Trademark Appeal Case
フランス語結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第12233号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「CHOCOLAT DE MACADAMIA」の欧文字と「ショコラ・ド・マカダミア」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成10年1月30日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『マカダミアの実の入ったチョコレート』の意を認識させる『CHOCOLAT DE MACADAMIA』及び『ショコラ・ド・マカダミア』の文字を普通に用いられる方法で二段に書してなるものであるから、これをその指定商品中『マカダミアの実入りチョコレート』に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張(要旨)
本願商標は、外観上まとまりよく構成されており、一連に称呼しても何ら冗長でないことから、「CHOCOLAT/ショコラ」の部分と「MACADAMIA/マカダミア」の部分の語義を逐一取り上げて、「マカダミアの実入りのチョコレート」の意を認識させるものではない。また、「マカダミアの実」は「マカダミア・ナッツ」と称され、これをミルクチョコレートに絡めたものを「マカダミア・ナッツ・チョコレート」、クッキーに用いたものを「マカダミア・クッキー」と称するなど、英語で表記されるのが一般的であるのに対し、本願商標は、「DE/ド」の語を介して構成され、フランス語表記にされている。一般に、「洋菓子」の商品表示では、英語あるいは片仮名表記とフランス語表記とでは、例えば「チョコレートクリーム」の語が「クレーム・オー・ショコラ」の語と互換的に用いられるとはいえないように、英語表記とフランス語表記とでは需要者、取引者に対して異なる印象を与えるものである。
そうすると、本願商標に接する需要者、取引者は、「CHOCOLAT /ショコラ」及び「MACADAMIA/マカダミア」の各語義は理解しても、「ショコラドマカダミア」と一連に称呼し、かつ、我が国に一般に普及している「マカダミア・ナッツチョコ」のような表示が与える印象とは明らかに異なる印象を受け、この結果、取引の実際において、直ちに商品の品質を表示すると認識するものとは到底考えられない。
食品分野においては、「Mieux Creme Chocolat/ミュクレ ショコラ」(登録第4050513号商標)、「グランショコラ/Grand chocolat」(登録第3042453号商標)、「クレーム・デ・ココ/Creme de Coco」(登録第3318016号商標)等が、それぞれ自他商品識別力を有するとして登録されている(甲第4号証ないし甲第9号証)。
また、請求人は、本願商標を使用する商品を本格的ギフト商品であるアルティザン・アンテノールシリーズの1つとして、全国のギフト専門店、有名百貨店にて平成3年11月以降、継続して販売しており、雑誌等を通じて盛んに取り上げられた結果(甲第10号証ないし甲第16号証)、本願商標は、需要者の間で広く認識されるに至っているものである。
したがって、本願商標は、需要者、取引者の通常有する注意力をもってすれば、全体として何ら特定の観念を生じさせない造語と認識されるばかりでなく、出願人の現実の使用により、充分に自他商品識別力を有する商標であるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。
4 当審の判断
本願商標は、前記構成のとおり、「CHOCOLAT DE MACADAMIA」の欧文字と「ショコラ・ド・マカダミア」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、その構成中の「CHOCOLAT」の文字部分は「チョコレート」を意味するフランス語であり、同じく「ショコラ」の文字部分は「チョコレート」を意味する親しまれている外来語である(「広辞苑 第5版」株式会社岩波書店発行、「日本語になった外国語辞典」株式会社集英社発行 参照)。また、「MACADAMIA/マカダミア」の文字部分は、例えば、株式会社研究社発行の新英和大辞典の「macadamia」の項によれば、「マカダミアナッツ」の意味をも表すものであり、「マカダミアナッツ」が製菓用としても広く使われているものであることは、請求人の提出に係る甲第1号証にも記載されているところであって、これらの語自体が菓子業界において普通に使用されている事実があることについては、請求人も争ってはいない。
そして、本願商標は、これらの両語をフランス語の前置詞である「DE/ド」の語をもって結合されているところ、「DE/ド」の前置詞は「(材料)〜の、〜でできた、(内容)〜のはいった、(所有、場所、行為者)〜の」等を表すときに用いられる前置詞であって、「DE/ド」の前置詞で結合された語は、例えば、菓子の名称として「Langue de Chat/ラング・ド・シャ」が「猫の舌に似た薄く細長いクッキー」を表すもの(「パン・洋菓子事典」パン・洋菓子辞典編纂会 昭和55年9月10日初版発行 760頁参照)として知られているばかりでなく、他の分野においても、自転車ロードレースの世界最高峰である四大ツールの一つである「le Tour de France/ツール・ド・フランス」やフランス料理店として知られている「MAXIM’S DE PARIS/マキシム・ド・パリ」にみられるように、我が国においても決して馴染みのない用例とはいえない。
そうとすれば、「CHOCOLAT DE MACADAMIA/ショコラ・ド・マカダミア」の文字からなる本願商標からは、「マカダミアの実の入ったチョコレート」の意を容易に理解させるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の品質を表示するにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものというのが相当である。
この点について、請求人は、本願商標を使用する商品を全国のギフト専門店、有名百貨店にて継続して販売しており、雑誌等を通じて盛んに取り上げられた結果、本願商標は需要者の間で広く認識されるに至っているものである旨主張している。
しかしながら、甲第11号証(アルティザン・アンテノールショップのパンフレット)によれば、「ショコラ・ド・マカダミア」について、「マカダミアナッツをのせて焼き上げたサブレを、クーベルチュールで包みました。サブレは、サクサクとして、口の中でとけていく独特の感触をお楽しみいただければ・・・と、限界まで小麦粉を少なくした特別のもの。サブレだけそのまま召し上がっても、とてもおいしい、ほのかな味わいです。そのうえに上品なミルクチョコレートの風味、そしてマカダミアナッツの歯ざわりがミックスされた豊かな味わいです。」と説明されており、しかも、「ラング・ド・シャ・ショコラ」等の菓子の名称と認められる表示の商品と横並びの形で説明されている。このような記載内容及び記載の仕方からみれば、「CHOCOLAT DE MACADAMIA/ショコラ・ド・マカダミア」の表示は、まさに、その商品の記述的な内容を端的に表したに他ならないものというべきである。
また、甲第12号証ないし甲第16号証の雑誌及びパンフレットには、確かに、請求人グループの各地店舗の紹介記事が掲載されていることは認められるが、本願商標である「CHOCOLAT DE MACADAMIA/ショコラ・ド・マカダミア」についての記事を見出すことはできない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「マカダミアの実入りチョコレート」に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものであり、また、上記商品以外の商品に使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
なお、請求人は、登録例を挙げて、本願商標も識別機能を有する商標である旨主張しているが、それらの登録例と本件とは事案を異にし、本件については、前示のとおり判断するを相当とするから、請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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