Trademark Appeal Case
「生活文化」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−16623(T2000−16623/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「生活文化アセスメント」の文字(標準文字)を書してなり、第42類「地域土木事業の計画策定時に,事業の地域への訴求効果,生産性を評価する。」を指定役務として、平成10年3月20日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、平成12年6月29日の手続補正書により「環境影響評価法に基づき自然環境アセスメントが義務づけられる又は必要と判断される公共事業や民間の大規模開発などの、地域開発計画に関する研究・調査・企画」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『生活文化アセスメント』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、これよりは『生活・文化について評価し、査定します』程度の意味合いを理解させるに止まるから、これをその指定役務について使用するも、これに接する者が何人の業務に係る役務であるかを認識することのできない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)構成中前半の「生活文化」について
本願商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、その構成中前半の「生活文化」の文字は、「世の中で暮してゆくこと。また、そのてだて。」を意味する「生活」の文字と、「世の中が開けて生活が便利になること。」を意味する「文化」の文字(いずれも、1998(平成10)年11月1日 第5版 株式会社岩波書店発行「広辞苑」)とを結合し表示したものと認められる。しかして、前記両文字を一体として表した「生活文化」の文字よりは、「人々の生活の仕方、その便利さ」程度の意味合いを認識、把握させるというのが相当である。
そして、「生活文化」の文字は、かかる意味合いを表す語として一般に広く用いられているとともに、地方自治体や大学等においては、その業務、教育の内容を端的に示すため、組織名や学校名、学部名の一部として普通に用いられていることは、以下のインターネットの情報よりも確認することができる。
(ア)(http://www.kao.co.jp/LIFEI/top.html)
花王生活文化研究所(株式会社花王)の、「衣類や台所、住まいのお手入れの基本アドバイス、おむつと洗剤について等。」と題して、「生活文化研究」との記載。
(イ)(http://www.kfo.or.jp/)
神戸ファッション協会の、「神戸ファッションのイメージアップと生活文化の向上、地域の活性化の目的で設立。」、「生活文化産業創造交流サロン 本事業は、“地場産業の活力創生”の支援を主旨・目的に、異業種・異分野の企業や人材の交流と連携を図り、新たなビジネスチャンスの創出につなげるマッチングを図る場として活用いただこうというものです。是非とも優れた技術・技能を持つ意欲ある地場産業中小企業者の積極的なご参加をお待ちしております。」との記載。
(ウ)(http://www.japanfashion.or.jp/)
財団法人日本ファッション協会の、「(財)日本ファッション協会は単に衣服にとどまることなく、食、住、サービスを含む生活文化全般の向上発展への寄与を目的として設立された団体です。当ウェブサイトではその活動報告を随時ご紹介しております。」との記載。
(エ)(http://www.kyobunka.or.jp/phot/)
財団法人京都市文化観光資源保護財団の、「映像に見る近代京都の生活文化−幕末から昭和の高度経済成長期までの生活を古写真で紹介。」との記載。
(オ)(http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/)
東京都生活文化局は、「このページは東京都生活文化局が所管する事業を紹介するホームページです。」と紹介し、「生活文化局」との行政組織名を表示。
(カ)(http://campus.jissen.ac.jp/seibun/ci/dalomk/)
実践女子大学が、生活文化学科を紹介。「生活文化学科はこんな学科です。21世紀の『新しい人間・新しい社会』を考える上で、私たちは『生活文化』をキーワードとします。豊かな社会に生きる人々は、衣・食・住に『遊』を加えた生活に個性を求めるようになりますが、それこそが『生活文化』の背景となります。産業は、そうした人々の求めに応じて、新しい商品開発の必要に迫られ、そのために各種のプロデュース (制作) 能力をもった人材を求めるようになってきました。私たちの目的は、こうした時代の要請に対応できる、新しいプロデューサーとしての社会人・産業人を育成することにあります。そのために私たちは、『生活文化』というキーワードを共有し、互いに融合し合う『心理・社会』『映像制作・マスメディア/造形デザイン』『健康・福祉』という3つの専門領域を設定しました。」との記載。
(2)構成中後半の「アセスメント」について
一方、構成中後半の「アセスメント」の文字は、「評価、査定」(2002(平成14)年11月1日 株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典 第2版」)を意味する語であり、そして、該文字は他にも、評価、査定の対象を表す語を冠し、例えば、よく知られた「環境アセスメント」や、また、「交通アセスメント」(「現代用語の基礎知識」2003年版)、「びわこ空港経済アセスメント」(http://www.pref.shiga.jp/project/kuko/)のように普通に用いられているところである。
(3)本願商標「生活文化アセスメント」について
そこで、上記した「生活文化」と「アセスメント」の両文字の意味合い及びその用例等を踏まえ、これを結合した本願商標「生活文化アセスメント」の文字についてみるに、これよりは、全体として「人々の生活の仕方、その便利さ等に関してのアセスメント(評価、査定)」といった意味合いを容易に認識、理解させるものである。
ところで、請求人は、その指定役務を手続補正書により、「環境影響評価法に基づき自然環境アセスメントが義務づけられる又は必要と判断される公共事業や民間の大規模開発などの、地域開発計画に関する研究・調査・企画」と補正するとともに、意見書において、「本願商標は、地域開発計画では今まで扱われていなかった『生活の豊かさや価値観』と『消費文化』の領域を、流通・経済のアナリトが調査・分析・評価する新たな概念といえるから、指定役務を補正後に示した内容に限定する限り、商標登録に値する」旨主張している。
上記の請求人の主張するところは、要するに、請求人の役務の対象としているアセスメント(調査・分析・評価)は、生活の豊かさや価値観、消費文化の領域についてのものであって、このようなアセスメントは、従来、地域開発計画では行われていなかった新たな概念のものであるから、本願商標は、これをその補正後の指定役務について使用する限り、商標登録を受け得るというにある。
しかるに、「商標」とは、自他役務(商品)を識別するための識別標識であるから、商標登録を受けることのできる「商標」には、自他役務(商品)の識別力、すなわち自己の業務に係る役務(商品)と他人の業務に係る役務(商品)とを区別するための識別標識としての機能(適格性)が備わっていることが必要とされるものであるところ、商標が、自他役務(商品)の識別標識として機能するものであるか否かは、当該商標をその役務(商品)について使用したとき、それに接する取引者、需要者がその商標をもって何人かの業務に係る役務(商品)であるかを認識することができるか否かによって決せられるものである。
請求人は、本件について、請求人の提供するアセスメントは、従来、地域開発計画では行われていなかった、これまでにない、新たな概念のものであるから、これを補正後の指定役務について使用するときには商標登録され得ると主張しているが、当該アセスメントが新たなものであることと、それに使用される本願商標が自他役務の識別標識として機能するか否かとは別の問題というほかはなく、たとえ請求人の提供するアセスメントがその主張のとおりのものであるとしても、そのことをもって、直ちに、本願商標が商標登録を受け得る自他役務の識別標識としての適格性を有しているものということはできない。
しかして、本願商標よりは、その構成文字より「人々の生活の仕方、その便利さ等に関してのアセスメント(評価、査定)」といった意味合いを認識させること上記のとおりであるから、これをその指定役務について使用した場合、これよりは当該役務で提供されるアセスメントが係る側面(〔地域開発が行われるに際しての〕人々の生活の仕方、その便利さ等)から行われる評価、査定であることを端的に表したものと理解させるに止まり、その構成において提供される役務の出所を識別できるような格別な特徴を具有しているものとは認められないから、そうである以上、これをもって自他役務の識別標識としては機能し得ず、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、何人の業務に係る役務であるかを認識することのできない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号の規定に該当するとしてその出願を拒絶した原査定は、妥当であるから、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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