Trademark Appeal Case
指定商品の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第722号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「JOLT」の欧文字を横書きしてなり、第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む),その他の電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,その他の遊園地用機械器具,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電気計算機,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、1996年5月9日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成8年10月21日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品は、平成10年6月29日付けの手続補正書をもって「分散処理用の電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記録媒体」に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において本願の拒絶の理由に引用した登録第2612710号商標(以下「引用商標」という。)は、「JOLT」の欧文字を横書きしてなり、第11類「コンピューター用プリンターおよびその附属品」を指定商品として、平成3年5月15日に登録出願され、同5年12月24日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
本願商標と引用商標は、前記したとおり、共に「JOLT」の欧文字よりなるから、両者は「ジョルト」の称呼を同じくする類似の商標である。
しかしながら、請求人は、本願商標の補正後の指定商品と引用商標の指定商品は、非類似の商品であると主張しているので、以下、本願商標の補正後の指定商品(以下「本件商品」という。)と引用商標の指定商品(以下「引用商品」という。)との類否について検討する。
商標法第4条第1項第11号における商品の類否を判断するに際しては、例えば、イ)生産部門が一致するかどうか、ロ)販売部門が一致するかどうか、ハ)原材料及び品質が一致するかどうか、ニ)用途が一致するかどうか、ホ)需要者の範囲が一致するかどうか、ヘ)完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して具体的に判断すべきものと解するのが相当である。
そこで、これを本件についてみるに、まず、引用商品である「コンピューター用プリンターおよびその附属品」とは、コンピュータの代表的な出力装置の一つであり、電子の作用を応用した機械器具であって、電子応用機械器具及びその附属品といえるものである。これら引用商品に属する機械器具類は、いわゆる、電子機器メーカーで製造される場合が多く、その製造メーカーの販売部門あるいは小売店等の販売場所を通じて、市場一般の流通に供されるものである。
これに対して、本件商品の「分散処理用の電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記録媒体」とは、コンピュータに命令を与えるために、プログラミング言語を用いて処理の手順を既述したプログラムを格納した電子回路、磁気ディスク等の記録媒体であり、本件商品は、その多くが電子機器メーカーやコンピュータプログラム開発会社等で開発、製造されるものと認められ、その製造メーカーの販売部門あるいは小売店等の販売場所を通じて、市場一般の流通に供されるものと認められる。
してみれば、本件商品と引用商品の製造・販売業者は共通することも多く、また、その用途も共に電子計算機に関わる商品(周辺機器)であり、かつ、本件商品と引用商品とは需要者の範囲も一致することが多いものとみるのが相当である。
この点に関し、請求人は、本件商品と引用商品とを具体的に比較すると、本件商品の性質は、いわゆるミドルウェア(middleware)であって、クライアント・サーバ型の分散環境においてアプリケーションソフトを開発する際に使用される特殊なコンピュータ・プログラムである。そして、本件商品の使用者(ユーザー)は、ソフトウェアの開発会社又は大手の金融機関やNTTのような通信会社のソフトウエア開発部門であり、一般の会社や消費者が直接本件商品を購入したり使用したりすることはあり得ないもので、本件商品の購入者、使用者は、高度な専門的知識を有するコンピュータの専門会社、専門家である。これに対し、引用商品は、一般の会社や消費者が直接使用するものであり、テレビ広告等を通じて販促がなされ、家電と同様に販売されるありふれた電気製品であって、流通経路も一般電気店やパソコンショップで使用者に直接販売されるものである旨主張している。
しかしながら、本件商品が、請求人(出願人)が述べる如く、クライアント・サーバ型の分散環境においてアプリケーションソフトを開発する際に使用される特殊なコンピュータ・プログラムであり、「ミドルウェア」(middleware)と呼ばれる分野に属するものであるとしても、それ自体としては、基本ソフトウェア(OS)とアプリケーション・ソフトウェアの中間に位置するコンピュータ・プログラムの一つであり、そして、本件商品がコンピュータ・プログラムであってみれば、引用商品の「コンピュータ用プリンター」とは電子計算機を介して常に一体的に使用の用に供される商品であることは明らかであるから、たとえ本件商品の購入者、使用者が、高度な専門的知識を有するコンピュータの専門会社、専門家であり、また、パソコンショップのような店頭での販売はされないとしても、引用商品とは、その需要者等の範囲を同じくする場合のあること前述のとおりといわなければならない。しかも、アプリケーション・ソフトウェアの作成に関わるコンピュータ・プログラムの分野では、コンピュータの専門家ではないユーザーが必要とするプログラムを、利用の目的に応じて、最小限度の指示(指定)をするだけで、必要なアプリケーションシステムを自動的に生成するプログラム(アプリケーションジェネレーター)も提供されているところである。
しかして、最近の情報関連技術産業の普及・発展はめざましく、コンピュータ関連の電子応用機械器具は、需要者の利用目的や利用方法に応じ、より高度に、しかも利用し易い種々の製品が製造・販売され、また、価格も一般需要者が購入し易いものが製造され提供されている状況にあり、一般の会社や消費者の電子応用関連の知識も急速に高まっている。そして、それら製品の需要者の範囲も専門家や一般のユーザーを含め相当の広がりをもっているということができ、請求人が主張する如く、本件商品の購入者、使用者(ユーザー)が専門的知識を有する専門会社、専門家であり、引用商品の購入者、使用者が一般の会社や消費者といったように簡単(単純)に区別することはできないというのが本件関連商品においての近時における実情であるというべきである。同様に、コンピュータ関連の電子応用機械器具及びその周辺機器について、その販売方法、流通経路等を単純に区分けすることも困難というべきである。
そうとすれば、本件商品と引用商品とは、上記の観点に照らし総合的に判断すると、その製造部門、販売部門、用途及び需要者の範囲において一致することの多い類似の商品といわなければならない。
以上のとおり、本願商標と引用商標は「ジョルト」の称呼を同じくする類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、類似する商品と認められるものである。
したがって、本願商標が商標法第4条1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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