢字は、「ある社会が長い歴史を通じて伝えてきた風俗、芸術、慣習など」の意味を、それぞれ有するものとして広く一般に親しまれているものである。

ところで、本願指定商品を取り扱う業界においては、伝統的技術または技法によって製造されることなどを要件とする伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づき、通商産業大臣(当時)が指定した伝統的工芸品である久米島紬、久留米絣、結城紬、十日町絣、加賀友禅、京友禅など古くから用いられている技術、技法により製作された織物からなる和服などが普通に取引されている実情にあることからすれば、前記した意味を有する「和」と「伝統」の各文字を助詞の「の」を介して表してなる本願商標に接する取引者、需要者は、「日本の昔から受け継がれてきた技術、技法」の意味合いを容易に理解、把握するというのが相当である。

このことは、「和の伝統」について、株式会社ジー・サーチの提供に係る新聞記事情報データベースをみると、以下のような記事があることからも十分に裏付けられるところである。

(1)「和座百衆ショップ&ギャラリー 和の伝統を現代風に(寄り道雑貨店)」の見出しのもと、「伝統的な素材や技術を現代風に使った商品が特徴。例えば売れ筋の京絞りのスカーフ(二千―二万六千円)は従来、着物など和装の染色手法だった絞りで染めている。」との記載。(2003年10月25日 日経プラスワン、5ページ)

(2)「大島紬イブニングドレスに/桂由美さん、パリ・コレ発表」の見出しのもと、「同協会の上水流溜専務理事は『華やかさと和の伝統を兼ね備えたドレス。森英恵さんにも○○年パリ・コレで大島紬を活用してもらった。素材をうまく加工することで大島紬の違った良さもPRできる』と期待している。」との記載。(2003年7月30日 南日本新聞 朝刊)

(3)「菱屋カレンブロッソ 和の伝統生かし販路拡大、海外にも広がり」の見出しのもと、「中心商品は、意匠登録済のシマウマ柄『小馬彩々』をプリントした本革バッグと、和装技術で染めた帆布に柿渋(かきしぶ)をコーティングした『柿渋布』使いのバッグ、サンダル。泥染めの牛革も来年には商品化する。(中略)新商品のゆかたは小馬彩々を使ったもので、二万九千八百円の予定。振袖企画も計画しており、『和装の良さを次の代につなぐためにも、呉服を手掛けていきたい』としている。」との記載。(2001年12月14日 繊研新聞 2面)

(4)「みなぎる伝統の力(16)104年の歴史をもつ・吉沢織物(新潟県)」の見出しのもと、「友禅へのこだわり、正統的な古典の本格派友禅の開発と創作に提案を続けている。それが多くの取引先から高い評価を受け今日を築いている。今後ともこうした和の伝統を生かした着物作りと、低迷する産地のリーダー役として大いに期待しています。(新潟)」との記載。(2001年8月3日 ニッキン 9頁)

(5)「京都ヴォーグ2001 和の伝統に若手のクリエーション」の見出しのもと、「和の伝統を現代に生かす若手デザイナーのクリエーション。京都ヴォーグ二〇〇一(ファッション京都推進協議会主催)がこのほど京都の古寺永観堂で開かれ、伝統素材を使って京都らしさを残しながら、現代風に生かした作品が紹介された。ユカリ・フジモトは白で統一したきものにフリル調の帯、あずき色の打掛に色とりどりの小さな菊花をあしらった。ヤマダ・テイラーズ=写真=は、上から下まで洋と和をざん新に組み合わせた。白地に紫の網目ストライプ、濃淡の効いた藍をのせたドレスに、チュール笠を合わせた。今風の厚底でこなした超ハイヒールのげたが印象的。」との記載。(2001年3月22日 繊研新聞 14面)

(6)「<ワイド&ずーむ>古布巡礼/ねむる着物に新たな息吹/神戸の主婦ら、和の伝統、洋服に/明石で19日にファッションショー/(写真付き)」の見出しのもと、「京都や加賀の友禅、茨城の結城つむぎ、兵庫なら丹波布―。全国各地の伝統的な布を使ったリフォーム服のファッションショーが十九日、明石市内で開かれる。題して『古布巡礼』。神戸市西区の主婦グループが、デザインと製作を手掛ける。何代にも受け継がれてきた着物の色、風合い。間近に見て、その良さを見直してほしいという。」との記載。(2000年11月11日 神戸新聞 夕刊 1頁)

(7)「『生活=ファッション話題』洋服のように楽しむ時代 デザイナーズ着物の人気 最近のコレクションから」の見出しのもと、「清新なエレガンスと端正な服作りで定評あるベテランデザイナー、渡辺雪三郎さんが、着物を手掛けて七周年。今年も、淡く上品な草色をベースに小花に貝殻文様をあしらった訪問着、気品のあるサーモンピンクに鶴(つる)と花紋文様を取り合わせた振り袖(そで)など新鮮な感覚を見せる新作着物を展示会で発表した。『洋服と同じように美しさを楽しむ、開かれた着物を僕は常に心掛けてきた。それでいて、使う生地や作り方といった和の伝統は大事にしていきたい』と渡辺さん。」との記載。(1994年6月10日 共同通信)

そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中「和服」等に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「日本の昔から受け継がれてきた技術、技法によるもの」の意味合いを容易に理解、把握するに止まり、商品の出所を表示する標識とは認識し得ないものとみるのが相当であるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきであり、かつ、これを前記した商品以外の商品に使用した場合には、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

なお、請求人は、他の登録例等を挙げて、本願商標は登録されるべきである旨主張しているが、該登録例等は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標については上記認定のとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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